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AIDMA⇒AISAS⇒TICAS⇒生成AI時代にAIJESの法則を電通提唱

AIDMA⇒AISAS⇒TICAS⇒生成AI時代にAIJESの法則を電通提唱
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2026年9月10日、電通が生成AI時代の新しい購買行動モデル「AIJES(アイジェス)」を発表しました。Archive(蓄積)→Interaction(問答)→Judgment(判断)→Engagement(参加)→Score(評価)が循環する構造で、AIが手伝い人が判断するのが特徴です。広告中心のAIDMA、検索と共有のAISAS、SNS発のTICASと比較しながら、買い物が「探す」から「相談して決める」へ変化したと解説。事業者には商品情報とFAQの整備、納得できる根拠の提示、利用後の声の改善活用が求められます。

詳しくは15分の動画で解説しました。
https://www.youtube.com/watch?v=vfx6HTFaNJM

0:00 👋 オープニング・今日のテーマ紹介 0:16 📊 生成AI時代の購買モデル「AIJES」を電通が提唱 0:38 🕰️ 2012年から唱えていたTICASの振り返り 1:07 🛒 AIDMAの法則とインターネット以前のマーケティング 1:40 🔍 検索とシェアが加わったAISASの登場 1:58 💬 SNS時代にTICASへ、TwitterのT・TikTokのT 2:59 🖥️ 今日のスライド構成 3:22 😵 調べるほど買えなくなる比較疲れの時代 4:04 💡 買い物は「探す」から「相談して決める」へ 4:16 🗨️ カテゴリ検索→キーワード検索→チャットで相談 4:47 📺 AIDMA:広告で知り、記憶して店頭で買う 5:34 📱 AISAS:検索で見つかる情報と共有したくなる体験 6:41 ✨ TICAS:SNSの「気になる」が出発点 7:48 ⚖️ 興味関心からコンペア(比較)へ 8:30 🤖 電通が発表したAIJES=人とAIで進める購買の循環 8:59 🗂️ A・アーカイブ:欲しくなる前から蓄積が始まる 10:08 📌 事業者の実践例:保存される投稿と情報整理 10:35 🗣️ I・インタラクション:検索ではなく対話で絞り込む 11:18 🧭 J・ジャッジメント:AIの提案を自分の納得に変える 12:31 🤝 E・エンゲージメント:体験が関係をつくる 13:40 ⭐ S・スコア:評価が次のアーカイブに戻る 14:15 📝 まとめ:AIが手伝い、人が判断する時代へ 14:47 👋 エンディング

AIDMA⇒AISAS⇒TICAS⇒生成AI時代にAIJESの法則を電通が提唱

男の思うかっこいい男の条件と
女の思うかっこいい男の条件。
イーンスパイアの横田です。
https://www.enspire.co.jp/

Xで話題になっていたので、
その曲を作ってみました。

男の理想バカみたい / Milia
https://www.youtube.com/watch?v=dzJPHBqzUyk

かっこいい男
https://www.youtube.com/watch?v=c5JW3xCkcXs

さて、本題です。

AIDMA⇒AISAS⇒TICASの法則からTikTokの可能性を探る
https://yokotashurin.com/sns/aidma-aisas-ticas.html
というブログを2022年8月24日に書きましたが
TICASを提唱したのは2012年くらいの話です。

そして生成AI時代に電通がAIJESを提唱しました。
https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0910-011097.html

AIDMA⇒AISAS⇒TICAS⇒生成AI時代にAIJESの法則を電通が提唱

AIDMAからAISAS、そして生成AI時代のAIJESへ
✏️ 調べるから相談するへ、電通の新モデルAIJESを読み解く
📅 2026年9月18日(金)放送 🎙 ネットビジネス15分ライブ 🏢 電通 2026年9月10日発表
1📌今日のテーマ

AIDMAからAISAS、そして生成AI時代にはAIJESを電通が提唱。 購買行動モデルの変化を、僕が過去に考えてきたことも含めて振り返っていきます。

🗣 「僕も過去にTICASという法則を唱えています。
2022年8月24日の記事に『10年前から話していたこと』と書いているので、2012年頃から言っていることになりますね。」
↓
2😵‍💫調べるほど買えなくなる?
🙁口コミが多すぎる
🤷結局、私にはどれが向いてるの?
😩比較するだけで疲れちゃったよ
⚠️ 選択肢が多すぎることで起きていること … 逆に買えなくなる/値段が下がり続けて買うタイミングを逃す/情報が多すぎて後から遡って探せない。
🤖 そこでAIに相談。予算・使い方・好みを伝えて一緒に整理する。 買い物は「探す」から「相談して決める」へ。
↓
3🔍インターフェースの変遷も見直す
Yahoo!時代 🗂 カテゴリー検索 並んだ分類から辿る
▶
Google時代 🔎 キーワード検索 言葉を入れて探す
▶
生成AI時代 💬 AIに相談する チャットで対話する
🏠 自社サイトは大丈夫? … カテゴリー並べとサイト内検索だけでなく、サイト内にチャットが入っているかを見直す必要があります。
↓ ではモデルを順番に ↓
4📺AIDMA|マスマーケティングの時代
A・I・D・M・A
AAttention
広告で商品を知る
IInterest
もっと知りたい
DDesire
自分も欲しい
MMemory
商品名を覚える・メモする
AAction
店頭などで購入する
🛠 売り手の工夫|目に留まる広告をつくる → 欲しくなる説明でニーズに対してウォンツを刺激する → 思い出させる仕掛け・想起させる工夫をする。
↓
5🔗AISAS|検索して共有する時代
A・I・S・A・S
AAttention
広告や情報で商品を知る
IInterest
ネット広告・SNS広告で「良さそう」
SSearch
価格比較サイト・ECモール・口コミ・ハッシュタグ検索
AAction
やっぱりこれにしよう、と購入
SShare
SNS投稿・口コミを書く
📣 この頃に言われ始めたのが「モノを売るな、コトを売れ」。 体験するとSNSに投稿したくなるので、画像より動画。記録に残したくなる・投稿したくなる仕掛け=インスタ映えです。
↓
6💭TICAS|SNSの「気になる」が出発点
横田秀珠が2012年頃から提唱
TThought
思考・妄想・つぶやき。TwitterのT、TikTokのT、考えるのT。おすすめや発見タブでその気になる
IInterest
関連投稿で興味が深まる。Instagramの発見タブ、YouTubeの関連動画
CCompare
比較・検討。検索、価格比較サイト、口コミ、SNS内検索
AAction
納得して購入する
SShare
口コミを書く・SNSに投稿する
🗣 「AISASのSearchのところを、僕はCompare(比較・検討)という言葉にしました。最初の想起がSNSの投稿から始まる、これがTICASです。」
↓ そして2026年 ↓
7✨AIJES(アイジェス)|人とAIで進める購買の循環
A
欲しくなる前から準備が始まる
I
条件を伝え、対話で絞り込む
J
AIの提案を自分の納得に変える
E
選んだ商品・サービスを体験する
S
体験を振り返り、次の選択に活かす
🔄 S(評価)はふたたび A(蓄積)へ戻り、購買が循環していく
↓
8🗃A:蓄積(Archive)
A 欲しくなる前から準備が始まるArchive|情報を集めておく段階
🙋 生活者の行動
  • 見かけた商品・気になる商品を覚えておく
  • 保存やブックマーク、ツイート、Pinterestにピン留め
  • 「良かったな」という過去の体験が思い出として残る
  • 好みや予算をメモしてまとめておく
🏢 事業者の実践例
  • 普段から役立つ情報を届ける(カルーセル投稿など保存したくなる投稿)
  • 特徴・料金・利用条件を整理しておく
  • おすすめをまとめてキュレーションする

🧳 旅行なら「保存しておこう」「ここが良いから忘れないようにしよう」。ここが購買への第一歩。

↓
9💬I:問答(Interaction)
I 条件を伝え、対話で絞り込むInteraction|検索ではなく問答が始まった
🙋家族3人で温泉に行きたい、静かな宿が良い
🤖移動手段と予算は?
💡答えるうちに希望が明確になっていく
🧭 問答で整理すること … そもそもの目的/制約条件/優先順位(何から決めるか)
↓
10⚖️J:判断(Judgment)
J AIの提案を自分の納得に変えるJudgment|最後は人が決める
事実ファクト
料金や条件が正しいか
適合フィット
自分の目的に合っているか
納得感情・直感
本当にこれを選びたいか
🙋 生活者の行動
  • 店頭で実物を確認し、部屋の雰囲気や設備をチェック
  • 公式サイトで料金プランや利用条件を確認
  • スタッフに相談し、不明点を聞いて納得して決める
🏢 事業者の実践例
  • 根拠・実物・相談できる接点を用意する
  • リアルな根拠、リアルな場所、リアルな人にフォーカス
  • 人間が判断できる材料を提供する
↓
11🎟E:参加(Engagement)
E 買って終わりではなく、体験が関係を作るEngagement|モノからコトへ
🙋 生活者の行動
  • 予約や購入をして、決めた場所へ実際に行って体験する
  • そこで人とコミュニケーションを取り、関わりを深める
  • 次につながるご縁が結ばれる
🏢 事業者の実践例
  • 迷わず利用できる案内を用意し、UIを整える
  • 期待に応え、紹介内容と実体験の差を小さくする
  • 利用中・利用後のサポートで体験を深める

💞 だから最近よく言われる ——「エンゲージメントを高める」。記憶に残る、次につながる関わりを作る。

↓
12⭐S:評価(Score)
S 体験を振り返り、次の選択に活かすScore|そしてArchiveへ戻る
🙋 生活者の行動
  • 良かった点・合わなかった点が次の判断材料になる
  • 口コミを書く、SNSに投稿する
  • 生成AIのメモリ機能にも蓄積されていく
🏢 事業者の実践例
  • 感想を集める
  • その理由を読み取る
  • 改善につなげる

♻️ 一度の体験が、次のより良い選択につながっていく。評価 → 蓄積へ循環

↓ まとめ ↓
13📊4つのモデルを一言で
AIDMA知る・欲しくなる
AISAS検索して共有する
TICASSNSで気づき、比較する
AIJES人とAIで考え、体験を次へ
🤝 AIが手伝い、人が判断する
↓
14✅今すぐできる実行項目
ACTION 01
商品情報・FAQを整える
AIが読み取れて、生活者が蓄積できる形に。特徴・料金・利用条件を整理しておく。
ACTION 02
人が納得できる根拠を示す
根拠・実物・相談できる接点を用意する。判断するのはあくまで人。
ACTION 03
利用後の声を次の改善へ活かす
感想を集め、理由を読み取り、改善へ。評価が次の蓄積になる。
🗣 「皆さんももう一度、マーケティングを見直す良い機会になったのではないでしょうか。」

AIDMA⇒AISAS⇒TICAS⇒生成AI時代にAIJESの法則を電通が提唱

  1. はじめに
  2. 調べるほど買えなくなる時代──「探す」から「相談して決める」へ
  3. AIDMAとAISAS──広告で知る時代から、検索して共有する時代へ
  4. TICAS──SNSの「気になる」が出発点という、僕が2012年から唱えてきた法則
  5. AIJES──電通が2026年9月10日に発表した、人とAIで進める購買の循環
  6. おわりに
  7. まとめ
  8. よくある質問(Q&A)

はじめに

今日もネットビジネスに関する情報を生中継で15分間お届けしてまいります。今日もよろしくお願いします。今日は2026年9月18日金曜日になりましたが、生成AI時代に新しい購買行動モデルを電通が提唱しました、というニュースを取り上げたいと思います。

購買行動モデルというと、マーケティングを学んだことのある方なら「AIDMA」や「AISAS」という言葉を一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。人がモノを買うまでにどんな心の動きをたどるのか、それを頭文字で並べて覚えやすくしたもの。あれです。実はこの分野、時代が変わるたびに新しいモデルが提案されてきた歴史があります。テレビと新聞が中心だった時代、検索エンジンが主役になった時代、SNSが購買の入口になった時代。そのたびに「人の買い方」の形が変わってきたわけですね。

そして今回、生成AIの時代に合わせた新しいモデルが電通から発表されました。「AIJES(アイジェス)」という名前です。せっかくの機会なので、僕が過去に考えたことも含めて振り返っていきたいと思います。実は僕自身、10年以上前から「TICAS」という自分なりの法則を唱えていまして、その話も一緒にさせていただきます。マーケティングをもう一度見直す、いいきっかけになると思いますよ。


第1章 調べるほど買えなくなる時代──「探す」から「相談して決める」へ

今日のテーマはこちらです

今日のテーマはこちらになります。ご覧ください。どうぞ。

「AIDMAからAISAS、そして生成AI時代にはAIJESを電通が提唱」

ということでお話ししていきたいと思うんですが、その前にちょっと懐かしい話をさせてください。実は僕も過去にこのようなことを書いているんです。

「AIDMAの法則からAISASの法則、TICASの法則」というタイトルの記事があるんですけど、これらを遡ってみると、僕がいつから書いているかというと、2022年8月24日付の記事になります。しかもこの中で、僕はこう書いているんですね。「10年前から話していたことですが」と。

つまり、この年の10年前ですから、2012年頃から僕は「TICAS」という法則を唱えていたことになります。自分で書いた記事なのに、読み返してみると「そんな前から言ってたのか」と我ながら驚くわけですが、当時から購買行動モデルというのは、時代に合わせてアップデートしていかないと現実に合わなくなる、という問題意識を持っていたということなんだと思います。

そして2026年、いよいよ生成AIが一般に浸透した時代になりました。ここでまた新しいモデルが必要になってきた。それが今回、電通が2026年9月10日に発表したAIJESというわけです。順番に見ていきましょう。

「調べるほど買えなくなる?」という現代人の悩み

では早速、順番に説明していきたいと思います。スライドを用意しましたので、見ていきましょう。

まずは「調べるほど買えなくなる?」というテーマから入ります。これ、皆さんも心当たりがあるんじゃないでしょうか。

  • 「口コミが多すぎる」
  • 「結局、私にはどれが向いてるの?」
  • 「比較するだけで疲れちゃったよ」

こういったことが、今まさに起きていることではないかと思います。これも別の動画で解説しましたね。情報が増えれば増えるほど買いやすくなるはずだったのに、実際には逆のことが起きている。これが現代の面白いところであり、厄介なところでもあります。

具体的には、こんな現象が起きていました。

1つ目は、選択肢が多くなったことによって逆に買えなくなるという問題です。

昔は家電量販店に行けば、そのお店に置いてある商品の中から選べばよかった。せいぜい数十種類です。ところが今はネットで検索すれば何千種類も出てくる。しかも一つひとつにレビューが何百件もついている。全部読んでいたら日が暮れてしまいます。選択肢が増えると選びやすくなるどころか、決められなくなってしまうんですね。

2つ目は、買おうと思っているけれど、どんどん商品の値段が安くなるため、買うタイミングを逃してしまうという問題です。

ECサイトを見ていると、セールの告知が次々に流れてきます。「今買うと損をするんじゃないか」「来月のセールまで待ったほうがいいんじゃないか」と考えているうちに、買う気持ちそのものが薄れていく。値下がりを待っているうちに、そもそも欲しかったことを忘れてしまう、なんてこともあります。

3つ目は、情報が多すぎて、後から遡って探せなくなるという問題です。

「あの時に見た、良さそうだった商品、なんだったっけ?」という経験、ありませんか。SNSのタイムラインは流れていきますし、ブラウザのタブは増えすぎて把握できなくなる。せっかく出会った良い情報が、再会できないまま消えてしまうわけです。

つまり、私たちは「情報が足りなくて買えない」時代から、「情報が多すぎて買えない」時代に移ってしまったということですね。

AIに相談すると、何が変わるのか

ところが、これを今、AIに相談するとどうなるか。

予算・使い方・好みを伝えて、一緒に整理していくことができるんです。ここが決定的に違います。

検索エンジンは「あなたの質問に合いそうなページ」を並べてくれるだけで、その先の取捨選択は自分でやらなければいけませんでした。ところが生成AIは、こちらの条件を聞き取ったうえで、その条件に沿って情報を整理し直してくれる。しかも「予算はいくらですか」「どういう場面で使いますか」と逆に質問してくれるので、自分でも言語化できていなかった希望が、対話の中ではっきりしてくるんですね。

ということで、買い物は「探す」から「相談して決める」へ変わってきています。

これは非常に大きな変化です。動詞が変わっているんですから。「探す」というのは自分ひとりの作業ですが、「相談する」というのは相手がいる行為です。買い物の構造そのものが変わったと言ってもいい。

インターフェースも見直さなければいけない

これも先日よくお話ししているように、チャットになったことによってインターフェースも見直さなければいけません。ここは事業者側の方にぜひ考えていただきたい部分です。

ネットの情報の探し方は、大きく3つの時代を経てきました。

時代主役情報の探し方代表的な画面
Yahoo!時代ディレクトリ型ポータルカテゴリー検索カテゴリーの一覧から階層をたどる
Google時代検索エンジンキーワード検索検索窓にキーワードを入れて一覧から選ぶ
生成AI時代生成AIチャットネットでAIに相談するチャット欄で条件を伝え、対話しながら絞り込む

Yahoo!時代のカテゴリー検索から、Google時代のキーワード検索を経て、生成AI時代にはネットでAIに相談するという生成AIチャットの時代になりました。

ここで、ご自身のホームページを一度チェックしてみてください。その仕組みが導入されているでしょうか。

  • カテゴリーで並べるだけになっていませんか
  • サイト内検索の窓だけで済ませていませんか
  • サイト内にチャットが入っているでしょうか

カテゴリーで並べるものやサイト内検索だけでなく、サイト内にチャットが入っているかを見直す必要があります。世の中の人の情報の探し方が「相談する」に変わっているのに、自分のサイトは「探してください」のままだったら、そこでズレが生まれてしまうわけですね。

このズレを埋めるための考え方が、これから紹介する購買行動モデルの話につながっていきます。では、歴史をさかのぼって、AIDMAから順番に見ていきましょう。


第2章 AIDMAとAISAS──広告で知る時代から、検索して共有する時代へ

AIDMA──マスマーケティングが通用していた時代のモデル

では、AIDMAからいきたいと思います。

ここに書いてありますように、AIDMAというのは広告で商品を知るという、マスマーケティングが通用していた時代のモデルですね。テレビ・新聞・ラジオ・雑誌、いわゆる4マスが強かった頃です。企業が広告を出せば、それが多くの人に届いた。そういう前提のうえに成り立っているモデルだと理解してください。

流れはこうなります。

頭文字英語意味消費者の心の動き
AAttention注目広告で商品を知る
IInterest興味・関心「もっと知りたい」と思う
DDesire欲求「自分も欲しい」と思う
MMemory記憶商品名を覚えたりメモしたりして忘れないようにする
AAction行動店頭などで購入する

まず広告で商品を知る。これがAttentionです。そして「もっと知りたい」という興味・関心(Interest)の段階に来て、「自分も欲しい」というDesire(欲求)になります。

ここからがAIDMAの特徴的なところなんですが、次にMemoryが入るんですね。商品名を覚えたりメモしたりすることで忘れないようにするという段階です。なぜこれが必要だったかというと、当時は広告を見た場所と買う場所が離れていたからです。家でテレビCMを見て、週末にお店へ行って買う。その間に何日も空くわけですから、忘れないようにする工夫が必要だった。今ならスマホで見て、その場でポチッと買えてしまいますが、当時はそうはいかなかったんですね。

そして最後にAction、店頭などで購入するという流れです。

売り手は何を工夫すべきだったのか

では、AIDMAの時代に売り手側は何を工夫していたのか。ここも大事なので整理しておきます。

まず、目に留まるような広告を作る(Attention)ことが非常に大事です。

これが出発点ですから、ここでつまずくと後の段階に進みません。だからこそ、インパクトのあるキャッチコピー、印象に残るタレント起用、覚えやすいCMソングといった工夫が生まれてきたわけですね。

そして、欲しくなるような説明をする。

ここでよく言われていたのが、ニーズに対してウォンツを刺激してその気にさせるということです。ニーズというのは「必要としているもの」、ウォンツというのは「欲しいと思う気持ち」。この2つは似ているようで違います。「喉が渇いた」がニーズなら、「あの冷えたコーラが飲みたい」がウォンツです。必要性を説くだけでなく、具体的に欲しくなるように語ることが大事だったんですね。

さらに、思い出させる仕掛け、想起させる工夫をする。

Memoryの段階を支えるための工夫です。繰り返し同じCMを流す、パッケージを覚えやすいデザインにする、店頭のPOPで「あ、CMで見たやつだ」と思い出させる。こうした一連の設計が、AIDMAで言われていたことになります。

AISAS──検索と共有が加わったネット時代のモデル

そしてAISASですね。こちらはインターネットが普及したことで登場したモデルです。

頭文字英語意味消費者の心の動き
AAttention注目広告や情報で商品を知る
IInterest興味・関心ネット広告やSNS広告を見て「良さそう」と思う
SSearch検索価格比較サイト、ECモール、口コミ、ハッシュタグを調べる
AAction行動「やっぱりこれにしよう」と購入する
SShare共有SNSに投稿したり口コミを書いたりする

広告や情報で商品を知り(Attention)、ネット広告やSNS広告も出てきたことで商品に興味を持って「良さそう」と思う(Interest)。ここまではAIDMAと似ています。

違うのはここからです。そうすると、そこですぐに買うのではなく、興味を持った段階でSearch(検索)を行います。

価格比較サイトに行ったり、ECモールに行ったり、様々なものを検索して口コミを探したり、ハッシュタグで検索したりするようになりました。これがSearchです。AIDMAにあったDesire(欲求)とMemory(記憶)が消えて、代わりにSearchが入った。ここがAISASの最大のポイントですね。

なぜMemoryが消えたのか。それは、覚えておく必要がなくなったからです。気になったらその場で検索できる。ブックマークしておける。だから「忘れないようにメモする」という段階が、消費者の頭の中から不要になっていったわけです。

そしてAction、「やっぱりこれにしよう」と購入します。比較検討を経ているので、納得感を持って買うことになります。

購入したら今度はSNSに投稿したり、口コミを書いたりしてShare(共有)します。ここが後ろに追加されたのも大きな変化です。買って終わりではなく、買った人が次の人のAttentionやSearchの材料を作る側に回る。円環構造が生まれたわけですね。

「モノを売るな、コトを売れ」が生まれた背景

検索で見つかる情報と、共有したくなる体験。

この2つがAISASのキーワードです。そして、**「モノを売るな、コトを売れ」**と言われるようになったのもこの頃です。

なぜそう言われたのか。理屈は単純で、体験をしてもらうとSNSに投稿したくなるからです。商品そのものは投稿しにくくても、その商品を使った体験は投稿したくなる。だから画像よりも動画といった形で、記録に残したくなる、投稿したくなる仕掛けをすることが重視されました。

いわゆる「インスタ映え」という言葉が流行ったのもこの流れの中です。いかにSNSへ投稿させるか。それがマーケティングの勝負どころになった。これがAISASの時代だったということですね。

AIDMAとAISASを並べて比べてみる

ここで2つを並べて比較しておきましょう。

比較の観点AIDMAAISAS
前提となるメディアテレビ・新聞などのマス媒体インターネット、ネット広告、SNS広告
購入前の特徴的な行動記憶しておく(Memory)検索して比べる(Search)
購入後の扱いモデルの外(購入で完結)共有する(Share)としてモデルに含む
売り手の主戦場目を引く広告、想起させる仕掛け検索で見つかる情報、投稿したくなる体験
代表的なキーワードニーズとウォンツ、想起モノからコトへ、インスタ映え

こうして並べると、時代の変化がよく分かりますね。「覚えておく」が「検索する」に置き換わり、「買って終わり」が「買ってから広がる」に変わった。 この2つがAIDMAからAISASへの本質的な変化だと言えます。

では、SNSがさらに中心になった時代には何が起きたのか。ここで僕が唱えていた話をさせてください。


第3章 TICAS──SNSの「気になる」が出発点という、僕が2012年から唱えてきた法則

TICASの「T」には3つの意味がある

そして、TICASと言われているのが「SNSの『気になる』が出発点」というもので、僕が提唱しているSNS時代の整理法です。

まず最初に、投稿やつぶやきで「いいな」が生まれるということですね。自分が「何か食べたいな」「行きたいな」と思ってつぶやく。そのつぶやきを他の人が見て、自分も欲しくなったり買いたくなったりする。「これいいな」と思うこともあれば、「これ買ったけれど最悪だった」という投稿を見てみんなで考えることもある。

ここが面白いところで、Thought(思考・妄想)から始まる場合もあれば、つぶやきから始まる場合もありますし、SNSのおすすめや発見タブに出てきたことでその気になってしまうという場合もあります。

当初はTwitterが出てきた時に「TwitterのT」という形で言っていたのですが、「思考・妄想(Thought)」から始まって、「何かやりたいな」と思い立った時にそこでつぶやく、といったことが始まるというものでした。これがTikTokが始まった時には、TikTokのTになったりTwitterのTになったりしていたわけですね。ただ、まとめて「Thought」と呼んでいたのがうまく当てはまっていました。

つまりTICASのTには、こういう3つの顔があるということです。

Tの解釈由来どんな出発点か
Twitterつぶやく/つぶやきを見る自分の発信、あるいは他人の発信がきっかけになる
TikTokおすすめ・発見タブ自分が探していないのに向こうから来て、その気になる
Thought思考・妄想「何か食べたいな」「行きたいな」という漠然とした気持ち

TwitterのT、TikTokのT、そして「考える(Thought)」のT。これが最初の基本です。プラットフォームの名前は時代とともに変わりますが、「考える」は変わりません。だから最終的にThoughtという言葉に落ち着いたわけですね。

I・C・A・S──残りの4ステップ

次にInterestは、関連投稿を見て興味が深まる段階です。

例えばInstagramなら発見タブを見たり、YouTubeなら関連動画を見たりすることで、思い立ったことから次の行動に移る際に、さらに興味・関心を持ってもらう工夫をしていく。ここはプラットフォーム側のレコメンドが強く効いてくる部分です。ひとつ気になる投稿を見ると、似た投稿がどんどん流れてくる。気がついたら詳しくなっている、という体験は誰にでもあると思います。

3番目に**Compare(比較・検討)**です。

ここでは検索もするし、価格比較サイトも行くし、口コミも見るし、SNSでも検索する、という形で比較検討を行います。AISASではここが「Search(検索)」でしたが、僕はあえて「Compare」という言葉を使っていました。理由は、実際にやっていることは検索そのものではなく、比べることだからです。

比較するとか、検索する、まとめサイトを見るといったことです。SNSの投稿をハッシュタグで検索することも含め、Compareが入ってくる。検索というのはあくまで手段であって、目的は「比べて選ぶ」ことなんですね。だから僕はCompareと呼んでいました。

そして納得して購入するというActionがあり、Shareで口コミを書いたりSNSに投稿したりします。ここはAISASと同じ流れですね。

なぜ「検索」ではなく「SNS」を起点に置いたのか

最初の想起の部分がSNSの投稿から始まっている、SNSの投稿を見ることから始まるというのが、僕が唱えていたTICASという理論です。

これも2010年か2012年頃から僕が言っているものですが、まさに今もこのようになっているのではないかと思います。

AIDMAもAISASも、出発点は「広告」でした。企業が出した情報を消費者が受け取る、という方向です。ところがSNSの時代になると、出発点が「他人の投稿」や「自分のつぶやき」に移った。企業が起点ではなく、生活者同士のやりとりが起点になったわけです。ここが僕の一番言いたかったところですね。

モデル出発点誰が発信しているか
AIDMA広告(Attention)企業
AISAS広告・情報(Attention)企業(+一部は他ユーザーのShare)
TICASつぶやき・おすすめ・思考(Thought)生活者自身、および他の生活者

企業が「知らせる」ところから始まるのではなく、生活者が「気になる」ところから始まる。だからこそ、事業者側は広告を打つだけでは足りなくて、生活者が話題にしたくなる状態を作らないといけない、という話になるわけです。

TICASからAIJESへ──何が足りなくなったのか

ただ、このTICASにも限界が見えてきました。第1章でお話しした「調べるほど買えなくなる」という問題です。

TICASのC(Compare)は、比較検討を自分の力でやることを前提にしています。検索して、口コミを読んで、価格を見比べて、自分で決める。ところが情報量が爆発した結果、この「自分で比べる」という作業そのものが重荷になってしまった。比較するだけで疲れてしまう人が増えたわけですね。

そこに生成AIが登場しました。比べる作業を手伝ってくれる相手が現れた。となると、購買行動モデルも「自分ひとりで進むプロセス」から「AIと一緒に進むプロセス」へ書き換える必要が出てきます。

そこで新しく、今回電通から非常に分かりやすいモデルが発表されました。いよいよ本題のAIJESです。


第4章 AIJES──電通が2026年9月10日に発表した、人とAIで進める購買の循環

AIJESの全体像

「AIJES(アイジェス)|人とAIで進める購買の循環」というもので、2026年9月10日に電通が発表しました。

頭文字は次のとおりです。

  • A:Archive(蓄積)
  • I:Interaction(問答)
  • J:Judgment(判断)
  • E:Engagement(参加)
  • S:Score(評価)

この頭文字をとって「AIJES(アイジェス)」というモデルを提唱していますので、こちらも見ていきましょう。

ポイントは副題にある「循環」という言葉です。AIDMAもAISASもTICASも、基本的には一方向に進む直線のモデルでした。ところがAIJESは最後のS(評価)が最初のA(蓄積)に戻る円になっている。ここが構造的に新しいところですね。

A:Archive(蓄積)──欲しくなる前から準備が始まる

まず「A:蓄積」は、欲しくなる前から準備が始まります。

これ、面白い発想だと思いませんか。従来のモデルは「広告を見た瞬間」や「つぶやいた瞬間」からスタートしていました。ところがAIJESは、その手前に「日頃からの情報のため込み」を置いているんです。

先ほどのTwitterのTやTikTokのT、思考もそうですが、世の中にある様々なことから蓄積をしていく段階です。具体的にはこういう行動ですね。

  • 見かけた商品や気になる商品を覚えておく
  • 忘れないように保存やブックマークをしたり、ツイートしたりする
  • 過去の体験として「良かったな」という思い出が残っている
  • 好みや予算をメモしてまとめておく
  • Pinterestにピン留めしておく

情報を集めておく段階が最初にあるのではないかと思います。旅行の場合であれば「保存しておこう」「ここが良いから忘れないようにしよう」と蓄積します。

ここでAIDMAの「Memory」を思い出してください。あれは「買うと決めた商品名を忘れないようにする」ものでした。AIJESのArchiveは似ているようで違います。買うと決める前の、まだ形になっていない好みや憧れまで含めてため込んでおくわけです。そしてそれが後で、AIに相談するときの材料になる。ここがつながっているんですね。

事業者側の実践例としては、次のようなことが挙げられます。

  • 普段から役立つ情報を届けること
  • いわゆるカルーセル投稿のように、保存したくなる投稿やお役立ち情報を発信すること
  • 特徴や料金、利用条件を整理しておくこと
  • おすすめのものをまとめてキュレーションしておくこと

情報を蓄積して、購買への第一歩を始めてもらう。これが「A(Archive)」ですね。「今すぐ買ってください」という発信ばかりしていると、この段階では相手にされません。保存したくなるかどうか、これが分かれ目になります。

I:Interaction(問答)──検索ではなく対話で絞り込む

続いて「I:問答(Interaction)」です。条件を伝え、対話で絞り込んでいきます。

具体例で考えてみましょう。生成AIに対して「家族3人で温泉に行きたい、静かな宿が良い」と伝えると、「移動手段と予算は?」と返ってくる。このように質問に答えていくと、だんだん自分の考えがまとまり、希望が明確になっていきます。

ここが本当に重要なところです。単に検索するのではなく、問答するというプロセスが始まりました。

検索窓は質問し返してきません。「静かな宿」と入れれば「静かな宿」を含むページが出てくるだけです。ところが対話型のAIは聞き返してくる。その聞き返しに答えているうちに、自分でも気づいていなかった条件が言葉になっていく。これは検索にはなかった体験ですね。

問答のパートで整理されていくのは、主にこの3つです。

整理される項目内容問いかけの例
目的そもそも何のためにやりたいのか何を一番楽しみたいですか
制約条件動かせない条件は何か移動手段と予算は?
優先順位何から順番に決めればよいか静かさと料金、どちらを優先しますか

そもそも目的は何なのか、制約条件は何なのか、優先順位として何から順番に決めていけばよいのか。こういったことを整理していくのが問答のパートになります。

言い換えれば、AIが相談相手になることで、消費者は自分の要望を自分で言語化できるようになったということです。今まで店員さんが上手にヒアリングしてくれていたことを、AIが担うようになってきた、とも言えますね。

J:Judgment(判断)──AIの提案を自分の納得に変える

これを経て、次は「J:判断(Judgment)」です。AIの提案を、自分の納得に変えていきます。

様々な比較材料を見たり、検索したり、ハッシュタグ検索や口コミを読んだりして、自分の条件や気持ちに合うものは何なのかを絞り込んでいき、最終的に判断を下さなければなりません。

判断の軸は3つあります。

判断軸問われること性質
事実料金や条件が正しいか確認できる、客観的な情報
適合自分の目的に合っているか条件との突き合わせ
納得本当にこれを選びたいか感情や感覚、最後は直感

料金や条件が正しいかという「事実」、自分の目的に合っているかという「適合」、そして本当にこれを選びたいかという「納得」です。

ここは感情や感覚の部分であり、最後は直感で決める部分でもあります。どれだけAIが論理的に最適解を出してくれても、「なんとなくこっちが好き」という気持ちが最後に働く。これは人間にしかできない部分ですね。

だからこそ、この段階では現実の行動が増えます。

  • 店頭で実物を確認して、部屋の雰囲気や設備を実際にチェックする
  • 公式サイトで料金プランや利用条件を確認する
  • スタッフに相談して不明点を聞いて、納得して決める

こういった行動を取ります。

ですから事業者の実践例としては、根拠・実物・相談できる接点を用意することが、このJudgmentの段階では大事です。AIも大切ですが、リアルな根拠、リアルな場所、リアルな人といった部分にフォーカスし、人間が判断できる材料を提供していくことが求められます。

ここ、逆説的で面白いところですよね。AI時代のモデルなのに、真ん中のいちばん大事なところで「リアルが効く」と言っている。AIが増えるからこそ、人が確かめられる場所の価値が上がる、ということだと思います。

E:Engagement(参加)──買って終わりではなく、体験が関係を作る

次に「E:参加(Engagement)」です。選んだ商品・サービスを体験する段階です。

予約や購入をして、決めた場所に実際に行って体験する。体験したことによってモノからコトへと変わり、さらにそこで人とコミュニケーションを取ることで関わりを深め、次につなげるためのご縁を結んでいきます。

そのために「エンゲージメントを高める」という言葉が最近よく使われていますね。買って終わりではなく、体験が関係を作っていきます。

事業者が取り組むべきことを整理すると、こうなります。

段階やるべきことねらい
利用前迷わず利用できる案内を用意してUIを整える予約や購入でつまずかせない
利用中期待に応えるサービスを提供する紹介内容と実体験の差を小さくする
利用後サポートをしっかり行う記憶に残る、次につながる関わりを作る

迷わず利用できる案内を用意してUIを整えることから始まり、期待に応えるサービスを提供して紹介内容と実体験の差を小さくし、利用中や利用後のサポートをしっかり行うことで体験を深め、記憶に残る、次につながる関わりを作っていきます。

「紹介内容と実体験の差を小さくする」というのは、とても実務的で良い表現だと思います。広告で盛りすぎると、体験したときにガッカリされる。そのガッカリが次のS(評価)に流れ込んでしまうわけですから、期待値のコントロールがそのまま次の段階に効いてくるんですね。

S:Score(評価)──体験を振り返り、次の選択に活かす

最後に「S:評価(Score)」です。体験を振り返り、次の選択に活かします。

良かった点や合わなかった点が次の判断材料になり、これが再び最初の「Archive(蓄積)」へと戻って循環していきます。ここで円が閉じるわけですね。

具体的には、良かった点や悪かった点を口コミに書いたり、SNSに投稿したりします。そして最近の生成AIであれば、メモリ機能にも蓄積されていきますね。ここが今までにない部分です。

自分が「この宿は静かで良かった」と話した内容をAIが覚えていてくれる。すると次に旅行の相談をしたときに、その好みを踏まえた提案が返ってくる。つまり、評価が自分専用の蓄積(Archive)として積み上がっていくわけです。AISASのShareは他人のための情報でしたが、AIJESのScoreは他人のためでもあり、同時に未来の自分のためでもある。ここが大きな違いだと思います。

事業者側は感想を集め、その理由を読み取って改善につなげていくことができます。「星3つ」という数字だけを見るのではなく、なぜ星3つだったのかという理由を読む。そこに次の改善のヒントがあるわけですね。

一度の体験が、次のより良い選択につながっていく。これがAIJESの円環構造です。

4つのモデルを並べて整理する

まとめると、このような形になります。

モデル一言でいうと
AIDMA知る・欲しくなる
AISAS検索して共有する
TICASSNSで気づき、比較する
AIJES人とAIで考え、体験を次へ

そして、AIJESを一文で表すならこうです。

AIが手伝い、人が判断する。

ここに尽きると思います。AIが全部決めてくれるわけではない。AIは材料を整え、選択肢を絞り込み、考えを言語化する手伝いをする。でも最後に「これにしよう」と決めるのは人間です。だからこそ事業者は、AIに拾ってもらえる情報を整備すると同時に、人が納得できる材料も用意しなければいけない。両方が必要なんですね。


おわりに

今日は「AIDMAからAISAS、そして生成AI時代にはAIJESを電通が提唱」というテーマでお話ししてきました。

振り返ると、購買行動モデルの歴史は「情報との付き合い方の歴史」でもありました。AIDMAは広告で知って覚えておく時代、AISASは検索して共有する時代、そして僕が2012年頃から唱えてきたTICASはSNSの「気になる」から始まる時代のモデルでした。ところが情報が増えすぎた結果、「調べるほど買えなくなる」という新しい壁が生まれてしまった。

そこに現れたのが、2026年9月10日に電通が発表したAIJESです。Archive(蓄積)で日頃から情報をため、Interaction(問答)でAIと対話して条件を整理し、Judgment(判断)で事実・適合・納得を確かめ、Engagement(参加)で体験して関係を作り、Score(評価)で振り返る。そしてその評価がまた蓄積へ戻っていく循環型のモデルです。

大事なのは、AIが手伝い、人が判断するという役割分担ですね。事業者としては、AIに拾ってもらえる情報整備と、人が納得できるリアルな根拠の両方を用意する。皆さんももう一度マーケティングを見直す良い機会になったのではないでしょうか。


まとめ

今日お話ししたポイントを整理します。

■ 4つの購買行動モデルの要点

  • AIDMA:知る・欲しくなる。マスマーケティングが通用していた時代のモデル。Memory(記憶)があるのが特徴
  • AISAS:検索して共有する。ネット時代のモデル。Search(検索)とShare(共有)が加わった
  • TICAS:SNSで気づき、比較する。僕が2010年〜2012年頃から唱えているモデル。TはTwitter・TikTok・Thoughtの3つの意味を持つ
  • AIJES:人とAIで考え、体験を次へ。2026年9月10日に電通が発表した、循環型のモデル

■ AIJESの5ステップ

  • A:Archive(蓄積) ─ 欲しくなる前から準備が始まる。保存・ブックマーク・ピン留め・好みや予算のメモ
  • I:Interaction(問答) ─ 条件を伝え、対話で絞り込む。目的・制約条件・優先順位を整理する
  • J:Judgment(判断) ─ AIの提案を自分の納得に変える。事実・適合・納得の3軸で見る
  • E:Engagement(参加) ─ 買って終わりではなく、体験が関係を作る。紹介内容と実体験の差を小さくする
  • S:Score(評価) ─ 体験を振り返り、次の選択に活かす。口コミ、SNS投稿、そして生成AIのメモリ機能へ

■ 時代の変化を一言で

  • 買い物は「探す」から「相談して決める」へ
  • Yahoo!のカテゴリー検索 → Googleのキーワード検索 → 生成AIチャットで相談
  • AIが手伝い、人が判断する

■ 今すぐできる実行項目(3点)

  1. 商品情報・FAQを整える
  2. 人が納得できる根拠を示す
  3. 利用後の声を次の改善へ活かす

そして事業者の方は、ご自身のホームページを見直してみてください。カテゴリーで並べるものやサイト内検索だけでなく、サイト内にチャットが入っているかどうか。ここが生成AI時代のインターフェース対応の第一歩になります。


よくある質問(Q&A)

Q1. AIJESが発表されたということは、AIDMAやAISASはもう使えないということですか?

いいえ、そういうことではありません。購買行動モデルというのは「古いものが新しいものに置き換わる」というより、「その時代の主流を説明するのに一番しっくりくる型が増えていく」というイメージで捉えたほうがいいと思います。

実際、今でもテレビCMを見て店頭で買う人はいますから、その人の行動を説明するにはAIDMAが一番しっくりきます。価格比較サイトを見比べて買ってからレビューを書く人にはAISASが合いますし、TikTokで見かけたものが気になって買う人にはTICASが合う。そしてAIに相談しながら決める人にはAIJESが合う、というだけの話です。

大事なのは、自分のお客さんがどの型で動いているのかを知ることですね。商材によっても年齢層によっても違います。全部を一律にAIJESで説明しようとすると、かえって現場感からズレてしまうので注意してください。

Q2. TICASとAIJESは何が一番違うのですか?

一番の違いは、比較検討を誰がやるかという点だと思います。

TICASのC(Compare)は、生活者が自分で比べることを前提にしています。検索して、口コミを読んで、価格を見比べて、自分の頭の中で整理する。この作業は全部自分の仕事でした。

一方AIJESのI(Interaction)は、AIと問答しながら条件を絞り込んでいきます。AIが聞き返してくれるので、自分でも言語化できていなかった希望が形になっていく。作業の一部が外部化されたわけですね。

もう一つの違いは構造です。TICASはShareで終わる直線的なモデルですが、AIJESはScore(評価)がArchive(蓄積)に戻る循環型になっています。しかも生成AIのメモリ機能があるので、評価が自分専用の蓄積として積み上がっていく。ここは今までのモデルにはなかった発想です。

Q3. 「AIが手伝い、人が判断する」とありますが、将来的にはAIが判断まで代わりにやるようになるのでしょうか?

その可能性はゼロではないと思いますが、AIJESが面白いのは、あえてJ(Judgment)を人間の役割として真ん中に置いているところなんですね。

判断の軸として挙げられているのが「事実」「適合」「納得」の3つです。このうち事実の確認と適合の判定は、AIが得意な領域です。料金が正しいか、条件に合っているかは調べれば分かります。でも最後の「納得」、つまり本当にこれを選びたいかという部分は、感情や感覚の領域です。ここは最後は直感で決める部分でもあります。

だから事業者としては、この「納得」を支える材料を用意することが重要になります。具体的には根拠・実物・相談できる接点ですね。リアルな根拠、リアルな場所、リアルな人。AIが増えるからこそ、この部分の価値が相対的に上がっていくと僕は考えています。

Q4. 自社のホームページは、具体的に何から手をつければいいですか?

いきなり全部やろうとすると大変なので、優先順位をつけて考えましょう。今日の内容からすると、この順番がおすすめです。

まずは商品情報・FAQを整えることです。 これが実行項目の1番目に挙がっている理由は、AIに相談されたときに答えの材料になるのがこの部分だからです。特徴、料金、利用条件がバラバラのページに散らばっていたり、そもそも書いていなかったりすると、AIも人も判断のしようがありません。

次に、人が納得できる根拠を示すことです。 実績、事例、写真、第三者の声。判断(Judgment)の段階を支える材料ですね。

そして、サイト内にチャットが入っているかを見直すことです。 カテゴリーで並べるものやサイト内検索だけになっていないか。世の中の探し方が「相談する」に変わっているのに、自分のサイトだけ「探してください」のままだと、そこでズレが生まれてしまいます。

最後に、利用後の声を次の改善へ活かす仕組みを作ることです。 感想を集めて、その理由を読み取る。星の数だけ見るのではなく、なぜその評価になったのかを読むところまでやって初めて改善につながります。

Q5. SNS運用では、AIJESを意識すると何を変えればいいですか?

一番変わるのは、A(Archive)を強く意識するようになることだと思います。

AIJESでは「欲しくなる前から準備が始まります」と言っています。つまり、今すぐ買う気のない人に向けた発信にも、ちゃんと役割があるということです。ここが従来の「今すぐ買ってください」型の発信との違いですね。

具体的には、保存したくなる投稿を意識することです。いわゆるカルーセル投稿のように、後で見返したくなるお役立ち情報を発信する。おすすめのものをまとめてキュレーションしておく。特徴や料金、利用条件を整理して分かりやすくまとめておく。

これらが生活者の「蓄積」に入り込むと、後でその人がAIに相談したときに、材料として引っ張り出されることになります。「いいね」の数よりも「保存」の数を見たほうがいい、というのは前から言われていることですが、AIJESの文脈で考えると、その意味がよりはっきりしてくると思います。

あわせて、E(Engagement)とS(Score)の部分も意識してください。体験してもらったあとのコミュニケーション、そして感想を集めて改善につなげる流れ。SNSは発信の場であると同時に、この評価を拾う場でもありますから、投稿するだけでなく、返ってきた声を読むところまでがセットだと考えていただければと思います。

AIDMA⇒AISAS⇒TICAS⇒生成AI時代にAIJESの法則を電通が提唱

🔄 AIJES(アイジェス)
2026年9月10日に電通が発表した、生成AI時代の購買行動モデルです。Archive(蓄積)、Interaction(問答)、Judgment(判断)、Engagement(参加)、Score(評価)の5段階の頭文字から名付けられました。従来のモデルが「認知から購入までの一直線」だったのに対し、AIJESは評価が次の蓄積へ戻る「循環」として描かれているのが最大の特徴です。AIが情報整理を手伝い、最終的な判断は人が下すという役割分担を示しています。

📢 AIDMA(アイドマ)
マスマーケティングが通用していた時代の購買行動モデルです。Attention(注意)、Interest(興味)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動)の5段階からなります。広告で商品を知り、もっと知りたいと思い、自分も欲しくなり、商品名を覚えておいて、店頭で購入するという流れです。売り手側は、目に留まる広告を作り、欲しくなる説明でウォンツを刺激し、思い出させる仕掛けを用意することが重要とされました。

🔍 AISAS(アイサス)
ネットとSNSの普及を反映した購買行動モデルで、Attention(注意)、Interest(興味)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)の5段階です。興味を持った時点ですぐ買わず、価格比較サイトやECモール、ハッシュタグ検索で口コミを調べてから購入し、その後SNSに投稿して共有します。「モノを売るな、コトを売れ」「インスタ映え」といった考え方が広まったのも、この共有段階を意識した結果でした。

💭 TICAS(ティカス)
横田が2012年頃から提唱している、SNS時代の購買行動モデルです。Thought(思考・妄想)、Interest(興味)、Compare(比較・検討)、Action(行動)、Share(共有)の流れで整理します。TはTwitterのT、TikTokのT、そして「考える」のTを兼ねており、投稿やつぶやき、おすすめ・発見タブとの出会いが出発点になる点が特徴です。Searchの代わりにCompareを置き、検索・まとめサイト・口コミを含めた比較検討として捉えています。

📥 Archive(蓄積)
AIJESの1番目の段階で、「欲しくなる前から準備が始まる」という考え方です。見かけた商品を保存やブックマークで覚えておく、過去の良かった体験が記憶に残っている、好みや予算をメモする、Pinterestにピン留めするといった行動がこれにあたります。事業者側の実践としては、普段から役立つ情報を発信し、カルーセル投稿など保存したくなるコンテンツを作り、特徴・料金・利用条件をキュレーションしておくことが有効です。

💬 Interaction(問答)
AIJESの2番目の段階で、条件を伝えて対話で絞り込んでいくプロセスです。たとえば「家族3人で温泉に行きたい、静かな宿が良い」と生成AIに伝えると「移動手段と予算は?」と聞き返され、答えるうちに自分の希望が明確になっていきます。単語を入力する「検索」ではなく、往復する「問答」に変わった点が本質です。目的は何か、制約条件は何か、優先順位はどうかを、AIとの対話を通じて整理していく段階といえます。

⚖️ Judgment(判断)
AIJESの3番目の段階で、AIの提案を自分の納得に変えていくプロセスです。判断材料は「事実」(料金や条件が正しいか)、「適合」(自分の目的に合っているか)、「納得」(本当にこれを選びたいか)の3つで、最後は感情や直感が働く部分でもあります。店頭で実物を見る、公式サイトで条件を確認する、スタッフに相談するといった行動が典型です。事業者は根拠・実物・相談できる接点というリアルな材料を用意する必要があります。

🤝 Engagement(参加)
AIJESの4番目の段階で、選んだ商品やサービスを実際に体験するプロセスです。予約や購入をして現地に行き、モノからコトへと価値が移り、人とのコミュニケーションを通じて関わりが深まります。買って終わりではなく、体験が関係を作っていくという発想です。事業者側は、迷わず使えるUIや案内を整え、紹介内容と実体験の差を小さくし、利用中・利用後のサポートを充実させることで、記憶に残り次につながる関係を築きます。

⭐ Score(評価)
AIJESの5番目の段階で、体験を振り返って次の選択に活かすプロセスです。良かった点・合わなかった点を口コミに書いたりSNSに投稿したりすることで、それが再び最初のArchive(蓄積)に戻り、購買行動が循環していきます。近年は生成AIのメモリ機能にも評価が蓄積されていく点が新しい特徴です。事業者は感想を集めるだけでなく、なぜそう感じたのかという理由を読み取り、サービス改善につなげることが求められます。

🤖 相談して決める買い物
情報過多によって「調べるほど買えなくなる」状況を受けた、購買スタイルの変化を表す言葉です。口コミが多すぎる、比較するだけで疲れる、結局どれが自分に向いているか分からない、という悩みに対し、予算・使い方・好みをAIに伝えて一緒に整理するやり方が広がっています。Yahoo!時代のカテゴリー検索、Google時代のキーワード検索を経て、生成AIチャットの時代へ。自社サイトにもチャット導線があるか見直しが必要です。

AIDMA⇒AISAS⇒TICAS⇒生成AI時代にAIJESの法則を電通が提唱

AIJESとは何か|電通グループが2026年9月10日に提唱した新購買行動モデル

AIJESの読み方と5つのプロセス(Archive・Interaction・Judgment・Engagement・Score)

AIJESは「アイジェス」と読みます。2026年9月10日、国内電通グループの4社(電通、電通デジタル、電通総研、電通マクロミルインサイト)が、AI時代における新しい購買行動モデルとして提唱したものです。ネーミングは商標出願中とされています。よく「電通が発表した」と語られますが、正確には4社の連名であり、それぞれ戦略立案、顧客体験設計と施策実行、AIアプリケーション開発、調査・データ分析と役割を分担している点が、単なる概念発表と異なるところです。

AIJESは5つのプロセスの頭文字で構成されます。A=Archive(蓄積)、I=Interaction(問答)、J=Judgment(判断)、E=Engagement(参加)、S=Score(評価)です。Archiveは、人とAIの双方に情報が溜まっていく段階を指します。人は日々の生活や広告、体験を通じて商品・サービスの情報を蓄積し、AI側にもさまざまなデータが蓄積されていきます。Interactionは、買うきっかけが生まれたときに人がAIへ問いを投げ、対話を重ねながら必要な情報を得る段階です。Judgmentは、AIから得た情報だけでなく、それ以外の情報や自分自身の直感も含めて最終的に決める段階を指します。Engagementは購入・利用・公式SNSへの参加など、単発あるいは継続的な関わりが生まれる段階です。Scoreは、人が評価し、同時にAIによる評価も加わり、その評価が人とAIの双方に蓄積されて次の購買行動につながる段階を指します。

最大の特徴は、5つが一方通行のファネルではなく循環する点にあります。ScoreがそのままArchiveに戻り、次の購買の初期条件になる。AIDMAやAISASが「認知から購入まで」を直線で描いていたのに対し、AIJESは終わりのないループとして購買行動を捉え直したモデルだと理解しておくと、後の実務への落とし込みが見えやすくなります。

なぜ今AIJESなのか|「検索して比べる」から「AIに相談して決める」への転換

背景にあるのは、情報接触のあり方そのものの転換です。これまで商品やサービスを調べるときは、検索エンジンやSNSで情報を取得するのが一般的でした。しかし現在は、AIに質問を投げ、その回答を参考にしながら意思決定するケースが広がっています。電通グループはこの変化が特定の世代に限らず幅広い年代で確認されていることを指摘しており、だからこそ既存モデルの微修正ではなく新しいモデルが必要だと判断したわけです。

数字の裏づけもあります。電通デジタルが2026年7月23日に発表した「生活者のAI活用実態調査 2026.7」では、プライベートで生成AIを使っている15〜69歳3,300人のうち、直近半年以内の買い物についてAIに相談した割合が、調査した全カテゴリーで30%以上に達しました。とくに旅行計画・宿泊予約が57%、金融商品・保険が56%と、スペックや金額を踏まえた入念な比較検討が起きやすい高関与カテゴリーで高く出ています。食品や日用品のような低関与カテゴリーでも3割を超えているという事実は、AI相談がすでに例外的な行動ではないことを示しています。

もうひとつの背景が、選択肢と情報の過剰です。「口コミが多すぎる」「結局、自分にはどれが向いているのか分からない」「比較するだけで疲れた」という状態は、多くの人が心当たりのあるところでしょう。調べれば調べるほど買えなくなる、値下がりを待つうちにタイミングを逃す、あとから情報を辿れなくなる。この行き詰まりに対して、予算・使い方・好みを伝えれば一緒に整理してくれるAIが、事実上の相談相手として機能し始めました。買い物は「探す」から「相談して決める」へ移りつつあります。

この変化はインターフェースの見直しも迫ります。Yahoo!時代のカテゴリー検索、Google時代のキーワード検索を経て、いまはAIに相談するチャットの時代です。自社サイトがカテゴリー一覧とサイト内検索だけで止まっていないか、相談できる導線があるかを、AIJESは静かに問いかけています。

AIDMAからAISASへ|購買行動モデルが変わってきた100年の系譜

AIDMAの法則とは|1920年代のマスメディア時代に生まれた5段階

AIDMA(アイドマ)は、アメリカのサミュエル・ローランド・ホールが1920年代に提唱した購買行動モデルです。1898年にセント・エルモ・ルイスが示したAIDAの派生形とされ、日本ではAIDMAのほうが広く定着しました。日本の広告会社が作ったモデルと誤解されることがありますが、出自はアメリカの販売・広告実務書である点は押さえておきたいところです。

構成は、Attention(注意・認知)、Interest(興味・関心)、Desire(欲求)、Memory(記憶)、Action(行動・購買)の5段階です。テレビ・新聞・雑誌といったマスメディアを通じて、企業から生活者へ一方向に情報が流れる環境を前提にしています。まず広告で商品を知り、「もっと知りたい」と関心が高まり、「自分も欲しい」という欲求が生まれ、商品名を覚えたりメモしたりして忘れないようにし、後日店頭で購入する。この流れです。

注目すべきはM=Memoryが独立した段階として置かれていることです。当時は広告に接した場所と買える場所が物理的にも時間的にも離れていました。テレビCMを見た瞬間に買うことはできず、次に店へ行くまで記憶を保持してもらう必要があった。だからこそ売り手の工夫は、目に留まる広告を作ること、ニーズに対してウォンツを刺激して「欲しい」と思わせる説明をすること、そして思い出させる仕掛け(ジングル、キャッチコピー、繰り返し出稿)を用意することに集中しました。

現在はスマートフォンで即座に買えるため、Memoryの重み付けは当時ほどではありません。ただし、人の心理プロセスそのものが消えたわけではなく、「潜在期に記憶に残しておく」という発想はAIJESのArchiveへと形を変えて受け継がれています。100年前のモデルが今も教科書に載り続けているのは、この普遍性があるからです。

AISASの法則とは|2004年に電通が提唱した検索と共有の時代

AISAS(アイサス)は、インターネット経由の購入が主流になった2004年に電通グループが提唱した購買行動モデルで、2005年6月に商標登録され「AISAS®」として使われています。構成は、Attention(注意・認知)、Interest(関心)、Search(検索)、Action(行動)、Share(共有)です。AIDMAのDesireとMemoryが抜け、代わりにSearchとShareが入った、という理解が最も分かりやすいでしょう。

Searchの追加が意味したのは、生活者が売り手の説明を鵜呑みにしなくなったということです。興味を持った瞬間にすぐ買うのではなく、価格比較サイトを見る、ECモールのレビューを読む、ハッシュタグで実際の使用例を探す。企業のコントロール外にある情報が購買の判断材料になりました。SEOが一部の担当者の作業ではなく経営課題として扱われるようになったのは、この構造が定着したからです。

Shareの追加はさらに大きな転換でした。購入して終わりではなく、買った人の投稿が次の誰かのAttentionになる。ここで購買行動は初めて円環の性質を帯びます。「モノを売るな、コトを売れ」と言われるようになったのもこの時期で、体験を提供すれば投稿したくなり、投稿が次の需要を生む。画像より動画、記録に残したくなる演出、いわゆる「インスタ映え」を意識した店舗設計といった施策は、すべてShareを起こすための設計でした。

そして重要なのは、AISASが過去のものになったわけではないという点です。電通グループ自身、AIJESはAISAS®を発展させたものであり、購買行動の過渡期には両者がしばらく並走すると想定しています。すべての生活者がAIだけで商品を選ぶ段階には至っていない以上、検索とSNSを前提とした顧客接点は維持したまま、AI経由の導線を新たに足していくのが現実的な構えになります。

TICASの法則とは|SNS時代の「気になる」から始まる購買行動

Thought・Interest・Compare・Action・ShareでSNS起点を捉え直す

TICAS(ティカス)は、筆者が2012年頃から提唱してきたSNS時代の購買行動の整理法です。2022年8月24日付の記事でも「10年前から話していたことですが」と書いており、TwitterがSNSの中心にあった時期から使い続けてきた枠組みになります。

構成は、T=Thought(思考・妄想/つぶやき)、I=Interest(興味・関心)、C=Compare(比較・検討)、A=Action(行動・購買)、S=Share(共有・口コミ)です。最初のTは、当初「TwitterのT」として始まりました。「何か食べたいな」「どこかに行きたいな」と思い立った瞬間につぶやく。そのつぶやきを別の人が見て、自分も欲しくなる。TikTokが台頭してからは「TikTokのT」としても機能し、最終的には「考える(Thought)」のTとしてまとめるのが最も実態に合っていました。おすすめ欄や発見タブに流れてきた投稿で、頼んでもいないのにその気にさせられる。あの瞬間がTです。

Iは、関連投稿を見て興味が深まる段階です。Instagramの発見タブ、YouTubeの関連動画、TikTokのレコメンド。プラットフォームのアルゴリズムが次の一手を差し出してくるため、思い立ったことが自然に深掘りへ進みます。

CをSearchではなくCompare(比較・検討)としたのが、TICASの意図的な部分です。生活者がやっているのは検索という行為そのものではなく、比較という目的だからです。検索エンジンも使うし、価格比較サイトも見るし、まとめサイトも読むし、SNSでハッシュタグ検索もする。手段は複数あり、入れ替わり続ける。ならばモデル側は目的の名前で押さえておいたほうが長持ちする、という判断でした。そして納得してAction(購入)し、Share(投稿・口コミ)へ至ります。

AISASとTICASの違い|出発点が「広告」から「タイムライン」へ移った

AISASとTICASの最大の違いは出発点です。AISASのAttentionは、広告や企業発信の情報に「気づかされる」ことから始まります。つまり起点を作るのは売り手側です。対してTICASのThoughtは、生活者自身の内側から出てくるつぶやきか、他人の投稿を見てしまったことから始まります。起点が売り手の手を離れ、タイムラインという他人の生活の側に移った。これがSNS時代に起きたことでした。

この差は施策の設計をまるごと変えます。AISAS前提なら「どう気づかせるか」が出稿量とクリエイティブの問題になりますが、TICAS前提では「誰かが語りたくなる状態をどう作るか」「レコメンドに乗る投稿をどう積むか」が問題になります。広告費よりも、語られる材料と投稿の蓄積が効いてくる構造です。

もうひとつの違いが、ニーズ潜在期を扱っているかどうかです。AISASは基本的にニーズが顕在化した後の行動を描きます。一方TICASは、まだ買う予定がない段階で流れてきた投稿が後の購買を決めている、という現実を起点に置きました。この「まだ買う気がない時期の情報接触が効く」という発想は、そのままAIJESのArchive(蓄積)と地続きです。電通グループもAIJESにおいて、判断の質を高めるにはニーズ潜在期における情報蓄積が重要だと明言しています。

つまりTICASは、AISASとAIJESの間をつなぐ位置づけとして読むことができます。起点がSNSに移り、比較の手段が多様化し、潜在期の蓄積が効くようになった。その延長線上に、蓄積先が人だけでなくAIにも広がった世界としてAIJESがある、という系譜です。

AIJESの5ステップを実務に落とし込む|事業者が今日から打てる手

Archive(蓄積)とInteraction(問答)|人とAIの両方に情報を貯める設計

AIJESのArchiveを理解するうえで最も重要なのは、蓄積先が人とAIの両方だという点です。ここを「生活者がブックマークする段階」とだけ読むと、施策が半分しか出てきません。正しくは二正面作戦になります。

人側の蓄積に対しては、保存したくなる情報を日常的に届けることが打ち手です。手順やチェックリストをまとめたカルーセル投稿、季節ごとのお役立ち情報、比較の観点そのものを教えるコンテンツ。旅行なら「ここは忘れないようにしよう」と保存される投稿、飲食なら「今度行きたい」とスクリーンショットされる一枚。さらに、過去の来店体験や接客の記憶も立派な蓄積です。ニーズが顕在化した瞬間に思い出してもらえるかどうかは、それ以前の数か月で決まっています。

AI側の蓄積に対しては、LLMO/GEOと呼ばれる領域の整備が打ち手になります。AIが参照しうる情報環境に、自社の特徴・料金・利用条件・対応エリア・よくある質問が、曖昧さなく置かれているか。公式サイトに一次情報として明記されているか。第三者メディアや口コミサイトでの記述が古いまま放置されていないか。AIに質問されたとき自社が回答に登場するか、という発想の一歩手前に、そもそも参照可能な情報が存在しているかという問題があります。

Interaction(問答)は、生活者がAIに条件を伝え、対話で絞り込んでいく段階です。「家族3人で温泉に行きたい、静かな宿がいい」と伝えると「移動手段と予算は」と返ってくる。答えていくうちに本人の希望が言語化されていきます。事業者が用意すべきは、この問答に耐える情報です。目的・制約条件・優先順位という切り口で自社の商品を説明できているか。そして自社サイト側にも、カテゴリー一覧とサイト内検索だけでなく、相談できるチャット導線を置く検討が必要になります。

Judgment(判断)・Engagement(参加)・Score(評価)|最後に決めるのは人間

AIJESが他のAI時代論と一線を画すのは、モデルの中心に人間のJudgment(判断)を残したことです。電通グループは、AI活用が進んでも最終的な意思決定を担うのは人間であるという前提に立ち、直感も駆使した判断に着目したと説明しています。そして判断の質を高めるには、潜在期の情報蓄積に加えて、顕在期にAI経由だけでない統合的な情報入手が重要だとしています。

実務に置き換えると、Judgmentの段階で必要なのは三つです。料金や条件が正しいかという「事実」、自分の目的に合っているかという「適合」、本当にこれを選びたいかという「納得」。事実は公式サイトの明記で、適合は利用シーン別の説明で担保できますが、納得だけは感情の領域です。ここを支えるのは、根拠・実物・相談できる相手という極めてアナログな接点になります。店頭で実物を確認する、部屋の雰囲気を見る、スタッフに不明点を聞く。AI時代だからこそリアルな接点の価値が上がる、という逆説がここにあります。

Engagement(参加)は、購入・利用に加え、公式SNSへの参加など継続的な関わりまでを含みます。迷わず使える案内とUIを整えること、紹介内容と実体験の差を小さくすること、利用中と利用後のサポートを厚くすること。買って終わりではなく、体験が関係を作る段階です。

Score(評価)は、人が評価するだけでなくAIによる評価も加わり、その両方が次の購買へ蓄積されていく段階です。口コミやレビューが人のArchiveを更新し、同じ情報がAIの参照先も更新する。生成AIのメモリ機能に好みが残っていくことも含め、一度の体験が次の選択肢の並び方を変えていきます。事業者は感想を集め、なぜそう感じたのかという理由まで読み取って改善に回す。今すぐできる実行項目は三つに絞れます。商品情報とFAQを整えること、人が納得できる根拠を示すこと、利用後の声を次の改善に活かすことです。

AIDMA・AISAS・TICAS・AIJESを比較して使い分ける

4モデル比較表|起点・中核プロセス・事業者の打ち手はどう変わるか

4つのモデルを横並びにすると、何が変わって何が変わっていないかが見えてきます。

AIDMAAISASTICASAIJES
提唱1920年代/S.R.ホール2004年/電通グループ2012年頃/横田秀珠2026年9月/国内電通グループ4社
構成Attention・Interest・Desire・Memory・ActionAttention・Interest・Search・Action・ShareThought・Interest・Compare・Action・ShareArchive・Interaction・Judgment・Engagement・Score
起点企業の広告企業の広告・ネット情報自分や他人のSNS投稿人とAI双方への情報蓄積
中核記憶させる検索される比較で選ばれる人が納得して判断する
情報源マスメディア検索・比較サイト・口コミSNS・レコメンドAIとの問答+非AI情報
形状直線直線+共有直線+共有循環(ループ)
打ち手想起させる仕掛けSEO・レビュー獲得保存される投稿・UGCLLMO/GEO+リアル接点

一覧にすると、AIDMAのMemoryがAIJESのArchiveへ、AISASのSearchがInteractionへ、ShareがScoreへと形を変えて引き継がれているのが分かります。消えたのではなく、担い手と手段が変わった。そして新しく中心に据えられたのがJudgmentです。

使い分けの目安としては、テレビCMや交通広告など一方向の接触が主戦場ならAIDMAの発想が今も有効で、検索と比較が勝負どころのカテゴリーではAISASが機能します。SNS起点の飲食・観光・小売ではTICASが実態に近く、高関与で比較検討が長引くカテゴリー(旅行、金融、住宅、BtoB)ではAIJESが最も説明力を持ちます。どれか一つに乗り換えるのではなく、自社の商材とチャネルに合わせて併用するのが現実的です。

AIJES時代に見直すべき自社サイトとSNS|LLMO/GEOと相談導線の整備

最後に、明日から手をつけられる見直しポイントを整理します。

第一に、公式サイトの一次情報です。料金、プラン、利用条件、対応エリア、キャンセル規定、よくある質問。これらが自然文で明確に書かれているかを点検してください。AIは曖昧な表現を扱いにくく、条件が書かれていなければ回答に登場しません。表記ゆれをなくし、更新日を明示し、比較表を自前で用意する。人にとって親切な情報設計が、そのままAIに参照されやすい設計になります。

第二に、相談導線です。カテゴリー一覧とサイト内検索だけの構造は、キーワード検索時代の設計思想のままです。問い合わせフォームの手前に、条件を聞き返して絞り込んでくれるチャットを置けるか。少なくとも「目的別の選び方ガイド」のようなページで、問答を疑似的に再現することはすぐにできます。

第三に、SNSと口コミの棚卸しです。Archiveは保存される投稿から始まります。フロー型の投稿だけでなく、保存され再訪されるストック型の投稿を意図的に積む。あわせてGoogleビジネスプロフィールやレビューサイトの記載が古くないかを確認します。AIが参照する外部情報の多くは、ここから来ています。

第四に、評価指標の追加です。表示回数やクリックだけでは、AI経由の接触は測れません。生成AIに自社カテゴリーの質問を投げて回答に登場するかを定点観測する、指名検索数の推移を見る、保存数や問い合わせ内容の変化を追う。数字が取りにくい領域だからこそ、簡易でも定点で見る仕組みを持っておく価値があります。AIが手伝い、人が判断する。この前提を組織の共通認識にできるかどうかが、次の数年の差になります。


ファクトチェックと補足(配信内容との照合)

配信での説明検証結果補足
電通がAIJESを提唱要修正正確には国内電通グループ4社(電通、電通デジタル、電通総研、電通マクロミルインサイト)の連名
2026年9月10日に発表正しい電通公式ニュースリリースの日付と一致
A:Archive=生活者が保存・ブックマークする段階要補足公式定義では人とAIの双方に情報が蓄積される段階。AI側の蓄積が抜けると施策設計が半分になる
S:Score=口コミやSNS投稿要補足公式定義では人の評価に加えAIによる評価も加わり、双方に蓄積される
AIJESはAISASの後継要補足公式には「AISAS®を発展させたもの」。過渡期には両モデルの並走を想定と明記
AISASは電通が提唱正しい・補足2004年提唱、2005年6月に商標登録(AISAS®)
AIDMAの提唱者補足1920年代のサミュエル・ローランド・ホール(米)。1898年のAIDA(セント・エルモ・ルイス)の派生形
AIJESは今回が初出要補足国内電通グループは2025年よりAIJESモデルの実践を推進していると公式に記載
商標の扱い補足AIJESは商標出願中
TICASは2010年か2012年頃から配信どおり筆者独自の枠組み。2022年8月24日付記事に「10年前から」との記述

参考・出典

内容出典
AIJES提唱の公式発表(5プロセス、AISAS®との関係、各社の役割、2025年からの実践)電通ニュースリリース 2026年9月10日 https://www.dentsu.co.jp/news/release/2026/0910-011097.html
各プロセスの定義、AISASとの並走、ArchiveとJudgmentの実務的意味Agenda note 2026年9月10日 https://agenda-note.com/customer/detail/id=8874
4社連名・商標出願中の事実関係マイナビニュース https://news.mynavi.jp/techplus/article/20260911-4946745/ / Web担当者Forum https://webtan.impress.co.jp/n/2026/09/14/53291
購買行動におけるAI相談の実態(全カテゴリー30%以上、旅行57%、金融・保険56%、n=3,300)電通デジタル「生活者のAI活用実態調査 2026.7」2026年7月23日 https://www.dentsudigital.co.jp/sites/default/files/release/2026-07/DD2026_335_0723.pdf
AIDMAの提唱者と成立時期、AIDAとの関係大和総研 https://www.dir.co.jp/world/entry/aisas / 修道大学リポジトリ https://shudo-u.repo.nii.ac.jp/record/2396/files/SG57104.pdf
AISASの商標登録時期DIME https://dime.jp/genre/1526861/

AIDMA⇒AISAS⇒TICAS⇒生成AI時代にAIJESの法則を電通が提唱

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この記事を書いた人

横田 秀珠のアバター 横田 秀珠 (新潟)公立長岡造形大学 情報リテラシー論 講師

ネットビジネス・アナリスト。未経験のIT企業に就職し、たった3年で独立し、2007年にITコンサルタント会社のイーンスパイア(株)を設立し現在に至る。All About ProFile全専門家で全国1位のコラム評価を獲得した実績を持つ。全国で年間200回を超える講演も行う。