ECの変遷と成功の道筋20年の経験から語るネット通販の真実⑤

今年のバレンタイン、このチョコが
相当に売れたらしい。確かに可愛い。
イーンスパイアの横田です。
https://www.enspire.co.jp

はじけるキャンディチョコレート|メリーチョコレート
https://www.mary.co.jp/mary/valentine2025/candy-chocolate/
ネット通販でも購入することが出来ます。
さて、本題です。
今回から新企画として、このセミナーで
話した2時間30分の内容を10回に分けて
週末などに配信しますので、お楽しみに。
ECの変遷と成功の道筋20年の経験から語る
ネット通販の真実について1回目から
https://yokotashurin.com/etc/ec-1.html
https://yokotashurin.com/etc/ec-2.html
https://yokotashurin.com/etc/ec-3.html
https://yokotashurin.com/etc/ec-4.html
と続いて今回は5回目です。
https://www.youtube.com/watch?v=U4weWbR8Tvo
〜20年の経験から語るネット通販の真実〜
データ出典:経済産業省
ショッピングモールの魅力と実態
ショッピングモールは集客力が最大の魅力です。楽天やAmazonに出店することで、多くの人に商品を見てもらうことができます。
集客力 = 売上アップのチャンス
ただし、出店料や広告費などの金銭的負担も大きい
CtoC市場の台頭
個人間取引の市場が拡大し、ヤフオクからメルカリへ主役が移り変わりました。
(日本人の4〜5人に1人が利用)
ヤフオク:オークション形式(価値あるものは高く売れる)
メルカリ:フリーマーケット形式(自分が決めた価格で売れる)
ヤフオクも後からフリマ機能を取り入れましたが、すでに遅く厳しい状況に
メルカリShopsの可能性
2021年に始まったメルカリShopsは企業の出店が可能。まだ始まって3年しか経っていません。
メルカリShopsのメリット
楽天市場は出店料が高い(通常プラン5万円、安いプランでも約1万円)のに対し、メルカリShopsは売れるまでコストゼロで始められる
「まずは小さく始めて、うまくいったら楽天にも挑戦」
という段階的アプローチが有効
EC市場の実態
ネット通販の市場規模は意外と小さく、小売全体の9.38%程度に過ぎません。
小売店の売上減少の原因は必ずしもネット通販ではなく、大型店やチェーン店の影響も大きい
これらの大型店は今でも従来の広告手法(看板・折込チラシ・テレビCM)で成功しています
業界別EC化率の違い
全体では9.38%ですが、業界によって大きく異なります。
カテゴリー | EC化率 |
---|---|
書籍・雑誌 | 53% |
生活家電 | 42% |
アパレル | 32% |
化粧品・医薬品 | 低い |
食品 | 低い |
自動車パーツ | 低い |
消費者の商品探索行動
消費者がどのように商品を探すかは、商品特性によって異なります。
ネットで購入されやすい商品の特徴
実店舗で購入されやすい商品
🔑 お客様の視点で「どんな時にネットで買うか」
を真剣に考えることが重要
ECの変遷と成功の道筋20年の経験から語るネット通販の真実⑤
ECサイトの変遷と成功戦略について、ショッピングモールの集客力の強さ、CtoC市場の台頭としてのメルカリの成長、そして「メルカリShops」という新たなビジネスチャンスを紹介。日本の全小売市場に占めるEC化率は平均9.38%だが、生活家電や書籍などカテゴリによって大きく異なる。商品によって購入方法も異なり、日用品は実店舗で、特殊な商品や選択肢の少ない商品はネット購入が選ばれる傾向にある。

- はじめに
- ショッピングモールの魅力と現実
- 個人間取引プラットフォームの進化
- 「メルカリShops」の可能性
- 業界別EC化率の実態
- 消費者購買行動の本質を理解する
- おわりに
- よくある質問
はじめに
インターネットが私たちの生活に浸透し始めてから約30年。その中でもEC(電子商取引)は、ビジネスのあり方を根本から変えてきました。「店舗を持たずに商売ができる」という夢のような概念は、今や当たり前の選択肢となっています。しかし、ECの世界は日々変化し続け、昨日の成功法則が今日は通用しないこともめずらしくありません。私は20年以上にわたってEC業界に携わってきた経験から、多くの企業や個人事業主の成功と失敗を目の当たりにしてきました。この記事では、ショッピングモールの実態からCtoCの台頭、そして最新のトレンドまで、EC業界の変遷と今後の展望について、具体的な数字やケーススタディを交えながら解説していきます。これからECを始めようと考えている方はもちろん、すでに運営している方にも新たな視点や戦略のヒントが得られるはずです。ネット通販の「見えない真実」に迫っていきましょう。
ショッピングモールの魅力と現実
ショッピングモールは非常に魅力的な選択肢ですが、金銭的な負担も大きいのが現実です。では、なぜショッピングモールが魅力的なのでしょうか?簡単に言えば、それは「集客力がある」ということに尽きます。楽天やAmazonといった大手モールは、すでに多くのユーザーが検索のために訪れているプラットフォームです。
楽天に出店すれば、楽天内で広告を出したり、上位表示される枠を購入したりすることで、多くの人に自社商品を見てもらうことができます。これはイベント出展に例えるとわかりやすいでしょう。1万人規模のイベントに出展するか、100万人規模のイベントに出展するかでは、同じ労力をかけるなら後者の方が効果的です。特に、そのイベントの中でも人が最も通る場所に店を構えることができれば、なおさらです。
ただし、この「いい場所」に出店するためには、当然ながら出店料が必要になります。これはリアル店舗でも同じことで、一等地には高い家賃がかかるのと同じ原理です。そのため、楽天が集客力で強いというのは事実ですが、その分のコストも覚悟しなければなりません。
個人間取引プラットフォームの進化
次に注目したいのが、CtoCプラットフォームの進化です。特にヤフオクからメルカリへの流れは、市場に大きな変化をもたらしました。
メルカリは消費税が8%に増税されたタイミングあたりにサービスを開始し、そこから急速に成長しました。それ以前には、ヤフオク(ヤフーオークション)が個人間取引の主流でした。ヤフオクは「オークション」というその名の通り、良い商品であれば値段が上がり、価値のあるものは高く売れるという仕組みでした。
一方、メルカリは「フリーマーケット」形式で、自分が売りたい値段で売ることができるというコンセプトです。両者は根本的に概念が異なりますが、メルカリの人気に押されてヤフオク側もフリマ機能を取り入れました。しかし、すでに遅く、現在のヤフオクは厳しい状況に置かれています。
Googleトレンドのデータを見ても、ヤフオクの検索数をメルカリが抜いており、現在メルカリのユーザー数は2,298万人(約2,300万人)に達しています。これは日本人の4人に1人か5人に1人が利用するサービスになっているということです。
「メルカリShops」の可能性
ここで、「メルカリって個人が売るサービスだから、ビジネスには関係ないのでは?」と思う方もいるでしょう。しかし、実際のところはどうなのでしょうか。
消費者の視点から考えてみましょう。少しでも安いものが欲しいと思った時、多くの人はYahooショッピングや楽天市場、Amazonではなく、まずメルカリで検索することがあります。例えば、「日傘 折りたたみ」と検索すると、様々な商品が表示されます。ユーザーは気になる商品をクリックして詳細を確認し、良いと思えば購入します。
ここで注目したいのが「メルカリShops」という表示です。これは個人ではなく、企業が運営しているショップであることを示しています。メルカリShopsは2021年に始まったサービスで、まだ3年しか経っていませんが、非常に注目すべきポイントです。
つまり、メルカリでは個人が販売する商品と企業が販売する商品が同じ検索結果に混在して表示されるのです。楽天市場では店舗の商品しか表示されませんが、メルカリでは両方が同じ並びで表示されます。消費者は価格だけで判断する人もいれば、個人よりも企業の方が信頼できると考え、多少高くても企業の商品を選ぶ人もいます。
これからECを始めるなら、10年前や20年前のように既に激戦区となっている楽天市場などから参入するより、まだ大手企業の参入が少ないメルカリShopsから始めてみるのも一つの戦略です。実際、メルカリShopsへの先行出店申込の57%がECの初出店者だそうです。
メルカリShopsの利点としては、出店料が無料で、売れた時だけ手数料10%がかかる点が挙げられます。手数料率だけを見ると楽天市場より高いですが、楽天市場の場合は通常プランで月額5万円、安いプランでも月額1万円程度の固定費がかかります。メルカリShopsなら売れなくてもコストがかからないため、リスクが低く始められるのです。
ただし注意点として、商品を廃棄したことにして個人で売るといった行為は脱税となりますので、絶対に避けてください。ビジネスとして行う場合は、必ずメルカリShopsを利用しましょう。
業界別EC化率の実態
続いて、無料のネットショップ作成サービスでの成功秘訣について考える前に、まずEC市場の実態を見てみましょう。
国が発表しているデータによると、2023年の全体的なEC化率(小売全体に占めるECの割合)は9.38%です。つまり、人々が小売で購入している全体の金額のうち、ネット通販で売れているものは全体の約9%に過ぎないのです。これは消費税率よりも低い数字です。
つまり、実店舗の売上が落ちている原因がEC市場にあるとは限らないのです。むしろ、コンビニ、フランチャイズのスーパー、ドラッグストアなどの大型店舗に売上を奪われている可能性が高いと言えます。これらの店舗は、従来通り看板を立て、折込チラシを配布して集客しています。
しかし、業界別に見るとEC化率は大きく異なります。例えば、生活家電は32%、書籍は53%、生活家電は42%と高いEC化率を示しています。一方、食品、化粧品、医薬品、自動車部品などのEC化率は低く、これらの分野にはまだ大きな成長余地があると言えるでしょう。
消費者購買行動の本質を理解する
なぜ業界によってEC化率に差があるのでしょうか。これを理解するには、消費者の購買行動について考える必要があります。
特定の商品を探す方法は業界によって異なります。近くの店を探す場合、Googleマップ対策は非常に重要ですが、近くに店がないと思えばネットで購入するしかありません。
例えば、お茶を買おうと思ったとき、コンビニ、スーパー、ドラッグストアなど、どこで売っているかはすぐに思いつきます。しかし、ガーデンファーニチャー(庭に置く椅子や机)のように、どこで売っているかがすぐにわからない商品もあります。
ドラッグストアでは売っていないだろうか、家具店は庭用の家具を扱っているだろうか、ホームセンターなら置いているかもしれないが品揃えが十分だろうか…など、考えた末に「行ってみて品揃えが少なかったら嫌だ」と思えば、最初からネットで探すことになります。
さらに極端な例では、鎧(武士が着用した防具)のように、そもそも実店舗で売っているとは考えにくい商品は、必然的にネットで探すことになります。
つまり、日用品や化粧品のように近くの店で簡単に手に入るものはネットでは買わない傾向がありますが、どこで売っているかわからないものや、実店舗での品揃えが限られていそうなものは、ネットで購入される可能性が高くなるのです。
このように、自分がどういう時にネットで買おうとするのかを真剣に考えることが、EC事業を成功させるための重要なポイントになります。
おわりに
EC市場は常に変化しており、今回ご紹介したようにショッピングモールからCtoC、そして「メルカリShops」のような新たなプラットフォームへと進化しています。全体のEC化率はまだ10%未満ですが、業界によっては50%を超えるものもあり、その差は購買行動の違いに起因しています。重要なのは、自社の商品がどのようなカテゴリーに属し、消費者がどのような状況でネット購入を選択するのかを理解することです。大手ショッピングモールへの出店は確かに集客力がありますが、初期費用や月額費用などコスト面での負担も大きくなります。一方、「メルカリShops」のような新興プラットフォームは、初期コストが低く、参入障壁も低いため、EC初心者にとって良いスタート地点となるでしょう。また、消費者の購買行動を分析すると、身近な店舗で簡単に手に入る商品よりも、どこで売っているか分かりにくい特殊な商品や、実店舗では品揃えが限られている商品の方がECでの成功確率が高いことが分かります。20年の経験から言えることは、EC成功の鍵は単にトレンドを追うことではなく、消費者心理と購買行動を深く理解し、自社商品の特性に合った販売戦略を構築することにあります。これからECに挑戦する方も、すでに運営している方も、この基本原則を忘れずに戦略を組み立てていくことが重要です。
よくある質問
Q1: 初めてECを始める場合、楽天市場とメルカリShopsのどちらから始めるべきでしょうか?
A1: 初めてECを始める場合は、出店料無料で売れた時だけ手数料がかかるメルカリShopsから始めることをお勧めします。楽天市場は月額固定費(最低でも約1万円)がかかるため、売上がない月でもコストが発生します。メルカリShopsで経験を積んでから、楽天市場などの大手モールへ展開するという段階的なアプローチが効果的です。
Q2: EC化率が低い食品や化粧品でもネット販売で成功することは可能ですか?
A2: 可能です。EC化率が低いということは、まだ市場開拓の余地があるということでもあります。特に、地域限定の特産品や専門店でしか手に入らない商品など、差別化された商品ラインナップを持っていれば成功の可能性は高まります。また、実店舗での購入体験に近づけるための丁寧な商品説明や、サンプル提供などの工夫も効果的です。
Q3: 個人がメルカリで副業的に商品を販売する場合、法的な問題はありませんか?
A3: 個人でも商品を継続的に販売して利益を得る場合は「事業」とみなされ、確定申告が必要になります。また、年間の売上が1,000万円を超えると消費税の課税対象になります。さらに、特定の商品(食品、医薬品など)を販売する場合は各種許認可が必要なケースもありますので、事前に確認することをお勧めします。商品を廃棄したことにして個人アカウントで販売するような行為は脱税となり違法です。
Q4: Googleマップ対策とは具体的にどのようなことをすればよいのでしょうか?
A4: Googleマップ対策の基本は、Googleマイビジネスへの登録と情報の充実です。店舗名、住所、電話番号、営業時間などの基本情報を正確に入力し、定期的に更新することが重要です。また、商品やサービスの写真を豊富に掲載し、カテゴリー設定を適切に行うことで検索結果に表示されやすくなります。さらに、お客様からのレビューを増やし、それに対して返信することで評価が高まります。定期的に投稿を更新することも効果的です。
Q5: メルカリShopsで成功するためのコツはありますか?
A5: メルカリShopsで成功するためのコツとしては、まず魅力的な商品画像と詳細な商品説明を心がけることが重要です。また、個人出品と差別化するために、プロフェッショナルな対応や迅速な発送、丁寧な梱包などサービス面での質を高めましょう。さらに、定期的に新商品を投入したり、季節に合わせた商品展開をしたりすることで、リピーターを増やすことができます。個人出品者との価格競争に巻き込まれないよう、独自性のある商品ラインナップを構築することも成功の鍵です。
詳しくは15分の動画で解説しました。
https://www.youtube.com/watch?v=sCkWefTDv_Q
0:00 🛒 ショッピングモールの魅力と課題
1:08 📱 YahooからメルカリへのEC変遷
2:14 💰 メルカリ利用者数とビジネス活用法
3:15 🔍 メルカリでの商品検索体験
4:14 🏪 メルカリShopsの台頭
5:23 💼 メルカリShopsでのビジネス展開
6:36 ⚠️ 農家の不正販売と適切な活用法
7:43 📊 EC市場の実態と業種別シェア
9:47 🏢 実店舗ビジネスの現状と集客方法
10:57 📉 業界別のEC浸透率の違い
12:04 🔎 商品探索方法の実態と考察
13:13 🪑 商品の「探しやすさ」がEC利用の決め手
上記の動画はYouTubeメンバーシップのみ
公開しています。詳しくは以下をご覧ください。
https://yokotashurin.com/youtube/membership.html
YouTubeメンバーシップ申込こちら↓
https://www.youtube.com/channel/UCXHCC1WbbF3jPnL1JdRWWNA/join
ECの変遷と成功の道筋20年の経験から語るネット通販の真実⑤

🛒 ショッピングモール
楽天やAmazonなどのECモールは集客力が強みで、多くの消費者にリーチできる場所に店を構える利点がある。ただし出店料など金銭的負担も大きい。
📱 メルカリShops
2021年に始まったメルカリの店舗向けサービス。個人売買の中に企業の商品も同列に表示される特徴があり、EC初心者の57%が利用する新興プラットフォーム。
🔄 CtoC台頭
ヤフオクからメルカリへの流れに見られる個人間取引市場の成長。消費税8%増税時期に成長し、現在2298万人が利用する大規模なマーケットになっている。
💹 EC化率
日本の小売全体に占めるEC(電子商取引)の割合。2023年の平均は9.38%だが、業種によって大きく異なる。
📚 カテゴリ別EC化率
書籍53%、生活家電42%など業種によってEC化率に大きな差がある。食品や化粧品は比較的低く、成長の余地がある。
💰 出店コスト
楽天市場は月額固定費(5万円または1万円程度)がかかるのに対し、メルカリShopsは出店料無料で売上時の手数料10%のみという参入ハードルの低さがある。
🔍 検索行動
消費者は欲しい商品をどこで買えるか分からない時や、選択肢が少ない特殊な商品を探す時にネット通販を選ぶ傾向がある。
📊 市場規模
ECサイトの成長が著しいが、実店舗での購入がまだ90%以上を占める現状。売上減少の原因は必ずしもECではなく大型チェーン店の影響も大きい。
🛍️ 購買決定要因
商品の性質や入手のしやすさによって購入方法が変わる。日用品や化粧品など身近に買える商品は実店舗で、特殊な商品はネットで購入される。
🆕 新規参入戦略
すでに競争の激しい大手ECモールより、まだ競争が少ないメルカリShopsから始めて成功したら楽天などに展開するという段階的な戦略が勧められている。
超要約1分ショート動画コチラ↓
https://www.youtube.com/shorts/Ep8UUPzmJTQ
ECの変遷と成功の道筋:20年の経験から語るネット通販の真実
ECの変遷はショッピングモールからCtoCのメルカリへ、そしてメルカリShopsへと進化してきた。モールは集客力がある一方で費用や競争が課題だが、メルカリは定価販売と使いやすさでCtoC市場を確立。メルカリShopsは初期費用無料で参入しやすい。EC化率は業界で異なり、購買行動に合わせた戦略が重要となる。成功への道筋は、自社商品と顧客を深く理解し、業界特性を踏まえた戦略を立て、初期投資を抑えたメルカリShopsから始め、段階的に大手モールへ展開することである。

1. ショッピングモールの魅力と現実
1.1 出店のメリット
1.1.1 メリットリスト
- 既存の大規模な顧客基盤にアクセスできる
- 検索機能により商品の発見可能性が高まる
- 広告枠を購入することで上位表示も可能
ネット通販黎明期において、楽天市場やYahoo!ショッピングのようなショッピングモールは、まさにECの世界への入り口でした。実店舗を持たない事業者にとって、これらのモールは、既に構築された巨大な顧客基盤へのアクセスを意味しました。集客力のあるモールに出店することで、自社でゼロから顧客を集める手間とコストを大幅に削減できたのです。モールに集まる多くのユーザーは、購買意欲が高く、様々な商品を比較検討するために訪れます。そこに自社の商品が並ぶことで、自然と目に触れる機会が増え、潜在顧客へのリーチが期待できました。
さらに、ショッピングモールが提供する検索機能は、商品の発見可能性を高める上で重要な役割を果たしました。ユーザーはキーワード検索を通じて、目的の商品を効率的に探し出すことができます。適切なキーワードを設定し、商品情報を最適化することで、検索結果の上位に表示されやすくなり、多くのユーザーの目に留まる確率を高めることが可能です。また、多くのモールでは広告枠が用意されており、予算に応じて広告を購入することで、特定の商品やブランドを強調表示することもできます。これにより、競合商品との差別化を図り、より積極的に顧客に働きかけることが可能となるのです。初期のEC市場において、ショッピングモールは、集客、商品発見、広告という三つの利点を提供し、多くの事業者にとって成功への足がかりとなりました。
1.2 出店の課題
1.2.1 課題リスト
- 出店料や手数料などの固定費用が発生する
- 競合が多く差別化が難しい
- 初期投資が大きい
しかし、ショッピングモールの魅力の裏側には、無視できない課題も存在します。まず、出店に際して、出店料や月額費用、販売手数料など、様々な固定費用が発生します。これらの費用は、売上に関わらず発生するため、特に初期段階や売上が伸び悩む時期には、経営を圧迫する要因となりかねません。薄利多売モデルの場合、手数料が利益を大きく削ることもあります。
次に、ショッピングモールには数多くの店舗がひしめき合っており、競争は非常に激しいです。同じような商品が多数出品されている中で、自社の商品を購入者に選んでもらうためには、価格競争に巻き込まれたり、独自性を打ち出すためのマーケティング努力が不可欠となります。しかし、中小規模の事業者にとって、大手企業に匹敵するマーケティング予算を確保することは容易ではありません。
さらに、ショッピングモールでの事業を成功させるには、初期投資も相当な額になります。商品ページの作成、魅力的な商品写真の準備、詳細な商品説明の作成、顧客対応マニュアルの整備など、質の高い店舗を構築するためには、資源と時間が必要です。これらの課題を克服できなければ、ショッピングモールでの成功は絵に描いた餅に終わる可能性もあるのです。
2. CtoCの台頭:ヤフオクからメルカリへ
2.1 メルカリの成功要因
2.1.1 成功要因リスト
- シンプルな価格設定(オークションではなく定価販売)
- 使いやすいインターフェース
- 個人が気軽に参加できるハードルの低さ
CtoC (Consumer to Consumer) ECの分野では、ヤフオク!に代表されるオークション形式が主流でしたが、そこに革命をもたらしたのがメルカリです。メルカリが従来のCtoCプラットフォームと大きく異なったのは、その販売モデルでした。オークション形式ではなく、定価販売に特化したことで、ユーザーは価格交渉の手間から解放され、煩わしさなく素早く簡単に取引を完了できるようになりました。このシンプルな価格設定は、これまでオークションに馴染みがなかった層にも広く門戸を開き、CtoC ECの大衆市場化を加速させました。
メルカリの成功のもう一つの鍵は、その使いやすさにあります。洗練されたインターフェースは、直感的で操作が簡単であり、スマートフォンに特化して初期から設計されたデザインは、モバイル体験を重視する現代のユーザーに合致しました。出品プロセスも非常に簡単で、スマートフォンで写真を撮り、説明を数語入力するだけで、文字通り数分で出品が完了します。
そして、メルカリが幅広い層に受け入れられた最大の理由は、個人が気軽に参加できるハードルの低さでしょう。複雑なルールや手続きは最小限に抑えられ、誰でもすぐに売り手にも買い手にもなれる雰囲気を作り出しました。これにより、不要品を売りたいというニーズを持つ人々だけでなく、ちょっとしたお小遣い稼ぎをしたい主婦層や学生など、様々な層がメルカリに集まるようになりました。メルカリは、CtoC ECを一気に身近なものへと変貌させたのです。
3. メルカリShopsの可能性
3.1 メルカリShopsのメリット
3.1.1 メリットリスト
- 出店料が無料(売れた時のみ手数料10%)
- 楽天市場のような固定費(月額5万円や1万円)がない
- 個人ユーザーと企業の商品が同じ検索結果に表示される
メルカリのプラットフォームとしての強みをビジネス向けにも活用したのが、メルカリShopsです。従来の楽天市場やYahoo!ショッピングなどのショッピングモールとは異なり、メルカリShopsは出店料が完全無料という、革新的なモデルを採用しました。販売者は商品が売れた時のみ、販売手数料として10%を支払うだけで済みます。これは、月額固定費が発生する大手モールとは大きな違いであり、特にスタートアップや中小企業にとって、初期費用を大幅に削減できる大きな利点となります。
楽天市場のような大手モールでは、月額5万円や1万円といった固定費が一般的です。これらの固定費は、売上の有無に関わらず発生するため、売上が安定しない初期段階では大きな負担となります。一方、メルカリShopsは、売れた時だけ手数料が発生する完全成果報酬型なので、リスクを最小限に抑えながら、ECビジネスをスタートできます。
さらに、メルカリShopsの大きな特徴として、個人ユーザーと企業の商品が同じ検索結果に表示される点が挙げられます。伝統的なショッピングモールでは、企業のストアは 分けられていることが多いですが、メルカリShopsでは、個人出品と企業出品が混在しています。これにより、企業はメルカリの ユーザーベースにダイレクトにアクセスでき、個人ユーザーと同じ土俵で勝負できるチャンスが生まれます。これは、特にブランド認知度がまだ高くないスタートアップや中小企業にとって、大きなアドバンテージとなるでしょう。
4. ネット通販の市場規模と業界別特性
4.1 業界別のEC化率の違い
4.1.1 データリスト
- 書籍:53%
- 生活家電:42%(別の箇所では32%とも記載)
- 食品・化粧品・医薬品:比較的低い割合
近年のインターネット通販の市場規模は拡大の一途を辿り、ほぼ全ての業界においてEC化が進んでいます。経済産業省の調査によると、2022年の日本国内のB2C-EC市場規模は22兆円を超え、前年比で最高を記録しました。しかし、業界別にEC化率を見てみると、大きな違いがあることが分かります。
例えば、書籍のEC化率は53%と高い水準に達しています。これは、書籍がサイズや重量が比較的均一で、配送が容易であること、また、特定の書籍を求める購入者は、実店舗で探すよりも、インターネットで検索する方が効率的であることなどが理由として考えられます。
一方、生活家電のEC化率は42% (別のデータでは32%とも記載)と、書籍に比べてやや低めです。生活家電は高額商品も多く、購入者は実物を見て、触って、確かめたいというニーズが強い傾向があります。また、大型家電の場合、設置やアフターサービスも重要となるため、実店舗での購入が選ばれるケースも多いと考えられます。
さらに、食品、化粧品、医薬品などは、EC化率が比較的低い業界です。食品は、品質や賞味期限の問題、化粧品は、色味や雰囲気の確認が重要であること、医薬品は、法規制や安全性への配慮などが、EC化を抑制する要因として挙げられます。このように、業界の特性によって、EC化率には大きな差が生じるのです。
4.2 購買行動とEC戦略
4.2.1 選択理由リスト
- 商品の販売場所が不明確な場合
- 近くの店舗での品揃えが限定的な場合
- 特殊な商品や専門性の高い商品
購入者が実店舗ではなく、あえてネット通販を選ぶ理由は様々ですが、その背景にある購買行動を理解することは、効果的なEC戦略を構築する上で非常に重要です。
まず、商品の販売場所が不明確な場合です。例えば、インディーズブランドや地域限定の特産品など、実店舗でどこで手に入るのか分からない商品は、ネット通販が有力な購入経路となります。インターネットで検索すれば、全国どこからでも商品を見つけ、購入することが可能になります。
次に、近くの店舗での品揃えが限定的な場合も、ネット通販が選ばれる理由となります。例えば、地方に住む購入者は、都市部に比べて、実店舗の選択肢が少ない傾向があります。そのため、幅広い品揃えを求める場合や、特定のブランドの商品を探している場合など、ネット通販が非常に便利な選択肢となります。
さらに、特殊な商品や専門性の高い商品も、ネット通販との相性が良いです。例えば、特定の趣味に特化した商品や、専門的な知識が必要な商品などは、実店舗では取り扱いが少なかったり、専門的なアドバイスを受けられる店員がいなかったりする場合があります。その点、ネット通販であれば、専門的な情報を掲載したり、質問に丁寧に回答したりすることで、購入者のニーズに応えることができます。これらの購買行動を踏まえ、EC戦略を構築することが、ネット通販で成功するための重要なポイントとなります。
4.3 EC戦略のポイント
4.3.1 ポイントリスト
- 自社商品がどのような購買動機で選ばれるかを理解する
- 消費者の視点に立ち、どのような状況でネット通販が選ばれるかを分析する
- 業界特性に合わせた販売戦略を構築する
効果的なEC戦略を構築するためには、まず自社商品がどのような購買動機で選ばれるのかを深く理解することが重要です。価格の安さが最大の魅力なのか、品質の高さが決め手となるのか、あるいはブランドの信頼性が重視されるのか、購入者が商品を購入する際に、何を最も重視するのかを明確にする必要があります。
次に、消費者の視点に立ち、どのような状況でネット通販が選ばれるのかを分析することも不可欠です。例えば、時間や場所に制約されずにショッピングを楽しみたい購入者にとって、24時間、いつでもどこでもアクセスできるネット通販は、大きなメリットとなります。また、人との接触を避けたい、自宅で気楽にショッピングしたいというニーズも、ネット通販が選ばれる理由となり得ます。
そして、業界特性に合わせた販売戦略を構築することも重要です。前項で述べたように、業界によってEC化率や購入者の購買行動は大きく異なります。例えば、ファッション業界であれば、ビジュアルコンテンツの充実や、InstagramなどのSNSを活用したマーケティングが効果的です。食品業界であれば、品質管理や配送の信頼性を確保することが重要となります。自社が属する業界の特徴を詳細に分析し、それに最適化された販売戦略を展開することが、ネット通販で成功を収めるための鍵となります。
5. まとめ
5.1 成功への道筋
5.1.1 道筋リスト
- 自社の商品特性や業界の特徴を理解する
- 消費者の購買行動に合わせた戦略を立てる
- 初期投資の少ない「メルカリShops」から始め、実績を積んだ上で大手モールへ展開する
20年のネット通販の経験から言えることは、ECで成功するためには、流行や技術の変化に追随しながらも、普遍的な原則を忘れてはならないということです。まず、最も重要なのは、自社の商品特性や業界の特徴を正確に理解することです。自社の強みは何か、ターゲット層は誰か、競合はどこか、業界の成長性はどの程度か、など、多角的な視点から自社と市場を分析する必要があります。
次に、分析結果に基づき、消費者の購買行動に合わせた戦略を立てることが重要です。購入者はどのようなニーズや課題を抱え、どのような情報を求め、どのような経路で購入に至るのか?消費者の行動を徹底的に研究し、顧客体験全体をデザインすることが、コンバージョン率を向上させ、リピート販売を増加させる鍵となります。
そして、具体的な第一歩としておすすめしたいのが、初期投資の少ないメルカリShopsから始めることです。メルカリShopsは、出店料や月額費用が無料なので、リスクを最小限に抑えながらECビジネスを開始できます。まずはメルカリShopsで実績を積み、運用ノウハウやマーケティングのスキルを習得した上で、楽天市場やYahoo!ショッピングなどの大手モールへ展開していくのが、再現性のある成功への現実的な道筋だと考えられます。変化の速いECの世界では、試験的な取り組みと柔軟な戦略修正を繰り返しながら、着実に前進していくことが、成功への最良の方法なのです。
#EC #ネット通販 #横田秀珠 #ECコンサルタント #ECセミナー #ネット通販コンサルタント #ネット通販セミナー
