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五感を意識したマーケティング戦略(ニーズ+ウォンツと4P+1P)

五感を意識したマーケティング戦略(ニーズ+ウォンツと4P+1P)
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2026年10月28日の生中継で、マーケティングの基本を新しく作ったスライドとともに解説。商品・販路・価格・販促の4Pに「人(People)」を加えた視点、マイナスから0に戻すニーズと0からプラスへ向かうウォンツの違いを、不要不急やホワイトニングの例で説明しました。さらに見る・押す・聞く・探すの4つの顧客接点、日頃の啓蒙によるマインドシェア、五感を刺激する販促、ショート動画による衝動買い、購入前の理由を聞く大切さを紹介しました。

詳しくは15分の動画で解説しました。
https://www.youtube.com/watch?v=Suf7nEp_iqc

0:00 📡 オープニング・今日のテーマ紹介 0:35 🤖 AIで講演の差分をスライド化 1:05 📊 追加スライドの全体像 1:43 🇺🇸 4Pを生んだアメリカに欠けていた言葉 2:04 🧩 マーケティングの基本「4P」 2:48 👥 5つ目のP「ピープル」と人から買う時代 3:33 🚚 運ぶを変えると商品が変わる(デジタル化) 3:58 ⚖️ ニーズとウォンツの違い 4:20 😷 不要不急で分かるニーズとウォンツ 5:00 🦷 ホワイトニングで見るターゲットの違い 5:50 🛒 同じ商品でも買う理由は違う 6:13 👀 顧客接点を4つに整理(見る・押す・聞く・探す) 7:13 🔍 検索は検索エンジンだけではない(AI検索) 7:53 💡 困る前に思い出される準備(マインドシェア) 9:05 🗣️ 紹介する人は使っている人とは限らない 9:40 🍖 横田ハムの例・初めて買う日の選び方 11:09 🖐️ 欲しいは五感が入り口 11:37 🍠 嗅覚(うなぎ屋・焼き芋)による販促 12:15 🎵 聴覚・触覚・味覚による販促 13:20 📱 ショート動画が生む衝動買い 13:50 📋 リスト化とマインドシェアの強化 14:05 💬 購入前の理由を聞く・アンバサダー活用 14:27 🔄 聞いて試して確かめる改善サイクル 14:45 👋 まとめ・エンディング

五感を意識したマーケティング戦略(ニーズ+ウォンツと4P+1P)

Miliaさんも普通の女の子なんですね(笑)
もっと色々と日常を公開していきます!
イーンスパイアの横田です。
https://www.enspire.co.jp

キーボードを叩け
https://www.youtube.com/watch?v=vLKzDS08z0M

スマホを伏せて / Milia
https://www.youtube.com/watch?v=TjieQSy5jDQ

さて、本題です。

マーケティングの基本からスライドを
作り替えているので一緒に勉強しよう。

五感を意識したマーケティング戦略(ニーズ+ウォンツと4P+1P)

五感マーケティング戦略
📡 ネットビジネス生中継 15分 📅 2026年10月28日(水) ✏️ マーケティングの基本
五感とニーズ・ウォンツ、4P+1Pで買う理由をつなぐ戦略
いい商品なのに、なぜ売れない?
→ マーケティングは 「商品」と「買う理由」をつなぐこと
🧩 4P+People⚖️ ニーズ/ウォンツ👁️ 見る・押す・聞く・探す👃 五感が入口
0
🤖スライドが一気に増えた理由
🎤講演するスライドはわずか2枚で1時間
➜
📝喋った内容スライドにない話がめちゃくちゃ多い
➜
🔍差分だけ抽出「スライドにない部分だけ」をAIに依頼
➜
📊スライド充実今回は約20枚を一挙紹介
🧑‍🏫横田秀珠マーケティングの基本から教えるコンサルで、昔の資料だけでは足りなすぎたんです。
1
🧩基本中の基本「4P」で考える
Product
📦 商品・サービス
どんな価値を提供する?
Place
🚚 販路・物流
どこで、どうやって届ける?
Price
💴 価格・決済
値段と支払い方法をどうする?
Promotion
📣 販促
どうやって伝える?
📌 4Pを生んだアメリカに「欠けていた視点」とは? → 次のセクションへ
2
🙋5つ目の視点は People「人」
💡 2007〜08年頃から提唱
人は「物」ではなく
誰から買うかで決める
SNSが出始めた頃から唱えていた視点。同じ商品・同じ価格でも、誰が伝えるかで受け止め方が変わる。
🌟インフルエンサー
🤝アンバサダー
↓ 究極形
📱 C2C(個人売買)
メルカリに代表される形
✨「何を売るか」に、「誰から買いたいか」を加える
3
🗺️「運ぶ」を変えると商品も変わる
BEFORE
📄 モノを届ける
紙を印刷 → 箱で郵送 → 店頭で買う
➜
AFTER(デジタル化)
☁️ 情報を届ける
地図データ → カーナビ・スマホで見る
📍 Placeの視点:届け方・受け取り方が変わる
📦 Productの視点:紙からデータへ、商品の形も変わる
一つの改善が複数のPにまたがることがある=大きな視点の変化
4
⚖️人が買う2つのきっかけ
±0 いつもの状態 マイナス(困っている) ニーズ ウォンツ プラス(もっと良く)
ニーズ = −→0
困りごとを解消したい(必要・緊急)
  • 椅子が壊れた → 買い替える
  • 歯が痛い → 治療を受ける
  • 水漏れ修理・壊れたスマホ
ウォンツ = 0→+
理想に近づきたい(不要不急)
  • 食卓をもっと素敵にしたい
  • 歯をもっと白くしたい
  • 観光旅行・おしゃれな服
😷コロナ禍で一気に分かりやすく「不要不急(必要でも急ぎでもない)」は避けましょう=それがウォンツ。最低限の生活に必要で緊急なもの=ニーズ。
5
🦷同じ商品でも、買う理由は違う
例① ホワイトニング
😁✨
もっと素敵な笑顔に
→ ウォンツ
😣
見た目が気になり人前で笑うのが辛い
→ ニーズ
例② ベビーチェア
🪑💥
今の椅子が壊れた・手が足りない
何が、どう楽になるか
👨‍👩‍👧
家族で食卓を囲みたい
使った後の暮らしを見せる
🎯 本人の状態でニーズにもウォンツにもなる → ターゲット層によって販売・販促の仕方が変わる。見るべきは商品よりその人の状況
6
👁️顧客との接点を4つに整理する
見るウォンツ
強制的に見せる仕組み。見ないとその気にならない
ショート動画・広告・店頭
押すウォンツ
顧客リストへ強制的にメッセージを送る(プッシュ)
LINE公式・メルマガ
聞くニーズ
自分で解決を諦めた時に人に聞く
友人・口コミ・コミュニティ・生成AI
探すニーズ
自分で解決しようと思った時に探す
検索・EC内検索・SNS検索
📊 講義スライドでの整理(売上構成のイメージ)
プッシュ型
ウォンツ
80%
プル型
ニーズ
20%
「2割・8割」は普遍的な比率ではなく、顧客ごとに確認する
7
🔍検索は検索エンジンだけではない
📖
電話帳アナログ時代
🌐
検索エンジンGoogle・Yahoo!
🛒
EC内検索モールで探す
🤖
AI検索最近の変化
💭ここがポイント「AIに聞く」と言うと聞くに入るけど、AIで情報を探していく使い方なら探す側に入る。
お客さんが「最初に探す場所」を押さえよう
8
🧠困った時より前に思い出される準備
📱① まだ必要ではない投稿・CMで知る
➜
⚡② きっかけが起きる困りごと・生活の変化
➜
💡③ 思い出す・相談「あの商品があった」
本人が覚えている → 自分で探す
マイナスになった時に思い出してもらえる=マインドシェア
周囲が覚えている → 勧められる
聞かれた人も実は使ったことがない場合も
📢横田秀珠いいように言えば啓蒙活動、悪く言えば洗脳。大手はテレビCMでこれをやっている。すごい大事です。
9
🍖人は知らないから買わない
🚰 紹介する人は、使った人とは限らない
📺友人がCMでクラシアンを知る
➜
💧自分の家で水漏れ
➜
🗣️友人が会社名を教えてくれる
知名度は紹介の入口。でも体験に基づく評価とは違う
🛒 スーパーのハム売り場、どれを取る?
🥓丸大ハム
🥓日本ハム
🥓伊藤ハム
❓横田ハム
一番美味しく
一番安い…かも
食べたことがないので美味しいか分からない → 手に取れない
🍞 人生には「初めて買う日」がある。2回目以降は過去と同じものを買えば間違いない。では、経験ゼロの1回目はどうやって選ぶ? ← ここで日頃の認知が効く
★
👃今日のテーマ「欲しい」は五感が入口
📌 TODAY’S THEME
👁️
見る
スーパーの肉が美味しそう → 今夜はすき焼き・焼肉
最大の情報源
👃
嗅ぐ
うなぎ屋の蒲焼きの香り/スーパー店頭の焼き芋
CM不要の販促
👂
聴く
流れてきた曲が良かった/鮮魚売り場の「おさかな天国」
✋
触る
カーペット・クッションの肌触りで思わず購入
👅
味わう
スーパーの試食はやっぱり効果的
⚡刺激に出会う
➜
🍽️楽しむ場面を想像
➜
🛒欲しくなる
🍠横田秀珠スーパーに入った瞬間に焼き芋の匂いがして、思わず手に取ってしまう。最近はどのスーパーも焼き芋戦略ですよね。
商品説明だけでなく、体験が伝わる表現を考える
11
🎬衝動買い × ショート動画
😐①買う予定なし
➜
📱②動画が目に入る強制的に見てしまう
➜
🤤③美味しそう!
➜
🛒④その場で購入
通常
一度メモリー(記憶)に入れて、考えてから買う
⚡
ショート動画
記憶を飛ばして、その場で衝動買い
「衝動買い」と「ショート動画」、言葉の音が似ているのも面白い 😄
12
📋売れる仕組みにする5つの打ち手
📇 リストで具体化
リストがないと「押す」マーケティングはできない。数より相手と内容が合っているか
例:化粧品購入者→関連商品DM/美容室→業務用シャンプー
⏰ 欲しくなる少し前に
役立つ情報を発信してマインドシェアを高めておく。タイミングは生活の変化から考える
🙋 購入前を聞こう
「どうでしたか?」ではなく「なぜ買おうと思ったか」。理由が分からないとマーケティングのスタートが分からない
きっかけ → 情報収集 → 比較 → 決め手 → 使用後
🤝 アンバサダー面談
「なんとなく欲しくて」の前に何があったか、時間をさかのぼって聞く。無料提供の応募理由と有料購入理由は分けて聞く
🔁 聞いた理由を次の施策に変える
①聞く
きっかけ・比較・決め手
②整理する
困りごと/理想・4つの接点
③試す
相手に合う投稿や案内
④確かめる
反応と購入理由を見直す
✓
🌉まとめ
マーケティングは
商品と買う理由をつなぐこと
🏢 企業側
何を・いくらで・どこで・どう伝えるか(4P)
🌉
🙂 顧客側
何に困り(ニーズ)、どんな暮らしを望むか(ウォンツ)
+ 誰から買うか(People)× 五感で生まれる「欲しい」
❓ 最近の買い物は、何がきっかけでしたか? ── 続編もお楽しみに 📺

五感を意識したマーケティング戦略(ニーズ+ウォンツと4P+1P)

  1. はじめに
  2. マーケティングの基本「4P+People」と、デジタル化で変わった「運ぶ」
  3. 人が物を買う2つのきっかけ「ニーズ」と「ウォンツ」
  4. 顧客との4つの接点と「思い出してもらう」ための仕掛け
  5. 「欲しい」は五感が入り口になる ― 衝動買いから施策の改善サイクルまで
  6. おわりに
  7. まとめ
  8. よくある質問(Q&A)

はじめに

みなさん、こんにちは。イーンスパイア株式会社の横田秀珠です。突然ですが、スーパーに入った瞬間に焼き芋の甘い香りがふわっと漂ってきて、買う予定なんてまったくなかったのに、気づいたらカゴに入れていた……という経験はありませんか? 私はしょっちゅうあります(笑)。実はこの「思わず買ってしまう」一瞬にこそ、マーケティングの大切なヒントがぎゅっと詰まっているんです。

今回は、2026年10月28日(水)に「ネットビジネスに関する情報を生中継で15分間お届けする」いつもの配信でお話しした内容をもとに、マーケティングの基本中の基本である「4P」、そこに私が長年付け加えてきた5つ目のP「People(人)」、人が物を買う2つのきっかけである「ニーズ」と「ウォンツ」、そして今回のメインテーマである「五感を意識したマーケティング戦略」について、新しく作ったスライドと一緒にじっくり解説していきます。

「いい商品を作っているのに、なぜか売れない」とお悩みの方や、マーケティングを基礎から学び直したい方は、ぜひ最後までお付き合いください。


マーケティングの基本「4P+People」とデジタル化で変わった「運ぶ」

ステップ1:今回のテーマと、新しいスライドが大量に生まれた背景

今日は2026年10月28日、水曜日の配信です。テーマはズバリ、**「五感を意識したマーケティング戦略とは ― ニーズとウォンツ、そして4P+1Pから考える」**です。マーケティングの基本的な話ではあるのですが、今回は新しく追加したスライドがたくさんありますので、それを一気にお見せしながらお話ししていきました。

なぜ急にスライドが増えたのか、その舞台裏から少しお話しさせてください。

実は今、私はマーケティングの基本から教えるコンサルティングをさせていただいています。そこで昔作った資料を引っ張り出してきて、それを使いながら説明していたのですが、正直に言うと、なんせ資料が足りなさすぎたんですね。

というのも、私は講演やセミナーで話すとき、手元のスライドに書かれていない内容をその場でめちゃくちゃたくさん喋っているんです。今回お見せした元のスライドは、実はたったの2枚だけ。この2枚で1時間喋りました(笑)。つまり、話している内容のほとんどは「スライドにない部分」だったわけです。

そこで最近やっているのが、次のような方法です。

  1. 自分がスライドを使って講演した内容(喋った内容)を記録する
  2. その中から「スライドに書かれていない部分=差分」だけを抜き出す
  3. その差分だけをスライドにしてほしい、とAIに頼んで作ってもらう

こうすることで、講演するたびにスライドがどんどん充実していくんですね。今回ご紹介するスライドのほとんどは、この方法で生まれたものです。

比較項目従来のスライド作り「差分」をAIでスライド化する方法
作る順番先にスライドを作ってから話す話した内容から後でスライドを作る
スライドの量準備した分だけ(今回は2枚)話すたびに増えていく
内容の鮮度作った時点の情報で止まりがち最新の言い回しや事例が反映される
手間一から考えて作る必要がある喋った内容をAIに渡すだけ
向いている人台本どおりに話す人その場で話を膨らませるタイプの人

講師業をされている方や、営業でプレゼンをされる方には、ぜひ試していただきたいやり方です。自分では「当たり前」と思って喋っていることこそ、聞き手にとっては価値のある情報だったりするんですよ。

ステップ2:マーケティングの4Pを生んだアメリカに欠けていたこと

それでは早速、本題に入っていきましょう。まずはもうずいぶん前にご紹介したスライドですが、私が大好きで、しょっちゅう使っている1枚からです。タイトルは**「マーケティングの4Pを産んだアメリカに欠けていた事」**です。

このスライドには北米大陸の地図が描かれていて、東海岸のあたりに腕時計の写真が置かれています。そこから西に向かって矢印が伸びていて、

  • ①Product(商品・サービス)
  • ②Place(場所・物流)
  • ③Price(値段・決済)
  • ④Promotion(販促・広告宣伝)

という4つのPが書かれています。そして地図の左下には、大きな赤い文字で**「果たして5番目のPとは?」**という問いかけがあり、右下には「1900年 イギリス産業革命」という言葉が添えられています。

ここで想像していただきたいのは、アメリカという国の広さです。産業革命によって工場で大量に物が作れるようになった時代、東海岸で作った商品を、あの広大な国土の隅々にまで届けて売らなければならなかったわけですね。だからこそ、「何を作るか」「どうやって運ぶか」「いくらで売るか」「どうやって知らせるか」という4つの視点で整理する考え方が生まれたのだと私は捉えています。

では、その4Pだけでは足りなかったもの、つまり5番目のPとは何なのか。これがこの後のお話につながっていきます。

ステップ3:4Pで「買える・選べる」を整える

まずは基本の4Pをしっかり押さえておきましょう。マーケティングを考えるときには、次の4つの視点から考えることが、基本中の基本になります。

P意味考えること具体例(スライドより)
Product商品・サービスどんな価値を提供するのか使いやすさ・品質・デザイン
Place販路・流通(物流)どこで、どうやって届けるのか店舗・EC・配送
Price価格・支払い(決済)納得して支払えるか価格・分割・継続課金
Promotion販促・伝達どうやって知ってもらうか広告・試用・SNS

もう少し噛み砕いて説明しますね。

  • Product(プロダクト):商品・サービスとして、どんなものを提供するのか、ということです。
  • Place(プレイス):それを運ぶ物流のことであり、販路のことでもあります。つまり、どこで、どうやってお客さんに届けるのか、という部分です。
  • Price(プライス):やっぱり何と言っても、人は値段を見て買い物をしますよね。価格はもちろんのこと、決済=支払い方法をどうするのか、ということも含まれます。
  • Promotion(プロモーション):販促ですね。どうやって伝えるのか、という部分です。

新しく作ったスライド(「マーケティングの基本 02/10」)では、中央に腕時計を置いて、その周りに4つのPを配置しています。そしていちばん大事なメッセージとして、**「一つだけでなく、4つの整合性で考える」**と書きました。

たとえば、どんなに良い商品(Product)でも、買える場所(Place)がなかったり、値段(Price)が合わなかったり、存在を知られていなかったり(Promotion)すれば売れません。4つのうち1つだけ頑張っても、他がちぐはぐだと結果が出ないんですね。

ちなみにスライドには、「講義の『届ける → 商品 → 価格 → 販促』は、役割を理解するための説明順」という補足も入れています。講義では理解しやすい順番で説明していますが、実際にはこの4つをセットで、矛盾なく組み立てることが大切です。

ステップ4:5つ目の視点は「People(人)」

さて、先ほどの「果たして5番目のPとは?」の答えです。4Pに追加になった5つ目の視点、それが**People(ピープル)=「人」**です。

この話は、今から何年前になるでしょうか。私は2007年とか2008年ぐらいから、もうこの考え方を唱えていました。まだSNSが出てくる前か、ちょうど出始めたぐらいの時期ですね。

私がずっと言い続けてきたのは、「人は物を買うのではなく、誰から買うのかで決まる」ということです。だからこそ、インフルエンサーやアンバサダーといった「人」の影響で物が売れるようになる、という話をしてきました。

その究極の形が、メルカリに代表されるような**C2C(個人間売買)**の世界です。企業から買うのではなく、個人が個人から買う。まさに「誰から買うか」が主役になった時代になったと言えるでしょう。

新しいスライド(「マーケティングの基本 03/10」)では、この考え方を次のように表現しました。

比較初めて見る広告信頼する人の使用体験
商品新しいワイヤレスイヤホン同じ商品
価格同じ価格同じ価格
受け手の気持ち「便利そうだけど本当かな…?」「これ、本当に使いやすいよ!おすすめ!」と言われて納得
結果疑いが残る買いたい気持ちが動く

同じ商品・同じ価格でも、誰が伝えるかで受け止め方は変わるんですね。

さらにスライドでは、「人」の役割を3つに分けて紹介しています。

  1. 営業担当:話を聞き、不安に答える
  2. アンバサダー:生活の中の使い方を見せる
  3. 利用者:実体験を口コミで伝える

そして結論として、**「『何を売るか』に、『誰から買いたいか』を加える」**というメッセージを置いています。なお、スライドにも書いていますが、Peopleは私の講義で追加している視点であり、「5P」の定義は一つに固定されているわけではありません。いろいろな方がいろいろな5つ目のPを提唱されていますので、あくまで「横田の考える5つ目のP」として受け取っていただければと思います。

ステップ5:「運ぶ」を変えると、商品も変わる

続いては、以前にもお話しした内容の復習になりますが、とても大きな視点の変化なので改めてご紹介します。テーマは**「『運ぶ』を変えると、商品も変わる」**です。

これまでの考え方は、**「物を届ける」**というものでした。たとえば地図であれば、紙に印刷して、箱に詰めて輸送して、お店の店頭で買ってもらう、という流れです。郵送するのも同じですね。

ところがデジタル化によって、物を届けるのではなく、データを届ける、情報を届けるという形に変わりました。スライドの例で言えば、紙の地図が、カーナビやスマホで見る地図データに変わったわけです。

視点モノを届ける時代情報を届ける時代
流れ紙の地図を印刷 → 箱で輸送 → 店頭で買う地図データ → 端末(カーナビ・スマホなど) → 地図を見る
Placeの視点トラックで運ぶ届け方・受け取り方がダウンロードに変わる
Productの視点紙の地図という「モノ」紙からデータへ、商品の形そのものも変わる

ここで面白いのは、「運ぶ」(Place)を変えたことで、「商品」(Product)まで変わってしまったという点です。スライドには「一つの改善が、複数のPにまたがることもある」と書きました。

つまり、「これは何P?」と分類して満足するのではなく、お客さんの不便がどう減るのかを見ることが大事なんですね。これがいわゆるデジタル化の本質で、他の動画でもお話ししていますが、非常に大事な視点になります。


人が物を買う2つのきっかけ「ニーズ」と「ウォンツ」

ステップ1:マイナスから0に戻す「ニーズ」、0からプラスに向かう「ウォンツ」

4P+Peopleという「売る側の視点」を押さえたところで、今度は**「買う側の視点」**に目を向けていきましょう。私がいつもお話ししている、人が物を買うきっかけは「ニーズ」と「ウォンツ」の2つある、という話です。

イメージしやすいように、人の状態を「プラスマイナス0(いつもの状態)」を基準にして考えてみます。

  • ニーズ:困りごとが起きて、プラマイ0の状態からマイナスに落ちてしまったとき、それを0に戻すために人は物を買います。
  • ウォンツ:今はプラマイ0で特に困っていないけれど、もっとプラスに行きたい、もっと良くなりたいと思って人は物を買います。

つまり、マイナスから0に向かうのがニーズ、0からプラスに向かうのがウォンツです。

新しいスライド(「マーケティングの基本 04/10」)では、こんな例を挙げました。

分類ニーズウォンツ
一言で言うと困りごとを解消したい理想に近づきたい
状態の変化マイナス(困っている)→ 0(いつもの状態)0(今も困っていない)→ プラス(もっと良い状態)
例①椅子が壊れた → 買い替える食卓をもっと素敵にしたい
例②歯が痛い → 治療を受ける歯をもっと白くしたい

同じ「椅子」でも、同じ「歯」でも、出発点がマイナスなのか0なのかで、買う理由がまったく違うことが分かりますよね。

ただし、スライドの下にも書いているとおり、これはあくまで講義での整理です。実際の購入では、ニーズとウォンツの両方が重なることもあります。そして、私がよくお話しする「2割・8割」という比率も、普遍的な比率ではなく、顧客ごとに確認するものだと考えてください。この比率の話は、ステップ5で詳しくご紹介します。

ステップ2:コロナ禍の「不要不急」で考えると一発で分かる

ニーズとウォンツの違いを説明するときに、非常に分かりやすい言葉があります。それが、コロナ以降によく聞くようになった**「不要不急」**という言葉です。

不要不急というのは、「必要ではないこと、急がないこと」ですよね。実はこれこそが、まさにウォンツなんです。

コロナ禍では、観光旅行に行きたいとか、おしゃれな服を着て出かけたいとか、こういうことは「避けましょうね」と言われていましたよね。これがウォンツです。

一方で、最低限の生活はしなければなりません。必要で緊急の場合、たとえば水漏れの修理や、壊れたスマホの買い替えのようなことは「これはいいですよ」と言われていたと思います。これがニーズです。

場面必要・緊急の場面 → ニーズ不要不急の場面 → ウォンツ
具体例水漏れ修理、壊れたスマホの買い替え観光旅行、おしゃれ着の買い物
お客さんの気持ち今の困りごとを解決したい今すぐでなくても実現したい
特徴先延ばしにしにくい楽しさ・憧れ・満足を求める

こう考えてみると、コロナによってニーズとウォンツの定義付けが、ものすごく分かりやすくなったんですね。スライドでは**「『必要だから買う』だけでなく、『もっと良くしたいから買う』もある」**とまとめています。

ここで一つ注意していただきたいのは、「不要不急=価値がない」ではないということです。旅行やおしゃれは、人生を豊かにする大切なものです。また、ニーズであっても緊急性が低い場合もあります。あくまで「買う理由を整理するためのたとえ」として使ってくださいね。

ステップ3:同じホワイトニングでも、動機は変わる

ニーズとウォンツの考え方で面白いのが、同じ商品・サービスでも、ニーズになったりウォンツになったりするという点です。分かりやすい例が、歯医者さんのホワイトニングです。

いわゆる歯医者さんというのは、虫歯になって行く場合はニーズですよね。痛いというマイナスの状態を0に戻しに行くわけです。

では、ホワイトニングはどうでしょうか。どちらかというとウォンツのイメージが強いと思います。「自分をもっと素敵な笑顔にしたい」という、0からプラスに行くためのサービスですね。

ところが、捉え方によっては話が変わります。たとえば「自分の歯の見た目が気になって、人前で笑うのがつらい」という人にとってはどうでしょう。その人にとってホワイトニングは、マイナスの状態から0の普通に戻すためのもの、つまりニーズになるわけです。

本人の状態本人の言葉求める変化捉え方
Aさん「もっと素敵な笑顔になりたい」理想に近づきたいウォンツ
Bさん「歯の見た目が気になり、人前で笑うのがつらい」悩みから抜け出したいニーズ

スライドでは、真ん中に歯のイラストを置いて**「サービス名は同じ。本人が求める変化は違う。」**と書きました。

こう考えていくと、本人の状態によってニーズになったりウォンツになったりするということが分かります。つまり、ターゲット層をどこに置くかによって、販売の仕方や販促の仕方が変わるということなんですね。Aさんには「理想の笑顔」を見せる広告が響きますし、Bさんには「もう人前で笑うのを我慢しなくていい」というメッセージが響くはずです。

スライドの結論は、**「『何を買ったか』に加えて、『どんな気持ちで選んだか』を聞こう」**です。なお、これは講義での分類例であり、施術の必要性や効果を判断する図ではありませんので、その点はご理解ください。

ステップ4:同じ商品でも、買う理由は違う

先ほどご紹介したように、人は困りごとを解消するために物を買うこともあれば、理想を実現するために物を買うこともあります。つまり、ニーズ側で買うのか、ウォンツ側で買うのかということですね。それぞれのお客さんがどういうことを考えているのかを洗い出すことが、マーケティングにおいて非常に大事です。

新しいスライド(「マーケティングの基本 05/10」)では、ベビーチェアを例にしてこれを整理しました。

分類困りごとの解消(ニーズ)理想の実現(ウォンツ)
お客さんの声①「今の椅子が壊れた」「家族で食卓を囲みたい」
お客さんの声②「食事の準備で手が足りない」「部屋になじむ椅子が欲しい」
伝えるべきこと何が、どう楽になるか使った後の暮らしを見せる
伝える相手困っている人へ理想を求める人へ

同じベビーチェアなのに、買う理由がこれだけ違うんですね。困っている人には「どれだけ楽になるのか」を、理想を求める人には「これがある暮らしの素敵さ」を伝える。訴求の仕方がまったく変わってきます。

スライドの結論は、「見るべきは、商品よりも『その人の状況』」です。商品名だけで「これはニーズ商品だ」「これはウォンツ商品だ」と決めつけないことが大切です。なお、このベビーチェアの例はあくまで仮説ですので、実際の購入理由は、お客さんに聞いて確かめるようにしてください。

ステップ5:ウォンツは「プッシュ型」、ニーズは「プル型」

ここで、私がいつもセミナーで使っている、ニーズとウォンツの全体像をまとめたスライドをご紹介します。タイトルは**「マイナスからの脱却=ニーズ、プラスへの欲望=ウォンツ」**です。

左側には棒人間が立っていて、「±0」の位置から、上に向かう赤い矢印(ウォンツ)と、一度下に落ちてから上に戻る青い矢印(ニーズ)が描かれています。

項目ウォンツ(プッシュ型)ニーズ(プル型)
売上の目安売上80%売上20%
きっかけ外部要因(提案される・見せられる)自分の困りごと
どんな人か買う気は無いけど結果的に買ってしまう人/困っていないが提案次第で買ってしまう人買おうと思って購買行動を起こしている人/自分が困った状態にあり、悩みを解決したい人
購買行動ゼロの状態からプラス状態へ移したいマイナス状態からゼロに戻したい
キーワード欲求・欲望・夢・潜在意識・「あ!これこれ!」・「そう言うなら」緊急性・苦痛・必要性・顕在意識・「今すぐ!」・指名買い
代表的なジャンルアパレル、雑貨、美容、グルメ、健康食品、ダイエット水漏れ、データ復旧、歯医者、自己破産

ウォンツは、お客さんがまだ自分では欲しいと気づいていないところに、こちらから**押し出していく(プッシュする)必要があるので「プッシュ型」。ニーズは、お客さん自身が困って解決策を引き寄せにくる(プルする)**ので「プル型」と呼んでいます。

そして、売上の8割はウォンツ、2割はニーズ、という目安を置いています。困っている人だけを相手にしていると、市場のごく一部しか取れない。実は**「困っていないけれど、提案されたら買う人」のほうがはるかに多い**、という考え方です。ただし先ほども書いたとおり、この比率は普遍的なものではありません。ご自身の商品・サービスの場合はどうなのか、お客さんごとに確認していってくださいね。


顧客との4つの接点と「思い出してもらう」ための仕掛け

ステップ1:顧客との接点を「見る・押す・聞く・探す」の4つに整理する

ニーズとウォンツが分かったところで、次は**「どうやってお客さんと出会うのか」という話に進みましょう。私がよく言っているのが、顧客との接点は「見る・押す・聞く・探す」**の4つに整理できる、ということです。

このうち、上の2つ(見る・押す)がウォンツ、下の2つ(聞く・探す)がニーズに対応します。

  • 見る:強制的に見せる仕組みです。人は見ないと「その気」にならないからですね。
  • 押す:強制的に顧客リストにメッセージを送る、つまりプッシュすることです。
  • 聞く:自分で解決することを諦めたときに、人は人に聞きます。
  • 探す:自分で解決しようと思ったときに、人は探します。だからこそ「どうやって探すのか」が重要になります。

先ほどの「ニーズ・ウォンツ」のスライドには、それぞれの接点で使える具体的な販促手法も一覧にしています。

接点リアル(アナログ)ネット特徴
見る(ウォンツ)看板、テレビCM、新聞・雑誌、フリーペーパー、折込チラシ、イベント、展示会、街宣車バナー・ディスプレイ・モール広告、Yahoo!インフィード広告、SNS広告、ショート動画リアルは不特定多数・広告費が高い/ネットは表示回数が多いが成約率が低い
押す(ウォンツ)DM、ポスティング、FAX、テレアポ、キャッチセールス、ルートセールス、街頭配布PC・携帯メルマガ、LINE公式、SMS、アプリプッシュ通知、Facebookイベント招待リアルは年々反応率が減少し最も敬遠される/ネットは反応率が高く特にスマホ向け
聞く(ニーズ)口頭・電話(身内、友達、同僚、先輩、専門家、相談窓口)メール、LINE、SNS、Q&A・キュレーション、コミュニティ、生成AI、Google AIモードリアルはマス広告で洗脳・イベントで啓蒙/ネットは日頃の関係性構築・マインドシェア
探す(ニーズ)電話帳(電話帳広告を含む)検索エンジン・ポータルサイト、業界サイト、SNS検索リアルは広告費を調査・定点観測/ネットは検索数を調査・広告を定点観測

新しく作ったスライド(「マーケティングの基本 06/10」)では、これをもう少しやさしい言葉に置き換えました。

接点役割主な手段ポイント
見る出会いをつくるショート動画・広告・店頭まだ探していない人に、使う魅力を伝える
押す登録者へ届けるLINE公式・メルマガ関心のある人に、役立つ情報を届ける
聞く相談に応える友人・口コミ・コミュニティ相談されたときに、思い出してもらう
探す見つかるようにする検索・EC内検索・SNS検索知りたい疑問に、具体的な答えを用意する

真ん中には**「顧客の状態に合わせて組み合わせる」**と書いています。どれか一つだけやればいいのではなく、お客さんがいまどの状態にいるかによって、4つを組み合わせていくことが大切なんですね。

なお、スライドの注記にも書いていますが、「見る/押す」の区分は講義での整理です。「押す」は登録や許諾のある接点への配信のことを指しています。また、検索の中からウォンツが生まれることもあるので、固定された分類ではありません。

そしてこの4つの接点に、もう1つ追加になってくる話があります。それが今回のメインテーマである「五感」なのですが、それは後ほど「結」のパートでじっくりお話ししますね。

ステップ2:検索は、検索エンジンだけではない

「探す」という接点について、もう少し掘り下げてみましょう。ここで押さえておきたいのは、検索は検索エンジンだけではないということです。

時代・場所探し方イメージ
アナログ時代電話帳で検索する業種のページ(飲食店、美容・理容、病院・クリニック、住宅・不動産など)から店を探す
インターネット時代GoogleやYahoo!などの検索エンジンで検索する「家具 おすすめ」のように、どこにあるかを広く探す
ECの普及EC(モール)内で検索するAmazonや楽天などで「ソファ」と入れて商品を探す
最近AI検索で情報を探す生成AIに質問して答えを得る

最後の「AI」については少し整理が必要です。「AIに聞く」という言い方をすると、実はさっきの4つの接点のうち**「聞く」**のほうに入ってしまうんですね。実際、私のスライドでも「聞く」のネット欄に「生成AI、Google AIモード」を入れています。

一方で、AIを使って情報を探していく、いわゆる「AI検索」として使っているのであれば、これは**「探す」**のほうに入ってくるのではないかと思います。同じAIでも、使う人の意識によって「聞く」にも「探す」にもなる。このあたりが、最近大きく変わってきたところですよね。

スライド(音声解説 補足編04)では、さらに分かりやすい比喩も入れています。

  • 実店舗の比喩:家具が欲しい → まず家具が集まるお店へ行く
  • オンラインの比喩:商品が欲しい → まず品ぞろえを知っているサイト(Amazonや楽天)へ行く

つまり人は、いきなり検索エンジンで探すとは限らず、「ありそうな場所」に行ってから探すんですね。スライドの結論は、**「お客さんが『最初に探す場所』を押さえよう」**です。自社の商品を、お客さんはどこで最初に探しているのか。ぜひ一度考えてみてください。

ステップ3:「困った時」より前に、思い出される準備をしておく

ここからが、マーケティングでとても大事な話です。テーマは**「『困った時』より前に、思い出される準備を」**です。

まだ必要ではない人に物を売るためには、ある**「きっかけ」が起こる瞬間**があることを知っておく必要があります。その瞬間に、いかに自分の存在を思い出してもらうか。これがポイントです。

そのために必要なのが、日頃からの情報発信です。良い言い方をすれば**「啓蒙活動」、悪い言い方をすれば「洗脳」ですね(笑)。こういうことを、困りごとが起きる前にどうやってやっておくか。私はこれを「マインドシェア」**と呼んでいます。

新しいスライド(「マーケティングの基本 07/10」)では、これを3つの段階で表しました。

  1. まだ必要ではない:投稿や使用体験を見て、「こんな商品があるんだ」と知る
  2. きっかけが起きる:困りごとや生活の変化が生まれる
  3. 思い出す・相談する:「あの商品があった!」と候補に入る

本人がマイナスの状態になったときに思い出してもらえれば、そこで購入につながりますよね。

そして、もう一つのルートがあります。それが**「人に聞く」ルートです。自分で答えを見つけられれば検索するのですが、自分では答えが見つけられないとき、人は人に聞く**という行動をとります。

では、聞かれたその人は、なぜその商品を知っているのでしょうか。実はその人も、自分では買ったことがないことが多いんです。でも、日頃から啓蒙・洗脳を受けていて、「この商品、この会社がいいんじゃないの?」と思っている。だから「これいいんじゃないの?」と人に勧めたりするわけです。

ルート誰が覚えているかその後の行動
本人ルート本人が覚えている自分で探す
友人ルート周囲の人が覚えているおすすめされる

スライドではこれを**「友人を介する分岐図」**として描いています。どちらのルートであっても、日頃の啓蒙・洗脳活動が大事だということが、ここで言いたいことです。これは本当に大事です。

だからこそ、大手企業はこれをしっかりやっています。テレビのコマーシャルを使って、困る前から社名や商品名を覚えてもらっているわけですね。

スライドの結論は、**「今すぐ買わない人への発信も、将来の相談や購入につながる。」**です。そして投稿するときは、商品名と「どんな場面で役立つか」を一緒に伝えることを意識してください。名前だけ覚えてもらっても、「どんなときに思い出せばいいか」が伝わっていなければ、きっかけが起きたときに思い出してもらえませんからね。

ステップ4:紹介する人は、使った人とは限らない

先ほどの「人に聞く」ルートを、もっと具体的にご紹介しましょう。私がよく使う例え話が、水回りの修理でおなじみのクラシアンさんの話です。

流れはこうです。

  1. 友人がCMで会社名を知る:テレビで「水のトラブル すぐに対応!」というCMを見ている
  2. 自分の家で水漏れが起こる:蛇口から水がポタポタ……どうしよう!
  3. 友人に聞くと、会社名を教えてくれる:「使ったことはないけど、名前は知っているよ」

ここで注目していただきたいのは、会社名を教えてくれた友人は、自分がクラシアンを利用しているわけではないということです。それでも紹介してくれるんですね。

スライド(音声解説 補足編05)では、これを2つの言葉で整理しました。

種類意味例
認知名前や用途を知っているCMで見て社名を覚えている
実体験実際に使って評価できる自分で利用して良かったと感じている

結論は、**「知名度は紹介の入口になる。でも、体験に基づく評価とは違う。」**です。マーケティングの実務では、集まってきた口コミが「聞いた話」なのか「本人の体験」なのかを、きちんと見分けることも大切ですね。

ステップ5:人は「知らないもの」は買わない ― 横田ハムの例

人は知らないから買わない。これを分かりやすく説明するために、私がよく使うのがハムの例です。

ハムを買おうかなと思ったとき、みなさんはどのメーカーを思い浮かべますか? たとえば丸大ハム、日本ハム、伊藤ハムなどがあると思います。では、なぜみなさんは伊藤ハムを思いつくのでしょうか。

ここで、仮にスーパーのハム売り場に、丸大ハムと日本ハムと伊藤ハムが並んでいたとします。そしてその横に、4番目として**「横田ハム」**が並んでいたとしましょう(笑)。

もしかしたら横田ハムが一番美味しくて、一番安いかもしれません。でも、みなさんは横田ハムを手に取るでしょうか?

比較丸大ハム・日本ハム・伊藤ハム横田ハム
知名度名前を知っている聞いたことがない
味食べたことがある(または安心感がある)食べたことがないので分からない
パッケージに「美味しい」と書いてあったら信じやすい本当に美味しいかどうか分からない
結果手に取る一番美味しくて安くても、買えない

そもそも食べたことがないので、横田ハムが美味しいかどうか分かりませんよね。いくら「美味しい」と書いてあっても、本当かどうか分からない。じゃあ、買えないじゃん、という話なんです。

さらに私がよく言うのが、人生で初めて物を買う日がある、ということです。たとえば、人生で初めてハムを買う日、初めてパンを買う日。誰にでも「初めて買う日」がありますよね。

過去に自分が使ったことがあるなら、同じものを買えば間違いありません。ハムを食べたことがあれば、メーカー名が分かっているので、同じものを買えばいい。でも、ハムを一度も買ったことも食べたこともない人は、その最初の1回目をどうやって選ぶのでしょうか。

その答えが、ここまでお話ししてきた**「日頃から知ってもらうこと」**、つまりマインドシェアなんですね。名前を知っているから、最初の1回目に選ばれる。これは本当に大事な話です。


「欲しい」は五感が入り口になる 衝動買いから施策の改善サイクルまで

ステップ1:今日のメインテーマ「欲しい」は五感が入り口になる

お待たせしました。ここが今日のメインテーマです。スライドのタイトルは**「『欲しい』は、五感が入り口になる」**です。

これまで私は、ウォンツを生み出す接点として**「見る」**、つまり目から入る情報の話をよくしてきました。たとえば、スーパーのお肉売り場でお肉が美味しそうに並んでいるのを見て、「じゃあ今夜はすき焼きにしよう」「焼肉にしよう」と考える。強制的に目から入る情報が一番大きいので、この情報をもとに販促しましょう、という話です。

でも、よく考えてみると、それ以外にもあるよね、ということなんです。人間には五感がありますよね。

嗅覚(嗅ぐ):うなぎ屋と焼き芋

まずは嗅ぐ=嗅覚です。うなぎ屋さんの前を通ると、蒲焼きの香りに食欲が動きますよね。うなぎ屋さんは、別にテレビコマーシャルを流さなくても、とにかく蒲焼きの匂いを広げているだけで、それが販路拡大になっているわけです。

そして私がやっぱり影響を受けるのが焼き芋です。最近はスーパーでもよくやっていますよね。店頭に焼き芋を置いているじゃないですか。あれ、やっぱり効果的なんですよ。スーパーに入った瞬間に焼き芋の匂いがして、思わず手に取ってしまう。もうどのスーパーでもやっている**「焼き芋戦略」**ですね。

嗅覚を刺激して食欲をそそる方法としては、これはやっぱり大きいです。うなぎもいいのですが、さすがにスーパーの店頭でうなぎを焼いておくわけにはいかないので(笑)、焼き芋がちょうどいいんでしょうね。

聴覚(聴く):流れてきた曲が心に響く

続いて聴く=聴覚です。流れてきた曲が良かったから、それを買う、ということもありますよね。

たとえばスーパーに行くと、鮮魚コーナーで**「おさかな天国」**の曲が流れていたりします。あの曲を聴くと、なんとなく魚が食べたくなりませんか? このように、耳から入ってくる情報によって人は物を買う、ということがあるんです。AI音楽を作っている私としては、ここは特に注目しているポイントです。

触覚(触る):肌触りで買ってしまう

先日、私が買い物をしていたときのことです。カーペットやクッションのようなものを買おうと思って、実際に触ってみたら、その肌触りがとても良かったんですね。それで、やっぱり買ってしまいました(笑)。こういったものが触覚です。

味覚(味わう):試食の効果

そして味覚もありますよね。スーパーなどでよく見かける試食です。あれもやっぱり効果的だと思います。一口食べて美味しかったら、その場で買ってしまう人は多いはずです。

五感のまとめ

五感体の部位「欲しい」が生まれる例販促への活かし方
視覚(見る)目スーパーの肉が美味しそう → 今夜はすき焼き・焼肉に陳列、写真、動画、ショート動画
嗅覚(嗅ぐ)鼻うなぎ屋の香り、店頭の焼き芋の匂い香りを店の外や入口に広げる
聴覚(聴く)耳流れてきた曲が心に響く、売り場のテーマソングBGM、オリジナルソング、音声配信
触覚(触る)手(肌)カーペットやクッションの肌触り実物に触れられる展示、サンプル
味覚(味わう)口スーパーの試食試食・試飲、お試しサイズ

このように、目・耳・鼻・口・手(肌)を意識して販促を考えましょう、というのが今回お伝えしたいことです。

スライド(音声解説 補足編07)では、講義で挙がった「見る・嗅ぐ・聴く」の3つのきっかけを描き、その下に次のような流れを示しました。

  1. 刺激に出会う(目・鼻・耳)
  2. 自分が楽しむ場面を想像する(家族や友達と美味しく食べている自分)
  3. 欲しくなる

ポイントは、刺激そのものよりも、刺激によって**「自分が楽しんでいる場面」を想像できるかどうかなんですね。スライドの結論は「商品説明だけでなく、体験が伝わる表現を考える」**です。そして、動画なら、見た目・音・使う場面を組み合わせられる、という補足も入れています。ネットでは嗅覚や味覚は直接伝えられませんが、シズル感のある映像や音によって、それを「想像させる」ことはできるわけです。

なお、スライドの注記にもあるとおり、これは欲求が生まれる経路の一例であり、外からの刺激だけが原因とは限りません。

ステップ2:探していなかったのに買ってしまう ― 衝動買いとショート動画

次は、**「探していなかったのに、買ってしまう」**という話です。これがなかなか面白いんです。

「衝動買い」と「ショート動画」って、ちょっと言葉の音が似ていると思いませんか?(笑) 実際、この2つは深く関係しています。

もともと買う予定はなかったのに、強制的に見てしまったことで「美味しそう!」と感じて買ってしまう。こういうことがありますよね。

普通は、何かを見て「いいな」と思ったら、それを一度**メモリー(記憶)**に入れて、考えてから買おうとするものです。ところが、その場で買ってしまう衝動が、ショート動画によって起きている。これが面白いところです。

スライド(音声解説 補足編08)では、4つの段階で表しました。

  1. 買う予定はなかった:「今は特に買う予定ないな…」
  2. 動画が目に入った:美味しそうなパンケーキの動画
  3. 「おいしそう」「素敵」と感じた
  4. その場で購入した
比較検索の出発点偶然の出会い
きっかけ欲しいものがあり、探しに行く見たことで、欲しい気持ちが動く
例スニーカーを検索して選ぶショート動画で見たマグカップに一目惚れ
対応する欲求ニーズ寄りウォンツ寄り

結論は、**「動画は『探している人』だけでなく、『まだ欲しいと気づいていない人』にも届く。」**です。もちろん、すべての視聴が購入になるわけではなく、内容・価格・タイミングによって反応は変わりますので、その点は押さえておいてくださいね。

ステップ3:「誰に届けるか」をリストで具体化する

続いてはリストの話です。4つの接点のうち**「押す」**というマーケティングは、リストを作らないことには始まりません。とにかくリストを作っていきましょう、という話です。

スライド(音声解説 補足編09)では、対象を絞る2つの例を挙げました。

例リストの対象送る内容
例①化粧品を買った人化粧水・美容液・クリームなど、関連商品のダイレクトメール
例②美容室の連絡先サロン向けの大容量ボトルなど、業務用シャンプーの案内

ここで考えてほしいのが、**「同じ案内を全員に送る?」**という問いです。リストを分ける視点としては、

  • 購入履歴:何を買ったか、どんな時期か
  • 業種:一般の人か、サロン・店舗か
  • 関心・生活の段階:今、どんなことに関心があるか

といったものがあります。

結論は、**「リストの数より、『相手と内容が合っているか』」**です。リストは多ければいいというものではなく、届ける相手と、届ける内容がぴったり合っていることが大事なんですね。補足として、登録や許諾のある連絡先を使い、相手に役立つ情報を届けることも忘れないでください。「見る/押す」という基本分類から、さらに配信対象を具体化していくイメージです。

ステップ4:欲しくなる「少し前」に、役立つ情報を届ける

先ほどの「マインドシェア」の話を、もう一歩具体的にしたのがこちらです。テーマは**「欲しくなる『少し前』に、役立つ情報を」**です。

スライド(音声解説 補足編10)では、再びベビーチェアを例に、潜在(まだ気づいていない)から顕在(はっきり気づく)へ変わるタイミングを3段階で描きました。

  1. まだ言葉になっていない:「少しやりづらいな」(子どもの食事中、なんとなく不便を感じている)
  2. 必要性に気づく:「食事の準備が大変になった」
  3. 探し始める:「ベビーチェアを調べよう」

ポイントは、お客さんの話から変化のきっかけを見つけ、その少し前に、選び方や使い方を案内することです。スライドには発信例として、「食事の環境を見直すとき、椅子選びで確認したいこと」という投稿のイメージを載せています。

結論は、**「商品をすすめるタイミングは、顧客の生活の変化から考える」**です。なお、成長段階の例は仮説ですので、実際の適用時期は製品の条件とお子さんの状態に合わせてくださいね。

ステップ5:購入後の感想だけでなく、購入前を聞こう

ここからは、お客さんの声の聞き方の話です。多くの会社は、商品を買ってくれたお客さんに「購入してどうでしたか?」と購入後の感想を聞きますよね。もちろんそれも大切です。

でも、それだけでは足りません。「なぜ購入しようと思ったのか」という理由の部分を聞かないと、マーケティングの最初のスタート地点が分からないんです。

スライド(「マーケティングの基本 08/10」)では、聞くべきことを5つのステップに分けました。

ステップ聞くテーマ質問の例
1きっかけ最初に必要・欲しいと思った出来事は?
2情報収集誰に聞き、どこで何を調べた?
3比較ほかに候補だった商品は?
4決め手最後に選んだ理由と、迷った点は?
5使用後期待と実際はどう違った?

結論は、**「『どこで買ったか』だけでは、買う理由は分からない」**です。さらに、実際に使った検索語や、その時の言葉も記録することをおすすめしています。「おすすめ 比較」「口コミ」「コスパ」など、お客さんが実際に使った言葉は、そのまま広告や投稿の言葉として使える宝物になります。

ステップ6:アンバサダー面談は、時間をさかのぼる

冒頭でPeopleの話をしたときに出てきたアンバサダー。こういう制度を使って「人から物を買う」流れを作るときに、アンバサダーをどうやって集めていくかも今後の課題になってきます。そして、アンバサダーから話を聞くときにも、コツがあります。

スライド(「マーケティングの基本 09/10」)のテーマは、「アンバサダー面談は、時間をさかのぼる」です。アンバサダーの方に話を聞くと、よく「なんとなく欲しくて」という答えが返ってきます。でも大事なのは、「なんとなく欲しくて」の前に、何があったのかなんですね。

スライドでは、時間をさかのぼるための3つの質問を紹介しています。

  1. 応募前は、どんな椅子を使っていましたか?
  2. 椅子を意識し始めた頃、生活にどんな変化がありましたか?
  3. 提供がなければ、何を選びそうでしたか?

そして、生活の変化 → 気になった場面 → 応募・比較 → 使用という流れをたどっていきます。

面談のコツ内容
理由を分けて聞く無料提供への応募理由と、有料での購入理由は分けて聞く
誘導しない答えを誘導せず、覚えていない場合は無理に埋めない
手がかりを使う子どもの成長や時期を手がかりに、具体的な出来事を尋ねる
照らし合わせる有料購入者の声とも照らし合わせる

特に大事なのが一つ目です。無料でもらえるから応募した理由と、お金を払ってでも買う理由は、まったく別物です。ここを混ぜてしまうと、間違った施策につながってしまいますので注意してください。

ステップ7:聞いた理由を、次の施策に変える

お客さんやアンバサダーから聞いた理由は、聞いただけで終わらせてはもったいないですよね。聞いた理由を次の施策に変えていくためには、**「聞く → 整理する → 試す → 確かめる」**というサイクルを回していきましょう。

スライド(「マーケティングの基本 10/10」)では、この4つを円形のサイクルで描き、真ん中に**「4P+Peopleで改善」**と書いています。

段階やること具体的な内容
① 聞くきっかけ・比較・決め手を聞く「きっかけは?」「他と比べて?」「決め手は?」
② 整理する困りごと/理想・4つの接点で整理ニーズ(今の悩み)かウォンツ(こうなりたい)か、見る・押す・聞く・探すのどこか
③ 試す相手に合う投稿や案内を出す使用シーンの動画、ユーザーの悩みに合わせた投稿、キャンペーン・お知らせなどの案内
④ 確かめる反応と購入理由を見直す保存・問い合わせなどの反応、どの言葉が決め手になったか、結果を次の施策に活かす

スライドには具体例として、「食事準備の負担を減らしたい」という仮説を立て、使用場面の動画を出し、保存・問い合わせ・購入を確認する、という流れも載せています。

結論は、**「誰に、何を、なぜ届けるか。根拠は、お客さんの言葉から。」**です。アクションとしては、まずは購入者・アンバサダーの声を、同じ質問で記録しよう。そして、いいね数だけで判断せず、施策の目的に合う指標を見ることを意識してください。

ステップ8:いい商品なのに、なぜ売れない?

最後に、今回のシリーズの出発点となるスライド(「マーケティングの基本 01/10」)をご紹介します。タイトルは**「いい商品なのに、なぜ売れない?」**です。

スライドの真ん中にはベビーチェアがあり、周りの人たちがそれぞれ疑問を持っています。

  • 「どこで買えるの?」
  • 「私に必要?」
  • 「誰のおすすめ?」
視点企業側の視点顧客側の視点
思いいい商品を届けたいよりよい暮らしを実現したい
考えていること何を(商品)、いくらで(価格)、どこで(流通)、どう伝えるか(プロモーション)何に困り(課題・悩み)、どんな暮らしを望むか(理想・欲求)

企業側は4Pで考えていて、顧客側はニーズ(困りごと)とウォンツ(理想)で考えている。この2つの間に橋をかけるのが、マーケティングの役割なんですね。

結論は、**「マーケティングは、商品と買う理由をつなぐこと」**です。いい商品なのに売れないとき、もう一度立ち止まって考えるときに、マーケティングは必ず役に立ちます。ぜひやってみてください。

スライドの最後には、こんな問いかけを入れています。「最近の買い物は、何がきっかけでしたか?」 ぜひみなさんも、ご自身の最近の買い物を振り返ってみてください。そこにはきっと、見た・嗅いだ・聴いた・触った・味わったという五感のきっかけや、誰かのおすすめが隠れているはずです。

今日はマーケティングの基本の部分を振り返ってきましたが、また続編もやっていきますので、どうぞよろしくお願いします。


おわりに

今回は「五感を意識したマーケティング戦略」をテーマに、マーケティングの基本を一気に振り返ってきました。まず、売る側が整えるべき4P(Product・Place・Price・Promotion)と、そこに私が2007年頃から加えてきた5つ目のP「People(人)」。そして、デジタル化によって「運ぶ」が変わると商品の形まで変わる、という視点をお伝えしました。

次に、人が物を買う2つのきっかけである、マイナスから0に戻す「ニーズ」と、0からプラスに向かう「ウォンツ」。同じホワイトニングやベビーチェアでも、本人の状況によって買う理由が変わることも見てきました。

さらに、見る・押す・聞く・探すという4つの接点、困る前から思い出してもらうマインドシェアの大切さ、そして目・耳・鼻・口・手という五感が「欲しい」の入り口になることをご紹介しました。最後は、購入前の理由を聞き、整理し、試し、確かめるサイクルです。商品と買う理由をつなぐために、ぜひ今日から実践してみてください。


まとめ

  • 差分をスライド化:講演で喋った内容のうち、スライドにない部分だけをAIにスライド化してもらうと、資料がどんどん充実する
  • 4Pの基本:Product(商品・サービス)、Place(販路・流通・物流)、Price(価格・決済)、Promotion(販促・伝達)を、1つだけでなく4つの整合性で考える
  • 5つ目のP=People:人は「何を買うか」だけでなく「誰から買うか」で決める。インフルエンサー、アンバサダー、そしてメルカリのようなC2Cがその究極形
  • 「運ぶ」を変えると商品も変わる:紙の地図がカーナビ・地図データになったように、一つの改善が複数のPにまたがる
  • ニーズとウォンツ:マイナスから0に戻すのがニーズ(必要・緊急)、0からプラスに向かうのがウォンツ(不要不急)
  • 同じ商品でも動機は違う:ホワイトニングもベビーチェアも、本人の状況によってニーズにもウォンツにもなる。見るべきは「その人の状況」
  • 4つの接点:見る・押す(ウォンツ)、聞く・探す(ニーズ)を、顧客の状態に合わせて組み合わせる
  • 検索の多様化:電話帳 → 検索エンジン → EC内検索 → AI検索。お客さんが「最初に探す場所」を押さえる
  • マインドシェア:困る前から啓蒙しておくことで、本人にも、相談を受けた友人にも思い出してもらえる(クラシアンの例、横田ハムの例)
  • 五感が「欲しい」の入り口:見る(肉)、嗅ぐ(うなぎ・焼き芋)、聴く(売り場の曲)、触る(カーペット・クッション)、味わう(試食)
  • 衝動買いとショート動画:動画は「まだ欲しいと気づいていない人」にも届く
  • リストとタイミング:リストの数より相手と内容の一致。欲しくなる「少し前」に役立つ情報を届ける
  • 購入前を聞く:きっかけ・情報収集・比較・決め手・使用後を聞き、アンバサダー面談では時間をさかのぼる
  • 改善サイクル:聞く → 整理する → 試す → 確かめる。マーケティングは「商品と買う理由をつなぐこと」

よくある質問(Q&A)

Q1. 4Pに加える5つ目のP「People」とは、具体的に何を意味しますか?

A. 「人は物を買うのではなく、誰から買うのかで決める」という視点です。同じ商品・同じ価格でも、初めて見る広告より、信頼する人の「これ本当に使いやすいよ」という一言のほうが心は動きますよね。営業担当、アンバサダー、利用者の口コミ、インフルエンサーなど、「誰が伝えるか」を設計することがPeopleの考え方です。私は2007〜2008年頃からこの話をしてきましたが、メルカリのようなC2Cの広がりによって、ますます重要になっています。なお、5Pの定義は一つに固定されているわけではありません。

Q2. 自分の商品がニーズ向けかウォンツ向けか、どうやって判断すればいいですか?

A. 商品名だけで決めつけないことが一番大切です。ホワイトニングは「もっと素敵な笑顔になりたい」人にとってはウォンツ、「歯の見た目が気になって人前で笑えない」人にとってはニーズになります。つまり判断の基準は商品ではなく「お客さんの状況」です。実際に購入してくれたお客さんに、きっかけや決め手を聞いてみてください。マイナスを0に戻したくて買ったのか、0からプラスに行きたくて買ったのかが見えてきます。

Q3. 「五感を意識したマーケティング」は、ネットビジネスでも使えますか?

A. 使えます。ネットでは香りや味、肌触りを直接届けることはできませんが、動画であれば見た目・音・使う場面を組み合わせて「体験」を想像させることができます。焼き上がる音、湯気、手で触れたときの柔らかさが伝わる映像などがその例です。大事なのは商品説明だけで終わらせず、「自分が楽しんでいる場面」を想像してもらうこと。もちろん実店舗であれば、焼き芋の香りや試食、売り場の音楽など、五感を直接刺激する工夫がそのまま使えます。

Q4. 「マインドシェア」を高めるには、何から始めればいいですか?

A. まずは、今すぐ買わない人に向けた情報発信から始めましょう。投稿するときは、商品名と「どんな場面で役立つか」をセットで伝えるのがポイントです。そうすれば、困りごとや生活の変化が起きたときに「あの商品があった!」と思い出してもらえますし、友人から相談を受けた人が紹介してくれることもあります。また、欲しくなる「少し前」のタイミングで、選び方や使い方を案内するのも効果的です。大手企業がテレビCMでやっていることを、SNSやLINE公式で地道に行うイメージですね。

Q5. お客さんの声は、どのように聞いて活かせばいいですか?

A. 購入後の感想だけでなく、「購入前」を聞くことが大切です。きっかけ、情報収集、比較、決め手、使用後の5つのステップで質問し、実際に使った検索語や言葉も記録しておきましょう。アンバサダーの場合は、無料提供への応募理由と有料での購入理由を分けて聞き、答えを誘導しないよう注意してください。集まった声は「聞く → 整理する → 試す → 確かめる」のサイクルで次の施策に活かします。いいね数だけで判断せず、施策の目的に合った指標を見ることも忘れずに。

五感を意識したマーケティング戦略(ニーズ+ウォンツと4P+1P)

🧩 4P
4Pとは、マーケティングを考える際の基本となる4つの視点で、Product(商品・サービス)、Place(販路・流通)、Price(価格・支払い)、Promotion(販促・伝達)の頭文字を取ったものです。どれか1つだけを改善するのではなく、4つの整合性を取ることが重要とされます。デジタル化で「運ぶ」が物からデータに変わると商品の形も変わるように、1つの変化が複数のPにまたがることもあります。

👥 People(5つ目のP)
Peopleとは、4Pに追加する5つ目の視点で「人」を意味します。人は物そのものではなく「誰から買うか」で購入を決めるという考え方に基づいています。営業担当、インフルエンサー、アンバサダー、実際の利用者など、伝える人によって同じ商品・同じ価格でも受け止め方が変わります。その究極の形が、メルカリに代表される個人間売買(C2C)と言えます。

🩹 ニーズ
ニーズとは、マイナスの状態から0(普段の状態)に戻すための購買動機のことです。椅子が壊れたから買い替える、歯が痛いから治療を受ける、水漏れを直したいといった「困りごとの解消」が該当します。緊急性が高く、自分で「探す」か人に「聞く」という行動につながりやすいのが特徴で、検索広告や口コミ・相談窓口などの接点が重要になります。

✨ ウォンツ
ウォンツとは、今は困っていない0の状態から、もっと良いプラスの状態を目指すための購買動機のことです。食卓を素敵にしたい、歯をもっと白くしたいといった「理想の実現」が該当します。本人に買う予定がなくても、広告や動画を「見る」ことや、メッセージを「押す(プッシュ)」ことで欲しくなるため、提案次第で売上を大きく伸ばせる領域です。

😷 不要不急
不要不急とは、コロナ禍で広まった「必要ではなく、急ぎでもないこと」を指す言葉です。観光旅行やおしゃれな服の買い物など、当時控えるよう言われたものがまさにウォンツにあたり、最低限の生活に必要で緊急なものがニーズにあたります。この言葉によって、ニーズとウォンツの違いが非常に分かりやすく整理できるようになりました。

🧭 顧客接点(見る・押す・聞く・探す)
顧客接点とは、お客さんが商品と出会う場面を「見る・押す・聞く・探す」の4つに整理した考え方です。上2つの「見る(広告・ショート動画)」「押す(LINE公式・メルマガ)」はウォンツ向け、下2つの「聞く(友人・コミュニティ・AI)」「探す(検索・EC内検索・SNS検索)」はニーズ向けとされます。顧客の状態に合わせて組み合わせることが大切です。

🧠 マインドシェア
マインドシェアとは、お客さんの頭の中で自社の商品や会社名が思い浮かぶ割合のことです。困ったときより前に思い出してもらえるよう、日頃から情報発信をしておくこと(良く言えば啓蒙、悪く言えば洗脳)が重要です。水回り修理会社の例のように、紹介する人が実際に使った人とは限らず、知名度そのものが紹介や購入の入口になります。

👃 五感マーケティング
五感マーケティングとは、視覚だけでなく嗅覚・聴覚・触覚・味覚に訴えて「欲しい」を生み出す販促手法です。うなぎ屋の蒲焼きの香り、スーパー店頭の焼き芋の匂い、売り場で流れる曲、カーペットの肌触り、試食などが代表例です。商品説明だけでなく体験が伝わる表現を考えることで、まだ欲しいと思っていない人の購買意欲を動かせます。

📱 衝動買い(ショート動画)
衝動買いとは、買う予定がなかったのに、その場で購入してしまう行動のことです。本来は一度記憶に入れて考えてから買うものですが、ショート動画で強制的に「おいしそう」「素敵」と感じる映像を見ることで、その場で買ってしまう現象が起きています。動画は探している人だけでなく、まだ欲しいと気づいていない人にも届くのが強みです。

🤝 アンバサダー
アンバサダーとは、商品を実際に使い、生活の中での使い方を周囲に伝えてくれる人のことです。「人から買う」時代において重要な存在です。アンバサダー面談では、購入後の感想だけでなく、応募前の状況や生活の変化など時間をさかのぼって購入前の理由を聞くことが大切で、その声を「聞く・整理する・試す・確かめる」の流れで次の施策に活かします。

五感を意識したマーケティング戦略(ニーズ+ウォンツと4P+1P)

マーケティングの基本「4P+1P」とは?今こそ押さえたい理由

4P(Product・Place・Price・Promotion)は「4つの整合性」で考える

マーケティングを学ぶとき、最初に押さえておきたいのが「4P」です。4Pは1960年に米国のマーケティング学者E・ジェローム・マッカーシーが提唱した枠組みで、Product(商品・サービス)、Place(販路・流通)、Price(価格・支払い)、Promotion(販促・伝達)の頭文字を取っています。

Productは「どんな価値を提供するか」。使いやすさ、品質、デザインなどが該当します。Placeは「どこで、どう届けるか」で、店舗、EC、配送といった販路と物流の設計です。Priceは単なる値付けではなく、分割払い・サブスクリプション・キャッシュレス決済など「納得して支払える仕組み」まで含みます。Promotionは「どう知ってもらうか」で、広告、試用、SNS発信などが代表例です。

ここで重要なのは、4つを個別に最適化するのではなく、整合性で考えることです。高級感のある腕時計を、激安を前面に出したチラシで売れば、商品と販促の印象がずれてしまいます。価格に見合う販路、販路に合った伝え方がそろって初めて、顧客は安心して買えます。

さらに、デジタル化によって一つの改善が複数のPにまたがるケースも増えました。分かりやすい例が地図です。かつては紙の地図を印刷し、箱で輸送し、書店の店頭で買うのが当たり前でした。それがカーナビやスマートフォンの地図データに変わると、「モノを届ける」から「情報を届ける」へと運び方(Place)が変わり、同時に商品の形(Product)も紙からデータへ変わりました。音楽、書籍、ソフトウェアでも同じ変化が起きています。

「これは何Pか」と分類すること自体が目的ではありません。大切なのは、その変化によって顧客の不便がどれだけ減ったかを見ることです。4Pは、自社の商品を顧客が「買える・選べる」状態に整えるためのチェックリストとして使いましょう。

5つ目のP「People(人)」が購買を左右する時代

4Pに加えて、筆者が2007〜2008年頃からセミナーで伝えてきた5つ目の視点が「People(人)」です。SNSが普及し始めた時期から、人は「何を買うか」だけでなく「誰から買うか」で購買を決めると感じていたからです。

同じワイヤレスイヤホンで価格も同じでも、初めて見る広告で知った場合と、信頼している友人が「これ、本当に使いやすいよ」と勧めてくれた場合とでは、受け止め方がまったく違います。前者は「便利そうだけど本当かな」と疑いから入り、後者は安心感から入ります。

Peopleの担い手は一つではありません。話を聞いて不安に答える営業担当、生活の中での使い方を見せるアンバサダー、実体験を口コミで伝える利用者。それぞれが購買の後押しをします。インフルエンサーマーケティングやアンバサダー制度が広がったのも、この「人の影響」が売上を左右するからです。そしてその究極の形が、メルカリに代表される個人間売買(C2C)です。売り手そのものが個人であり、出品者の評価や対応が購入の決め手になります。

なお学術的には、1981年にブームスとビトナーがサービス業向けに提唱した「7P」で、People・Process・Physical Evidenceが追加されています。Peopleを重視する考え方自体は以前からあり、5Pの定義も一つに固定されたものではありません。本記事では、SNS時代に特に影響力が増した要素として、4Pに「People」を加えた「4P+1P」で考えます。

実務では「何を売るか」に「誰から買いたいか」を加える発想が欠かせません。自社の商品を語ってくれる人は誰か、その人はどんな言葉で伝えているかを把握することが、次の施策の出発点になります。

人が買う2つのきっかけ「ニーズ」と「ウォンツ」の違い

マイナスからゼロ=ニーズ、ゼロからプラス=ウォンツ

人が物を買うきっかけは、大きく2つに分けて考えると整理しやすくなります。一つは「ニーズ」、もう一つは「ウォンツ」です。

本記事でいうニーズとは、マイナスの状態からゼロ(いつもの状態)に戻りたいという欲求です。椅子が壊れたから買い替える、歯が痛いから治療を受ける、といった「困りごとの解消」がこれにあたります。一方ウォンツは、今は困っていないゼロの状態から、もっと良いプラスの状態へ進みたいという欲求です。食卓をもっと素敵にしたい、歯をもっと白くしたい、といった「理想の実現」です。

この違いを直感的に理解する手がかりになるのが、コロナ禍で広く使われた「不要不急」という言葉です。不要不急とは、必要ではなく急ぎでもないこと。観光旅行やおしゃれな服の買い物は控えるよう呼びかけられましたが、これがまさにウォンツです。反対に、水漏れの修理や壊れたスマホの買い替えのように、生活を維持するために必要で緊急なものはニーズにあたります。もちろん、不要不急だから価値がないわけではなく、暮らしを豊かにする大切な消費です。

注意したいのは、マーケティングの教科書でよく引用されるフィリップ・コトラーの整理とは言葉の使い方が異なる点です。コトラーの枠組みでは、ニーズ→ウォンツ→デマンドの順に欲求が具体化するとされ、「のどが渇いた」がニーズ、「天然水が飲みたい」がウォンツにあたります。本記事の分類は教科書的な定義を置き換えるものではなく、顧客の「状態」に着目して販促を考えるための実務的な整理です。

ニーズ型の顧客は自ら探し、比較し、急いで解決したいと考えます。ウォンツ型の顧客は自分から探していないため、提案や刺激がなければ動きません。どちらの状態の顧客に向けて売るのかで、販促の手法は大きく変わります。

同じ商品でも買う理由は違う(ホワイトニングとベビーチェアの例)

同じ商品やサービスでも、買う人の状態によってニーズにもウォンツにもなります。分かりやすい例が歯科医院のホワイトニングです。

「もっと素敵な笑顔になりたい」という人にとって、ホワイトニングはゼロからプラスへ向かうウォンツです。一方で「歯の見た目が気になって、人前で笑うのがつらい」という人にとっては、マイナスからゼロに戻るためのニーズになります。サービス名は同じでも、本人が求める変化はまったく違うのです。

ベビーチェアでも同じことが起こります。「今の椅子が壊れた」「食事の準備で手が足りない」という人は、困りごとの解消、つまりニーズ側で購入を検討します。「家族で食卓を囲みたい」「部屋になじむ椅子が欲しい」という人は、理想の実現、つまりウォンツ側です。

この違いは販促メッセージに直結します。困っている人には「何が、どう楽になるか」を具体的に伝えるのが効果的です。ベビーチェアなら「座らせやすい」「食べこぼしを拭きやすい」といった機能面です。理想を求める人には「使った後の暮らし」を見せる方が響きます。家族が笑顔で食卓を囲む写真や、インテリアになじむ部屋の様子です。

ここで陥りやすいのが、商品名だけで「これはニーズ商品だ」「これはウォンツ商品だ」と決めつけてしまうことです。見るべきは商品よりも**「その人の状況」**です。ターゲットをどう設定するかで、広告のコピー、使う写真、出稿する媒体まで変わります。

実際の購入では、ニーズとウォンツが重なっていることも少なくありません。仮説を立てたら、顧客に「何を買ったか」だけでなく「どんな気持ちで選んだか」を聞いて確かめることが大切です。この「聞く」方法については、記事の後半で詳しく解説します。

「欲しい」は五感が入り口になる|五感マーケティングの実践

視覚・嗅覚・聴覚で「欲しい」を動かす

欲しいという気持ちは、多くの場合、五感への刺激から生まれます。視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚の五感に働きかけて購買行動を促す手法は「五感マーケティング」「センサリーマーケティング」と呼ばれ、1990年代ごろから研究が進んできた分野です。

最も影響が大きいのは視覚です。スーパーの精肉売り場でおいしそうな肉が並んでいるのを見て、「今夜はすき焼きにしよう」と献立を決めた経験は誰にでもあるでしょう。目から入る情報は強制的に届くため、販促の基本になります。

次に嗅覚です。うなぎ屋は、テレビCMを流さなくても蒲焼きの香りを店先に漂わせるだけで、通行人の食欲を動かします。香りそのものが集客装置になっているわけです。最近、多くのスーパーが店頭で焼き芋を販売しているのも同じ発想です。入口で焼き芋の甘い香りがすると、予定になかったのに思わず手に取ってしまいます。海外の研究でも、スーパーで香りを強めに漂わせると店舗の評価や滞在時間、売上が高まったという結果が報告されています。一方で香りが弱すぎると効果が見られなかったとされ、強さの設計も重要です。

そして聴覚です。鮮魚売り場で流れる「おさかな天国」のように、耳から入る情報も購買に影響します。流れてきた曲が心に響いて、その曲や関連商品を買うこともあるでしょう。BGMのテンポが店内の滞在時間に影響することも知られています。

五感による購買は「刺激に出会う→自分が楽しむ場面を想像する→欲しくなる」という流れで起こります。ポイントは、刺激そのものより、刺激をきっかけに顧客が「自分ごと」として使う場面を思い描けるかどうかです。商品説明を並べるだけでなく、体験が伝わる表現を考えることが、五感マーケティングの出発点になります。

触覚・味覚、そしてショート動画で「体験」を伝える

五感のうち触覚と味覚は、「実際に試してもらう」ことで力を発揮します。

触覚の代表例がカーペットやクッションです。カタログで素材名やスペックを読むより、店頭で実際に触れて肌触りの良さを感じた瞬間に購入を決める人は少なくありません。寝具、タオル、衣料品なども同様です。ショールームや展示会の価値が今も失われないのは、触覚がオンラインでは伝えにくい情報だからです。

味覚の代表例はスーパーの試食です。食べたことのない商品は、いくら「おいしい」と書かれていても判断できません。一口食べてもらうことで、不安が期待に変わります。化粧品のサンプルやサブスクリプションの無料体験も、広い意味では「味見」の仕組みと言えます。

では、触ったり食べたりできないオンラインではどうするか。そこで力を発揮するのが動画です。動画なら見た目・音・使う場面を組み合わせ、擬似的に五感へ働きかけられます。肉が焼ける音、立ちのぼる湯気、手でクッションを押したときの沈み込み方などは、静止画より格段に伝わります。

特にショート動画は、探していなかった人にも届くため、「買う予定はなかったのに欲しくなる」状況を生みます。「衝動買い」と「ショート動画」は言葉の響きも似ていますが、実態も近い関係にあります。エクスクリエの2026年の調査では、SNSや動画サービスで予期せず商品を発見し関心を持った経験がある人は64.5%で、その約7割がショート動画をきっかけとしていました。

ただし、TaTapの2026年10月の調査では、ショート動画をきっかけに購入した人の買い方で最も多いのは「Amazon・楽天などで検索して購入」の55.6%で、動画からそのまま購入した人は35.6%にとどまりました。ショート動画は欲しい気持ちを生み、その後の検索や比較を経て購入に至るケースも多いということです。動画で欲求をつくり、検索された先でも見つかる状態を整えておきましょう。

顧客との接点を「見る・押す・聞く・探す」で設計する

4つの接点と販促手法、そしてリストの重要性

顧客との接点は、「見る」「押す」「聞く」「探す」の4つに整理すると、販促施策を考えやすくなります。

「見る」は、まだ探していない人との出会いをつくる接点です。リアルでは看板、テレビCM、折込チラシ、店頭、ネットではバナー広告、SNS広告、ショート動画が該当します。不特定多数に届く一方で、成約率は高くありません。

「押す」は、登録者へこちらから情報を届ける接点です。リアルのDMやポスティング、ネットのメルマガ、LINE公式アカウント、アプリのプッシュ通知などです。特にLINE公式アカウントはスマートフォンでの反応率が高く、中小企業でも取り組みやすい手法です。

「聞く」は、困った人が誰かに相談する接点です。家族や友人、専門家への相談に加え、SNSやQ&Aサイト、コミュニティ、そして近年は生成AIに質問する行動も広がっています。

「探す」は、自分で答えを見つけようとする接点です。かつては電話帳、今は検索エンジン、ポータルサイト、SNS検索などが代表例です。

講義では、見る・押すをウォンツ側、聞く・探すをニーズ側の接点として整理しています。ただし、これは固定的な分類ではありません。検索をしている途中で新たなウォンツが生まれることもあります。顧客の状態に合わせて4つを組み合わせることが大切です。

このうち「押す」を実行するには、届け先のリストが欠かせません。重要なのはリストの数より**「相手と内容が合っているか」**です。化粧品を買った人には化粧水や美容液など関連商品のDMを、美容室の連絡先には業務用シャンプーの案内を、というように、購入履歴、業種、関心や生活の段階でリストを分けます。登録や許諾のある連絡先に、相手に役立つ情報を届けることが、反応率を高め、ブロックや配信停止を防ぐ基本です。

検索は検索エンジンだけではない(EC内検索・SNS検索・AI検索)

「探す」という行動は、GoogleやYahoo!のような検索エンジンだけで行われているわけではありません。

アナログ時代、人は電話帳で業種のページを開いて店を探していました。インターネットの普及後は、検索エンジンで「どこにあるか」を広く探すのが一般的になりました。さらに現在は、Amazonや楽天といったECモールの中で直接商品を検索する人が増えています。実店舗で家具が欲しいとき、まず家具が集まる店に行くのと同じように、オンラインでも「品ぞろえを知っているサイト」へ最初に行ってから探すのです。

前述のTaTapの調査でも、ショート動画をきっかけに購入した人の55.6%がAmazon・楽天などで検索して購入しており、「検索エンジンで調べてから購入」の37.8%を上回りました。SNSで知り、ECモールで探して買う流れが定着しつつあります。若い世代を中心に、InstagramやTikTokで飲食店や商品を探す「SNS検索」も一般的になりました。

そして新たに加わったのがAI検索です。Googleは2025年9月9日、検索の「AIモード」を日本語で順次提供開始すると発表しました。AIモードは、複雑な質問をサブトピックに分解して検索し、回答と関連リンクを示す仕組みです。ChatGPTやGeminiに「おすすめを教えて」と尋ねる行動は、性質としては「人に聞く」に近く、情報を探す手段としてAIを使う場合は「探す」にも入ります。この領域では、AIの回答に自社が取り上げられるための対策(LLMO・AIO・GEO)が注目されています。

結論として押さえるべきは、お客さんが**「最初に探す場所」**はどこかということです。自社のターゲットが検索エンジン、ECモール、SNS、AIのどこから探し始めるのかを把握し、その場所で見つかるようにしておくことが、ニーズを抱えた顧客を取りこぼさない鍵になります。

マインドシェアと顧客の声で、売れる仕組みを回し続ける

「困った時」より前に思い出される準備をする

まだ必要としていない人に将来買ってもらうためには、「困った時」より前に思い出される準備が欠かせません。

購買には流れがあります。まず、まだ必要ではない段階で投稿や使用体験を見て「こんな商品があるんだ」と知る。次に、困りごとや生活の変化といったきっかけが起きる。そのとき「あの商品があった」と思い出し、候補に入る。この「思い出してもらえる状態」を、筆者はマインドシェアと呼んでいます。良く言えば啓蒙活動、悪く言えば洗脳です。大手企業がテレビCMを流し続けるのは、まさにこのためです。

思い出す人は本人とは限りません。テレビCMで水回り修理会社の名前を覚えていた友人が、水漏れで困った知人に「使ったことはないけど、名前は知っているよ」と教える。紹介した友人は、実際にはその会社を利用していません。知名度は紹介の入口になるのです。ただし、知名度と体験に基づく評価は別物です。その口コミが「聞いた話」なのか「本人の体験」なのかは区別して見る必要があります。

人は知らないものを買いません。スーパーのハム売り場に大手メーカーの商品と並んで、無名の「横田ハム」があったとしましょう。たとえ横田ハムが一番おいしくて安くても、食べたことがなければ判断できず、手に取る人はほとんどいないはずです。人生で初めてハムを買う日、その人には経験がないため、どこかで見聞きした名前を頼りに選ぶことになります。

だからこそ、今すぐ買わない人への発信も、将来の相談や購入につながります。効果的なのは、欲しくなる「少し前」に役立つ情報を届けることです。たとえばベビーチェアなら、子どもの成長で食事の準備が大変になる前の時期に「食事の環境を見直すとき、椅子選びで確認したいこと」を発信します。投稿では、商品名と「どんな場面で役立つか」をセットで伝えましょう。

購入前を聞き、次の施策に変える(アンバサダー面談とPDCA)

マーケティングの精度を上げる最も確実な方法は、顧客に聞くことです。ただし、多くの企業が聞いているのは「購入後の感想」だけです。本当に知るべきなのは、「購入前」に何があったかです。

購入前を聞く際は、5つの段階に分けると漏れがありません。①最初に必要・欲しいと思った出来事は何か(きっかけ)、②誰に聞き、どこで何を調べたか(情報収集)、③ほかに候補だった商品は何か(比較)、④最後に選んだ理由と迷った点は何か(決め手)、⑤期待と実際はどう違ったか(使用後)。「どこで買ったか」だけでは、買う理由は分かりません。実際に使った検索語や、そのときの言葉もそのまま記録しておきましょう。

商品を無料提供するアンバサダー制度を運用している場合、面談は「時間をさかのぼる」ように行います。「応募前はどんな椅子を使っていましたか」「椅子を意識し始めた頃、生活にどんな変化がありましたか」「提供がなければ何を選びそうでしたか」と順に尋ねます。答えを誘導せず、覚えていない部分は無理に埋めないことが大切です。また、無料提供への応募理由と有料での購入理由は異なるため、有料購入者の声とも照らし合わせて分けて考えます。

聞いた理由は、次の施策に変えて初めて価値を持ちます。①聞く(きっかけ・比較・決め手)、②整理する(困りごとか理想か、4つの接点のどれか)、③試す(相手に合う投稿や案内)、④確かめる(反応と購入理由を見直す)。このサイクルを、4P+Peopleの視点で回していきます。いいね数だけで判断せず、保存数や問い合わせ数など、施策の目的に合う指標を見ることもポイントです。

いい商品なのに売れないとき、問題は商品そのものより「商品と買う理由がつながっていない」ことにある場合が多いものです。マーケティングとは、商品と買う理由をつなぐこと。誰に、何を、なぜ届けるのか。その根拠は、いつもお客さんの言葉の中にあります。


ファクトチェック・修正一覧

No.文字起こし/スライドの記述検証結果記事での対応
1スライド「マーケティングの4Pを産んだアメリカ」に「1900年 イギリス産業革命」の表記4Pの提唱は1960年、米国のE・J・マッカーシー(著書『Basic Marketing』)。イギリス産業革命は18世紀後半〜19世紀で、1900年とする表記は年代が合わない4P=1960年マッカーシー提唱と明記。スライド表記は修正を推奨
25つ目のP「People」を2007〜2008年頃から提唱本人の提唱時期として記載は可。ただし学術的には1981年Booms & Bitnerの7PにPeopleが含まれ、1987年Juddも「People」を提案「筆者の提唱」としつつ、7Pの存在と「5Pの定義は一つではない」旨を補足
3ニーズ=マイナス→ゼロ、ウォンツ=ゼロ→プラス講義独自の実務的整理。コトラーの定義(ニーズ=欠乏状態、ウォンツ=具体的手段、デマンド=購買力を伴う欲求)とは異なる両者の違いを明記し、誤解を防止
4「目、耳、鼻、耳、口、手」「耳」が重複(音声認識または言い間違い)視覚・聴覚・嗅覚・触覚・味覚(目・耳・鼻・手・口)に修正
5下2つ(聞く・探す)がニーズ、上2つ(見る・押す)がウォンツスライド注記の通り固定分類ではない(検索でもウォンツは生まれる)「固定的な分類ではない」と補足
6ショート動画で「その場で買ってしまう」衝動買いTaTap調査(2026年10月)では、ショート動画きっかけの購入者のうち動画から直接購入は35.6%、ECモール内検索経由が55.6%で最多衝動の発生と購入経路を分けて記述
7「AIに聞く」「Google AIモード」Google検索「AIモード」の日本語提供は2025年9月9日に順次開始と発表日付を明記
8「クラシアン」のCMの例特定企業名の例示。スライドでは「水回りの修理会社」と一般化されている企業名を出さず一般化
9スライドの「ウォンツ売上80%/ニーズ売上20%」新スライド注記で「普遍的な比率ではなく顧客ごとに確認する」とされている記事では比率を断定的に使用せず
10香りで購買が動く(うなぎ・焼き芋)スーパーでの香りの実験研究で、強い香りが店舗評価・滞在時間・売上を高め、弱い香りでは効果が見られなかったと報告研究結果として補強、強度の重要性も付記

参考ソース一覧

内容ソース
センサリーマーケティングの概要・1990年代以降の発展テレメール進学ナビ(大学講義紹介)
4Pの起源(1960年マッカーシー)Web担当者Forum/kotora.jp
7P(1981年Booms & Bitner)、1987年JuddのPeoplemarketing.link/IntoTheMinds
コトラーのニーズ・ウォンツ・デマンドissoh.co.jp
ショート動画と購買行動調査(2026年10月)TaTap/ECのミカタ
SNS・動画サービスでの偶然の商品発見(2026年)コマースピック(エクスクリエ調査)
Google「AIモード」日本語提供開始(2025年9月9日)Web担当者Forum/カレントアウェアネス・ポータル
スーパーでの香りの強さと売上の研究Plymouth大学リポジトリ(Ambient scent as a mood inducer in supermarkets)
講義内容・事例横田秀珠 講義スライド(マーケティングの基本 01〜10、音声解説 補足編 01〜10)・2026年10月28日生配信

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この記事を書いた人

横田 秀珠のアバター 横田 秀珠 (新潟)公立長岡造形大学 情報リテラシー論 講師

ネットビジネス・アナリスト。未経験のIT企業に就職し、たった3年で独立し、2007年にITコンサルタント会社のイーンスパイア(株)を設立し現在に至る。All About ProFile全専門家で全国1位のコラム評価を獲得した実績を持つ。全国で年間200回を超える講演も行う。