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音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年8月分(AI音楽ラジオ)②

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年8月分(AI音楽ラジオ)②
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2026年8月までのAI音楽ニュースをまとめた回。GoogleのLyria 3.5とFlow Music、ElevenMusicのComposer、アリババのHappyShrimp、MiniMaxのMusic3、otojam、Trebloなど音楽生成AIが続々登場し、Suno一強が崩れつつある。7月リリース曲の約4割にAIが関与、DeezerはAI検出ツールを公開、SpotifyはAI Personaラベルを導入。EUのAIラベル表示義務も8月2日に開始し、識別と共存の時代へ進む。

詳しくは15分の動画で解説しました。
https://www.youtube.com/watch?v=6AkEASVITTE

0:00 📻 導入・今日のテーマ紹介(AI音楽ニュース総まとめ) 1:05 🎼 Google音楽生成「Lyria 3.5」発表 2:10 🎬 Google Flow Music進化|楽曲生成・編集を1箇所で完結 3:17 🎛️ ElevenLabsが音楽生成に参入|セクション編集「Composer」 4:26 🇨🇳 アリババが音楽生成市場に参入 5:34 🎤 MiniMAX「Music 3」オープンウェイトで無償公開 6:37 🇯🇵 気分を入力するだけ|AI音楽生成「音ジャム」ベータ公開 7:44 🆓 高品質ボーカルが無料|新サービス「Treblo」登場 8:38 📊 7月リリース楽曲の約40%にAIが関与|100万曲調査 9:49 🔍 Deezerが無料AI音楽検出ツール公開|聞き分けられない97% 11:01 ⏳ AI音楽アーティストに1万時間の法則は当てはまるか 12:11 💰 AI音楽の収益化は現実へ|Spotify・YouTube上位10組の稼ぎ 13:20 🎙️ 人気ラッパーがAI制作を公言/Spotify「AIペルソナ」ラベル導入 14:19 📱 LINE MUSICがショート動画「ディスカバー」開始/EUのAIラベル義務化

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年8月分(AI音楽ラジオ)②

あと2時間で変わるのか?
現行モデル最後の作品?
イーンスパイアの横田です。
https://www.enspire.co.jp/

作りためているので大丈夫です。

晩夏の果実 / Milia
https://www.youtube.com/watch?v=VM5CSrEzW7Q

おいしい季節へ
https://www.youtube.com/watch?v=7B9lNthoCrk

さて、本題です。

直近1ヶ月にあった音楽生成AIの
Suno以外に関するニュース21件を
取り上げて詳しく解説しました。

音楽生成AI「Suno」に関する
ニュースは以下のブログ記事で
https://yokotashurin.com/etc/ai-music202608-1.html
↑で、詳しく解説しています。

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年8月分(AI音楽ラジオ)②

2026年8月までの音楽生成AI・AI音楽ニュース総まとめ
音楽生成AIが大乱戦!8月のAI音楽ニュースを総まとめ
🎙 ネットビジネス・アナリスト 横田秀珠|生中継15分|2026年8月29日(土)収録・8月30日分
61か月で登場・進化した
音楽生成AIサービス
約40%7月リリース曲のうち
AIが関与した割合
97%AIと人の曲を
聞き分けられなかった人
610万$AI音楽アーティスト
上位10組の推定収益
今回のテーマ「2026年8月までの音楽生成AI・SunoやAI音楽に関する注目ニュース」。 Suno関連のニュースだけで前回15分を使い切ってしまったため、今回はSuno以外のAI音楽ニュースを一気に紹介する回。直近1か月分をまとめてお届け。
01🔵 Google、音楽生成AI「Lyria 3.5」を発表
2026年7月29日
音楽生成モデルの最新版Lyria 3.5を発表。同日からAI音楽制作プラットフォーム「Google Flow Music」で提供開始となった。
🎼 主な進化ポイント(4つ)
  • 音楽性:より豊かで複雑なメロディ構造を自然に生成
  • 歌詞:プロンプトへの忠実さと曲構成の把握が向上
  • ボーカル:より現実的で感情豊かな歌声へ。発音も改善
  • 制御:テンポと長さを簡単にコントロール可能
🤖 Lyriaとは?
  • Google DeepMindが開発する音楽生成モデル
  • 初代は2023年に発表
  • 2026年2月に「Lyria 3」がGeminiアプリへ追加
  • テキストに加え写真・動画から30秒の楽曲生成に対応
  • 日本語にも対応
  • 2023初代Lyria発表
  • 2026年2月Lyria 3がGeminiアプリに追加
  • 2026年3月Lyria 3 Pro発表/最長3分・イントロ/バース/コーラス指定に対応
  • 2026年7月Lyria 3.5発表、Flow Musicで提供開始
モデルには大きな変更はなくて、革命的な変化が起きたというよりクオリティが上がったと思ってもらえばいい。ただこういうのは毎日使ってないと分からない。Sunoは毎日作ってるからアップデートですぐ良くなった・悪くなったが分かるけど、Flow Musicも使わないと分からないので、やっぱり使わなきゃダメですね。 — 横田秀珠
02🎚 Google Flow Musicが進化 ─ 「制作を1か所で完結」へ
2026年7月24日発表
音楽バイブコーディングツールSpacesに楽曲の生成・編集機能を追加。ツールを行き来せず、1か所で作り込めるようになった。
✅ できるようになったこと
  • ツール内で楽曲の作成・編集
  • 録音のステム分割
  • 画像生成/歌詞生成/動画生成
  • Spaces内で作業を完結
🎵 Flow Musicの楽曲機能
  • カバー曲の作成
  • セクションの差し替え
  • トラックの延長
  • 会話しながら作品を磨き込む編集体験
🗓 ここまでの流れ
  • 2月:GoogleがProducerAIを買収
  • 4月:ブランド名を「Flow Music」へ変更
  • 4月:AI画像・動画ツール群「Flow」と統合
  • 5月:Believeと提携、アーティスト向けに提供開始
⬇️ Sunoとの違いは? ⬇️
🎰 Suno =“自動販売機”型
言葉を入れると完成曲が返ってくる。
手軽さ・即時性が強み。
VS
🛠 Flow Music =“工房”型
会話しながら編集を重ねる。
差し替え・調整・連携で作り込める。
今回の意味:①AI音楽制作がワンストップ化 ②生成だけでなく編集工程が強化 ③AI音楽の主戦場が“制作現場”へ移行。 AI音楽は“生成の速さ”の競争から“作り込める制作環境”の競争へ進みつつある。
PVを作ったりする時にこれで全部できちゃう。これ、Sunoができないじゃないですか。僕はあちこちいろんなもん使わなきゃいけないんだけど、これができるのは強いかなと思いますね。ここがGoogleさんの強みかなという気がしています。 — 横田秀珠
03🎛 ElevenMusicにセクション編集ツール「Composer」導入
2026年8月25日発表(ElevenLabs)
音声合成の世界的大手ElevenLabsが、AI音楽生成プラットフォームElevenMusicに楽曲をセクションごとに編集できる新機能Composerを追加。一発生成から“作り込み”へ。
🧩 Composerでできること
  • 歌詞/既存の楽曲/プロンプト/白紙から開始できる
  • イントロ・Aメロ・Bメロ・サビ・ブリッジ・アウトロを構築
  • セクション単位で編集・再生成、他の部分に干渉せず差し替え
  • 各セクションに独自の歌詞を追加、複数テイクを並べて比較
🎯 なぜ注目されるのか
  • 制作スタイルの変化:一発生成から部分ごとに磨き込む制作へ
  • 潮流と一致:SunoはStudioでMIDI対応、Googleは対話型の工房。同じ方向性
  • 勝負の焦点:AI作曲の競争は「どこまで思い通りに歌わせられるか」へ
  • 音声AIで強いElevenLabsの本領は“人間らしい歌声表現”
「文書を編集するのと同じくらい簡単に楽曲を編集」——Composerは、AI音楽生成を“作って終わり”から“狙って仕上げる”段階へ進める機能。
元々はテキストから音声を生成する音声合成で有名なサービスですけど、最近は画像生成も動画生成もやってて、ついに音楽生成も始めちゃったんですね。Suno Studioと同じようなことがComposerでできるようになった。これもね、触ってみないと分からないので解説動画を撮っていきたい。 — 横田秀珠
04🇨🇳 アリババ、音楽生成AI市場に参入 ─「HappyShrimp 1.0」
2026年8月17日発表
中国EC大手アリババグループが音楽生成AIHappyShrimp 1.0のベータ版を公開。テキストプロンプトを入力するだけで、メロディー・アレンジ・歌詞・ボーカルまで揃った完成曲を生成できる。
🤝 Taihe Music Groupと提携
  • Taihe Rye Music(太合麦田音楽)
  • Ocean Butterflies(海蝶音楽)
  • アーティストとの共同制作・コンテンツ開発を推進
💪 アリババの強み
  • 自社開発チップ
  • クラウドプラットフォーム
  • 大規模AIシステム
  • 基盤の主要レイヤーを自社で保有
🌏 中国で拡大する音楽AI競争
  • Tencent:AI作曲ツール+QQ音楽へ直接公開
  • ByteDance:モバイル制作ツールを展開
  • Kunlun Tech「Mureka」:品質でSunoに挑戦
  • Alibaba:EC・クラウド基盤+大手レーベル提携
中国風音楽ポップスR&B・ソウルヒップホップロックファンクエレクトロニッククラシックジャズ
怖いのはね、その学習をどこまでやっているかって話なんですよね。中国のそういうところと提携してるとは書いてあるけど、果たしてそれだけなのか。中国のAIは分からない。世界中の音楽を実は学習してるんじゃないかという気がするので、そうなるとクオリティが高くなるから注目ですね。 — 横田秀珠
05💾 MiniMaxが「Music3」をオープンウェイトで無償公開
2026年8月14日
中国のAIラボMiniMaxが音楽生成モデルMusic3を公開。モデル重みは無償ダウンロード可能で、ローカル実行なら生成回数の制限なし。歌詞+音楽説明から最大5分のボーカル曲を一発生成、日本語ボーカルにも対応する。
⚙️ 技術の中身
  • Structured Caption推奨(ジャンル/楽器/展開/歌い方を細かく指定)
  • Global LLM(8B):楽曲全体の長距離構造を担当
  • Local LLM(0.6B):フレーム単位の音響詳細を担当
  • Flow Matching(2.4B)+ Flow-VAE
  • 出力:32kHz・16bit・ステレオWAV
⚠️ 論点と注意点
  • フル活用には高VRAM GPUが必要、一般ユーザーには導入ハードルが高い
  • トレーニングデータの詳細は非公表
  • 商業利用時はライセンスとデータ透明性の確認が必要
  • 中国企業発である点への評価は分かれる
☁️ Suno / Udio
クラウドサービス/クレジット制・月次上限あり/依存先は運営会社のサーバー
強み:手軽さ・UX・導入のしやすさ
VS
🖥 MiniMax Music3
オープンウェイト/ローカルなら実質無制限/依存先は手元の環境
強み:自由度・所有感・拡張性
AI音楽の競争軸が「アクセスする」から「持つ」へ変化。画像分野でのStable Diffusionに近い流れが音楽でも起きるかもしれない転換点。
ローカルで動いて、なおかつこれ無料なんですよね。どういうこっちゃって話になって、どうマネタイズするの?という話にもなってるんだけど。これもまた1個増えましたので、いつか解説していかなきゃいけないなと思ってます。 — 横田秀珠
06🇯🇵 国産&無料の新顔 ─ 「otojam」と「Treblo」
🎨 otojam ─ 日本語で「気分」を入れれば曲になる
  • 愛知県のスタートアップ株式会社FYNAが6月30日にベータ公開
  • 「明るく元気な応援ソング」など日本語テキストから楽曲生成
  • 専門的なDAWや機材は不要、ブラウザから会員登録で利用可能
  • 生成モデルはACE-Step 1.5(無料)/Lyria 3 Pro Preview(有料)
  • 料金:おためし無料/いつもの 月額980円/たっぷり 月額2,980円
  • 権利処理は現時点で明確さが限定的、正式版での整理に期待
🎤 Treblo ─ まさかのこれが無料でいいの…?
  • プロンプトから楽曲を生成、現時点では無料で利用可能
  • 高品質ボーカルが特徴。「Sunoを超えているかも」との高評価も
  • 2曲同時に生成する挙動、最新バージョンは「V3」
  • MP3/WAV/FLACでダウンロード可、ステム書き出しにも対応
  • 生成時間は約2〜3分とやや長め、編集系機能は「Coming Soon」
  • 曲の長さは2〜3分程度でフル尺はまだ作れない
無料でここまでできて、フルになったらたぶん有料プランになるという誘導じゃないかなと思うんですけど、どんどん出てきますね。Sunoは先に出したからこそ価値があってユーザーを集めて成功したけど、クオリティをちゃんと保ってないと、どんどんみんなが参入してきてるのでやばいことになってるんですよね。 — 横田秀珠
1か月で出そろった参入プレイヤー
Google(Lyria 3.5/Flow Music)ElevenLabs(ElevenMusic)アリババ(HappyShrimp)MiniMax(Music3)otojam(FYNA)Treblo
👉 いや、やばいね。やばいです。(横田秀珠)
07💚 Spotify、コバルトとライセンス契約締結 ─ AIカバーを“合法”に
2026年8月13日発表
SpotifyがKobalt Music Groupとライセンス契約を締結。対象はAIカバー曲・リミックス作成ツール。ファンの二次創作を“公式市場”として成立させる構想が前進した。
1
💳
プレミアム会員が有料アドオンに加入
2
🤖
AIでカバー曲・リミックスを作成
3
🌐
完成曲はSpotify全ユーザーが再生可能
4
💰
元アーティスト・ソングライターへ収益分配(参加はオプトイン制)
  • 5月UMGと提携
  • 8月Merlinと提携
  • 8月13日Kobaltと提携(主要提携は3件目)
結論:SpotifyはAI二次創作を「許諾+分配」の仕組みで公式市場化しようとしている。ファンが作り、権利者が潤い、場が賑わう“三方良し”が成立するかは、ツールの出来と運用にかかっている。
つまり、有名人の曲をAIでカバーすることが合法的にできるツールを出してくるんですね。今、合法じゃないものでやってる人いっぱいいるじゃないですか。勝手にX JAPANがジャズ風に歌ったらとかやってるけど、ああいうのはダメなんだけど、そういうのを合法にできる仕組みを作ろうとしているっていうのがSpotifyのやばいところです。 — 横田秀珠
08📊 7月リリース曲の約40%にAIが関与
SubmitHubが100万曲以上を分析
SubmitHubが7月に100万曲以上のサンプルを分析し、独自のAI音楽検出ツールSH Labsで判定した最新調査結果。
23.2% 完全にAIで生成された楽曲
15.3% AI生成オーディオを人が修正・処理
61.5% AI関与なし/判定されず
➡️ 合計 約38.5%(≒約40%) にAIが関与
注意点:検出基準が厳しすぎる可能性も指摘されている。「AIが含まれている」と判定されたアーティストの31%は、問い合わせに対して「AIツールは一切使っていない」と回答した。
アイデア出しをAIでやって、それを元に自分で作ってる場合はこれに入らないので、実はもうちょっといっぱいあるんじゃないかなと僕は思ってますけどね。31%が「使ってない」と答えたということは、逆に69%はもう使ってるんじゃんって話ですよね。 — 横田秀珠
09🔎 自分のプレイリストにAI楽曲は何曲ある? ─ Deezerが無料検出ツール公開
2026年6月11日公開
DeezerがSpotify・Apple Music・YouTube Music・Amazon Musicなど20以上のサービスに対応した無料のAI音楽検出ツールを公開。最大100プレイリストまでAI生成楽曲を検出できる(27言語対応)。
他サービスからDeezerに移行したユーザーのうち、すでにAI楽曲をプレイリストに持っていた人43%
ブラインドテストでAI生成音楽と人間の音楽を聞き分けられなかったリスナー97%
AI生成音楽は明確にラベリングされるべきと回答80%
Deezerに毎日アップロードされる楽曲のうちAI生成の割合44%
検出されたAI楽曲ストリームの最大85%は不正(bot操作など)とされ、AI生成楽曲のストリーム比率は全体の1〜3%にとどまる。Deezerは2025年6月から自社内でAI音楽の検出・タグ付けを開始し、2025年中に1,340万曲以上を検出・ラベリングしていた。
いい曲だからって入れてるんだけど、AIかどうか分からないで入れてるってことですよね。聞き分けられないから、なんかAIが作ったって嫌なんでしょうね。僕はこの感覚はないんですけど、そう思ってるそうです。いよいよって感じですね。 — 横田秀珠
10⏳ AI音楽アーティストに当てはめる「1万時間の法則」
一流レベルに到達するには長時間の意図的な練習が必要という考え方。大切なのは“時間の長さ”だけでなく“質の高い反復”。ではAI時代の1万時間はどこに使うのか。
発想・世界観25%
選別・審美眼20%
プロンプト設計15%
編集・磨き込み15%
発信・コミュニティ15%
分析・改善10%
結論:AIは“近道”を増やすが“実力”を不要にはしない。1万時間は消えるのではなく“再配分”される。差がつくのは技術だけでなく“審美眼”と“世界観”
AI音楽アーティストの成長 = 生成回数 × 振り返り × 一貫した発信
僕は今1,300曲を作ってます。1,300を2で割ると650日、2曲作るのに3時間かかったとすると650×3で1,950時間。まだ2,000時間だから全然1万時間に届いてない。計算上は5,000曲作らないと一応プロとは言えないことになりますね。僕の場合は発信・コミュニティと分析・改善が結構時間を食ってます。MV作ったりSNS投稿したりが多すぎて。 — 横田秀珠
11💰 AI音楽の収益化は「可能性」から「現実」へ
KapwingがAiMChartsに登録されたアーティストのSpotify・YouTube再生数を集計し、業界標準レートで収益を推計したレポート。
区分推定収益再生規模
Spotify 上位10組約238万ドル約5億9,500万ストリーム
YouTube 上位10組約370万ドル約17億5,000万再生
合計約610万ドル
Spotifyトップ:Enlly Blue推定38万800ドル約9,520万ストリーム
YouTubeトップ:Cherry 葵 Nightcore推定200万ドル約9億4,100万再生
📐 推計の前提(業界標準レート)
  • Spotify:1ストリームあたり 約0.004ドル
  • YouTube:1,000再生あたり 約2.12ドル
🔍 インサイト
  • 2025年の世界録音音楽市場は約290億ドル。610万ドルは市場全体の0.02%未満で規模はまだ小さい
  • ただし「AI音楽で稼げる」ことは証明された
  • 上位10組以外にも五桁〜六桁ドル級の収益アカウントが存在する可能性
  • 稼げるのは一部。量産だけでは埋もれる
収益につながる共通点は「一貫したペルソナ」「ジャンル特化」「コミュニティ形成」「人間との接点」。ツールが手軽になっても、聴かれるための戦略は変わらない。
すごいね。こんなに稼げるんですかね。こういう数字を見ると、なんか頑張ろうかなって気がしてきますよね。 — 横田秀珠
12🎤 AI利用を“公言”する時代へ ─ TygaとGACKT
🔥 Tyga、新アルバムをAI制作と公言
  • Instagramフォロワー4,600万人超の人気ラッパーが自らAI活用を認めた
  • 新アルバム「$tarface」でAIを使用。「良ければそれでいい。嫌なら嫌でいい。I don’t care」
  • 80年代風シンセやギターソロを素早く用意する場面でAIを活用
  • 一方で作詞とボーカルはすべて自分だと説明
  • 「Auto-Tune登場時と同じ。結局、使いこなすのは本物のアーティスト」
🎙 GACKTの「声が聞こえない?」問題
  • ドラマ放送後、一部視聴者から「GACKTの声が聞こえない」という声
  • 確認結果、音声トラブルではなくデジタルメーター上の音量も他の役者と同じだった
  • 原因は“声の周波数特性”。洗濯機・クーラー・扇風機などの生活音と干渉しやすい
  • 今回からはその特性を考慮してEQで補正した音声を使用
Tygaの発言は、AIを隠して使う時代から“公言して使う時代”への転換を示す象徴的な出来事。焦点は「人が作る部分」と「AIが支える部分」の線引きへ。
13🏷 ラベル表示と規制 ─ SpotifyとEUの動き
🟢 Spotify「AI Persona」導入
  • AIが生成したアーティストの公開アイデンティティを明示する識別ラベル
  • 9月中旬から、プロフィール・検索結果・プレイリスト内トラックに表示
  • アーティストはSpotify for Artistsから自己開示。自己申告だけに頼らず人によるレビュー+AI調査ツールでも確認
  • ラベル付きアーティストの楽曲はデフォルトで推薦対象外
  • 楽曲がAIで作られたかどうかを示すものではない
🧹 生成AIは歓迎、粗悪品は取り締まり強化
  • 8月11日発表。AI活用は歓迎、ただし“スパム的な楽曲”は厳しく排除
  • 検知 → タグ付け → おすすめから完全除外 → 悪質なスパムは削除
  • 過去12か月で7,500万曲を削除(公称カタログ1億曲超の約7割規模に相当)
  • 問題は“誰が作ったか”より“何を出すか”。レコメンド健全化が最優先
🇪🇺 EU、AI生成コンテンツにラベル表示義務
  • 8月2日、EU AI法に基づく透明性規則が発効
  • AI生成・加工コンテンツを識別できる表示が義務化
  • 違反時は最大1,500万ユーロまたは世界売上高の3%
  • 8月2日以降の新規AIシステムは直ちに適用、既存は4か月の猶予
  • EUは法で義務化、米国音楽業界は自主ルール整備という違い
もうね、識別が始まってますね。ちゃんと分解して分離していくという動きが進んでます。EUのラベル表示義務は、実はAI音楽においても、いわゆる生成AIにおいても大きいニュースなんですよね。 — 横田秀珠
14🌐 音楽シーンの周辺で起きていること
📱 LINE MUSICディスカバー提供開始
  • ショートMVや短尺音楽がフィード形式で自動再生される新機能
  • 縦・横にスワイプするだけで好みの曲や最新トレンド曲に出会える
  • 300万曲が集まる新しい音楽との出会い
  • 気になった曲はそのままフルバージョンで再生(フル再生は有料プラン)
  • LINE VOOMは9月末で終了するが、音楽側でショート動画機能が始まる形
🎬 良いミュージックビデオとは何か
  • 動画ありの曲は、なしの曲より3週間以内にもう一度聞く確率が64%増える
  • 保存・共有・プレイリスト追加の確率が1.4倍
  • 同じアーティストの他の曲を聴く確率が57%高くなる
  • 映像の役割は“説明”ではなく“余白”。全部を見せすぎないことが音楽の世界を深くする
  • 良いMVの3条件:映像が音楽の邪魔をしていないか/音楽より前に出ていないか/音楽の世界を広げているか
✍️ 音楽メディアから「書く人」が消えていく
  • 2026年8月4日、米国の音楽メディア4媒体で大規模な人員削減
  • BrooklynVegan/Alternative Press/Revolver/Goldmine
  • Live Nation傘下のVeepsが4媒体を買収し、約1年半後に記事を書くスタッフを削減
  • 失われるもの:現場取材・アーティスト発見・シーンの記録
  • 独立した記録者の存在が、音楽シーンの多様性を支える
15🧭 今月のまとめ ─ 4つの流れ
① 参入ラッシュとSunoの正念場
Google・ElevenLabs・アリババ・MiniMax・otojam・Trebloと1か月で6サービス。Sunoは先行者として価値を築いたが、クオリティを保てなければ一気に追い上げられる。
② 競争軸は「生成の速さ」から「作り込み」へ
Flow MusicのSpaces、ElevenMusicのComposer、SunoのStudio。各社そろってセクション編集・ステム分割へ。主戦場は“制作現場”に移った。
③ AIはもう隠すものではない
7月リリース曲の約40%にAIが関与し、97%が聞き分けられない。Tygaのような大物が公言し、SpotifyやEUはラベルで“見える化”する側へ。
④ 稼げるのは事実、でも戦略は変わらない
上位10組で約610万ドル。ただし市場全体の0.02%未満。一貫したペルソナ・ジャンル特化・発信の積み重ねという原則は変わらない。
ということで、今日はAIに関するニュースを集めて紹介させていただきました。これで直近1か月分です。また来月も頑張っていきたいと思いますね。よろしくお願いします。 — 横田秀珠

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年8月分(AI音楽ラジオ)②

  1. はじめに
  2. Googleが二段構えで攻めてきた──Lyria 3.5とFlow Musicの進化
  3. 音楽生成AIの群雄割拠──ElevenLabs・アリババ・MiniMax・otojam・Treblo
  4. データが暴いた現実──7月リリース曲の約40%にAIが関与していた
  5. ルールと市場がつくり直されていく──ラベル義務化と収益の再分配
  6. おわりに
  7. まとめ
  8. よくある質問

はじめに

「音楽生成AIといえばSuno」──ほんの少し前まで、そう言い切っても大きな間違いではありませんでした。ところが2026年の夏、その常識が音を立てて崩れ始めています。私は前日の放送でSunoに関するニュースだけを取り上げたのですが、それだけで15分をまるまる使い切ってしまいました。しかも、Suno以外のAI音楽ニュースが、その約倍のボリュームで手元に残っていたのです。だから今日は、Sunoを一旦脇に置いて、AI音楽全体のニュースだけを一気にお届けします。

登場するのはGoogle、ElevenLabs、アリババ、MiniMax、そして日本の愛知県から出てきたスタートアップまで。さらに「7月にリリースされた曲の約40%にAIが関与していた」という衝撃の調査結果、AI楽曲を見破る無料ツール、Spotifyの識別ラベル導入、EUのラベル表示義務化と、話題は制作ツールの話にとどまりません。作る側のルールも、聴く側の環境も、稼ぎ方も、この1ヶ月で確実に書き換わりました。毎日AIで曲を作っている私自身、追いかけるのが精一杯です。それでは、直近1ヶ月分をまとめて振り返っていきましょう。


Googleが二段構えで攻めてきた──Lyria 3.5とFlow Musicの進化

ステップ1:まず「Lyria 3.5」の発表から押さえる

はい、では早速なんですが、まず1つ目がこちらですね。「Google、音楽生成AI『Lyria 3.5』を発表」ということで、2026年7月29日の発表となっております。

Lyria 3.5っていうことで、僕が過去に動画で説明した時は多分「3」とかだったと思うんですけど、そこからさらに進化しましたよ、という話です。今年の2月とか3月あたりに発表されたモデルから、また一段上がったということですね。そしてGoogle Flow Musicで提供開始ということになっています。

Lyriaというモデルそのものについて、少し整理しておきましょう。

  • Google DeepMindが開発する音楽生成モデルである
  • 初代は2023年に発表された
  • 2026年2月に「Lyria 3」がGeminiアプリに追加された
  • テキストに加えて、写真や動画から30秒の楽曲生成に対応している
  • 日本語にも対応している

つまり、いきなり降って湧いた新参者ではなく、2023年から地道に積み上げられてきた系譜の最新版が3.5だということです。

ステップ2:Lyria 3.5で何が変わったのかを4点で確認する

こちらもね、やっぱり使っていないと分からないんですよ。Sunoは毎日作っているから、アップデートするとすぐに「クオリティが上がった」「下がった」って分かるんですけど、Googleの方も使わないと分からない。やっぱりね、使わなきゃだめですね。なのでこれもですね、追って動画を撮っていきたいと思いますので、楽しみにしといてください。

基本的には発表内容に書いてある通りで、そんなに、なんていうか革命的な変化が起きたんじゃなくて、クオリティが上がったという風に思ってもらえばいいかと思います。モデルにはそんなに変更はないですと書いてありますけど、進化ポイントは次の4つです。

  1. 音楽性:より豊かで複雑なメロディ構造を、自然に聴こえる形で生成できるようになった
  2. 歌詞:プロンプトへの忠実さと曲構成の把握が向上し、品質がアップした
  3. ボーカル:より現実的で感情豊かな歌声に進化し、発音も改善された
  4. クリエイティブコントロール:生成する楽曲のテンポと長さを、より簡単に制御できるようになった

曲調から歌詞、そしてボーカルの雰囲気までコントロールできるようになった、と書いてあるんですけど、これはそんなに大した変更じゃないんで、クオリティの問題だと思いますね。ひとことで言うと、Lyria 3.5は歌声のリアルさと操作性を強化し、AI音楽制作をより実用的で表現豊かにした最新版モデル、ということになります。

ステップ3:提供先と周辺機能もあわせて見ておく

Lyria 3.5がどこで使えるのか、提供先・関連サービスも押さえておきましょう。

提供先位置づけ
Google Flow Music一般ユーザー向けのAI音楽制作プラットフォーム
Vertex AI企業向け
Google AI Studio開発者向け

そして周辺機能にも注目すべきものがあります。

  • 旧ProducerAIをGoogle Flowブランドへ改称したサービスである
  • 「Covers」:メロディと構成を保ったままスタイル変更ができる
  • 「Gemini Omni」と対話しながらミュージックビデオ制作ができる
  • iOS版アプリも展開している
  • 生成コンテンツには電子透かし**「SynthID」を埋め込み**している

このSynthIDの話は、後で出てくるEUのラベル表示義務やSpotifyの識別ラベルの話とも直結してくるので、頭の片隅に置いておいてください。

ステップ4:2つ目のニュース「Google Flow Musicが進化」

実はね、音楽サービスが続々出てるんですね。2個目、こちらなんですよ。はい、「Google Flow Musicが進化」ということで、先ほど紹介していましたように、Spacesに楽曲生成・編集機能を追加、「制作を1か所で完結」へ、ということになっていますね。

GoogleのAI音楽制作プラットフォーム「Google Flow Music(旧ProducerAI)」は、7月24日、音楽バイブコーディングツール「Spaces」に楽曲の生成・編集機能を追加したと発表しました。

なので、やっぱりこの辺がですね、Sunoと比べてFlow MusicとかGoogleさんの強みかなという気がしているんですね。

ステップ5:Flow Musicで「何ができるようになった」のかを列挙する

ここで書いてありますように、ツール内で以下のことが全部できてしまうということなんですね。

  • ツール内で楽曲の作成・編集
  • 録音のステム分割(ボーカル/ドラム/ベース/ギター/その他といったパートごとの分離)
  • 画像生成
  • 歌詞生成
  • 動画生成
  • Spaces内で作業を完結

いわゆるPVを作ったりする時には、これで全部できちゃうということなんですよ。これ、Sunoができないじゃないですか。このね、強いですよね。だから僕、あちこちいろんなもんを使わなきゃいけないんだけど、これができるのは強いかなと思いますね。

さらにFlow Musicの楽曲機能としては、次のようなものが挙がっています。

機能内容
カバー曲の作成既存曲をベースに別スタイルへ
セクションの差し替えA→B→Cといった構成単位での置き換え
トラックの延長曲を後ろに伸ばす
会話しながら作品を磨き込む対話型で仕上げていく体験

そして動画AI「Veo」との連携も用意されています。

ステップ6:ここまでの流れを時系列で整理する

Flow Musicがここに至るまでの流れは、実はかなりのスピード感で進んでいます。

時期出来事
2月GoogleがProducerAIを買収
4月ブランド名を「Flow Music」へ変更
4月AI画像・動画ツール群「Flow」スイートと統合
5月Believeと提携、Believe/TuneCoreのアーティスト向けに提供開始
7月24日Spacesに楽曲生成・編集機能を追加

半年ちょっとで、買収 → ブランド統合 → 配信大手との提携 → 制作機能の内製化、というところまで来ているわけです。

ステップ7:SunoとFlow Musicの「思想の違い」を理解する

ここが一番面白いところなんですが、SunoとFlow Musicは、そもそもコンセプトが違います。

比較軸SunoGoogle Flow Music
たとえるなら言葉を入れると完成曲が返る「自動販売機」型会話しながら編集を重ねる「工房」型
強み手軽さ・即時性差し替え・調整・連携で作り込める
作業範囲楽曲生成が中心楽曲・画像・動画・歌詞まで一箇所で完結

ポイントとしてまとめると、曲生成、部分差し替え、ステム分解、歌詞・画像・動画生成まで、複数ツールを行き来せずに制作できるようになった、ということです。AI音楽は「生成の速さ」の競争から、「作り込める制作環境」の競争へと進みつつある、という見方ですね。

今回の意味としては、次の3点が挙げられています。

  1. AI音楽制作がワンストップ化した
  2. 生成だけでなく編集工程が強化された
  3. AI音楽の主戦場が「制作現場」へ移行した

はい、というので、これもね、追って紹介しなきゃいけないですね。Google Flow Musicの話もしていきたいと思います。


音楽生成AI─ElevenLabs・アリババ・MiniMax・otojam・Treblo

ステップ8:ElevenLabsが音楽生成に本格参入した

続いてこちらです。「音楽生成AI『ElevenMusic』にセクション編集ツール『Composer』導入」っていうことで。

いわゆるElevenLabsっていうですね、元々は音声をテキストから生成する音声合成で有名なサービスですけど、ここがもう最近は画像生成も動画生成もやってて、ついに音楽生成も始めちゃったんですね。今回、8月25日に発表されたのが、AI音楽生成プラットフォーム「ElevenMusic」に、楽曲をセクションごとに編集できる新機能「Composer」を追加した、という話です。

ということなんで、結局そうするとここも同じなんですけど、結局ステム分離をして、それぞれのパートごとで編集できるっていう、いわゆるSuno Studioっていうですね、Sunoの中に入っているものと同じようなことがComposerって機能でできるようになったということなんですね。

ステップ9:Composerで具体的に何ができるのかを見る

Composerの入力元は、次の4パターンが用意されています。

  • 歌詞から
  • 既存の楽曲から
  • プロンプトから
  • 白紙から開始

そして、AIの支援でイントロ/Aメロ/Bメロ/サビ/ブリッジ/アウトロといった構造を組み立てていきます。できることは次の通りです。

  1. セクション単位で編集・再生成できる
  2. 他の部分に不干渉で差し替えが可能である
  3. 各セクションに独自の歌詞を追加できる
  4. 作業のどの段階でも歌詞を書き直せる
  5. 複数テイクを生成して並べて比較できる

キャッチコピー的に言えば「文書を編集するのと同じくらい簡単に楽曲を編集」ということですね。

ステップ10:なぜElevenLabsの参入が注目されるのかを考える

なぜこれが注目されるのか。整理すると3つの視点があります。

視点内容
制作スタイルの変化一発生成から、部分ごとに磨き込む制作へ
潮流と一致SunoはStudioでMIDI対応を進め、Googleは対話型の工房を掲げる。同じ方向性
勝負の焦点AI作曲の競争は「どこまで思い通りに歌わせられるか」へ

そしてElevenLabsという会社そのものの強みも見逃せません。

  • 音声合成の世界的大手である
  • ナレーション・吹き替えなど企業需要を獲得している
  • 音声事業で既に黒字化した優良企業である
  • 人間らしい歌声表現は同社の本領である

「稼ぐ本業」を持つ余裕は、開発の持久力に直結する、という指摘は鋭いですね。後発の注目点は「声」にある、楽曲の印象を最後に決めるのは多くの場合ボーカルである、というコメントも紹介されていました。音声AIで強いElevenLabsが音楽生成に本格参戦したことで、主戦場の解像度がさらに上がった、ということです。

これもね、やっぱり触ってみないと分からないので、是非ね、これをまた解説動画を撮っていきたいなと思っていますので。って言うとね、これ毎日AI音楽だけのノウハウになるんですね。はい、でもね、やっていきたいと思っていますので、お楽しみということですね。

ステップ11:アリババが音楽生成AI市場に参入した

ついでにこちら、「アリババ、音楽生成AI市場に参入」ということで。

いや、アリババというとですね、その中国のいわゆるショッピングモールをやっているAI企業で、日本で言うとソフトバンクみたいなIT企業になりますけど、ここがですね、音楽生成AIの「HappyShrimp」っていうものの1.0のベータ版を8月17日に公開したということです。中国EC大手アリババグループが音楽生成AIへ本格参入したということで、Music Business Worldwide(MBW)などが報じています。

HappyShrimp 1.0でできることは、テキストプロンプト入力 → AI生成 → 完成曲、という流れです。感情・ストーリー・音楽ジャンルを記述するだけで、完成曲を生成可能とされています。メロディー、アレンジ、歌詞、ボーカルまで一括で扱えるという構成ですね。

  • 専門知識がなくても作曲可能
  • ボーカル入り楽曲を生成できる
  • インスト曲も生成できる
  • 自作歌詞を入力して曲化も可能

対応ジャンルは、中国風音楽、ポップス、R&B・ソウル、ヒップホップ、ロック、ファンク、エレクトロニック、クラシック、ジャズと幅広く用意されています。

ステップ12:中国勢の学習データという「怖い部分」を直視する

いや、怖いのはね、その学習をどこまでやっているかって話なんですよね。

ここにちょっと書いてあるんだけど、なんか中国のそういうところと提携してるってことがあるんですね。具体的にはTaihe Music Group(太合音楽集団)との提携で、Taihe Rye Music(大合麦田音楽)、Ocean Butterflies(海蝶音楽)といったレーベルと、アーティストとの共同制作、コンテンツ開発を推進する、という話になっています。

でも、果たしてそれだけなのかっていうのが、ちょっと中国のAIはね、分かんないですね。だから世界中の音楽を学習、実はしてるんじゃないかなって気がするので、そうなるとやっぱりクオリティが高くなるから注目ですね。

アリババの強みとして挙げられているのは、自社開発チップ、クラウドプラットフォーム、大規模AIシステムという3層構造です。モデルの基盤となる主要レイヤーを自社で保有している、というのが効いてきます。

そして、この参入が意味することとして、中国で拡大する音楽AI競争の見取り図が示されていました。

企業動き
TencentAI作曲ツール+QQ音楽への直接公開
ByteDanceモバイル制作ツールを展開
Kunlun Tech「Mureka」品質でSunoに挑戦
AlibabaEC・クラウド基盤+大手レーベル提携

中国では、配信プラットフォームと制作AIが最初から一体化した独自の生態系が形成されつつある。SunoやUdioが十分に展開していない市場で、中国独自の音楽AIエコシステムが完成に近づいている。世界の音楽AI地図は、もはや米国勢だけでは描けない。日本の業界も、米中の両方を見据えた戦略が必要だ──というコメントが添えられていました。

3行でまとめると、①アリババが「HappyShrimp 1.0」で音楽生成AI市場へ参入、②レーベル提携と自社インフラで競争力を強化、③中国独自の音楽AI市場が急速に存在感を高めている、ということですね。っていうことで、アリババさんも参入ってことになってます。

ステップ13:Spotifyがコバルトとライセンス契約を締結した

はい、では続いてこちらですね。「Spotify、コバルトとライセンス契約締結」ということで、AIカバー・リミックス作成ツールの布陣が拡大っていう風に書かれてるんだけど、このツールね、8月13日にライセンス契約締結って書いてあるんですけど、このツールが始まったらちょっとね、これ注目かなと思ってるんですね。

で、なんでかっていうと、このプレミアム会員に入らなきゃいけないんですが、で、有料アドオンに加入するとですね、AIでカバー曲を作成できるんですね。

新ツールの仕組みは4ステップです。

  1. プレミアム会員が有料アドオンに加入する
  2. AIでカバー曲・リミックスを作成する
  3. 完成曲はSpotify全ユーザーが再生可能になる
  4. 元アーティスト・ソングライターへ収益分配される

なお、アーティスト/ソングライターの参加はオプトイン制です。

これ、詳しくはAI音楽ラジオの方で解説してるので、そちらでね、聞いていただきたいと思うんですけど、つまり、有名人の曲をAIでカバーするってことが合法的にできるようなツールを出してくるんですね。

なので、我々は今、合法じゃないものでやってる人がいっぱいいるじゃないですか。勝手にですね、X JAPANがジャズ風に歌ったらとかやってるけど、ああいうのはダメなんだけど、そういうのをですね、合法にできる仕組みを作ろうとしているっていうのがね、Spotifyのね、やばいところです。

ステップ14:MiniMaxが「Music3」をオープンウェイトで無償公開した

はい、続いてこちら、あ、ちょっとこれ順番が逆だったね。これが先でしたね。はい、「MiniMaxが『Music3』をオープンウェイトで無償公開」。これもね、結構ネットで話題になってますね。2026年8月14日の話です。

日本語ボーカル対応、最大5分、ローカル環境で楽曲生成できるので、よくね、ローカルで動いてですね、なおかつこれ無料なんですよね。これどういうこっちゃって話になって、どういうマネタイズこれから考えてるの?って話になってるんだけど、これもね、結局また1個増えましたので、これについてもね、いつか解説していかなきゃいけないなと思ってるんですけど、これが入っております。

何が起きたのかを整理すると、こうなります。

  • 中国のAI大手MiniMaxが音楽生成モデル「Music3」を公開した
  • モデル重みは無償ダウンロード可能である
  • ローカル実行なら生成回数の制限なし
  • 歌詞+音楽説明から最大5分のボーカル曲を一発生成できる
  • 日本語ボーカルにも対応している

ステップ15:Music3の技術的な中身を押さえる

技術の中身についても公開されています。

要素内容
Structured Caption推奨ジャンル/楽器/展開/歌い方を細かく指定
Global LLM(8B)楽曲全体の長距離構造を担当
Local LLM(0.6B)フレーム単位の音響詳細を担当
Flow Matching(2.4B)+ Flow-VAE離散トークンを介さず連続的な音声信号へ変換
出力32kHz・16bit・ステレオWAV

使い方としては、Hugging Faceで重みを取得し、Hugging Face Spacesでデモ体験も可能、ただし無料枠には制限あり、ローカル環境で使えば実質無制限、ComfyUI統合にも対応、という流れです。

ステップ16:なぜMusic3が重要なのかを理解する

なぜ重要なのか。ポイントは「持つ」への変化です。

  • Suno/Udioはクラウド依存・クレジット消費型である
  • Music3は「モデルの重みを手元に持てる
  • 価格改定や利用規約変更の影響を受けにくい
  • ネット接続が不安定でも使いやすい
  • 日本語圏のAI音楽制作者にとって大きな実用性がある
  • AI音楽の競争軸が「アクセスする」から「持つ」へ変化した

MiniMax Music3とSuno/Udioを比較すると、こうなります。

比較軸MiniMax Music3(オープンウェイト)Suno / Udio(クラウドサービス)
提供形態オープンウェイトクラウドサービス
生成回数ローカルなら実質無制限クレジット制・月次上限あり
依存先手元の環境運営会社のサーバー
強み自由度・所有感・拡張性手軽さ・UX・導入のしやすさ

一方で、論点と注意点も冷静に挙げられています。

  1. フル活用には高VRAM GPUが必要
  2. 一般ユーザーには導入ハードルが高い
  3. Hugging Faceでは無料枠が厳しい
  4. トレーニングデータの詳細は非公開
  5. 商業利用時はライセンス条件の透明性の確認が必要
  6. 中国企業である点への評価は分かれる

今後どうなるかという展望としては、コミュニティ主導のファインチューニングが進む可能性、ジャンル特化・スタイル特化モデルが増える可能性、画像分野でのStable Diffusionに近い流れが音楽でも起きるかもしれない、AI音楽ツールの競争軸が大きく変わる転換点になる、といった見立てが示されています。

作り手・聴き手への示唆としては、Music3の本質は「使えるかどうか」よりも「AI音楽ツールそのものを持てる時代が始まった」ことにある。AI音楽は、誰かのサーバーにアクセスする時代から、自分の手元に持つ時代へ進み始めている、ということですね。

ステップ17:日本発の「otojam」がベータ公開された

続いてこちら。「日本語で『気分』を入れれば曲になる。AI音楽生成サービス『otojam』がベータ公開」ってことで。

これは愛知県のスタートアップ企業の株式会社FYNA、これ「フィナ」かな、が6月30日に公開ってことですね。日本語UIと日本語プロンプトで、AI音楽生成の入口をぐっと身近にする国産サービス、という位置づけです。

  • otojamは日本語特化のAI音楽生成Webサービスである
  • 「明るく元気な応援ソング」など、日本語テキストから楽曲生成できる
  • 歌詞や曲のイメージを自然な日本語で入力できる
  • 専門的なDAWや機材は不要、ブラウザから会員登録して利用可能

使い方は、①日本語で気分・歌詞を入力 → ②モデルを選択 → ③曲を生成、というシンプルな3ステップ。対応モデルは、無料プランでも利用可能な「ACE-Step 1.5」と、有料プランで利用可能な「Lyria 3 Pro Preview」の2種類です。Lyria 3はGoogle Flow・YouTube連携でも注目されたモデルですね。

料金プランは3段階です。

プラン料金内容
おためし無料毎日50クレジット/1回の生成:10クレジット/最大60秒/1日最大5回試せる
いつもの月額980円月1,500クレジット/最大180秒
たっぷり月額2,980円月6,000クレジット/最大360秒/1回の生成で複数候補も作成可能

なぜ重要かというと、従来は英語UIや英語プロンプトで作れる人が中心で、思いついたら英語化する手間があったのに対し、otojamは日本語でそのまま入力でき、思考コストが低く、AI音楽を入口として試しやすい、という違いがあるからです。「日本語ネイティブに優しい」「聴き手が作り手になるハードルを下げる」というわけですね。

一方で論点・注意点もあります。「日本語特化」は主にUI・UXの話であること、音楽生成エンジン自体は外部モデルを採用していること、生成モデルはACE-Step 1.5とLyria 3 Pro Previewであること、権利処理は現時点で明確さが限定的であること、商用利用の可否や著作権の帰属は要・利用規約確認であること、ベータ版のため正式版での整理に期待、といった点です。

今後の展開と示唆としては、国内AI音楽サービスの存在感が高まる可能性、日本のカラオケ文化や替え歌文化との相性、ベータ版のフィードバックを通じて機能拡張、教育機関向け展開も検討、学校行事の曲を子どもが自作する未来へ、といった広がりが語られています。作り手・聴き手への示唆は、SunoやUdioに踏み出せなかった人の入口になり得ること、まずは無料プランで「自分の気分がどんな曲になるか」を試せること、音楽を「聴くもの」から「言葉で呼び出せるもの」へ、ということですね。

どんどん音楽生成AIが出てきてるんですね。だからもうSunoってのはやっぱり先に出したからこそ価値があって、ユーザーを集めることで成功したけど、でもやっぱりこれでクオリティをちゃんと保ってないとですね、どんどんこのようにみんなが参入してきてるので、やばいことになってるんですよね。

ステップ18:さらに「Treblo」まで出てきた

はい、続いてこちらですね。こちら今見ましたね。あ、まだあるんですね。まだありました。はい、これが「まさかのこれが無料でいいの…?」ってことで、話題の音楽生成AI「Treblo」、「トレブロ」って読むのかな、が無料で利用可能ってことで、また出てきました。

で、高品質のボーカルが特徴だってことなんですけど、ただね、曲の長さはまだ2〜3分ぐらいしか作れないので、いわゆるフルではまだできないんですけど、ただね、いわゆる無料でここまでできてで、フルになったら多分有料プランになるというような、多分誘導じゃないかなと思うんですけど、どんどん出てきますね。

レビュー内容をもとに整理された第一印象は次の通りです。

  • ボーカルの質感がかなり自然
  • 本当に人が歌っているような歌い回し
  • 音が太く、AIっぽさが少ない
  • レビューでは「Sunoを超えているかも」と高評価

Trebloの特徴としては、プロンプトから楽曲を生成、現時点では無料で使えると紹介、2曲同時に生成する挙動、API連携の可能性にも言及、最新バージョンは「V3」と紹介、といった点が挙げられています。

検証内容は「90年代R&B/ネオソウル系」でのテスト。90年代US R&Bをイメージした曲作りを、Gemini/ChatGPT/Claudeで参考情報やプロンプトを作成し、Claudeで特徴多めのプロンプトを設計、シンプル版と描写多め版の両方を試用した、という流れです。

試聴して分かったことは、90年代R&Bらしい空気感はしっかり出る、ネオソウル感は完全に一致ではない、それでも全体の質感はかなり高水準、ブレスやニュアンス表現が自然、他ジャンルでも試す価値が高い、ということでした。

使い勝手・機能面では、生成時間は約2〜3分でやや長め、MP3/WAV/FLACでダウンロード可能、ステム書き出しにも対応、編集系機能は「Coming Soon」表示あり、となっています。注意点としては、一部の解釈がズレる場面あり、メロディ面はブラッシュアップの余地あり、まだベータ的な不安定さを感じる部分もある、とのこと。

総評は、無料とは思えない完成度。特にボーカルの自然さと音の質感は大きな魅力。細かな精度や解釈には改善余地があるものの、今後の進化が非常に楽しみな音楽生成AI、ということですね。

ステップ19:ここまでの参入プレイヤーを一望する

ということなんですよね。ということで、今ね、ざっと見た限りで、Googleでしょ、そしてこちらElevenLabsでしょ、そしてアリババでしょ、そしてMiniMaxでしょ、そしてこのotojamでしょう。そしてこちらTrebloということで。

いや、やばいね。やばいです。

サービス提供元特徴
Lyria 3.5 / Flow MusicGoogleワンストップ制作、Veo連携、SynthID
ElevenMusic / ComposerElevenLabsセクション単位編集、声の強み
HappyShrimp 1.0アリババ中国レーベル提携、自社インフラ
Music3MiniMaxオープンウェイト無償、ローカル実行
otojam株式会社FYNA(愛知県)日本語特化UI、無料プランあり
Treblo無料・高品質ボーカル・ステム対応

わずか1〜2ヶ月の間に、これだけのプレイヤーが名乗りを上げたわけです。


データが暴いた現実──7月リリース曲の約40%にAIが関与していた

ステップ20:100万曲以上を分析した調査結果を見る

はい、そしてこちらですね。これも面白くてですね、「7月にリリースされた曲の約40%にAIが関与した」ってことがですね、100万曲以上を分析した最新調査結果で分かったということで。

調査したのはSubmitHubというプラットフォームです。音楽を広めたいアーティストと、音楽を紹介するキュレーターをつなぐオンラインプラットフォームですね。7月に100万曲以上のサンプルを分析し、独自のAI音楽検出ツール「SH Labs」で判定した、という調査です。

これ面白くて、内訳はこうなっています。

区分割合
完全にAI生成23.2%
AI生成オーディオを人が修正・処理15.3%
合計(AI関与)約38.5%(≒約40%)
AI関与なし/判定されず61.5%

完全にAIで生成しているものが、なんと全体の23.2%あって、で、AI生成を人が修正して処理しているというものが15.3%で、合わせて38.5%、約4割がAIが関与している曲だと。で、残りの**61.5%**はAIが関与してないよってことになってるんだけど──

ただね、いわゆるアイデア出しをして、AIでアイデア出しをして、でそれを元に自分が作ってる場合ってのはこれに入らないので、実はもうちょっといっぱいあるんじゃないかなと僕は思ってますけどね。というアンケート結果が出てます。

ステップ21:「一切使っていない」と答えた31%の意味を考える

はい、アーティストの31%は問い合わせに対して「AIツールは一切使ってない」と回答したということなんだけど、で、ということは逆に69%はもう使ってるんじゃんって話なんでね、ということですよね。

正確には、SubmitHubでリリースされた楽曲のうち「AIが含まれている」と判定されたアーティストの31%が、問い合わせに対して「AIツールは一切使っていない」と回答した、ということです。検出基準が厳しすぎる可能性も指摘されている、という注意点も添えられていました。

まとめとしては、AI音楽は「完全生成」だけでなく「人間が仕上げるハイブリッド制作」まで広がっている。一方で、検出精度や判定基準には今後も議論の余地がある、ということですね。

なお、SH Labsは6月に公開されたAI音楽検出ツールで、BandcampやTraxsourceでも使用されています。

ステップ22:Deezerが「AI楽曲検出ツール」を無料公開した

はい、続いてこちら、「自分のプレイリストにAI楽曲は何曲あるのか」ということで、Deezerというサービスが、Spotify、Apple Music、YouTube Musicなどに対応した無料のAI音楽検出ツールを公開っていうことですね。これすごくてですね。

無料ツールの公開は2026年6月11日、対応は20以上のストリーミングサービス、言語は27言語対応、URLは deezer.com/explore/ai-music-detector/ となっています。Spotify、Apple Music、YouTube Music、Amazon Musicなど20以上のサービスのプレイリストをスキャンし、最大100プレイリストまでAI生成楽曲を検出できます。

流れとしては、Deezerは2025年6月から自社でAI音楽の検出・タグ付けを開始し、2025年中に1,340万曲以上のAI生成楽曲を検出・ラベリング、そして2026年6月11日に他社サービスの利用者にも無料公開した、という時系列です。Deezer CEOのAlexis Lanternier氏は、どのプラットフォームを使っていても自分のプレイリストにAI楽曲が含まれているか確認できるようにした、と語っています。

ツールの使い方は4ステップです。

  1. アカウント連携
  2. 最大100プレイリストをスキャン
  3. AI生成楽曲を検出
  4. 自分のプレイリストの実態を見える化

ステップ23:Deezerの注目データに驚く

はい、他のサービスからDeezerに移行して、ユーザーのうちの**すでにAI楽曲をプレイリストに持っていた人がなんと43%いる。そしてブラインドテストでAI生成音楽と人間の音楽を聞き分けられなかったリスナーが97%**いる。

だから曲、いい曲だからって入れてるんだけど、AIかどうか分からないで入れてるってことですよね。

で、AI生成音楽は明確にラベリングすべきだと回答した人が8割だと。それはそうですね、聞き分けられないから、なんかAIが作ったって嫌なんでしょうね。僕はこの感覚はこうないんですけど、こう思ってるそうです。

で、**Deezerに毎日アップロードされる楽曲のうちのAI生成の割合が44%**あるってことで、いや、すごいですね。いよいよって感じで。

指標数値
他サービスからDeezerに移行したユーザーのうち、すでにAI楽曲をプレイリストに持っていた割合43%
ブラインドテストでAI音楽と人間の音楽を聞き分けられなかったリスナー97%
AI生成音源は明確にラベリングされるべきと回答80%
Deezerに毎日アップロードされる楽曲のうちAI生成の割合44%

さらに補足データとして、AI生成楽曲のストリーム比率は全体の1〜3%、検出されたAI楽曲ストリームの**最大85%は不正(bot操作など)**とされる、という数字も出ています。

なぜ重要かというと、これまで見えなかった「AI楽曲がどれだけ混じっているか」を可視化した点、フェアな収益分配や不正対策を加速させる点、リスナーが「知った上で選ぶ」ための判断材料になる点、が挙げられます。

一方で、論点・異なる見方もあります。見える化の意義としては、AI音楽を排除するのではなく中立的に情報提供する、AI楽曲を聴きたい人も避けたい人にも有効、Deezerは自社ではAI検出機能付き楽曲をアルゴリズム推薦から除外している、という点。マーケティングの側面としては、他サービスは管理していない、Deezerは管理しているという差別化、乗り換え促進につながる可能性、Spotifyは2026年4月に「Verified by Spotify」バッジを導入したが自動検出・ラベリングには未対応、といった点です。

まあでもね、なんかこの流れと大きく分離するって流れがあるので。どうなんでしょうかね。

今後どうなるかとしては、SpotifyやApple Musicにも透明性対応の圧力が強まる可能性、AI音楽ラベリングの標準化が次の焦点、検出精度99.8%は理想的な数値でモデル更新のイタチごっこで今後も変化しうる、といった見立てです。作り手・聴き手への示唆は、聴き手へは一度スキャンしてみる価値がある、「知りたくない」ではなく「知った上で選ぶ」という新しい選択肢が生まれた、作り手へは検出技術は無視できないもので透明性が前提になる、「AI作品として認められる」文脈づくりが長期的には重要、ということですね。

ステップ24:AI音楽アーティストに「1万時間の法則」を当てはめてみる

はい、続いてこちら、「AI音楽アーティストに当てはめる1万時間の法則」ってことで、ここに書いてます。

一流レベルに到達するには長時間の意図的な練習が必要という考え方があって、大切なのは時間の長さだけでなくて質の高い反復であるということで。

ただ僕みたいに毎日音楽作ってる人っていうのは、例えば1日2時間やったとすると、で、今僕1300曲を作ってますよね。1300を2で割ってもらうと、650日で、2曲を作るのに3時間かかったとすると、650×3時間かかった、1950時間で、まだ2000時間だから、全然1万時間経ってないですね。

なので、まだまだ修行がいるということですね。なので、計算上は5000曲作らないとですね、一応プロと言えないということになりますね。

いわゆるポン出ししたんでは5分ぐらいとか、数分で、数秒とかできちゃうわけだから、これだったら1万時間なかなかいかないですよね。

ステップ25:AI時代の「1万時間」の内訳を見る

で、内訳はこうなっています。

領域割合
発想・世界観25%
選別・審美眼20%
プロンプト設計15%
編集・磨き込み15%
発信・コミュニティ15%
分析・改善10%

簡単だけど、そうですね、これに従ったら全体の、そうですね、この7割ぐらいが実際に創作に関わってる部分じゃないかなと思うんだけど、これはね、なんとなく合ってるんだけど、僕の場合はね、発信・コミュニティ、分析・改善が結構時間を食ってます

というのは、結局動画、MVを作ったりとか、SNSの投稿をしたりするのが多すぎて時間がかかってる気がしますね。

従来の音楽家とAI音楽アーティストの違いも整理されていました。

従来の音楽家AI音楽アーティスト
演奏技術コンセプト設計
作曲力プロンプト力
編曲選曲・審美眼
録音・ミックス編集・仕上げ
長い反復練習発信・ブランド作り

AIは制作時間を短縮するが、表現力の差はなくならない、というのがポイントです。

AIで「減る時間」は、ゼロからの打ち込み、単純作業、試作コスト。AIで「増える時間」は、試行回数、比較と選別、独自性の磨き込み、継続的な発信。速く作れるほど、「選ぶ力」が重要になるというわけですね。

結論としては、AIは「近道」を増やすが「実力」を不要にはしない、1万時間は消えるのではなく「再配分」される、差がつくのは技術だけでなく「審美眼」と「世界観」、AI音楽アーティストの成長=生成回数 × 振り返り × 一貫した発信、ということでした。AI時代の1万時間とは、演奏の反復だけでなく「選ぶ力」「磨く力」「伝える力」の蓄積である、と。

ステップ26:AI音楽の収益化が「現実」になった

はい、次です。「AI音楽の収益化は『可能性』から『現実』へ」ということで。

現在ですね、ここですね。Spotifyで上位10組のですね、こちら、データが出ています。AIミュージック登録アーティストの上位の人のですね、稼ぎが出ております。238万ドルだということですね。そして、YouTube上位10組は370万ドルということです。すごいね。こんなに稼げるんですかね。

これはKapwingの収益推計レポートが示すAIミュージック市場の現在地というものです。KapwingがAIMChartsの登録アーティストのSpotify・YouTube再生数を集計し、業界標準レートで収益を推計したものですね。

推計の前提となる業界標準レートは、Spotifyは1ストリームあたり0.004ドルYouTubeは1,000回再生あたり2.12ドル(約2ドル)です。

プラットフォーム上位10組の推定収益再生規模
Spotify上位10組約238万ドル約5億9,500万ストリーム
YouTube上位10組約370万ドル約17億5,000万再生
合計約610万ドル

稼いでる人はここに今、名前が出てるんだけど、そうですね、38万ドル稼いでる、YouTubeのトップのCherry 葵 Nightcoreさんは200万ドル稼いでるんじゃないか、というようなデータが出ておりますね。

具体的なトップ稼ぎ手は次の通りです。

  • Spotifyトップ:Enlly Blue — 推定38万800ドル、約9,520万ストリーム。1950年代ブルース風の合成ペルソナ
  • YouTubeトップ:Cherry 葵 Nightcore — 推定200万ドル、約9億4,100万再生。AIアーティスト定義を巡る議論も
  • Masters of Prophecy — 全プラットフォームで3,610万フォロワー、2026年2〜6月の4ヶ月でYouTube登録者3,000万人増とされ、一部で不自然な成長パターンを指摘

ちょっとこういう数字を見るとですね、なんか頑張ろうかなって気がしてきますよね。

ステップ27:規模感を冷静に見ておく

ただ、なぜ重要かという文脈も押さえておくべきです。2025年の世界録音音楽市場は約290億ドル(IFPI推計)。それに対して610万ドルは市場全体の0.02%未満にすぎません。

インサイトとしては、①規模はまだ小さい、②ただし「AI音楽で稼げる」ことは証明された、③上位10組以外にも五桁〜六桁ドル級の収益アカウントが存在する可能性、という3点。

現実の構造としては、稼ぐ上位アーティスト(ごく一部)がいる一方で、大多数のAI楽曲はほぼ聴かれない。上位は数百万円でも、裾野の多くは収益ゼロに近い。Deezerは2026年5月時点で、アップロード楽曲の40%以上がAI生成と報告しています。

論点・異なる見方も3つ挙がっていました。①定義の揺れ(人間がDAWで仕上げた作品でもAI楽曲扱いのアーティストなのか)、②成長の正当性(急成長は推薦アルゴリズムか購買行動か、外部からは判断しにくい)、③収益の帰属(合成ペルソナが稼いだ利益はアップローダーに集中し、代替された声やスタイルの原作者には入らない)。Spotifyは2026年7月にAIスパム対策ポリシーを強化しています。

今後どうなるかとしては、AI検出・ラベリング・収益制限の強化 → 発見可能性が下がる可能性 → 露出が減り再現しにくくなるアーティスト(例:King Willonius/The Professor Nick Harrison)、という流れ。ただし、ニッチ特化・「人間の顔」が見えるアーティストは選択されやすい、ファンとの信頼関係がより重要、とされています。

作り手・聴き手への示唆は3点です。①AIで音楽を作って稼げるのは、もう事実。実際に数百万ドル規模の収益が生まれている。②ただし、稼げるのは一部。量産だけでは埋もれる。聴かれなければ、収益は生まれない。③収益につながる共通点は「一貫したペルソナ」「ジャンル特化」「コミュニティ形成」「人間との接点」。

ツールが手軽になっても、聴かれるための戦略は変わらない、ということですね。


ルールと市場がつくり直されていく──ラベル義務化と収益の再分配

ステップ28:「GACKTの声が聞こえない問題」から声の特性を学ぶ

はい、続いてこちらですね、「GACKTの声が聞こえない問題」。

これ今ドラマに出てるんだけど、GACKTの声がいかにね、特異な声かっていうのがですね、これで面白い研究結果が出てるので、詳しく見といてください。ということですね。

概要を簡単に整理しておきます。前回の【ブラックトリック】放送後、一部の視聴者から「GACKTの声が聞こえない」という声が少数ながら上がった、というのが発端です。

  • 確認結果:音声トラブルではなかった。関係者にも確認したが全員「問題はない」という回答。デジタルメーターの上でも、GACKTの声の音量は他の役者と同じだった
  • 原因:「声の周波数特性」にあった。GACKTの声が持つ周波数は少し特殊で、洗濯機・クーラー・扇風機などの生活音と干渉しやすいことが分かった
  • どういう時に起きるか:視聴環境によっては、生活音と干渉することで声が聞こえづらくなることがある
  • 対策:今回からは、その特性を考慮し、EQで補正した音声が使用される

AI音楽をやっている人間からすると、これは他人事ではありません。ボーカルの帯域設計、生活音との干渉、EQ補正という一連の話は、そのままミックスの話ですからね。

ステップ29:Tygaが新アルバムをAI制作と公言した

そしてTygaさんという方がですね、ニューアルバムはAIで生成したと公言したところで、Instagramのフォロワーが4600万人いるという人気ラッパーがもうAIを使ってるよって、これ堂々と言う時代がやってきたってことですね。

出典はPitchforkの「Tyga Admits to Making New Album $tarface With AI: “I Don’t Care”」で、2026年8月7日の記事です。

Tygaは新アルバム「$tarface」でAIを使ったことを認めました。音楽ファンの間で広がっていた「AI使用疑惑」を本人が公言した形です。本人の主張は次のようなものでした。

  • 「良ければそれでいい。嫌なら嫌でいい。I don’t care
  • AIは”ごまかし”ではなく、音楽制作のためのツール
  • Auto-Tune登場時と同じ。結局、使いこなすのは本物のアーティスト

AIを使った具体例としては、80年代風シンセが欲しい場面でAIを活用、ギターソロを素早く用意するためにも使用、一方で作詞とボーカルはすべて自分だと説明しています。

なぜ話題かというと、AIはどこまで「創作」なのか?という議論を再燃させたから。音楽業界でAIが「補助ツール」として定着する流れを象徴しているから。そして「人が作る部分」とAIが「支える部分」の線引きが焦点になっているからです。

今回の発言は、AIを隠して使う時代から「公言して使う時代」への転換を示す象徴的な出来事です。TygaはAIを作品そのものの代役ではなく、制作スピードや音の表現を広げる補助ツールとして位置づけている、という解説がなされていました。

ステップ30:Spotifyが識別ラベル「AI Persona」を導入した

はい、「Spotify、AI生成アーティスト識別ラベル『AI Persona』導入」ってことで、もうね、識別が始まってますね。

AIが生成したアーティストの公開アイデンティティを明示し、リスナーへの透明性を高める新表示です。ポイントを5つに分けて整理します。

A. 何を示すラベルか

  • AIによって生成された「人間のようなアイデンティティ」のアーティストプロフィールに適用される
  • 目的はリスナーへの透明性向上
  • 楽曲の制作方法そのものを示すラベルではない

B. 表示される場所と時期

  • 9月中旬から表示開始
  • アーティストプロフィール
  • 検索結果
  • プレイリスト内のトラック項目

C. ラベル付与の仕組み

  • アーティストは「Spotify for Artists」から自己開示できる
  • Spotifyは自己申告だけに頼らず、人によるレビューやAI調査ツールで確認する
  • Spotify側からラベル付与時は通知される
  • 開示または異議申し立ての機会もある

D. リスナーが確認できること

  • バッジをタップすると詳細を確認可能
  • 「本人が開示」か「Spotifyが審査」かが分かる

E. 推薦への影響

  • 「AI Persona」アーティストの楽曲はデフォルトで推薦対象外
  • エディトリアル推薦の対象外
  • アルゴリズム推薦の対象外

重要な注意点として、「AI Persona」はアーティストの**”公開アイデンティティ”に関する表示**であって、楽曲がAIで作られたかどうかを示すものではない、ということです。ここは誤解されやすいところですね。

ステップ31:Spotifyは「生成AI使用コンテンツ歓迎、粗悪品は取り締まり強化」

で、「生成AI使用コンテンツ歓迎、粗悪品は取り締まり強化」ってことで、ちゃんとね、分解して分離していくって動きが進んでますですね。

8月11日の発表の内容はこうです。AIアーティストのプロフィールに「AIペルソナ」ラベルを表示する。このラベル付きアーティストの楽曲はレコメンデーションから除外する。ただしラベルは「公的アイデンティティ」に関するものであり、音楽がAIで制作されたかどうかを示すものではない。

つまり「AIペルソナ・バッジ=誰が活動しているか」であって、「制作方法=AI使用の有無」とは別、ということですね。同じ意味ではないのです。

粗悪品・スパムへの対策としては、Spotifyのアーティスト・マーケティング・ポリシー担当責任者サム・デュボア氏(7月、ABCニュース)が「粗雑なコンテンツ、スパム、手抜きコンテンツは誰も望んでいない」とコメントしています。

そして過去12ヶ月で7,500万曲を削除したという数字が出ています。スパム的な楽曲が対象です。検知 → タグ付け → おすすめから完全除外 → 悪質なスパムは削除、という流れですね。

編集長コメントが示す本質としては、公称カタログは1億曲超で、削除数7,500万曲は「全カタログの約7割規模」に相当する。表からは見えないが、舞台裏では大規模な攻防が続く。不正の動機は再生数に応じた使用料。AI大量生成とAIエージェント自動化が手口を拡大。対抗策は多層化(検知/除外/削除/人間認証/AI人格ラベル)。配信使用料の仕組み自体の再設計も論点になりうる──といった指摘がありました。

Tubefilterの分析では、Spotifyは生成AIコンテンツを歓迎しているように見える。ただし重要なのは”アップロード前のブランド設計”。ユーザーは自分のパーソナルブランドを明確にしておく必要がある、とされています。明確なブランド設計が信頼と発見につながる、というわけです。

結論としては、生成AIを使った音楽そのものは否定していない。粗悪品・スパム・手抜きコンテンツは検知・除外・削除する。問題は「誰が作ったか」より「何を出すか」。レコメンド健全化がSpotifyの最優先、ということですね。

ステップ32:コバルトとの契約で「AI二次創作の公式市場」が動き出す

そして「コバルトとライセンス契約締結」ってことで、AIカバー・リミックス作成ツールの布陣がこれで拡大していくということですね。

Spotifyは8月13日Kobalt Music Groupとライセンス契約を締結しました。対象は、AIを活用したカバー曲・リミックス作成ツール。独立系音楽出版社の有力プレイヤーが参加した形です。

提携先の拡大は着実に進んでいます。

時期提携先
5月UMG
8月Merlin
8月13日Kobalt

今回で主要提携は3件目。構想実現に向けた布陣が着々と整っています。

関係者にとってのメリットは三方に及びます。ファンは公認の場で創作できる。権利者は既存印税に加えて新たな収益源を得る。Spotifyは創作・再生・収益化が循環する新市場を形成できる。

注目ポイントとして、編集長の視点が紹介されていました。この構想の本質は、ファンの二次創作に”公式の市場”を作ること。YouTubeがContent IDで無断アップロードを収益化へ転換したように、Spotifyは音楽版の共存モデルを最初から設計しようとしている。ファンが作り、権利者が潤い、場が賑わう”三方良し”が成立するかは、ツールの出来と運用にかかっている──と。

KobaltのローランCEOは「倫理的なトレーニング、公正な報酬、意図的に設けられた安全策を基盤として構築されている」とコメントしています。

結論としては、SpotifyはAI二次創作を「許諾+分配」の仕組みで公式市場化しようとしている、ということです。

ステップ33:LINE MUSICが「ディスカバー」を提供開始した

はい、そしてこれも注目なんだけど、「LINE MUSICがディスカバー提供開始」ということで、いわゆるLINE VOOMは9月末で終わるんだけど、音楽の方に関してはショート動画機能を始めるってことなんですね。

「LINE MUSICディスカバー」とは、ショートMVや短尺の音楽がフィード形式で自動再生される新機能です。アプリをスワイプするだけで、好みに合った曲や最新トレンド曲に出会える。気になった曲はそのままフルバージョンで再生できます。約300万曲が集まる新しい音楽との出会いという打ち出しですね。

  1. スワイプするだけで、音楽との出会いが広がる:縦・横にスワイプするだけ。上下スワイプで次の楽曲へ、左右スワイプで関連する楽曲へ。無料ユーザーは視聴可能のみとなり、フル再生には有料プランへの登録が必要です
  2. 使うほどに、あなただけのトレンドフィードに進化:アプリ内の利用(楽曲の再生、いいね、My推し設定など)の傾向を学習し、あなたの「好き」をどんどん理解。自分だけのトレンドフィードに進化していきます
  3. あなたの利用状況に合わせて、表示内容が変化:楽曲再生履歴がないユーザーにはランキングを中心としたトレンド曲を表示。再生履歴が蓄積されると、個人の好みに合わせた楽曲を表示

これは僕らが普通にできると思うんですけど、このね、LINE MUSICに普通に僕らがやるにはどうしたらいいかってこともね、ちょっと研究していきたいなと思ってます。

ステップ34:「良いミュージックビデオとは何か」を考える

はい、そして「良いミュージックビデオとは何か」ってことについてですね、解説したものがあったのでまとめていました。これをゆっくり、また皆さんね、ご覧になっていただければと思います。

第1章は、Spotifyデータが示すことです。

指標効果
動画ありの曲は、なしの曲より3週間以内にもう一度聴く確率が64%増える
保存・共有・プレイリスト追加の確率が1.4倍
同じアーティストの他の曲を聴く確率が57%高くなる
動画を見たスーパーリスナーは同じアーティストの音楽を62%多く再生し、平均1時間40分追加再生

映像は再生回数だけでなく、リスナーを何度も音楽に引き戻す、というわけです。

第2章は、1枚絵やリリックビデオは悪くない、という話。OKな考え方は「曲の世界観に合う」「歌詞が読ませる」「その曲に最適な表現として選んでいる」。もったいない考え方は「作りやすいから」「短時間で済むから」「なんとなく選んでいる」。重要なのは”何を選ぶか”より”なぜ選ぶか“です。

第3章は、映像は歌詞を説明するものではない、という話。映像の役割は”説明”ではなく”余白“。景色・光・色・空気感が、リスナーの想像を引き出す。最後のピースは、受け手の心の中で完成する。全部を見せすぎないことが、音楽の世界を深くする。

第4章は、AI時代に気をつけたいこと。派手すぎるCGは、曲より映像が前に出てしまう。完璧すぎる人物表現は、不気味の谷を生むことがある。景色・街並み・小物・アニメ/イラスト表現を混ぜると、自然に世界観へ入れる。大切なのは”すごい映像”より”自然に音楽へ没入できる映像“。

まとめとして、良いMVの3条件は、①映像が音楽の邪魔をしていないか、②映像が音楽より前に出ていないか、③映像が音楽の世界を広げているか。良いミュージックビデオとは、映像に没入させる作品ではなく、映像の力で”音楽の世界へ没入させる作品”である、ということですね。

ステップ35:音楽メディアから「書く人」が消えていく

そして「音楽メディアから『書く人』が消えていく」ってことですね。今ですね、大量解雇が起きてるっていう背景なんかも説明しときました。

2026年8月4日、米国の音楽メディア4媒体で大規模な人員削減が実施され、編集者、カメラマン、SNS担当者など、ほぼ全スタッフが解雇されたと報じられています。対象となったのは、BrooklynVeganAlternative PressRevolverGoldmineの4媒体です(正確な人数は未公表)。

なぜ一斉に解雇されたのか。構図はこうです。Live Nation(世界最大のコンサート・プロモーター)とVeeps(ライブ・ストリーミング企業)が、4つの音楽メディアを買収(2024〜2025)。約1年半後、記事を書くスタッフを削減した、と。親会社にとっての価値は「読者」と「アーカイブ」。取材して記事を書く人は、コスト・センターとして切り捨てられた可能性がある、という見立てです。

失われるものとして、①現場取材(実際にライブハウスへ足を運ぶ記者)、②アーティスト発見(新しい音楽との出会いの導線)、③シーンの記録(熱量や文脈を残す批評・アーカイブ)が挙げられています。

音楽メディア(Web)の二極化も進みます。大手メディアは流行中の話題でアクセスを集め、広告収入に依存。小規模・独立系メディアは読者支援・情熱・コミュニティで成り立つ。その間にある中間層メディア──ライブハウスにカメラマンを派遣し、ローカルシーンに深く根ざす存在──が消滅の危機にある、と。AI検索の普及によるアクセスの崩壊、広告モデルの限界、コスト増などで、経済的に成り立ちにくくなっている、という背景ですね。

今回の構図は、プロモーターがメディアを所有し、最も重要な「取材と批評」の機能が削られていく、というもの。ドメインや過去記事は残っても、新たに書く人がいなくなる可能性があります。

一方でDIYメディアの存在意義も語られています。収益化は難しく、多くはボランティアに近い運営。スポンサーや大企業に依存しないからこそ、自由に書ける。アクセス数やアルゴリズムに左右されない熱量や文脈を残せる。独立した記録者の存在が、音楽シーンの多様性を支える、ということですね。

ステップ36:EUがAI生成コンテンツにラベル表示を義務化した

そして、「EUはAI生成コンテンツにラベル表示の義務」っていうのが8月2日から始まってます。これがね、実はAI音楽においても、いわゆる生成AIにおいても大きいニュースなんですよね。

欧州連合(EU)で8月2日、AI法に基づく透明性規則が発効しました。AI生成・加工コンテンツを識別できる表示が義務化されたのです。受け手が「AIかどうか」を見分けられるようにするのが狙いですね。

誰に何が義務づけられるのか。

対象義務
プロバイダー(開発・提供企業)人間ではなくAIとやり取りしていることを、明らかでない限り明示的に通知する。合成された音声・画像・動画・テキストに、AI生成または加工と検出できる機械可読マークを付与する
デプロイヤー(利用するプラットフォーム・サービス)本物のように見せたAI生成/改変の画像・音声・動画、いわゆるディープフェイクにラベル表示が必要

違反時のリスクは重大です。最大1,500万ユーロ、または世界売上高の3%。日本円の目安で約27億2,900万円とされています(規則に準拠しない企業に科される可能性)。

適用スケジュールは2段階です。8月2日以降にEU市場へ投入される新規AIシステムは直ちに適用8月2日以前にリリース済みのモデル・サービスは、準拠まで4ヶ月の猶予期間が与えられます。

EUと米国のアプローチの違いも興味深いところです。EUは法で義務化する方式で、表示義務を法的に強制し、違反には重い罰則、透明性を確実に担保しやすい。一方、米国音楽業界は自主ルール整備の方式で、配信各社の業界団体がAI開示やタグの標準化を歓迎、楽曲データにAI使用度合いを記す方向、柔軟だが抜け穴が残る可能性がある、と。

編集長コメントとしては、EUは「AIであることを受け手が知れる状態」を法で担保しようとしている。一方、米国は業界の申し合わせによる標準化を進める。どちらも目指すのは透明性だが、EUは強制力、米国は柔軟性が特徴。日本が今後ルールを設計するうえで、両者の動きは重要な教材になりそうだ──とまとめられていました。

ということで、今日はAIに関するニュースをですね、集めて紹介させていただきました。これで直近1ヶ月分です。


おわりに

今回は、2026年8月までのAI音楽ニュースを、Suno以外に絞って一気に振り返りました。GoogleがLyria 3.5とFlow Musicで「制作を1か所で完結」させにきて、ElevenLabsがComposerでセクション編集に踏み込み、アリババがHappyShrimpで中国市場を固め、MiniMaxがMusic3をオープンウェイトで無償公開し、日本からはotojam、さらにTrebloまで登場しました。わずか1〜2ヶ月で、これだけのプレイヤーが並んだわけです。

そしてデータが示す現実も強烈でした。7月リリース曲の約40%にAIが関与、Deezerでは毎日のアップロードの44%がAI生成、ブラインドテストでは97%が聞き分けられない。一方でSpotifyは「AI Persona」ラベルを9月中旬から導入し、過去12ヶ月で7,500万曲を削除。EUは8月2日からラベル表示を義務化しました。作る側の選択肢が増えると同時に、ルールの側も一気に整い始めています。

私自身、1300曲を作ってもまだ1950時間、1万時間には全然届いていません。ツールがどれだけ手軽になっても、聴かれるための戦略は変わらない。だからこそ、毎日作り続けることに意味があると思っています。また来月も頑張っていきたいと思いますね。よろしくお願いします。ネットビジネスアナリスト横田秀珠でした。


まとめ

  • Google「Lyria 3.5」(2026年7月29日発表)は音楽性・歌詞・ボーカル・クリエイティブコントロールの4点で進化。革命的変化ではなくクオリティ向上と捉えるのが妥当。Flow Music/Vertex AI/Google AI Studioで提供、SynthID電子透かしを埋め込み
  • Google Flow Musicは7月24日、「Spaces」に楽曲生成・編集機能を追加。楽曲作成・編集、ステム分割、画像生成、歌詞生成、動画生成が1か所で完結。Sunoの「自動販売機型」に対し「工房型」という思想の違い
  • ElevenLabs「Composer」(8月25日発表)はセクション単位で編集・再生成、他の部分に不干渉で差し替え可能。音声合成の世界的大手が黒字事業を背景に音楽へ本格参戦
  • アリババ「HappyShrimp 1.0」(8月17日発表)はTaihe Music Groupと提携。ただし学習データの範囲は不透明で、世界中の音楽を学習している可能性も
  • MiniMax「Music3」(2026年8月14日)はオープンウェイトで無償公開。日本語ボーカル対応、最大5分、ローカル実行なら生成回数無制限。AI音楽が「アクセスする」から「持つ」時代へ
  • otojam(愛知県・株式会社FYNAが6月30日公開)は日本語特化。無料50クレジット/日、月額980円・2,980円プラン。ACE-Step 1.5とLyria 3 Pro Previewを採用
  • Trebloは無料で高品質ボーカル。2〜3分まで、MP3/WAV/FLAC、ステム書き出し対応。最新はV3
  • SubmitHub調査:7月リリース曲のうち完全AI生成23.2%+人が修正15.3%=約38.5%(約40%)にAIが関与。判定されたアーティストの31%は「AIは一切使っていない」と回答
  • Deezerの無料AI検出ツール(2026年6月11日公開、20以上のサービス・27言語対応)。移行ユーザーの43%が既にAI楽曲を所持、97%が聞き分け不能、80%がラベリング必要と回答、毎日のアップロードの44%がAI生成
  • 1万時間の法則:横田は1300曲・約1950時間で、プロと言うには計算上5000曲が必要。内訳は発想・世界観25%、選別・審美眼20%、プロンプト設計15%、編集・磨き込み15%、発信・コミュニティ15%、分析・改善10%
  • AI音楽の収益化:Spotify上位10組で約238万ドル、YouTube上位10組で約370万ドル、合計約610万ドル。ただし世界録音音楽市場約290億ドルの0.02%未満。Spotify 1ストリーム0.004ドル、YouTube 1,000回再生2.12ドル
  • Tyga(Instagramフォロワー4600万人超)が新アルバム「$tarface」のAI使用を公言。「AIを隠して使う時代」から「公言して使う時代」へ
  • **Spotify「AI Persona」**は9月中旬から表示開始。公開アイデンティティに関する表示であり、楽曲がAIで作られたかを示すものではない。ラベル付きはデフォルトで推薦対象外
  • Spotifyは過去12ヶ月で7,500万曲を削除(公称カタログ1億曲超の約7割規模)。生成AI自体は歓迎、粗悪品・スパムは取り締まり強化
  • Spotify×Kobalt(8月13日)でAIカバー・リミックスツールの布陣が拡大(5月UMG、8月Merlin、8月13日Kobaltで3件目)。AI二次創作を「許諾+分配」で公式市場化へ
  • LINE MUSICディスカバー提供開始。LINE VOOMは9月末終了、音楽側は約300万曲のショートMVフィードへ
  • 良いMVの3条件:映像が音楽の邪魔をしていないか、音楽より前に出ていないか、音楽の世界を広げているか。動画ありの曲は再聴確率が64%増
  • 音楽メディアの大量解雇(2026年8月4日、BrooklynVegan/Alternative Press/Revolver/Goldmine)。Live NationとVeepsによる買収から約1年半後
  • EU AI法の透明性規則が8月2日発効。違反時は最大1,500万ユーロまたは世界売上高の3%(約27億2,900万円)。既存モデルには4ヶ月の猶予

よくある質問

Q1. 結局、SunoとGoogle Flow Musicはどちらを使えばいいのでしょうか?

A. 目的次第です。Sunoは言葉を入れると完成曲が返ってくる「自動販売機型」で、手軽さと即時性が強みです。とにかく数を回したい、思いついた瞬間に形にしたいならSunoが向いています。一方Google Flow Musicは会話しながら編集を重ねる「工房型」で、楽曲の作成・編集、ステム分割、画像生成、歌詞生成、動画生成までSpaces内で完結します。MVまで作るなら、あちこちのツールを行き来しなくて済むFlow Musicの利点は大きいですね。放送でも触れた通り、これはSunoにはできないことです。ただしどちらも実際に触らないと感覚は掴めないので、まずは両方試してみることをおすすめします。

Q2. MiniMaxのMusic3が「オープンウェイト」だと、具体的に何が嬉しいのですか?

A. モデルの重みを自分の手元に持てる、という点です。SunoやUdioはクラウド依存でクレジット消費型なので、価格改定や利用規約の変更、サーバーの状態に左右されます。Music3はローカル実行なら生成回数が実質無制限で、ネット接続が不安定でも使えます。日本語ボーカルにも対応し、最大5分の楽曲を一発生成できます。ただしフル活用には高VRAMのGPUが必要で、一般ユーザーには導入ハードルが高いのも事実です。またトレーニングデータの詳細は非公開なので、商用利用時はライセンス条件の透明性を確認しておく必要があります。

Q3. 「7月リリース曲の約40%にAIが関与」という数字は信用していいのでしょうか?

A. SubmitHubが100万曲以上を分析し、独自ツール「SH Labs」で判定した結果なので、規模としては十分なサンプルです。ただし注意点も指摘されていて、検出基準が厳しすぎる可能性があること、「AIが含まれている」と判定されたアーティストの31%が「AIツールは一切使っていない」と回答していることが挙げられます。逆に言えば69%は使っていることになります。さらに私の見方では、AIでアイデア出しをして、それを元に自分で作った場合はこの40%に入らないので、実態はもっと多いのではないかと思っています。数字は目安として捉え、幅を持って見るのがいいでしょう。

Q4. AI音楽で本当に稼げるのですか?

A. 「稼げる人がいる」のは事実で、「誰でも稼げる」わけではない、というのが正確な答えです。Kapwingの推計では、Spotify上位10組で約238万ドル、YouTube上位10組で約370万ドル、合計約610万ドル。YouTubeトップのCherry 葵 Nightcoreさんは推定200万ドルとされています。ただしこれは2025年の世界録音音楽市場約290億ドルの0.02%未満にすぎません。しかもDeezerの報告ではアップロード楽曲の40%以上がAI生成で、大多数はほとんど聴かれていません。収益につながる共通点として挙げられているのは、一貫したペルソナ、ジャンル特化、コミュニティ形成、人間との接点です。ツールが手軽になっても、聴かれるための戦略は変わりません。

Q5. EUのラベル表示義務は、日本でAI音楽を作っている個人にも関係ありますか?

A. 直接の義務対象は、AIを開発・提供するプロバイダーと、それを利用するプラットフォーム・サービス(デプロイヤー)です。個人クリエイターが即座に1,500万ユーロの罰則を受ける、という話ではありません。ただし影響は確実に及びます。使っているツール側がSynthIDのような機械可読マークを埋め込むようになり、SpotifyやDeezerといった配信側が検出・ラベリングを強化しているからです。Spotifyは9月中旬から「AI Persona」ラベルの表示を始め、ラベル付きはデフォルトで推薦対象外になります。つまり「隠して出す」戦略が成立しにくくなっていくということです。Tygaの「公言して使う」姿勢のように、透明性を前提にした上でどう作品として認めてもらうか、という文脈づくりのほうが長期的には重要になるはずです。

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年8月分(AI音楽ラジオ)②

🎼 Lyria 3.5
Googleが2026年7月29日に発表した音楽生成AIモデル。Flow Musicで提供が始まりました。モデル自体に劇的な変更はなく、曲調・歌詞・ボーカルの雰囲気をコントロールできる点が強化されています。革命的な変化というより、純粋にクオリティが底上げされたバージョンアップと捉えるのが実態に近いモデルです。

🎬 Google Flow Music
Googleの音楽制作ツール。Spacesに楽曲生成・編集機能が追加され、制作が1か所で完結するようになりました。楽曲の作成・編集、録音のステム分割、画像生成、歌詞生成、動画生成までツール内で完了します。複数サービスを行き来せずMVまで作れる点が、Sunoにはない大きな強みです。

🎚️ Composer(ElevenMusic)
音声合成で有名なElevenLabsが手がける音楽生成AI「ElevenMusic」に導入されたセクション編集ツール。楽曲をステム分離し、パートごとに個別編集できます。Sunoの「Suno Studio」に相当する機能で、音声・画像・動画に続きElevenLabsが音楽領域にも本格参入したことを示す動きです。

🦐 HappyShrimp(アリババ)
中国のIT大手アリババが公開した音楽生成AIのベータ版(1.0)。日本で言えばソフトバンクのような巨大企業の参入です。中国企業との提携が公表されていますが、学習データの範囲が不透明で、世界中の音楽を学習している可能性も指摘されます。クオリティ面で要注目の存在です。

🔓 Music3(オープンウェイト)
MiniMaxがオープンウェイトで無償公開した音楽生成AI。日本語ボーカルに対応し、最大5分の楽曲をローカル環境で生成できます。無料でここまでできるためネット上でも話題になりましたが、今後どうマネタイズするのかが読めない点も含め、業界の競争激化を象徴するモデルです。

📊 AI関与率38.5%
100万曲以上を分析した調査で判明した数字。7月リリース曲のうち完全AI生成が23.2%、AI生成を人が修正したものが15.3%で、合計38.5%にAIが関与していました。アイデア出しだけAIを使ったケースは含まれないため、実際の関与率はさらに高いと考えられます。

🕵️ Deezer AI検出ツール
音楽配信サービスDeezerが公開した無料のAI楽曲検出ツール。Spotify、Apple Music、YouTube Musicなどのプレイリストに対応します。調査では43%がすでにAI楽曲を保有し、97%がブラインドテストでAIと人間の曲を聞き分けられませんでした。Deezerへの毎日の投稿の44%がAI生成です。

🏷️ AI Persona
Spotifyが導入したAI生成アーティストの識別ラベル。生成AIを使ったコンテンツ自体は歓迎しつつ、粗悪な量産コンテンツは取り締まりを強化する方針です。さらにコバルトとライセンス契約を結び、有料アドオンで有名曲を合法的にAIカバーできる仕組みの整備も進めています。

⏳ 1万時間の法則
一流に到達するには長時間の意図的な練習が必要という考え方。AI音楽では1300曲・約1950時間の計算になり、プロを名乗るには5000曲相当が必要という試算も。内訳は発想・世界観25%、選別・審美眼20%、プロンプト設計・編集・発信が各15%、分析・改善10%とされます。

⚖️ EU AIラベル表示義務
EUで2026年8月2日から始まった、AI生成コンテンツへのラベル表示を義務づける規制。AI音楽に限らず生成AI全般に影響する大きなニュースです。聞き分けが困難になる中、8割が「AI生成音楽は明確にラベリングすべき」と回答しており、識別ルールの整備が世界的に加速しています。

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年8月分(AI音楽ラジオ)②

音楽生成AIとは何か?2026年に起きた地殻変動を整理する

音楽生成AIの基本構造と「一発生成」から「作り込み」への転換点

音楽生成AIとは、テキストプロンプトや歌詞、参照音源、画像などを入力として、メロディ・アレンジ・歌詞・ボーカルを含む楽曲を自動生成する仕組みを指します。技術的には、楽曲全体の長期的な構造を担う大規模言語モデル系のコンポーネントと、フレーム単位の音響的な細部を担うコンポーネント、そして潜在表現から実際の波形を合成するデコーダの組み合わせで構成されるのが主流です。たとえばMiniMaxが公開した「MiniMax-Music3」は、長期構造を担う8Bのグローバルモデル、フレーム単位の音響詳細を担う0.6Bのローカルモデル、Flow MatchingとFlow-VAEに基づく連続的な合成システムという三層構造を採り、32kHz・16bitのステレオ音声を出力します。かつてのAI音楽が「短い音片のつぎはぎ」と評されていたのに対し、現行世代はイントロ・バース・プリコーラス・サビ・ブリッジ・アウトロといった曲構成そのものを理解した上で生成する段階に到達しました。

2026年の最大の変化は、この「生成品質の競争」が一段落し、競争軸が「編集のしやすさ」へ移ったことです。2025年までの音楽生成AIは、プロンプトを入れれば完成品が返ってくる自動販売機型の体験が中心で、気に入らなければ再生成するしかありませんでした。ところが2026年後半になると、主要各社が一斉にセクション単位の編集機能を投入します。Suno StudioがMIDI対応を含む2.0へアップデートされ、GoogleがFlow Musicに楽曲編集を追加し、ElevenLabsがElevenMusicに「Composer」を導入した流れは、いずれも「一発で当てる」から「部分ごとに磨き込む」への転換を示しています。文書を編集するのと同じ感覚で楽曲のAメロだけを書き直す、サビだけキーを変える、ブリッジだけテンポを落とす——こうした操作が当たり前になりつつあるのです。

この転換は、音楽生成AIを使う側にとって決定的な意味を持ちます。生成の速さだけを比べる時代であれば、どのサービスを使ってもさほど差は出ませんでした。しかしセクション編集やステム分割が標準装備になると、「どこまで思い通りに歌わせられるか」「どこまで作り込めるか」がツール選定の基準になります。つまり音楽生成AIの主戦場は、生成エンジンの性能そのものから制作環境全体の設計へと移動しました。これから音楽生成AIを選ぶ人は、生成品質のデモ音源だけでなく、生成後にどれだけ手を入れられるかを必ず確認すべき段階に入っています。

2026年8月時点の主要プレイヤー勢力図とSuno一強が崩れた理由

2026年8月時点で、音楽生成AI市場は明確に多極化しています。プレイヤーを整理すると、クラウド型サービスの先行者としてSunoとUdioがあり、そこにGoogle(Lyria/Flow Music)、ElevenLabs(ElevenMusic)という大手AI企業が本格参戦しました。さらに中国勢としてアリババ(HappyShrimp)、MiniMax(Music3)、Kunlun Tech(Mureka)、ByteDance、Tencent Musicが控え、日本発のotojam、無料を武器にするTrebloといった新興サービスが加わります。わずか2か月ほどの間に、少なくとも6つの新しい選択肢が同時に浮上した計算になります。

Suno一強が崩れた理由は三つあります。第一に、技術的な参入障壁が急速に下がったことです。MiniMaxが2026年8月14日にMiniMax-Music3をオープンウェイトで公開したことで、モデルの重みを誰でもダウンロードし、ComfyUIなどのローカル環境で動かせるようになりました。これは画像生成分野でStable Diffusionが起こした構図と同じで、クラウドサービスの独占的な優位が構造的に揺らぐことを意味します。第二に、大手プラットフォーマーが「制作環境ごと囲い込む」戦略に出たことです。GoogleのFlow Musicは、楽曲生成・編集、ステム分割、画像生成、歌詞生成、動画生成までを一つのツール内で完結させる構成を採っており、複数サービスを行き来する必要がありません。第三に、権利処理の面で後発が先行者を追い越し得る構図が生まれたことです。

特に三点目は見落とされがちですが重要です。2026年7月31日、ミュンヘン地方裁判所第42民事部はドイツの著作権管理団体GEMAが提起した訴訟でSunoに不利な判断を示し、今後の違反1件あたり最大25万ユーロという制裁も設定されました。学習データの適法性が争点になる時代に、アリババのように初日からTaihe Music Groupと提携を発表するアプローチや、ElevenLabsのようにライセンス済みモデルを掲げるアプローチは、それ自体が競争優位になります。先に出したから強い、という先行者利益だけでは守り切れない局面に入ったということです。ユーザー側から見れば、これは選択肢が増えたという素直な朗報である一方、「どのサービスの楽曲なら安心して商用利用できるのか」を自分で判断する責任が増したことも意味します。


Google・ElevenLabsが仕掛ける音楽生成AIの新機能競争

Google「Lyria 3.5」とFlow Musicの進化が示すワンストップ化

Googleは2026年7月29日(現地時間)、音楽生成モデルの最新版「Lyria 3.5」を発表し、同日からAI音楽制作プラットフォーム「Google Flow Music」で提供を開始しました。Googleが挙げた改善点は四つです。音楽性については、より豊かで複雑なメロディ構造を自然に聞こえる形で生成できるようになりました。歌詞については、プロンプトへの忠実さと曲構成の把握が向上しています。ボーカルはより現実的で感情豊かな歌声になり、発音も改善されました。そしてクリエイティブコントロールとして、生成する楽曲のテンポと長さをより簡単に制御できるようになっています。生成物にはAI生成であることを識別する電子透かし「SynthID」が埋め込まれます。

Lyriaの系譜を整理すると、初代は2023年に発表され、2026年2月にLyria 3がGeminiアプリへ追加、同年3月に上位版のLyria 3 Proが登場して最長3分の楽曲生成とイントロ・バース・コーラスといった構成指定に対応しました。その延長線上に位置するのがLyria 3.5です。企業向けのVertex AIや開発者向けのGoogle AI Studioにも展開されており、Google側は単体アプリではなくプラットフォーム全体に組み込むモデルとして提供しています。なお、Google Flow Musicは2026年2月にGoogleが買収した音楽制作AIツール「ProducerAI」を、4月に動画生成ツール群と同じFlowブランドへ改称したサービスです。

Flow Musicの真価はモデル更新よりも、その少し前に行われた機能追加にあります。2026年7月24日、Flow Music公式は音楽バイブコーディングツール「Spaces」に楽曲の生成・編集機能を追加したと発表しました。これによりSpaces内で、楽曲の作成と編集(カバー、差し替え、延長)、録音のステム分割、画像生成、歌詞生成、動画生成までが完結します。ミュージックビデオを作る場合、従来は作曲ツール、画像生成ツール、動画生成ツールを別々に行き来する必要がありましたが、その手間が消えることになります。Sunoが「言葉を入れると完成曲が返る自動販売機型」だとすれば、Flow Musicは「会話しながら編集を重ねる工房型」です。どちらが優れているかではなく、手軽さを取るか作り込みを取るかという選択の問題であり、日常的にMVまで制作するクリエイターにとっては後者の統合性が効いてきます。

ElevenMusic「Composer」導入とSuno Studio 2.0が示す編集競争の激化

ElevenLabsは2026年8月25日、AI音楽生成プラットフォーム「ElevenMusic」に、楽曲をセクションごとに編集できる新機能「Composer」を追加したと発表しました。Composerでは、あるセクションを再生成しても他の部分には手が入りません。バースを書き直す、ブリッジのテンポを落とす、サビを別のキーに移す、といった操作がセクション単位で可能で、スタイル・テンポ・エネルギー・楽器編成・長さをそれぞれ個別に調整できます。制作の出発点も、自分の歌詞、既存の録音、テキストプロンプト、白紙のいずれからでも選べます。さらに任意のセクションに自分の歌詞を持ち込んで途中で書き換え、その部分だけ再生成して新しい歌詞で歌わせることもできます。同社はこれを「文書を編集するのと同じくらい簡単に楽曲を編集できる」と説明しています。

ここで押さえておきたいのは、ElevenLabsが音楽生成に参入したのは今回が初めてではないという点です。同社はもともとテキストから音声を生成する音声合成の分野で知られる企業ですが、音楽生成プラットフォーム「Eleven Music」自体は2025年8月に提供を開始しています。したがって2026年8月の発表は「新規参入」ではなく「既存プラットフォームへの編集機能追加」と理解するのが正確です。音声AIで培った歌声表現の自然さが同社の本領であり、楽曲の印象を最後に決めるのは多くの場合ボーカルであることを考えると、この領域での強みは無視できません。

そしてこの動きは単独ではありません。Composerが発表された12日前の2026年8月13日、SunoはブラウザベースのDAW「Suno Studio」をStudio 2.0へアップデートし、MIDI対応、ベータ版のチャットバー、ステム分離の改良を投入しています。GoogleがFlow Musicに楽曲編集を追加したのはその約1か月前でした。つまり2026年7月から8月にかけて、主要3陣営が示し合わせたかのように同じ方向へ動いたことになります。共通しているのは「AIに一発で完成品を作らせる」発想からの脱却です。音楽生成AIの評価軸は、生成された曲が良いかどうかから、狙った音に仕上げられるかどうかへ移りました。これから音楽生成AIを比較検討する際は、無料枠の生成回数やデモ音源の質だけでなく、セクション編集・ステム書き出し・MIDI対応の有無を必ずチェックリストに入れるべきです。


中国勢と無料勢が塗り替える音楽生成AIの勢力図

アリババ「HappyShrimp 1.0」参入と中国独自の音楽AIエコシステム

中国ECの大手アリババグループは2026年8月17日、音楽生成AI「HappyShrimp 1.0」のベータ版を公開しました。開発したのは、2026年3月にグループCEOのエディ・ウー氏直轄で設立されたAI事業部門「Alibaba Token Hub(ATH)」です。ユーザーが感情、ストーリー、音楽ジャンルを記述すると、モデルがメロディ・アレンジ・歌詞を書き、それを歌い上げます。自作の歌詞を渡して曲付けさせることも、インストゥルメンタルだけを生成させることもでき、BPMやキー、楽器編成といった専門知識は不要とされています。対応ジャンルは中国風音楽、ポップス、R&B・ソウル、ヒップホップ、ロック、ファンク、エレクトロニック、クラシック、ジャズと幅広く、プロンプトで楽器編成やボーカルスタイル、曲中のエネルギーの変化まで指定できます。

注目すべきは、初日から中国の大手音楽グループTaihe Music Group(太合音楽集団、Taihe Rye Musicや海蝶音楽を擁する)との提携を発表した点です。アーティストとの共同制作や高品質なコンテンツ開発で協業するとされており、権利者との関係を訴訟ではなく提携から始める設計になっています。学習データを先に集めてから権利処理を後追いした先行各社とは、順序が逆です。ただし提携が録音物のライセンスまで含むのかは明示されておらず、生成物の権利帰属や商用利用条件も現時点では十分に整理されていません。なお、無料で使い放題というわけではなく、月額14.90ドルからのメンバーシップやクレジットパッケージの購入という有料モデルが用意されています。

中国国内では、配信プラットフォームと制作AIが最初から一体化した独自の生態系が形成されつつあります。Tencent MusicはAI作曲ツールとQQ音楽への直接公開を結びつけ、ByteDanceはモバイル向け制作ツールを展開し、Kunlun Techは「Mureka」で品質面からSunoに挑戦しています。そこにEC・クラウド・自社チップ・大規模AIという全レイヤーを自社で保有するアリババが加わった形です。SunoやUdioが十分に展開していない市場で、中国独自の音楽AIエコシステムが完成に近づいているという見方は妥当でしょう。世界の音楽AI地図は、もはや米国勢だけでは描けません。日本のクリエイターにとっても、米中双方の動向を見据えた情報収集が必要になっています。

MiniMax「Music3」オープンウェイト公開とotojam・Trebloが広げる無料の波

2026年8月14日、中国のAIラボMiniMaxが音楽生成モデル「MiniMax-Music3」を公開しました。最大の特徴は、モデルの重みが無償でダウンロードできるオープンウェイトである点です。歌詞と音楽説明文から最大5分のボーカル入り楽曲を一発生成でき、日本語ボーカルにも対応しています。Hugging Faceで重みを取得でき、Hugging Face Spacesのデモで体験も可能ですが、デモは無料枠の推論サービスを使う仕組みのため生成回数に厳しい制限があります。一方、ComfyUIへの統合が済んでおりローカル環境なら実質無制限に生成できます。ただしフル活用には高VRAMのGPUが必要で、一般ユーザーにはハードルが高いのも事実です。またモデルの重みはコミュニティライセンス下での提供であり、学習データの詳細も非公開であるため、商用利用時はライセンス条項とデータ透明性の確認が欠かせません。

この意義は「無料で使える」以上のところにあります。SunoやUdioはクラウド依存かつクレジット消費型で、価格変更や利用規約変更の影響を直接受けます。対してMusic3は「モデルの重みを手元に持てる」ため、その影響を受けにくく、ネット接続が不安定でも使えます。音楽生成AIの競争軸が「アクセスする」から「持つ」へ変化する転換点だと言えます。

日本発の動きも出ています。愛知県江南市の株式会社FYNA(代表取締役:間宮秀之氏)は2026年6月30日、日本語特化のAI音楽生成サービス「otojam」のベータ版を公開しました。「やさしい歌声とピアノ中心の、少し切ない曲」といった気分や歌詞を日本語でそのまま入力できるのが特徴で、専門的なDAWや機材は不要です。無料の「おためし」プランのほか月額980円・2,980円のプランが用意され、生成エンジンにはACE-Step 1.5とLyria 3 Pro Previewという外部モデルを採用しています。つまり「日本語特化」は主にUI・UXの話であり、権利処理の明確さは現時点で限定的である点は理解しておく必要があります。さらに海外では、旧Sonautoの「Treblo」が最新モデルMelodia v3を無料・無制限で提供し、ボーカルの自然さで高い評価を集めています。生成時間は2〜3分程度とやや長く、編集系機能は「Coming Soon」表示の段階ですが、ステム書き出しやMP3/WAV/FLACでのダウンロードには対応しています。無料の選択肢は着実に増えており、まず試すハードルは限りなく下がりました。


音楽生成AIの普及が突きつける「AI楽曲の見える化」問題

SubmitHub調査「7月リリース曲の約4割にAI関与」とDeezerの検出ツール

音楽キュレーションのマッチングを手がけるSubmitHubは、2026年7月に世界でリリースされた100万曲以上を自社のAI音楽検出ツール「SH Labs」で分析した結果を公表しました。それによると23.2%が完全にAIで生成された楽曲、さらに15.3%がAI生成のオーディオ要素に人の修正・処理が加えられた痕跡のある楽曲で、合計すると38.5%、およそ4割の楽曲制作にAIが関与していたことになります。SH Labsは2026年6月に公開されたツールで、BandcampやTraxsource、GEMAのMusicHubなどでも採用されています。ここで重要なのは、AI楽曲が「完全生成」だけでなく「人間が仕上げるハイブリッド制作」まで広がっている点です。アイデア出しにAIを使い、そこから自分で作った楽曲は検出対象に入らないため、実際のAI関与率はさらに高い可能性があります。

同時に見逃せないのが「31%」という数字です。今年リリースされた楽曲のうちAIが含まれていると判定されたアーティストのうち31%が、問い合わせに対して「AIツールは一切使っていない」と回答しました。これは全アーティストの31%ではなく、あくまでAI判定を受けたアーティストの中での割合である点に注意が必要です。この乖離が、技術への理解不足によるものなのか、意図的な非開示なのか、検出精度の限界なのかは今なお議論の余地があります。SubmitHub創業者のジェイソン・グリシュコフ氏は、AI音楽の進むべき道は開示であり、聴き手が自分で判断できるだけの情報を提供するのが自分たちの仕事だと述べています。

聴き手側から実態を確かめる手段も登場しました。フランスの音楽ストリーミングサービスDeezerは2026年6月11日、Spotify、Apple Music、YouTube Music、Amazon Musicなど20以上のサービスに対応した無料のAI音楽検出ツールを公開しました。27言語に対応し、最大100プレイリストまでスキャンできます。Deezerが示したデータは示唆的で、他サービスからDeezerへ移行したユーザーのうち43%がすでにAI楽曲をプレイリストに持っていました。またDeezerとIpsosの調査では、ブラインドテストでAI生成音楽と人間の音楽を聞き分けられなかったリスナーが97%、AI生成音楽は明確にラベリングされるべきだと回答した人が約8割に達しています。Deezerに毎日アップロードされる楽曲のうちAI生成の割合は2026年春時点で約44%(日量約7万5000曲)に達し、6月のピークでは5割を超えたとも報告されています。一方でAI楽曲の実際の再生比率は全体の1〜3%にとどまり、検出されたAI楽曲ストリームの最大85%は不正(bot操作など)とされています。「聞き分けられない」と「大量に流通している」が同時に成立しているのが、2026年の現実です。

SpotifyのAI Personaラベルとスパム対策、EU AI法のラベル表示義務

Spotifyは2026年8月11日、AIによって生成されたアイデンティティを持つアーティストプロフィールに「AI Persona」バッジを表示すると発表しました。表示開始は9月中旬で、アーティストプロフィールのバナーとAboutセクション、検索結果、プレイリスト内のトラック項目に表示されます。8月11日からアーティストはSpotify for Artistsを通じて自己開示でき、自己申告だけに頼らず、人によるレビューとAI調査ツールを併用してSpotify側からもラベルを付与します。自己開示した場合は「AI Persona」、Spotifyが判定した場合は「Likely AI Persona」と表示が分かれる設計です。判定対象は一定のオーディエンス規模を超えたプロフィールから優先され、通知と異議申し立ての機会も用意されます。

このラベルについて最も誤解されやすい点を明確にしておきます。AI Personaはアーティストの「公開アイデンティティ」に関する表示であり、楽曲がAIで制作されたかどうかを示すものではありません。生成AIを制作過程で使う人間のアーティストが自動的にラベルを付けられるわけではないのです。ただし影響は小さくなく、AI Personaバッジが付いたアーティストの楽曲は、デフォルトでエディトリアル推薦とアルゴリズム推薦の対象外となります(ユーザーが自らフォローしている場合などは除く)。同時にSpotifyは粗悪品・スパムへの取り締まりも強化しており、同社は生成AIを使った音楽そのものを否定していないと明言する一方、大量生産・大量アップロードされる手抜きコンテンツは検知・除外・削除の対象としています。なお「過去12か月で7,500万曲を削除」という数字は、もともとSpotifyが2025年9月に公表したもので、2026年7月にアーティスト・マーケティング・ポリシー担当のサム・デュボフ氏が改めて言及した数値です。同社の公称カタログが1億曲超であることを考えると、その規模感が理解できます。

法規制の側でも大きな節目が訪れました。EUでは2026年8月2日、AI法(Regulation (EU) 2024/1689)第50条の透明性規則が適用開始となりました。プロバイダーには、AIとやり取りしていることを明示的に通知する義務と、合成された音声・画像・動画・テキストにAI生成または加工と検出できる機械可読マークを付与する義務が課されます。デプロイヤー側にも、本物のように見せたAI生成・改変コンテンツ、いわゆるディープフェイクへのラベル表示が求められます。違反時の制裁は最大1,500万ユーロまたは世界売上高の3%のいずれか高い方です。ただし猶予規定があり、8月2日より前にEEA市場へ投入済みの生成AIシステムについては、機械可読マーキング義務の適用が2026年12月2日まで猶予されます。また8月2日以前に生成されたコンテンツへの遡及的なラベル表示は義務ではありません。法で義務化するEUと、業界の自主ルール整備で進む米国という対照的な二つのアプローチが並走しており、日本が今後ルールを設計するうえで重要な教材になりそうです。


音楽生成AI時代に個人クリエイターが成果を出すための戦略

AI音楽の収益化リアルとSpotify×コバルトが作る公認カバー市場

AI音楽で本当に稼げるのか、という問いに対する具体的な数字が出てきました。編集プラットフォームのKapwingは、AiMChartsに掲載されたAI音楽アーティストのSpotify再生数とYouTube再生数をSongstats経由で集計し、業界標準レートで収益を推計したレポートを公開しました。前提はSpotifyが1ストリームあたり0.004ドル、YouTubeがSocialBladeのRPM中央値である1,000再生あたり2.12ドルです。この推計によれば、Spotify上位10組の合計推定収益は約238万ドル(約5億9,500万ストリーム)、YouTube上位10組は約370万ドル(約17億5,000万再生)で、合計約610万ドルに達します。Spotifyのトップは1950年代風ブルースの合成ペルソナEnlly Blueで、約9,520万ストリームから推定38万800ドル。YouTubeのトップはCherry 葵 Nightcoreで、約9億4,100万再生から推定約200万ドルとされています。

ただしこの数字は冷静に読む必要があります。2025年の世界録音音楽市場が約290億ドル(IFPI推計)であることを踏まえると、610万ドルは市場全体の0.02%にも満たない規模です。「AI音楽で稼げることは証明されたが、稼げているのはごく一部」というのが正確な読み方でしょう。Deezerがアップロード楽曲の40%以上がAI生成と報告している一方で、大多数のAI楽曲はほとんど聴かれていません。収益につながっている事例に共通するのは、一貫したペルソナ、ジャンル特化、コミュニティ形成、そして人間との接点です。ツールが手軽になっても、聴かれるための戦略は変わりません。

一方、正規のルートで二次創作を収益化する仕組みも整いつつあります。Spotifyは2026年8月13日、世界最大の独立系音楽出版社であるKobalt Music Groupとライセンス契約を締結したと発表しました。対象は、Spotifyが準備中のAIを活用したカバー曲・リミックス作成ツールです。仕組みとしては、プレミアム会員が有料アドオンに加入してAIでカバー曲やリミックスを作成し、完成曲はSpotify全ユーザーが再生でき、元のアーティストやソングライターへ収益が分配されます。参加はオプトイン制で、同社の共同CEOアレックス・ノルストロム氏は同意(consent)・クレジット(credit)・報酬(compensation)という「3つのC」の枠組みを説明しています。提携は2026年5月のUMG、8月4日のMerlinに続き今回のKobaltで3件目です。Kobaltは出版側の権利を代表する点が特徴で、カバーやリミックスに必要な「原盤権」と「著作権(楽曲)」の両輪がようやく揃い始めました。無許諾のAIカバーが横行する現状に対し、公式の市場を先に設計しようとする試みだと言えます。

1万時間の法則の再配分と、MV・LINE MUSICディスカバーという発信面の攻略

一流レベルに到達するには長時間の意図的な練習が必要という「1万時間の法則」は、AI音楽の時代にどう変質するのでしょうか。従来の音楽家に求められたのは演奏技術、作曲力、編曲、録音・ミックス、長い反復練習でした。AI音楽アーティストの場合、重心はコンセプト設計、プロンプト力、選曲・審美眼、編集・仕上げ、発信・ブランド作りへ移ります。ある試算では、AI時代の1万時間の内訳は発想・世界観25%、選別・審美眼20%、プロンプト設計15%、編集・磨き込み15%、発信・コミュニティ15%、分析・改善10%とされます。AIで減るのはゼロからの打ち込み、単純作業、試作コストであり、増えるのは試行回数、比較と選択、独自性の磨き込み、継続的な発信です。速く作れるほど「選ぶ力」が重要になるという逆説が成立します。1万時間は消えるのではなく、再配分されるのです。

発信面で押さえたいのがミュージックビデオの扱いです。Spotifyのデータによれば、動画のある曲は動画のない曲より3週間以内にもう一度聞かれる確率が64%高く、保存・共有・プレイリスト追加の確率は1.4倍、同じアーティストの他の曲を聴く確率は57%高くなります。動画を見たスーパーリスナーは同じアーティストの音楽を62%多く再生し、平均1時間40分の追加再生につながるという数字もあります。ただしAI時代に気をつけたいのは、派手すぎるCGは曲より映像が前に出てしまい、完璧すぎる人物表現は不気味の谷を生むという点です。良いMVの条件は、映像が音楽の邪魔をしていないか、映像が音楽より前に出ていないか、映像が音楽の世界を広げているか——この三点に集約されます。映像の役割は「説明」ではなく「余白」であり、最後のピースは受け手の心の中で完成します。

もう一つの発信チャネルとして、日本市場ではLINE MUSICの新機能が見逃せません。LINE MUSICは2026年8月18日、iPhone・Androidアプリで音楽フィード機能「LINE MUSIC ディスカバー」の提供を開始しました。専用タブでショートMVや短尺の音楽がフィード形式で自動再生され、縦・横のスワイプで好みに合った曲や関連コンテンツに出会える仕組みです。約300万曲が対象で、無料ユーザーも利用できます(フル再生には有料プラン登録が必要)。再生履歴がないユーザーにはランキング中心のトレンド曲が表示され、利用を重ねるほどパーソナライズされていきます。なお同じLINEヤフーのショート動画サービス「LINE VOOM」は2026年9月30日でサービスを終了する一方、音楽側ではショート動画的な導線が新設された形です。AI音楽を作る人にとって、作った曲をどこでどう聴かせるかという出口設計は、生成ツールの選定と同じくらい重要な検討事項になっています。


訂正表:配信内容と一次情報の照合結果

配信中の表現一次情報に基づく正確な内容出典
ElevenLabsが「ついに音楽生成も始めちゃった」Eleven Musicは2025年8月5日に提供開始済み。2026年8月25日の発表はセクション編集機能「Composer」の追加であり、新規参入ではないElevenLabs公式ブログ/MBW
「アーティストの31%がAIツールを使ってないと回答→逆に69%は使っている」母数は「AI関与と判定されたアーティスト」。全アーティストの69%がAIを使っているという意味ではないSubmitHub調査/Mixmag
MiniMax Music3は「無料」モデル重みの無償ダウンロードは可能だが「MiniMax-Music3コミュニティライセンス」下での提供。学習データ詳細は非公開で、商用利用時はライセンス確認が必要。Hugging Faceデモは無料枠に厳しい制限ありHugging Face公式リポジトリ
Lyria 3.5は「モデルにそんなに変更はない」Lyria 3 Proに続く新モデルとして発表。音楽性・歌詞・ボーカル・クリエイティブコントロールの4点で改善が公表されているITmedia/窓の杜
Spotify「AI Persona」は識別が始まっている自己開示の受付は2026年8月11日開始、バッジ表示は9月中旬から。自己開示分は「AI Persona」、Spotify判定分は「Likely AI Persona」と表記が分かれるSpotify Newsroom/DMN
AI Personaは楽曲のAI利用を示すラベル対象はアーティストの「公開アイデンティティ」。楽曲がAIで制作されたかを示すものではないSpotify Newsroom
「過去12か月で7,500万曲削除」元は2025年9月のSpotify発表。2026年7月にサム・デュボフ氏が改めて言及した数値であり、2026年に新たに集計された12か月分の数字ではないSpotify発表/DJ Mag
アリババHappyShrimpは中国のIT企業が公開開発は2026年3月設立のAI事業部門「Alibaba Token Hub(ATH)」。月額14.90ドルからのメンバーシップ等の有料モデルがあり、無料開放ではないAlizila/Billboard
otojamは「株式会社FYNA」が6月30日公開正確。愛知県江南市、代表取締役は間宮秀之氏。生成エンジンはACE-Step 1.5とLyria 3 Pro Previewの外部モデルを採用PR TIMES(FYNA)
EU「8月2日からラベル表示義務」AI法第50条の透明性規則が2026年8月2日適用開始。ただし8月2日以前に市場投入済みの生成AIシステムのマーキング義務は2026年12月2日まで猶予。既存コンテンツへの遡及ラベルは義務ではない欧州委員会 digital-strategy
Treblo(トレブロ)旧称Sonauto。最新モデルは「Melodia v3」。無料・無制限、商用利用の権利も付与とされるが、利用規約の確認は必須Treblo公式/App Store
Deezerの日次AI比率44%2026年4〜5月時点の数値。2026年6月のピークでは日次アップロードの5割超(約9万曲)との報告もあるGIGAZINE/EDM.com

補足(配信では触れられていない重要ニュース) 2026年7月31日、ミュンヘン地方裁判所第42民事部はドイツのGEMAが提起した訴訟でSunoに不利な判断を示し、今後の違反1件につき最大25万ユーロの制裁を設定しました。同判決はモデルの重みが学習に用いた作品を複製しているとの判断を示したと報じられています。音楽生成AIの商用利用を検討する際は、この判決の推移も併せて確認しておく価値があります。


引用・参考リンク一覧

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この記事を書いた人

横田 秀珠のアバター 横田 秀珠 (新潟)公立長岡造形大学 情報リテラシー論 講師

ネットビジネス・アナリスト。未経験のIT企業に就職し、たった3年で独立し、2007年にITコンサルタント会社のイーンスパイア(株)を設立し現在に至る。All About ProFile全専門家で全国1位のコラム評価を獲得した実績を持つ。全国で年間200回を超える講演も行う。