情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’25長岡造形大学

長岡高専の文化祭を見に行って、
合間に仕事してました(笑)
イーンスパイアの横田です。
https://www.enspire.co.jp

うまく雨雲を交わして晴れて良かったです。
本日11月3日が「文化の日」と呼ばれるのは、1946年に日本国憲法が公布された日であり、その憲法が「平和と文化」を重視していることに由来する。1948年に制定された祝日法で正式に「文化の日」と定められたが、もともとは明治天皇の誕生日を祝う「明治節」であり、明治の遺徳をしのぶ日でもあった。「文化の日」は単に芸術や学問を称える日ではなく、「平和国家として文化の力で生きる決意を新たにする日」という意味を持つ。憲法前文には「文化の成果を、すべての国民がひとしく享受できるようにする」とあり、この理念を憲法に明記した国は世界的にも稀である。さらに第23条では「学問の自由」を保障し、第25条では「健康で文化的な最低限度の生活」を掲げ、第26条では教育を受ける権利を保障している。これらの条文は、文化を芸術や学問にとどまらず、人間らしい生活そのものを支える基盤と位置づけている点で独自であり、文化の日はまさにこの精神を象徴する日である。
文化の日
https://www.youtube.com/watch?v=uQc-bvEFoo4
平和の日
https://www.youtube.com/watch?v=rz_bc9veqz0
さて、本題です。
恒例の長岡造形大学で行う
情報リテラシー論の講義が
今年も後期から始まりました。
https://www.nagaoka-id.ac.jp/about/academics/curriculum/liberal-arts/
キュレーションが必要な訳として
第6回めの講義を行いました。
https://www.youtube.com/watch?v=e2x6hGO6G9M
情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’25長岡造形大学
長岡造形大学 情報リテラシー論 第6回
2025年11月3日 文化の日
講師: ネットビジネス・アナリスト 横田秀珠
テーマ: なぜ今キュレーションが必要なのか
🎯 キュレーションとは
情報を取捨選択してまとめることに価値がある
2011年頃から注目され始めた概念
💼 起源はリアルから
🏛️ 美術館のキュレーターが語源
→ 展示物を選び、価値を伝える専門家
🏪 リアルの例
• セレクトショップ
• 通販生活
• コンピレーションアルバム
• 骨董屋・古道具屋
💻 デジタルの例
• 音楽の再生リスト
• ニュースアプリ
• SNSのフィード
• まとめサイト
※ 2025年6月 清水克衛氏逝去。店舗は営業継続中
🔗 https://www.valuebooks.jp/book-selection
コーディネート
共有アプリ
有料550円で
1万人会員
商品キュレーション
プラットフォーム
楽天の
キュレーションメディア
情報爆発の始まり
• SNSの普及開始
• スマホの普及
• 情報が溢れる時代へ
🎭 インフルエンサーの登場
変化1 マスメディア → SNS投稿へ
変化2 インフルエンサーの誕生
変化3 マイクロインフルエンサー(DM中心)
2023年10月 ステマ広告の法規制開始
いつも好きな人と
繋がる
今好きになったものを
検索する
次に好きなものを
AIに教えてもらう
🚀 キュレーション時代の到来
自分で選ぶ → AIが選ぶ → 自分に最適化された情報が届く
好きの反対は嫌いではなく無関心 – マザーテレサ
2016年まで: 日付順 → 以降: アルゴリズム順
SNSフィードへの広告挿入モデルを最初に確立
📣 重要な変化
従来: 嫌いな企業に「嫌い」と意思表示しないと送り続けられる
↓
新時代: 「いいね」で好みを表明 → 不要な広告は自然に減る
フィード並び順がアルゴリズム化
ストーリーズ機能追加 → 人気急上昇
リールへ移行 → 短尺動画の時代
⚠️ 重要な規約
Instagramの投稿は本人の許可なく埋め込み禁止
→ Instagramまとめサービスが終了した理由
2017年 TikTok誕生
並び順ではなく表示順をキュレーション
→ AIが「次に見るべき動画」を自動選択
👤 Yahoo!ニュース
キュレーション方法: 人間
表示: 全員に同じニュース
記事: 転載
🤖 Googleニュース
キュレーション方法: AI(ロボット)
表示: 個人に最適化
記事: クローリング(無料)
自社アプリへ誘導
自社アプリへ誘導
ユーザーがキュレーション
専門家がキュレーション
バイラルメディアブーム
SNS投稿を埋め込むだけのメディアが流行
MERY 急成長 → その後急落
Welq ユーザー数急増
SEO対策だけで中身がめちゃくちゃな記事が上位表示
→ Googleが世界の検索アルゴリズムを見直し
→ 日本の問題が世界基準に影響を与えた大事件
NAVERまとめ サービス終了
多くのユーザーを抱えていたにも関わらず終了
• BLOGOSブログまとめ
• Twitterモーメント
• Instagramまとめサービス
• 多数のまとめサイト
• Togetter(Twitterまとめ)
• MyBest(Yahoo!と提携で成長中)
情報の真偽確認
意図的な情報操作
著作権侵害
他人の成果に便乗
質より量重視
規約変更で終了
RettyがAIライターでまとめ記事を自動量産
当時はまだChatGPTなし → お金がある企業だけが可能
ChatGPT誕生
→ 誰でもAIでまとめ記事が作れる時代へ
GoogleAIモード日本で開始
検索結果に「AIによる概要」表示
🔮 現在のAIキュレーション
• Google検索の「AIによる概要」
• YouTube Musicの個人用ミックスリスト
• 各種プラットフォームのAI推薦機能
「Amazonで買い物する時、品数が多すぎてランキングやおすすめまとめサイトを見てしまう」
「コスメを買う時は信頼できるインフルエンサーが紹介しているものから選ぶ。値段が高いので自分の勘だけでは買えない」
「CDを買うのではなく、どの時代の音楽も配信サイトで気軽に聞けるようになった」
「YouTube Musicの個人用ミックスリストを流しっぱなしにしている」
「コンテンツが増えて、知っているコンテンツがかぶることが減った」
「自分たちも意外と身近でキュレーションを日常的にしているんだなと思いました」
「インスタのおすすめやリールは、フォローしていないけど興味ありそうなものばかり出てくる」
🌊 情報洪水の時代
情報が溢れすぎて自分で判断できない
↓
キュレーションが必要不可欠に
🔑 キュレーションの本質
✅ 情報を取捨選択してまとめる
✅ 選ぶこと自体に価値がある
✅ コレクターとは違う(まとめることに意義)
✅ 人間 + AI の時代へ
「好きの反対は嫌いではなく無関心である」
– マザーテレサ
情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’25長岡造形大学
情報過多の時代において、キュレーション(情報の取捨選択とまとめ)が重要になった背景を解説する授業。2011年頃からSNSとスマホの普及により情報が爆発的に増加し、出版・ファッション・ニュース業界でキュレーションが必須に。FacebookやInstagramなどがアルゴリズムで情報を選別し始め、Welq問題など課題も発生。現在はAIによるキュレーションが進化し、個々人に最適化された情報提供が一般化している。

- はじめに
- キュレーションの基礎概念と出版業界での台頭
- SNS時代のキュレーションの発展と変遷
- ニュースとブログのキュレーション問題、そしてAI時代の到来
- 学生たちが感じるキュレーションの身近な存在
- おわりに
- よくある質問(Q&A)
はじめに
現代社会において、私たちは毎日膨大な量の情報に囲まれて生活しています。スマートフォンを開けば、SNSのタイムラインには無数の投稿が流れ、ニュースアプリには世界中のニュースが表示され、ショッピングサイトには数え切れないほどの商品が並んでいます。この情報洪水の中で、私たちはどのように自分に必要な情報を見つけ出せばよいのでしょうか。その答えが「キュレーション」にあります。
本記事は、2025年11月3日の文化の日に行われた、新潟県の長岡造形大学における情報リテラシー論第6回目の講義内容をもとに構成されています。この講義では、なぜ今の時代にキュレーションが必要なのか、そしてキュレーションがどのように私たちの日常生活に浸透しているのかについて、詳しく解説されました。キュレーションという言葉を聞いたことがある方も、初めて聞く方も、この記事を読むことで、あなたの周りに溢れているキュレーションの仕組みが見えてくるはずです。情報を取捨選択し、価値あるものをまとめて提供するキュレーションの世界について、一緒に学んでいきましょう。
キュレーションの基礎概念と出版業界での台頭
Amazonの一強時代における出版業界のキュレーション戦略
出版業界は長年、Amazonの一強状態に悩まされてきました。しかし、そんな中でもキュレーションを武器に独自の存在価値を示している書店が存在します。その代表例が「読書のすすめ」という書店です。この書店を営んでいた清水克衛さんは、単に本を並べて売るのではなく、お客様一人ひとりに合った本を選書するというキュレーションサービスを提供していました。残念ながら、清水克衛さんは2025年6月に亡くなられましたが、彼が築き上げたキュレーションの精神は今も多くの人々に影響を与え続けています。
また、北海道にある書店が展開している「一万円選書」というサービスも注目を集めています。このサービスでは、お客様から詳細なアンケートを取り、その人の興味関心や読書歴に基づいて、書店員が一万円分の本を選書するというものです。単なる商品販売ではなく、プロの目利きによる価値提供がここにはあります。
さらに最近では、TikTokで紹介された本が爆発的に売れるという現象も起きています。驚くべきことに、絶版になっていた本でさえ、TikTokで話題になることで再び注目を集め、増刷されるケースも出てきました。これもまた、インフルエンサーによるキュレーションの一形態と言えるでしょう。このように、出版業界においてもキュレーションは重要な戦略となっているのです。
キュレーターという言葉の起源とリアル世界での展開
そもそも「キュレーター」という言葉は、インターネットで生まれたものではありません。この言葉は、美術館や博物館で作品を選定し、展示を企画する専門家を指す言葉として、リアルの世界で先に誕生しました。美術館のキュレーターは、膨大な作品の中から展示するものを選び、テーマに沿って配置し、来館者に対して一つのストーリーや体験を提供します。この「選択と配置による価値創造」という考え方が、後にインターネットの世界にも応用されていくことになります。
リアルの世界では、セレクトショップもキュレーションの好例です。セレクトショップは、世界中のブランドやデザイナーの商品の中から、店主やバイヤーが厳選したアイテムだけを取り揃えます。お客様は、その店が選んだ商品であれば安心して購入できるという信頼関係が成り立っています。また、通販生活というカタログ雑誌も、編集部が厳選した商品だけを掲載することで、多くの読者から支持を得てきました。
音楽の世界では、コンピレーションアルバムがキュレーションの代表例でした。様々なアーティストの楽曲の中から、テーマに合った曲を選んで一枚のアルバムにまとめることで、新しい価値を生み出していました。そして現代では、SpotifyやApple Musicなどの音楽配信サービスにおける「プレイリスト」が、このコンピレーションアルバムの役割を担っています。ユーザーが作成したプレイリストや、サービス側が提供するプレイリストが人気を集め、音楽との新しい出会いを生み出しているのです。
このように、キュレーションという概念は決して新しいものではなく、むしろ古くから様々な分野で実践されてきた手法なのです。それが、情報が爆発的に増加したインターネット時代において、より一層重要性を増してきたということができます。
身の回りにあるキュレーションの事例
私たちの身の回りには、意外と多くのキュレーションが存在しています。例えば、東横インホテルが展開している「たのやく」というサービスがあります。これは雑誌のキュレーションサービスで、ホテルの宿泊客が興味を持ちそうな雑誌を厳選して提供するというものです。雑誌という媒体も、編集部による記事のキュレーションと言えますが、「たのやく」はさらにその雑誌をキュレーションするという、二重のキュレーションを行っています。
ファッション業界においても、キュレーションは重要な役割を果たしています。WEARというアプリは、一般のユーザーがコーディネートを投稿し、それを他のユーザーが参考にするというプラットフォームです。人気のユーザーが着用している服や組み合わせ方は、多くの人にとってのファッションガイドとなっています。また、MBさんという方が発行している有料メルマガ「まぐまぐ!」は、月額550円という価格設定にもかかわらず、1万人もの会員を抱えています。このメルマガでは、ファッションに関する情報がキュレーションされ、読者に分かりやすく提供されています。
楽天も、Rakuten Fashionというキュレーションメディアを立ち上げました。さらに、楽天ROOMというサービスでは、ユーザーが自分のお気に入りの商品をキュレーションして紹介し、それを見た他のユーザーが購入すると紹介料が入るという仕組みになっています。これは、ソーシャルコマースとキュレーションを組み合わせた新しい形のサービスと言えるでしょう。
このように、アナログの世界ではキュレーションの事例は意外に少ないものの、デジタルの世界では非常に多くのキュレーションサービスが展開されています。これは、デジタル環境では情報量が膨大になりやすく、それゆえにキュレーションの必要性が高まっているためだと考えられます。
キュレーションという言葉が注目された背景
「キュレーション」という言葉が日本で広く注目されるようになったのは、2011年頃のことです。この時期は、ちょうど東日本大震災が発生する前後の時期と重なります。キュレーションに関する書籍が出版され、「情報を取捨選択してまとめることに価値がある」という考え方が広まり始めました。
なぜこの時期にキュレーションが注目されたのでしょうか。それは、SNSの普及とスマートフォンの普及が大きく関係しています。2011年頃から、FacebookやTwitterなどのSNSが日本でも広く使われるようになり、誰もが情報を発信できる時代になりました。同時に、スマートフォンの普及により、いつでもどこでも情報にアクセスできる環境が整いました。その結果、情報が爆発的に増加し、私たちは日々、処理しきれないほどの情報に囲まれるようになったのです。
この情報過多の状況において、「どの情報が本当に重要なのか」「どの情報を信頼すればよいのか」を判断することが困難になってきました。そこで、信頼できる誰かが情報を選別し、整理してくれる「キュレーション」の価値が高まっていったのです。
情報流通の変化とインフルエンサーの台頭
かつて、情報はテレビや新聞といったマスメディアから一方的に流れてくるものでした。私たちは、マスメディアが選んだ情報を受け取るだけの受動的な立場にありました。しかし、SNSの登場により、この構造は大きく変わりました。SNSでは、一般の人々も情報を発信できるようになり、情報の流れは双方向的なものになりました。
そして次第に、SNSの投稿自体が情報の中心になっていきました。テレビで紹介された内容がSNSで拡散されるのではなく、SNSで話題になった内容がテレビで取り上げられるという逆転現象も起きるようになりました。この過程で生まれたのが「インフルエンサー」という存在です。インフルエンサーとは、SNS上で多くのフォロワーを持ち、その発言や行動が他の人々に大きな影響を与える人のことを指します。
さらに最近では、「マイクロインフルエンサー」という新しい概念も登場しています。これは、フォロワー数は必ずしも多くないものの、特定の分野において強い影響力を持つ人々のことです。彼らは、SNSのDM(ダイレクトメッセージ)を中心に、より密接なコミュニケーションを取りながら影響力を行使しています。このように、情報流通の形態は時代とともに変化し続けています。
ステマ規制とインフルエンサーマーケティングの変化
インフルエンサーの影響力が大きくなるにつれて、問題も浮上してきました。その一つが「ステルスマーケティング」、通称「ステマ」の問題です。ステマとは、広告であることを隠して商品やサービスを宣伝する行為のことを指します。インフルエンサーが企業から報酬を受け取って商品を紹介しているにもかかわらず、それを明示せずにあたかも個人的におすすめしているかのように見せかける行為が問題視されました。
この問題に対処するため、2023年10月から日本でもステマ広告を法規制する動きが始まりました。現在では、インフルエンサーが企業からの依頼で商品を紹介する場合、「PR」「広告」「プロモーション」といった表記を明示することが求められています。この規制により、インフルエンサーマーケティングはより透明性の高いものになりつつあります。
SNS時代のキュレーションの発展と変遷
Facebookによるキュレーションの革新
SNS時代におけるキュレーションの発展を語る上で、Facebookの果たした役割は非常に大きいと言えます。Facebookは、様々なキュレーション機能を導入し、それが後に他のSNSにも広がっていきました。
まず注目すべきは、Facebookのフィード(タイムライン)における「ハイライト」機能です。当初、Facebookのフィードは投稿された時間順に表示されていましたが、やがて独自のアルゴリズムによって投稿がキュレーションされるようになりました。ユーザーにとって重要度が高いと判断された投稿が上位に表示され、そうでない投稿は表示順位が下がるという仕組みです。このキュレーションの基準として重要な役割を果たしたのが「いいね」ボタンです。
「いいね」ボタンの導入は、キュレーションにおける革命的な発明でした。マザーテレサの言葉に「愛の反対は憎しみではなく無関心である」というものがありますが、まさにこの考え方がいいねボタンに反映されています。従来の広告では、興味のない企業や商品の情報は、ユーザーが明確に「嫌い」と意思表示しない限り送られ続けていました。しかし、いいねボタンの登場により、ユーザーは積極的に「好き」を表明できるようになり、その情報をもとにプラットフォーム側がコンテンツをキュレーションできるようになったのです。
フィードの並び順の変化とアルゴリズム化
2016年は、SNSのキュレーションにとって重要な転換点となった年でした。それまで、ほとんどのSNSでは投稿が時系列順に並んでいましたが、この年を境に、アルゴリズムによってキュレーションされた順番で表示されるようになったのです。
Instagramは2016年から、投稿の並び順を時系列順からアルゴリズム順に変更しました。これにより、ユーザーが「いいね」や「コメント」を多くしている投稿や、親密度の高いアカウントからの投稿が優先的に表示されるようになりました。この変更には賛否両論がありましたが、Instagramはユーザーエンゲージメントの向上という結果を得ました。
そして2017年には、TikTokが登場しました。TikTokは最初からアルゴリズムによるキュレーションを前提に設計されたプラットフォームです。ユーザーがフォローしていないアカウントの動画でも、その人の興味関心に合っていると判断されれば積極的に表示されます。この「おすすめ」のキュレーション精度の高さが、TikTokが急速に成長した要因の一つと考えられています。
このように、プラットフォーム側がキュレーションを行うようになったことで、SNSの在り方は大きく変わりました。ユーザーは、自分がフォローしている人の投稿だけでなく、プラットフォームが選んだ「あなたにおすすめ」のコンテンツも見るようになったのです。
Instagramのキュレーション機能の進化
Instagramは、フィードの並び順をアルゴリズム化しただけでなく、様々なキュレーション機能を次々と導入してきました。2016年に導入された「ストーリーズ」機能は、24時間で消える投稿という特性を持ち、より気軽に日常を共有できる機能として人気を集めました。ストーリーズは通常の投稿よりもカジュアルな内容が多く、フォロワーとのコミュニケーションツールとしても活用されています。
その後、Instagramは「リール」という短尺動画機能を導入しました。これは明らかにTikTokを意識した機能で、最大90秒の動画を投稿できます。リールの特徴は、フォローしていないアカウントの動画も積極的に表示される点です。つまり、良質なコンテンツを作成すれば、フォロワーが少ないアカウントでも多くの人に見てもらえる可能性があるのです。これもまた、プラットフォームによるキュレーションの一形態です。
また、ライブ配信機能も注目されています。ライブ配信は、リアルタイムで配信者と視聴者がコミュニケーションを取れるという特性があり、より親密な関係性を築くことができます。これらの機能はすべて、ユーザーの行動データをもとにアルゴリズムがキュレーションを行い、各ユーザーに最適なコンテンツを表示しようとしています。
SNS1.0からSNS3.0への進化
SNSの進化を大きく3つの段階に分けて考えることができます。まず「SNS1.0」の時代は、「いつも好きな人と交流している」時代でした。Facebookやmixiがその代表例で、リアルの友人や知人とオンラインでつながり、その人たちの投稿を見るというのが主な使い方でした。この時代のSNSは、既存の人間関係をオンライン上に移植するツールとしての役割が強かったと言えます。
次に「SNS2.0」の時代は、「今好きになったものを検索する」時代です。InstagramやPinterestがその代表例で、ハッシュタグ検索などを通じて、自分の興味関心に関する情報を能動的に探すようになりました。この時代のSNSは、新しい情報や商品、趣味などとの出会いの場としての側面が強まりました。特に若い世代は、GoogleよりもInstagramで検索するという行動も見られるようになりました。
そして現在は「SNS3.0」の時代、つまり「次に好きなものをAIに教えてもらう」時代に入っています。TikTokやInstagramのリールがその代表例で、ユーザーが積極的に探さなくても、AIが「あなたが好きそうなコンテンツ」をキュレーションして表示してくれます。ユーザーは受動的にフィードをスクロールしているだけで、自分の興味に合ったコンテンツに次々と出会えるのです。これは、キュレーションが極めて高度化した形態と言えるでしょう。
ダイレクトメールの受取拒否制度
キュレーションの観点から興味深いのが、郵便物のダイレクトメールにおける受取拒否制度です。不要なダイレクトメールが送られてきた場合、受取人は「受取拒否」の意思表示をすることができます。封筒に「受取拒否」と書いて郵便局に提出すれば、送り主に返送されます。
この制度の面白い点は、返送にかかる送料も送り主が負担しなければならないということです。つまり、不要なダイレクトメールを送った企業は、往復の送料を負担することになるのです。これは、受け手側が「この情報は不要である」という意思表示をする権利を保障する仕組みであり、ある意味では「ネガティブなキュレーション」とも言えます。無関心を表明するのではなく、明確に「いらない」と意思表示することで、不要な情報の流入を防ぐことができるのです。
この仕組みは、デジタルの世界における「ブロック」機能や「興味なし」ボタンの先駆けとも言えるでしょう。ユーザーが自分にとって不要な情報をフィルタリングする権利を持つことは、情報過多の時代においてますます重要になっています。
ニュースとブログのキュレーション問題、そしてAI時代の到来
ニュースのキュレーション手法の違い
ニュースの配信においても、キュレーションは重要な役割を果たしています。しかし、そのキュレーション手法はプラットフォームによって大きく異なります。
まず、Yahoo!ニュースは「人」がキュレーションを行っています。Yahoo!ニュースの編集部には専門の編集者がおり、彼らが様々なニュース媒体から記事を選定し、全てのユーザーに同じニュースを表示します。つまり、Yahoo!ニュースにアクセスすれば、誰もが同じトップニュースを見ることになります。また、Yahoo!ニュースに掲載される記事は、他のメディアから転載されたものです。Yahoo!ニュース自体は記事を生産せず、既存の記事をキュレーションして配信するという役割に徹しています。
一方、Googleニュースは「AI」つまりロボットがキュレーションを行っています。Googleニュースでは、ユーザーごとに表示されるニュースが異なります。これは、各ユーザーの検索履歴、閲覧履歴、位置情報などをもとに、AIがその人の興味関心を分析し、最適なニュースを選んで表示しているためです。また、Googleニュースは記事を「買わない」で、無料でクローリング(収集)しています。これは、Web上に公開されている情報を自動的に収集する仕組みです。
この二つのアプローチには、それぞれメリットとデメリットがあります。人がキュレーションするYahoo!ニュースは、社会的に重要なニュースを確実に届けることができますが、個人の興味関心には必ずしも合わないかもしれません。一方、AIがキュレーションするGoogleニュースは、個人の興味に合ったニュースを届けることができますが、「フィルターバブル」と呼ばれる現象、つまり自分の興味の範囲内の情報しか見なくなるという問題も指摘されています。
ニュースキュレーションアプリの多様性
ニュース配信の分野では、様々なキュレーションアプリが登場し、それぞれ独自のアプローチでユーザーにニュースを届けています。これらのアプリは「三者三様」という言葉がぴったりで、それぞれ異なる切り口で差別化を図っています。
例えば、はてなブックマークは、ユーザーがブックマークした記事の数をもとにニュースをランキング化します。これは「ソーシャルブックマーク」と呼ばれる仕組みで、多くの人がブックマークした記事ほど注目度が高いと判断されます。News Picksは、ビジネスパーソン向けのニュースアプリで、経済ニュースに特化し、さらに専門家のコメントが付けられるという特徴があります。Yahoo!リアルタイム検索は、Twitterの投稿をリアルタイムで検索できるサービスで、「今」話題になっていることを瞬時に把握できます。
また、Appleニュース、Googleニュース、LINEニュースのように、大手テクノロジー企業がニュース配信サービスを展開する動きも活発化しています。これらの企業の狙いは、ニュースという多くの人が関心を持つコンテンツを使って、自社のアプリやエコシステムにユーザーを誘導することにあります。ニュースは「入口」として機能し、そこから他のサービスへと導線を作ることができるのです。
Twitterにおけるニュースキュレーションの変遷
Twitterは、もともとユーザーが発信するニュースを中心としたプラットフォームでした。一般のユーザーが目撃した出来事や情報をツイートし、それがリツイートされることで拡散していく。そして、多くの人がリツイートやいいねをした投稿が注目を集め、「トレンド」として表示されるという仕組みでした。これは、ユーザー全体によるキュレーションと言えます。
この講義では時間の都合で詳しく触れられませんでしたが、Twitterのニュースキュレーション機能についても重要な変遷があります。Twitterは、ユーザーが発信する一次情報の速報性という強みを持っていましたが、同時にデマや誤情報の拡散という問題も抱えていました。そのため、プラットフォーム側もより適切なキュレーションの仕組みを模索し続けています。
ブログまとめサービスの盛衰
ニュースだけでなく、ブログのまとめサービスも多く登場しました。ハフィントン・ポストは、アメリカで始まったブログアグリゲーションサイトで、様々なブログの記事をまとめて配信していました。日本でもBLOGOSというサービスがあり、有名ブロガーや識者のブログ記事をキュレーションして配信していました。しかし、BLOGOSは残念ながらサービスを終了しています。
ブログまとめサービスが厳しい状況に置かれている背景には、いくつかの要因があります。一つは、オリジナルのブログを書く人が減少し、代わりにSNSで短い投稿をする人が増えたことです。また、キュレーションメディアに対する批判が高まったことも影響しています。これについては後述しますが、質の低いキュレーションコンテンツが問題視されるようになり、業界全体が縮小傾向にあるのです。
SNSまとめサービスの現状
SNSの投稿をまとめるサービスも数多く登場しました。Togetterは、Twitterの複数のツイートをまとめて一つのストーリーとして読めるようにするサービスで、現在も運営されています。特定のトピックについて複数の人がツイートした内容をまとめることで、その話題についての全体像を把握しやすくなります。
しかし、Twitter自身が提供していた「モーメント」機能は終了しています。モーメントは、Twitterが公式に提供していたツイートのまとめ機能で、ニュース性の高い出来事について、関連するツイートをキュレーションして表示するものでした。便利な機能だったため、終了を惜しむ声も多く聞かれました。
また、Instagramのまとめサービスも登場しましたが、これも終了しています。Instagramの規約では、他人の投稿を埋め込む際には本人の許可が必要とされているため、まとめサービスの運営が難しくなったという背景があります。
その一方で、2ちゃんねる(現在の5ちゃんねる)のまとめサービスは昔から存在し、今も多くのサイトが運営されています。これらのサイトは、掲示板の膨大な書き込みの中から面白いものや話題性のあるものを選び出し、読みやすい形にまとめています。
NAVERまとめの終了とその衝撃
まとめサービスの中で特に大きな影響力を持っていたのが、NAVERまとめです。NAVERまとめは、ユーザーが様々な情報源から情報を収集し、一つのテーマについてまとめ記事を作成できるプラットフォームでした。質の高いまとめ記事を作成したユーザーには報酬が支払われる仕組みもあり、多くのユーザーが参加していました。
NAVERまとめのユーザー数は順調に伸び続け、一時は月間数千万人が利用する巨大プラットフォームになりました。しかし、2020年9月30日、突然サービス終了が発表されました。これは業界に大きな衝撃を与えました。なぜこれほど人気のあったサービスが終了することになったのでしょうか。
その背景には、後述する「Welq問題」をはじめとするキュレーションメディアへの批判の高まりがありました。また、著作権の問題も指摘されていました。NAVERまとめでは、他のウェブサイトの画像やテキストを引用する形でまとめ記事が作られることが多く、時には不適切な引用や無断転載も見られました。このような問題が積み重なり、サービスの継続が難しくなったと考えられます。
キュレーションメディアの急成長と問題の顕在化
2015年頃から、キュレーションメディアと呼ばれる新しい形態のメディアが急成長しました。MERYは、女性向けのファッションや美容情報をまとめたキュレーションメディアで、短期間で爆発的にユーザー数を伸ばしました。洗練されたデザインと、若い女性の興味を引くコンテンツで人気を集めましたが、その後急速に勢いを失っていきました。
同じく2015年頃に登場したWelqは、健康や医療に関する情報をまとめたキュレーションメディアでした。検索エンジンで上位に表示されることを目指したSEO対策を徹底的に行い、短期間でユーザー数を急増させました。しかし、この成功の裏には大きな問題が潜んでいたのです。
Welq問題とその波紋
2016年、Welqの記事内容について疑問を呈する声がインターネット上で上がり始めました。詳しく調査してみると、Welqの記事には医学的に不正確な情報や、根拠の不明確な健康法が多数掲載されていることが明らかになりました。さらに、他のウェブサイトからの無断転載や不適切な引用も多く見つかりました。
特に問題だったのは、医療や健康という人命に関わる分野で、専門家の監修を受けていない不正確な情報が大量に配信されていたことです。記事の内容よりもSEO対策を優先し、検索エンジンで上位表示されることだけを目的としたコンテンツ作りが行われていたのです。これは「こたつ記事」とも呼ばれ、実際に取材や調査を行わず、インターネット上の情報を寄せ集めて作った記事という意味で批判されました。
この問題が明るみに出ると、大きな社会問題となりました。Welqはサービスを終了し、運営会社であるDeNAは他のキュレーションメディアも含めて全面的に見直しを行いました。そして、この問題はさらに大きな影響を及ぼすことになります。
Googleのアルゴリズム変更と世界への影響
Welq問題を受けて、検索エンジンの世界的リーダーであるGoogleは、検索結果のランキングを決定するアルゴリズムを大幅に見直しました。これは極めて異例のことでした。日本国内で起きた一つの問題が、世界中の検索結果に影響を与えるアルゴリズム変更につながったのです。
Googleは、医療や健康に関する情報について、専門家や公的機関が発信する情報を優先的に表示するようにアルゴリズムを変更しました。また、より広く「E-A-T」という概念を重視するようになりました。E-A-Tとは、Expertise(専門性)、Authoritativeness(権威性)、Trustworthiness(信頼性)の頭文字を取ったもので、情報の発信者が専門知識を持っているか、その分野で権威があるか、信頼できるかを評価基準とするものです。
この変更により、SEO対策だけを目的とした低品質なキュレーションメディアは、検索結果の上位に表示されにくくなりました。一方で、専門家が監修した信頼性の高い情報や、公的機関が発信する情報が上位に表示されやすくなりました。これは、キュレーションメディア業界全体に大きな影響を与え、多くのサイトがビジネスモデルの見直しを迫られることになりました。
生き残ったキュレーションメディア「MyBest」
Welq問題とGoogleのアルゴリズム変更という逆風の中で、生き残り、むしろ成長を続けているキュレーションメディアがあります。それが「MyBest」です。MyBestは、様々な商品やサービスを実際に使用してテストし、その結果をもとにランキングを作成するというアプローチを取っています。
MyBestの特徴は、単にインターネット上の情報をまとめるのではなく、自社で商品を購入して実際にテストを行い、その結果をデータとして示している点です。例えば、シャンプーのランキングであれば、複数のシャンプーを購入し、洗浄力、泡立ち、香りなどを実際に検証し、その結果を数値化して比較しています。このような専門的な検証を行うことで、ユーザーからの信頼を獲得しています。
さらにMyBestは、Yahoo!と提携したことで、より多くのユーザーにリーチできるようになりました。Yahoo!ショッピングと連携し、MyBestで紹介された商品をそのまま購入できる導線を作ることで、ユーザーの利便性を高めるとともに、収益化の仕組みも強化しています。このように、質の高いキュレーションと適切なビジネスモデルを構築することで、MyBestは厳しい環境の中でも成長を続けています。
キュレーションをまとめるキュレーション
キュレーションメディアが次々と登場する中で、「キュレーションメディアをキュレーションする」という面白い試みも行われました。つまり、様々なキュレーションサイトの情報を一箇所にまとめて、ユーザーが効率的に情報を探せるようにするというものです。
これは「メタキュレーション」とも呼べる取り組みで、情報が溢れているという問題に対して、さらに上の階層でキュレーションを行うという発想です。ただし、このようなサービスも現在は下火になっており、キュレーションの多層化には限界があることを示しています。
バイラルメディアの台頭と沈静化
2014年頃、「バイラルメディア」という言葉が注目を集めました。バイラルメディアとは、SNSでの拡散(バイラル)を目的としたメディアのことで、感動的な話や面白い画像、驚きの情報などをまとめて配信していました。
バイラルメディアの多くは、他のウェブサイトやSNSの投稿を埋め込む形でコンテンツを作成していました。特に、TwitterやFacebookの投稿を複数埋め込み、それに簡単な説明文を付けるだけという、非常にシンプルな作りのものが多く見られました。オリジナルのコンテンツをほとんど作らず、既存のコンテンツをまとめるだけという手法は、制作コストが低い一方で、著作権や倫理的な問題を孕んでいました。
一時は多くのバイラルメディアが乱立し、SNS上で大量のシェアを獲得していましたが、現在ではそのブームは沈静化しています。ユーザーが質の高いオリジナルコンテンツを求めるようになったこと、プラットフォーム側がアルゴリズムを変更して低品質なコンテンツの拡散を抑制したことなどが、その要因と考えられます。
SNS投稿を埋め込む際の注意点
ブログやウェブサイトを作成する際、SNSの投稿を埋め込むことはよく行われます。Twitter(現X)やFacebookの投稿は、公式の埋め込み機能を使えば簡単に自分のサイトに表示させることができます。しかし、Instagramだけは例外です。
Instagramの利用規約では、他人の投稿を自分のウェブサイトに埋め込む場合、投稿者本人の許可を得る必要があるとされています。これは非常に重要なポイントで、授業では時間の都合で詳しく触れられませんでしたが、知っておくべき情報です。Instagramの投稿を埋め込む前には、必ず「シェアする前に」という部分の規約をよく読む必要があります。
これが、Instagramまとめサービスが終了した理由の一つでもあります。本人の許可なくInstagramの投稿をまとめることは規約違反になる可能性があるため、まとめサービスの運営が困難になったのです。この規約は、投稿者の権利を守るための重要な仕組みと言えます。
こたつ記事の6つの問題点
「こたつ記事」とは、取材や調査を行わず、こたつに入りながらインターネットで検索した情報だけで書いた記事を指す俗語です。キュレーションサイトやまとめサイトの多くがこの手法を用いており、以下の6つの問題点が指摘されています。
第一に、「ファクトチェックの欠如」です。情報の真偽を確認せず、インターネット上にある情報をそのまま転載するため、誤情報やデマが拡散する可能性があります。特に医療や健康、災害情報など、正確性が求められる分野で問題が深刻です。
第二に、「恣意的な編集」です。情報を選択する際に、特定の結論に誘導するような偏った選び方をすることがあります。客観性を欠いた情報提供は、読者を誤った理解に導く危険性があります。
第三に、「違法コンテンツの問題」です。著作権を侵害する画像や文章の無断使用、プライバシーを侵害する情報の掲載など、法的な問題を抱えるコンテンツが散見されました。
第四に、「フリーライド」の問題です。オリジナルのコンテンツを作成した人や組織の労力に「ただ乗り」する形で利益を得ることは、コンテンツ制作者の権利を侵害し、良質なコンテンツ制作の意欲を削ぐことにつながります。
第五に、「広告収益の目的化」です。ユーザーに有益な情報を提供することよりも、広告収益を最大化することが主目的となり、SEO対策やクリックベイト的な見出しが優先されることがありました。
第六に、「プラットフォームの問題」です。キュレーションプラットフォーム自体が、質の低いコンテンツの量産を助長する仕組みになっていることがありました。報酬制度が記事の質ではなく閲覧数に基づいていたため、質より量を重視する傾向が生まれたのです。
AIライターによる自動まとめ記事の登場
2020年、飲食店レビューサイトのRettyが、AIライターを使って大量のまとめ記事を自動生成し、アクセス数を激増させたことが話題になりました。当時はまだChatGPTが登場する前で、AIによる文章生成は非常に高度な技術として、十分な資金を持つ企業しか実現できないものでした。
しかし、2022年にChatGPTが登場したことで、状況は一変しました。今や誰でも簡単にAIを使って文章を生成できるようになりました。これは、キュレーションの世界に新たな革命をもたらしています。
GoogleのAIによる概要とAIモード
Googleも、検索結果におけるキュレーションにAIを積極的に活用し始めています。「AIによる概要」という機能では、検索結果の上部に、複数のウェブサイトの情報をAIがまとめた要約文が表示されるようになりました。ユーザーは、個別のウェブサイトにアクセスしなくても、検索結果ページ上である程度の情報を得られるようになったのです。
さらに2025年9月9日からは、日本でも「AIモード」が開始されました。これは、より対話的な形でAIが情報を提供する機能で、ユーザーの質問に対してAIが複数の情報源から情報を統合し、まとめて回答します。これもまた、AIによるまとめ記事、つまりAIキュレーションと言えるでしょう。
このように、キュレーションの世界は人間からAIへと主役が移りつつあります。しかし、AIによるキュレーションにも、情報の正確性や偏り、著作権の問題など、解決すべき課題は多く残されています。技術の進歩とともに、適切な利用方法や倫理的なガイドラインの整備が求められています。
学生たちが感じるキュレーションの身近な存在
学生からの質問と感想①:書店と選書AI
講義を受けた学生たちからは、様々な質問や感想が寄せられました。それらを通じて、若い世代がキュレーションをどのように捉えているかが見えてきます。
ある学生は「『読書のすすめ』には人生で一回は行って自分に合った本を選んでもらいたかったと思いました」と述べています。清水克衛さんは亡くなってしまいましたが、お店自体はまだ営業しているはずです。プロの書店員による選書というキュレーションサービスへの憧れが、この感想からは感じられます。
別の学生は「インフルエンサーが使ったものや着ている服が人気になるのもキュレーションに近いのかなと思います」とコメントしています。その通りで、インフルエンサーによる商品紹介も、膨大な商品の中から「これがおすすめ」と選び出すという点で、キュレーションの一形態と言えます。
興味深いのは「すでに選書AIがサービスとして存在しているみたいですね」という指摘です。バリューブックスという会社が選書AIを提供しており、ユーザーの好みをAIが分析して本を選んでくれるサービスがあります(https://www.valuebooks.jp/book-selection)。このように、書店という古典的な業界においても、AIを活用したキュレーションが始まっています。
「SNSなどで分野別おすすめの本ランキングなどがあるとつい見てしまいます」という感想も寄せられました。これもキュレーションされた情報であり、私たちは日常的にこうしたキュレーションに触れ、それを参考にして意思決定をしているのです。
学生からの質問と感想②:Amazonとキュレーション
Amazonでの買い物体験について、多くの学生が共感を示しました。「Amazonなどで買い物をする時に、似ているものや品数が多すぎてどれを選べば良いか分からなくなるので、その時によくランキングやおすすめまとめサイトなんかを見てしまいます」という感想は、まさに現代の消費者が直面している問題を表しています。
選択肢が多すぎることは、一見すると良いことのように思えます。しかし実際には、「選択のパラドックス」と呼ばれる現象が起きます。選択肢が多すぎると、どれを選べばよいか分からなくなり、結果として意思決定ができなくなったり、選んだ後も「他のものの方が良かったのではないか」と後悔したりするのです。
この学生の感想にあるように、自分で判断基準を持てなくなってきたのは、情報が多すぎて選べないからです。だからこそ、キュレーションされた情報、つまり誰かが選んでくれた情報に頼らざるを得ないのです。これは、キュレーションの必要性を端的に示す事例と言えるでしょう。
学生からの質問と感想③:骨董屋とコレクター
「骨董屋、古道具屋も一種のキュレーションと言えるのでしょうか」という鋭い質問もありました。これに対する回答として重要なのは、「コレクター」と「キュレーション」の違いです。
コレクターは、自分の好みや興味に基づいて物を集める人です。集めること自体が目的であり、必ずしも他人に見せたり、説明したりすることを前提としていません。一方、キュレーションは、集めたものを選別し、整理し、他者に対して意味のある形で提示することに価値があります。
したがって、骨董屋や古道具屋がキュレーションと言えるかどうかは、その店の運営方法によります。単に古い物を仕入れて並べているだけであれば、それはコレクションに近いかもしれません。しかし、テーマを持って商品を選び、それらを組み合わせて店の世界観を作り出し、お客様に対して「こういう価値がありますよ」と提示しているのであれば、それは立派なキュレーションと言えるでしょう。
学生からの質問と感想④:WEARとファッションキュレーション
ファッション系アプリWEARについての感想も印象的でした。「WEAR使ってますが、自分のセンスがないので無難なファッションばかりキュレーションされてオシャレになれません…泣」というコメントです。
これは、アルゴリズムによるキュレーションの限界を示しています。WEARは、ユーザーの過去の行動(どの投稿にいいねしたか、どのアイテムを保存したかなど)をもとに、その人が好みそうなコーディネートをレコメンドします。しかし、もしユーザーが「無難なファッション」ばかりに反応していれば、アルゴリズムはそれを学習し、より無難なファッションばかりを推薦するようになります。
つまり、キュレーションは現在の自分の好みを強化する傾向があり、新しいチャレンジを後押しする機能は弱いということです。この学生が本当にオシャレになりたいのであれば、意識的に自分の好みとは異なるスタイルの投稿もチェックし、アルゴリズムに「こういうのも興味があります」と教える必要があるかもしれません。
学生からの質問と感想⑤:カタログ本の選書基準
「小学校の頃に度々あった、封筒にお金を入れて本を買うカタログ本の選書基準が気になっていましたが、キュレーションに関係があるのでしょうか」という質問も興味深いものです。
このシステムが人気があったのであれば、選書基準がキュレーションになっていた可能性は高いと考えられます。カタログに掲載される本は、子どもたちの年齢や興味関心、教育的価値などを考慮して選ばれていたはずです。限られた紙面に掲載できる本の数は限られているため、その選択には必然的にキュレーションの要素が含まれていたでしょう。
興味深いのは、講師自身はこのようなシステムの記憶がないと述べている点です。世代や地域によって経験が異なることを示しており、キュレーションの形態も時代とともに変化してきたことが分かります。
学生からの質問と感想⑥:新しい言葉への適応
「キュレーションを含むSNSが普及するにつれて新しい言葉や概念が増えていて、これからの時代もどんどん新しい言葉に適応していかなければならないと思いました」という感想は、デジタルネイティブ世代ならではの視点です。
確かに、キュレーション、インフルエンサー、バイラルメディア、フィルターバブルなど、インターネットやSNSの発展とともに多くの新しい概念が生まれました。これらの言葉を理解し、適切に使いこなすことは、現代社会で情報リテラシーを持つために不可欠です。
ただし、言葉そのものを覚えることよりも、その背後にある概念や仕組みを理解することの方が重要です。たとえば「キュレーション」という言葉を知らなくても、「情報を選んで整理して提示する」という行為の意味や価値を理解していれば、実質的には同じです。新しい言葉に適応することは大切ですが、本質を見失わないことも同様に重要なのです。
学生からの質問と感想⑦:テレビと流行の変化
「昔と比べテレビで紹介されている流行の曲を知らないことが増えた気がします」という感想は、メディア環境の大きな変化を示しています。講師が「今の若い人たちが言ってるってことがびっくりですけどね」とコメントしているのも印象的です。
かつては、テレビで紹介された曲は、ほぼ全ての人が知っているヒット曲でした。テレビという一つのメディアが、社会全体の「流行」を作り出す力を持っていたのです。しかし現在では、音楽との出会い方が多様化しています。YouTubeのおすすめ、Spotifyのプレイリスト、TikTokの流行曲、友人のSNS投稿など、様々なルートで音楽と出会います。
これらはすべて、何らかの形でキュレーションされた音楽です。しかし、それぞれの人が異なるキュレーションを受けているため、「みんなが知っている曲」というものが少なくなってきました。これは、社会の多様化とも関連する興味深い現象です。
学生からの質問と感想⑧:コスメの購入とインフルエンサー
「特にコスメを買う時は、信頼できるインフルエンサーが紹介している物から選んでます。値段が高いので自分の勘だけでは買えないです…」という感想は、現代の消費行動をよく表しています。
化粧品は、実際に使ってみないと自分に合うかどうか分からない商品の典型です。しかも価格が比較的高いため、失敗したくないという思いが強くなります。そこで、自分と肌質や好みが似ている、あるいは専門知識を持っていると信頼できるインフルエンサーの意見を参考にするのです。
これは、インフルエンサーによる「パーソナライズされたキュレーション」と言えます。大衆向けの広告とは異なり、特定の視聴者層に向けて、その人たちのニーズに合った商品を紹介するという形です。このような形のキュレーションは、今後さらに重要性を増していくと考えられます。
学生からの質問と感想⑨:音楽配信サービスの影響
「たしかに自分が小さい頃と比べてCDを買って聞くのではなく、どの時代の音楽も音楽配信サイトで気軽に聞けるようになってますね」という感想からは、音楽との付き合い方の変化が見えてきます。
CDの時代は、アルバムという形でアーティストがキュレーションした楽曲集を購入していました。しかし現在では、音楽配信サービスのプレイリストという、別の形のキュレーションが主流になっています。「2000年代のヒット曲」「ドライブに最適な曲」「集中力を高める音楽」など、テーマ別にキュレーションされたプレイリストを聴くことで、新しい音楽と出会う機会が増えています。
また、「どの時代の音楽も気軽に聞ける」という点も重要です。過去の名曲から最新のヒット曲まで、すべてが同じプラットフォーム上に存在し、同じように聴くことができます。これにより、時代を超えたキュレーションが可能になっています。
学生からの質問と感想⑩:YouTubeとTwitterの影響力
「確かに最近はテレビで紹介されているものよりも、YouTubeやTwitterで紹介されているものを買っているような印象を受けます」という感想は、購買行動における影響力の変化を示しています。
テレビCMや通販番組で紹介される商品よりも、YouTuberやTwitterのインフルエンサーが紹介する商品の方が信頼できる、あるいは自分に合っていると感じる人が増えています。これは、テレビが「マス」つまり大衆全体に向けた情報発信であるのに対し、YouTubeやTwitterは、自分が選んだチャンネルやアカウント、つまりパーソナライズされた情報発信であるためです。
自分と価値観が近い、あるいは自分が信頼するYouTuberやインフルエンサーの意見は、不特定多数に向けたテレビCMよりも説得力を持つのです。これもまた、キュレーションの力と言えるでしょう。
学生からの質問と感想⑪:スポーツのハイライトと無関心
「試合などよくハイライト見てしまう」という感想と、「嫌いも無関心も、相手の存在価値を否定するという意味では同じかなと思いました」という哲学的な考察も寄せられました。
スポーツのハイライトは、長時間の試合の中から重要なシーンだけを抜き出したキュレーションです。忙しい現代人にとって、数時間の試合をフルで見る時間はなかなか取れません。そこで、数分のハイライトを見ることで、試合の流れや結果を把握するのです。これも、時間という限られたリソースを効率的に使うためのキュレーションと言えます。
一方、「嫌いも無関心も同じ」という考察は、マザーテレサの言葉を自分なりに解釈したものです。講義では「愛の反対は憎しみではなく無関心」という言葉が紹介されましたが、この学生は一歩進んで、「嫌いという感情も、無関心と同様に相手の存在価値を否定している」と考えています。深い洞察と言えるでしょう。
学生からの質問と感想⑫:コンテンツの多様化
「最近はコンテンツが増えて知ってるコンテンツがかぶることが減ったなと思います」という感想は、現代のメディア環境を的確に捉えています。
かつては、テレビ番組や映画、ベストセラー小説など、多くの人が共通して体験するコンテンツがありました。「昨日のあのドラマ見た?」という会話が成立したのは、限られた数のコンテンツを多くの人が消費していたからです。
しかし現在では、動画配信サービス、YouTube、ポッドキャスト、電子書籍など、無数のコンテンツが存在し、それぞれの人が全く異なるコンテンツを消費しています。その結果、「共通の話題」が減少し、コミュニケーションの在り方も変わってきています。これは、キュレーションがパーソナライズ化した結果とも言えます。
学生からの質問と感想⑬:広告のフィードバック機能
「Google AdSenseの広告枠にある、『この広告を表示しない』フィードバックボタンはどう考えても小さすぎる。押させる気が無い」という辛辣な指摘もありました。講師も「そうですね」と同意しています。
確かに、多くの広告プラットフォームには、ユーザーが「この広告に興味がない」とフィードバックする機能があります。しかし、そのボタンが非常に小さく、見つけにくい場所に配置されていることが多いのも事実です。
理論的には、ユーザーからのフィードバックを集めることで、より適切な広告をキュレーションできるはずです。しかし実際には、広告主側の都合が優先され、ユーザーが広告を拒否しにくい設計になっていることが多いのです。これは、キュレーションが必ずしもユーザーの利益のために行われているわけではないことを示す例と言えるでしょう。
学生からの質問と感想⑭:音楽のパーソナライズ
「最近はよくYouTube Musicの『個人用ミックスリスト』『個人用ハイライト』を流しっぱにしている」という感想からは、音楽体験のパーソナライズが進んでいることが分かります。
YouTube Musicの「個人用ミックスリスト」は、そのユーザーの聴取履歴や好みをもとに、AIが自動的に作成するプレイリストです。ユーザーが何もしなくても、好みに合った曲が次々と流れてくるため、「流しっぱなし」にするだけで音楽を楽しめます。
これは、究極のキュレーションと言えるかもしれません。ユーザーは選択する必要がなく、ただ受け取るだけ。しかし一方で、新しい音楽との偶然の出会いが減り、自分の好みの範囲内の音楽しか聴かなくなるという問題もあります。
学生からの質問と感想⑮:Instagramへの誤解
「ストーリー日付順だと思ってました」というコメントに対して、講師は「違いますよ、キュレーションですよ」と答えています。
多くの人が、SNSの表示順は単純に時系列順だと思っているかもしれません。しかし実際には、ほとんどのSNSで何らかのキュレーションが行われています。Instagramのストーリーズも、親密度が高いアカウントのストーリーズが優先的に表示されるなど、アルゴリズムによる並び替えが行われています。
私たちが見ているSNSのフィードは、実は高度にキュレーションされたものなのです。それを意識せずに使っている人が多いということは、キュレーションが目に見えない形で浸透していることを示しています。
学生からの質問と感想⑯:日常に溶け込むキュレーション
「自分たちも意外と身近でキュレーションを日常的にしているんだなと思いました」という感想は、この講義の重要なポイントを理解したことを示しています。
キュレーションは、特別な技術や専門知識を持った人だけが行うものではありません。例えば、友人にレストランを推薦する、旅行の写真の中から良いものを選んでSNSに投稿する、好きな曲を集めてプレイリストを作る。これらはすべてキュレーションです。
私たちは日常的に、無意識のうちにキュレーションを行い、また他人がキュレーションした情報を受け取っています。そのことに気づくことが、情報リテラシーの第一歩なのです。
学生からの質問と感想⑰:Instagramのレコメンデーション
「確かにインスタのおすすめやリールは、フォローしていないけど興味ありそうなものばかり出てくるなと思いました」という感想は、AIによるキュレーションの精度の高さを実感したものです。
Instagramは、ユーザーの過去の行動(どの投稿を長く見たか、どの投稿にいいねやコメントをしたか、どのアカウントのプロフィールを見たかなど)を細かく分析し、その人の興味関心を推測します。そして、フォローしていないアカウントの中から、興味がありそうなコンテンツを選び出して表示するのです。
この精度が高いということは、AIがユーザーのことをよく「理解」しているということでもあります。便利である一方で、自分の行動が常に監視され分析されているという点で、プライバシーの観点からは懸念もあります。
学生からの質問と感想⑱:一人暮らしとノウハウ
「一人暮らしに役立ちそうなノウハウを知れて嬉しいです。ありがとうございます」という感想もありました。講師は「グーグル策士」「その通りですね」と応じています。
この感想からは、キュレーションが単なる情報整理ではなく、実生活に役立つ知識を得る手段として機能していることが分かります。特に若い世代にとって、一人暮らしの様々な場面で、インターネット上のキュレーションされた情報(まとめ記事、動画、Q&Aサイトなど)が重要な役割を果たしています。
学生からの質問と感想⑲:Twitterモーメントへの惜別
「Twitterモーメント機能便利だったのでなくなって悲しいです」という感想で学生からのフィードバックは締めくくられています。
Twitterモーメント機能を実際に使っていて、その終了を残念に思っている学生がいるということは、キュレーション機能が確かに価値を提供していたことの証拠です。便利な機能であっても、ビジネス上の理由で終了してしまうことがあるという現実も、デジタルサービスを使う上で知っておくべき重要な点です。
このように、学生たちの質問や感想からは、キュレーションが若い世代の日常生活に深く浸透していること、そして彼らがそのことに気づき始めていることが分かります。情報リテラシー教育において、キュレーションという概念を理解することの重要性が、これらのフィードバックからも明らかになっています。
おわりに
本記事では、2025年11月3日に新潟県の長岡造形大学で行われた情報リテラシー論第6回目の講義内容をもとに、キュレーションが必要な理由とその多様な形態について詳しく見てきました。情報が爆発的に増加した現代社会において、キュレーションは単なる便利なツールではなく、私たちが情報の海で溺れずに必要な情報にたどり着くための必須のスキルとなっています。
出版業界から始まり、SNS、ニュース、ファッション、音楽など、あらゆる分野でキュレーションが重要な役割を果たしていることが分かりました。また、Welq問題に代表されるように、キュレーションには倫理的な問題や著作権の問題も伴うことも理解できました。そして現在、人間によるキュレーションからAIによるキュレーションへと移行しつつある過渡期にあることも見えてきました。
学生たちの質問や感想からは、若い世代がキュレーションを日常的に利用し、その価値を実感している一方で、時にはキュレーションに依存しすぎて自分で判断する力が弱くなっているという課題も浮かび上がりました。これからの時代を生きる私たちには、キュレーションされた情報を上手に活用しながらも、自分自身で情報を評価し選択する能力を維持することが求められています。情報リテラシーとは、キュレーションの仕組みを理解し、それを批判的に捉えながら、自分にとって本当に必要な情報を見極める力のことなのです。今後もキュレーションの技術は進化し続けるでしょうが、その本質である「情報を選び、整理し、価値を生み出す」という行為の重要性は変わらないでしょう。
よくある質問(Q&A)
Q1: キュレーションとまとめサイトは同じものですか?
キュレーションとまとめサイトは似ていますが、厳密には異なります。キュレーションは、専門的な知識や明確な基準に基づいて情報を選別し、価値を付加して提示する行為を指します。一方、まとめサイトの中には、単に既存の情報を寄せ集めただけで、独自の価値を付加していないものも存在します。質の高いまとめサイトはキュレーションメディアと言えますが、こたつ記事のような低品質なまとめサイトはキュレーションとは呼べません。重要なのは、情報を選別する基準が明確で、読者にとって新たな価値を提供しているかどうかです。
Q2: AIによるキュレーションは人間によるキュレーションに取って代わるのでしょうか?
AIによるキュレーションと人間によるキュレーションには、それぞれ長所と短所があります。AIは膨大な量のデータを高速に処理し、個人の好みに合わせたパーソナライズを実現できます。一方、人間は文脈や ニュアンスを理解し、倫理的な判断を下し、創造的なキュレーションを行うことができます。今後は、AIと人間が協働する形が主流になると考えられます。AIが候補を選び出し、人間が最終的な判断を下すという組み合わせが、最も効果的なキュレーションを生み出すでしょう。完全にAIに置き換わるというよりは、役割分担が進んでいくと予想されます。
Q3: キュレーションに頼りすぎると、自分で考える力が弱くなりませんか?
これは非常に重要な指摘です。確かに、キュレーションされた情報に頼りすぎると、自分で情報を探し、評価し、判断する能力が低下する可能性があります。また、自分の好みに合った情報ばかりが提示される「フィルターバブル」に閉じ込められ、多様な視点に触れる機会が減るという問題もあります。これを防ぐためには、意識的にキュレーションの外側にある情報にも触れること、複数の異なるキュレーション源から情報を得ること、そして時には自分で一次情報を探しに行くことが大切です。キュレーションは便利なツールですが、それに依存しすぎず、批判的思考力を維持することが重要です。
Q4: 自分でキュレーションを始めたい場合、何から始めればよいですか?
自分でキュレーションを始めるには、まず自分が興味を持っている分野や得意な分野を選ぶことから始めましょう。そして、その分野の情報を広く収集し、質の高いものを選別する基準を明確にします。例えば、本のキュレーションであれば「初心者向けの分かりやすさ」や「専門的な深さ」などの基準を設定します。次に、選んだ情報を整理し、なぜそれを選んだのか、どのような価値があるのかを説明文として付け加えます。発信の場としては、ブログ、SNS、noteなど様々な選択肢があります。重要なのは、単に情報を集めるだけでなく、自分なりの視点や価値を加えることです。継続的に行うことで、徐々に自分のキュレーションのスタイルが確立されていきます。
Q5: キュレーションメディアで記事を書く際の著作権上の注意点は何ですか?
キュレーションにおいて最も注意すべきなのが著作権です。他人の文章や画像を無断で使用することは著作権侵害になります。引用する場合は、引用部分を明確にし、出典を明記し、引用部分が主ではなく従の関係になるよう注意が必要です。画像については、著作権フリーの素材を使用するか、権利者の許可を得る必要があります。また、SNSの投稿を埋め込む場合も、プラットフォームごとに規約が異なります。特にInstagramは本人の許可が必要とされています。安全な方法は、必ずオリジナルのコンテンツの割合を多くし、他者のコンテンツはあくまで補足として使用することです。不明な点がある場合は、法律の専門家に相談することをお勧めします。著作権を尊重することは、キュレーターとしての信頼性を保つためにも不可欠です。
詳しくは15分の動画で解説しました。
https://www.youtube.com/watch?v=Un-4owA4uQo
0:00 📚 導入部分・文化の日と授業テーマ紹介
1:06 🍂 大学のガ路樹とレジュメの振り返り
2:12 📖 出版業界とキュレーターの起源
3:13 🏨 身近なキュレーション事例(ホテル・ファッション)
4:17 📱 キュレーション誕生の歴史とSNSの変遷
5:15 👍 Facebookの「いいね」とアルゴリズム革命
6:21 📰 ニュースメディアのキュレーション
7:18 🔗 ニュースアプリとTwitter・ブログまとめサービス
8:16 ⚠️ まとめサービスの終了とWelq問題
9:16 🤖 ウェルク問題の影響とバイラルメディアの衰退
10:16 ⚖️ まとめサイトの問題点とAIライターの登場
11:19 💬 学生からの質問・感想への回答
14:29 👋 まとめと終了の挨拶
上記の動画はYouTubeメンバーシップのみ
公開しています。詳しくは以下をご覧ください。
https://yokotashurin.com/youtube/membership.html
YouTubeメンバーシップ申込こちら↓
https://www.youtube.com/channel/UCXHCC1WbbF3jPnL1JdRWWNA/join
情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’25長岡造形大学

📚 キュレーション 美術館のキュレーターから派生した言葉で、2011年頃から注目された概念。膨大な情報の中から価値あるものを取捨選択し、整理してまとめることに価値がある活動を指します。出版、ファッション、ニュース配信など様々な業界で重要性が高まり、情報過多の現代において必要不可欠なスキルとなっています。
📱 SNS(ソーシャルネットワーキングサービス) FacebookやInstagram、TikTokなどのソーシャルメディアプラットフォーム。SNS1.0(好きな人と交流)からSNS2.0(好きなものを検索)、そしてSNS3.0(AIが好きなものを教えてくれる)へと進化。情報の流れ方や表示順序をキュレーションする仕組みが導入され、ユーザー体験を大きく変えました。
✨ インフルエンサー SNS上で多くのフォロワーを持ち、影響力のある発信者。マスメディアからSNSへと情報発信の中心が移行する中で誕生しました。近年ではマイクロインフルエンサーやDM中心の発信者も増加。2023年10月からはステマ広告の法規制も開始され、透明性のある情報発信が求められています。
🤖 アルゴリズム SNSやニュースサイトが情報の表示順序を決定する計算式。2016年頃からInstagramやFacebookが時系列順から変更し、ユーザーの興味関心に基づいてコンテンツをキュレーションするようになりました。「いいね」などのエンゲージメント指標を基準に、各ユーザーに最適化された情報が表示される仕組みです。
⚠️ Welq問題 2016年に発覚した医療系キュレーションメディアWelqの問題。SEO対策を重視するあまり、内容の正確性を欠いた記事を大量生産していたことが判明し、サービス終了に至りました。この事件をきっかけにGoogleは世界的にアルゴリズムを見直し、コンテンツの質や信頼性を重視する方向へ大きく舵を切りました。
📊 情報過多 スマートフォンとSNSの普及により、個人が接触する情報量が爆発的に増加した状態。自分で全ての情報を吟味することが困難になり、キュレーションサービスやAIによる情報選別が必要となりました。この環境変化が、キュレーションという概念が注目されるようになった大きな要因です。適切な情報選択能力が重要になっています。
🚫 ステマ規制 2023年10月から開始されたインフルエンサーのステルスマーケティング(広告であることを隠した宣伝)を法規制する制度。広告であることを明示せずに商品やサービスを紹介することが禁止され、透明性のある情報発信が求められるようになりました。消費者が適切に情報を判断できる環境整備が進んでいます。
🧠 AI(人工知能) 2020年頃からAIライターによる自動記事生成が始まり、2022年のChatGPT登場で一般化。現在ではGoogleの検索結果にAIによる概要が表示されるなど、情報のキュレーションをAIが担う時代に。人間の判断を補完し、膨大な情報から最適なものを選び出す技術として、キュレーションの新しい形を生み出しています。
📰 フィード SNSやニュースアプリで表示される情報の一覧。元々は時系列順で表示されていましたが、2016年頃からアルゴリズムによるキュレーションが導入されました。Facebookが「いいね」ボタンを基準としたハイライト機能を開始し、ユーザーの興味関心に合わせた情報が優先的に表示される仕組みに変化しています。
🌊 バイラルメディア 2014年頃に流行した、SNSでの拡散を目的としたメディア形態。SNS投稿を単純に埋め込むだけのコンテンツが多く、一時期は大きな人気を集めました。しかし、オリジナリティや信頼性の問題から現在は沈静化。ただし、その手法や考え方は現代のSNSマーケティングに影響を与え続けています。
超要約1分ショート動画こちら↓
https://www.youtube.com/shorts/wywy_ZpwMwU
情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’25長岡造形大学

#情報リテラシー論 #長岡造形大学 #横田秀珠 #情報リテラシー #メディアリテラシー #ITリテラシー


















「昔と比べてテレビで紹介されている流行の曲を知らないことが増えた」