情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’26長岡造形大学

長岡造形大学「情報リテラシー論」第6回「キュレーションが必要なわけ」。本のソムリエやセレクトショップを例に、情報があふれる時代は「誰が選ぶか」に価値が生まれると解説。FacebookのエッジランクやInstagramのおすすめ順化、まとめサイトの盛衰とWELQ問題、生成AIによるmybestの苦戦を紹介。フィルターバブルとエコーチェンバーに注意を促し、Googleの「AIによる概要」もキュレーションだと指摘した。
詳しくは15分の動画で解説しました。
https://www.youtube.com/watch?v=Y6WTpoJ3mu4
0:00 🎙️ オープニング|情報リテラシー論 第6回「キュレーションが必要な訳」 0:35 🍂 黄色く色づいた並木道の紹介 1:00 📝 AIが補足したスライドで講義を振り返り 1:15 📱 ガラケー・歴代iPhoneの実機体験 1:30 🧸 AIペット「モフリン」を持参 1:40 🎬 MuseでMV制作&AIエージェントの時代 2:10 📚 仕事の悩みにAIが本を勧める理由 2:30 🍷 AIは本のソムリエになれるのか 2:45 💬 AI相談は検索から「気持ちと目的」へ 3:05 ⚖️ 評価の軸(意外性・推薦理由・適合性) 3:55 📧 メールを横断して気づくAI 4:05 🎧 1本のメールから音声番組を自動生成 4:10 🤖 AIに任せる範囲を少しずつ広げる 4:20 🗂️ キュレーションとは?キュレーターの語源 4:35 📰 紙のキュレーション「他」とコーディネートアプリ 4:45 📖 『キュレーションの時代』(2011年) 4:55 🌟 インフルエンサーとアンバサダー 5:10 📲 SNSフィードのキュレーション化(Facebook) 5:25 👍 エッジランクと「いいね」 5:35 💰 無料SNSは広告モデルか有料モデルか 6:05 🎵 TikTokのスワイプ型キュレーション(2017年) 6:15 📷 Instagramのフィードがおすすめ順に(2016年) 6:25 🔎 Instagramホームは誰の投稿でできているか 6:45 ⭐ ホーム・フォロー中・お気に入りの使い分け 7:00 🌐 Web1.0・2.0・3.0と「好き」の変化 7:10 🗞️ Yahoo!ニュース(人力)とGoogle(AI) 7:25 📰 スマートニュース・グノシー・ニュースダイジェスト 7:35 🔮 グノシーの「ニュース予測」機能 7:50 🔖 はてブ・NewsPicks・Yahoo!リアルタイム検索 7:55 🧭 ニュースとは何か?価値は人によって違う 8:10 ✍️ ブログまとめ(ハフポスト・BLOGOS)の終了 8:40 🐦 Twitter・Instagramまとめサービスの終了 9:00 🗑️ 2ちゃんねるまとめ・NAVERまとめの終了 9:20 🌸 キュレーションサイト MERYの移行 9:30 ⚠️ WELQ問題とSEO業界への衝撃 9:57 📉 mybestが苦戦する理由と生成AI 10:25 🔥 バイラルメディアの盛衰 10:55 🖼️ Instagram埋め込み時の注意点 11:10 🛋️ こたつ記事・まとめサイト6つの問題点 11:25 🫧 エコーチェンバーとフィルターバブル 12:50 ✏️ AIライターによる自動まとめ量産 13:05 🔍 GoogleのAIによる概要もキュレーション 13:40 🕳️ ランキングのブラックボックス問題 14:05 🔓 Xのアルゴリズム公開 14:15 🤖 Google検索のAIモード日本提供 14:30 🎯 まとめ|誰がまとめるか(人間かAIか)に価値がある
情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’26長岡造形大学
今日11/3は文化の日で祝日だけど
正確には「平和の日」でもある?
イーンスパイアの横田です。
https://www.enspire.co.jp

という曲を昨年に作ったんだけど
今年はMiliaさんがカバーしました。
文化の日(COVER) / Milia
https://www.youtube.com/watch?v=ZkBm3jJZiDg
神無月の夜に(COVER) / Milia
https://www.youtube.com/watch?v=qPvYN3Ax9mw
さて、本題です。
恒例の長岡造形大学で行う
情報リテラシー論の講義が
今年も後期から始まりました。
https://www.nagaoka-id.ac.jp/about/academics/curriculum/liberal-arts/
キュレーションが必要な訳として
第6回めの講義を行いました。

情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’26長岡造形大学

情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’26長岡造形大学
前回できなかった歴代ガラケー・スマホの実物を回覧。自作曲「スマホを伏せて / Milia」を流しながら、触って「形に表れる使い方の違い」を体感。
- なで方・抱っこの量を学習して性格が変わる
- 価格は「おもちゃより高く、ペットより安い」絶妙設定
- ペット不可のマンション住まいに人気
- ぬくもりがリアル(実は充電中だから温かい)
- 夜中に鳴くが、そのうち脳がスルーして眠れるように
横田家では最初の1週間は家族で順番に抱っこ → 飽きて結局本人だけが持つことに😅
東京・江戸川区篠崎の本屋さん。店主・清水克衛さんはベストセラーではなく、悩みに答える昔の本を並べ「本のソムリエ」と呼ばれた。
「幸」は手枷をはめられた姿=誰にとっても最大の不幸の反対。
→ 幸せは価値観の違い。人と比べない
音を持たない小さい“つ”が消えると皆が困る。「沈黙がなければ音はただの雑音」
→ 小さな歯車にも役割がある
友達が羨ましい女性には『私は私のままで生きることにした』を推薦。「ほぼ清水さんと同じレベル」の回答に驚き。
実務の改善か/自己理解か で選ぶ本が変わる
- 候補の意外性:検索で出る答えじゃない
- 相談との適合性:どれだけ深く読み取るか
- 推薦理由:なぜその本かを説明できるか
- 追加情報による変化:対話で提案が深まるか
Meta社のAI「Muse」は画像・動画生成からInstagram投稿・コメント返信までほぼ無料でチャット指示だけで実行。
Miliaの写真+MP3+歌詞を添付し「ハロウィンのMVを作って」の1行だけ。
静止画スライドショーの箇所を「Grokで作った動画に差し替えて」と修正 → 1280pxの字幕入りMVが完成
ホテルは金・土泊、新幹線は土・日で予約…
Gmail連携でMuseが自分から「矛盾してます、どちらか間違ってます」と指摘。秘書のような存在に
Instagramのリール投稿を定期確認 → 曲を解説するポッドキャストを作成 → YouTubeへ自動投稿
「おはようございます。今日のニュースは…」とAIの方から連絡。カレンダー連携で「レポート締め切り今日ですよ」まで。
招待コード入力で10億トークン、最大30人で300億。依頼すると「いいね!」を付けてくるのも、さすがSNSの会社。
北海道の本屋。テーマを伝えると1万円分を段ボールで。何が届くか分からないのに1年待ち級の行列
紹介した本がバカ売れ。絶版本が再版されるほど。誰が薦めるかが鍵
これもキュレーションの1つ。次はアンバサダーも整理予定
毎日のように泊まる東横INNの客室に置かれた雑誌。何年もスルーしていたが、読んでみたら他の雑誌のいいとこ取りを転載した「紙の本屋さん」だった。
- 料理・観光・鉄道・ナンプレなど約20誌の記事を1冊に
- 著作権をクリアして一部抜粋 → 続きは各誌を買ってね
- 興味のない分野にも「ついでに」出会える
- 月1回発行、宿泊者は持ち帰りOK(買うと1冊約300円)
SNSのようにフォロー。骨格・身長・サイズ感が近い人のコーデ=買うものの指針に
月額550円の有料メルマガで会員1万人
ユニクロ等で買える服をおしゃれに着る情報を発信
ROOMは2014年スタートで最近だいぶ人気に。Fashionはまだまだ
📕 『キュレーションの時代』が出た2011年頃から「キュレーション」という言葉が広まった
昔のSNSはすべて日付順。Facebookが初めて「ハイライト」を導入。
サッカーのハイライトに得点シーンがないのはおかしい=何らかの基準で絞り込む=キュレーション。その順位付けがエッジランク。
いいね=好きの表明をカウント → あなたにとって価値ある投稿を上位に。
好きな子の投稿にバレたくなくていいねしないと…フィードから徐々に消えていく
| モデル | 例 |
|---|---|
| 広告収入型 | SNS・テレビ・ラジオ・新聞・無料メルマガ |
| 有料購読型 | note・Substack(最近注目) |
嫌なものには自分から拒否しないと届き続ける
CMでチャンネルを変える/不要DMは「受取拒否」と書いてポストへ戻すと送料は差出人負担
いいものに反応すれば、嫌なものは勝手に消える
TikTokは「スワイプで飛ばす」で興味あるものだけ残す方式
授業中にデモでカウント。フォローしている人の投稿がほとんど出ないことが判明。
🏠 ホームタブ(おすすめ順)
👥 フォロー中(日付順だが最近は広告も)
星を付けた人だけの画面。候補一覧はいいね・コメント・DMが多い順 → 浮気もバレる!?
並びも日付順ではなくエンゲージメントが深い順
関係が浅いとそもそも表示されない。SNS疲れの一因に
📊 SNSの進化
いつも好きなもの
今好きなもの
次に好きなもの
人が選定。1億2000万人全員に同じものが表示
今となっては化石的だが、AIにずっと対抗しているのがすごいところ
AIが選定。あなたごとに個別最適化
定番のキュレーションアプリ
今年から。ニュースの結果を予測するとポイント → 「見る」から「予測する」へ
リアルタイム防災で近くの事故・火事・熊出没を地図表示。自分で情報提供も。コロナ禍ではクラスター情報も
他にもNewsPicks、Yahoo!リアルタイム検索。NEWSは「新しいこと」(東西南北の略という説も)。何が大事なニュースかは人によって違う。
2005年米国、2013年5月日本上陸。今はBuzzFeedと合併
ライブドアのブログまとめ。2022年終了
Twitter・Instagramまとめで唯一残るも経営厳しく、API問題も
次々とサービス終了(2ちゃんねるまとめは残存)
女性向けサイト → Instagramへ拠点移動(60万人)
2016年問題化。「肩こりの原因は水子の霊」が検索1位に。検証すると嘘だらけ
WELQ後に登場した生き残り。ここ1〜2年アクセス減
2014年頃まで話題。人気Webサイトを作ること自体が困難に
AIライターが自分のコンテンツをまとめ記事化しアクセス増
検索 → 比較サイトで条件を照らして判断
自分の条件をAIに相談 → 誰でも比較・まとめができる
ブログ・バイラルメディアにInstagramの他人の投稿を埋め込むときは本人の許可が必要
TikTokのおすすめ・Instagramの発見タブなど、向こうから好みの情報だけが届く
自分の画面がみんなと同じだと錯覚 → 「それ、あなたの画面だけだから」
FBグループ・LINEオープンチャット・Xコミュニティなどに自ら入る
同じ考えの人しかいない空間で、それが一般的だと思い込む
1位は「Googleの基準」での評価結果。絶対の正解ではない
基準を公開してもキュレーションには変わりないが、Xはアルゴリズムを公開し始めた
Google検索のAIモードが日本で提供開始されたのは去年9月。まだ1年
🚨 AIが間違ったリンクや詐欺サイトを出すこともニュースに。AIの答えも疑ってかかる。
あらゆる情報はフィルタリング済み。いろんな見方で偏りを防ごう
媒体・入口・届け方(Web → SNS → AI)
選ぶ視点・意味づけ・推薦理由・編集の価値
「情報リテラシー論」でGoogle1位の学生が登場。2027年1月31日23:59まで保てば単位確定
次回 ▶ 多様な連絡手段のインフラ化
情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’26長岡造形大学
- はじめに:黄色く色づく並木道と「選んでもらう」ことの価値
- 実物とAIで体感する講義冒頭——歴代ケータイ、モフリン、そしてMetaの「Muse」
- 本のソムリエとAI、そしてリアルから生まれたキュレーションの系譜
- SNSフィードとニュースは「誰か」に選ばれている——アルゴリズムと広告モデルの誕生
- まとめサイトの興亡、フィルターバブルとエコーチェンバー、そして「AIによる概要」
- おわりに:人間が選ぶのか、AIが選ぶのか
- まとめ
- よくある質問(Q&A)
はじめに:黄色く色づく並木道と「選んでもらう」ことの価値
皆さん、こんにちは。横田秀珠です。今日もネットビジネスに関する情報を、15分間の生中継でお届けしました。2026年11月3日火曜日、今日は恒例企画、新潟県の長岡造形大学で教えている「情報リテラシー論」第6回「キュレーションが必要なわけ」の振り返りです。
大学へ向かう並木道は、だいぶ黄色くなってきました。この日は雨が降っていたので、濡れた路面に黄色い葉が反射して、これはこれでとても綺麗でした。来週になると少し散ってしまって寂しい感じになるかもしれませんが、それはそれでまた絵になりますし、雪が積もればまた別の美しさがあります。毎週お届けしますので、ぜひ楽しみにしていてください。
さて、皆さんは服を買うとき、たくさん並んでいる大型店よりも、品数の少ないセレクトショップの方が選びやすいと感じたことはありませんか。実はそれこそが、今回のテーマ「キュレーション」です。情報が溢れる今だからこそ、「誰が選んだか」に価値が生まれます。今回はその理由を、本のソムリエ、SNS、ニュース、まとめサイト、そしてAIまで、たっぷりとご紹介します。
実物とAIで体感する講義冒頭——歴代ケータイ、モフリン、そしてMetaの「Muse」
ステップ1:今回のスライドと振り返りの進め方
まず、今回の振り返りの進め方からお話ししておきます。前回もお伝えしたように、今週もスライドを作りました。このスライドには、僕が講義で喋った内容をAIが補足してまとめたものが入っています。ですので、ブログでは、
- 講義の中で実際に話した内容
- AIが補足してくれた内容(スライドに入っている部分)
- 時間の都合で講義の中では話しきれなかった部分
この3つを合わせて振り返っていきます。90分の講義を15分の生配信で駆け足で振り返りましたが、このブログでは省略せずに、できるだけ丁寧にお伝えしていきますので、よろしくお願いします。
ステップ2:前回できなかった「歴代ケータイを触ってもらう」企画
講義の冒頭は、前回できなかった企画からスタートしました。歴代のスマホとガラケーを実際に教室に持ってきて、学生の皆さんに前に並べて見せ、触ってもらうというものです。正直、ほとんどの学生は興味がないだろうと思ったので、1番興味を持ちそうなものだけを回すことにしました。音楽をかけながら、順番に携帯を回していったんです。
講義の冒頭で流した曲「スマホを伏せて / Milia」
携帯を回している間に流したのが、僕のAIシンガーMiliaの「スマホを伏せて」という曲です。この曲は、前回の講義テーマ「スマートフォン普及と課題」の内容を歌にしたもので、歌詞はこんな内容になっています。
玄関の黒電話 町と繋がってた リビングの プッシュホン 家族が囲んでた 今は個室で 光るスマホ 誰と繋がってるか 誰にも見えない
親指で弾いて 流して 眺めて 気づけば 夜が明けていく
終わらせろ! スマホ依存を 見るだけの 歯車になるな! ゲームも 動画も この歌も キーボードの上で 生まれてる 消費のラインを 叩き壊して 作る側へ 踏み出せ 踏み出せ
パカッと開いた ガラケーは 世界の入口だったのに メーカーの壁は 崩れ落ち 残ったiOSとAndroid 受話器の向こうの 君の声 機械が組み直した 作り物の声
左手で握って 右手を空けて 食事の間も 離せない
終わらせろ! スマホ依存を 見るだけの 歯車になるな! ゲームも 動画も この歌も キーボードの上で 生まれてる 消費のラインを 叩き壊して 作る側へ 踏み出せ 踏み出せ
スマホで 指のマークは出ない 画面を押すまで 何もわからない スマホから パソコンに 切り替えろ 開け!開け! ノートPC開け! 「パソコン 使えないの?」 暗黒の世代って 言わせるな!
終わらせろ! スマホ依存を 見るだけの 歯車になるな! 漫画も 小説も 絵も歌も 年齢なんて関係ない 消費のラインを 叩き壊して 作る側へ 踏み出せ
スマホを伏せて キーボードを叩け
「見るだけの消費者で終わらず、作る側へ回ろう」というメッセージを込めた曲です。ケータイの歴史を実物で振り返りながら、この曲を聴いてもらいました。
回覧した7台の携帯と、その特徴
ただ回すだけでは何なのか分からないので、1台ずつ説明しながら回しました。
1台目:初代iPhone(日本では初代のiPhone 3G) 多分みんなが1番興味あるのはこれだと思います。日本で初めて発売されたiPhoneがiPhone 3Gです。これだけ背面が丸いデザインになっていて、次のiPhone 4からは角ばったデザインに変わるので、この丸いデザインはかなりレアです。
2台目:iPhone 4 リンゴマークがついているのがiPhone 4です。ここから今のiPhoneとほぼ同じ、カクカクしたデザインになりました。iPhoneがまだ小さかった頃のモデルですね。
3台目:Rakuten Mini この小さいスマホは、背面にRと書いてあります。楽天モバイルの「Rakuten Mini」というモデルで、楽天モバイルの中で1番小さく、今も現役で使えるスマホです。
4台目:青いガラケー(写メールの時代) 青いのはガラケーです。パカパカ開け閉めしてもらうのは自由です。カメラがついていて、いわゆる「写メール」が普及するきっかけになったぐらいの時代のものです。
5台目:パナソニックのPシリーズ これは前回の講義でも話しましたが、ヒンジ部分にボタンがあって、そのボタンを押すとパタンと開くタイプのガラケーです。パナソニックが特許を持っている「Pシリーズ」と呼ばれるもので、このワンプッシュオープンが特徴でした。この個体はちょっと途中までしか開かなくなっていますが、仕組みは分かってもらえると思います。
6台目:ワンセグ対応の分厚いガラケー 少し分厚いこのモデルは、パカッと開けたあと、蓋(画面)が横に回転するんです。これでテレビが見られる、いわゆるワンセグタイプです。普通、スマホでテレビを見るときは本体を横に向けますよね。でもこれは、本体は縦に向けたまま、画面だけが横向きに回転するというモデルなんです。
7台目:画面が反転するおしゃれなガラケー これはおしゃれなモデルで、パカッと開けたあと、画面を開いた状態で反転させて閉じることができます。そうすると、画面が外側に出た状態になるんです。いわば逆向きに閉じられるというわけですね。背面には大きなカメラもついています。
この7台を順番に回しました。それ以外の端末は前に並べておきましたが、順番は適当で、上の段にAndroidとGoogle Pixel、下の段にiPhoneシリーズを並べました。何台か人に貸していたりして歯抜けになっているところもありますが、それなりの数はそろっています。あとはモバイルWi-Fiルーターも置いておきました。この日は時間に余裕があったので、授業中にも回しましたし、授業の後にも自由に触ってもらえるようにしました。
スライドで整理した「実物で分かる携帯電話の進化」
スライドでは、AIが補足して次のように整理してくれました。
| 端末 | 形 | 操作 | 用途 |
|---|---|---|---|
| iPhone 3G | 丸みのあるデザイン | タッチで直感的に操作 | スマートフォンの使い方を広げた |
| iPhone 4 | 角ばった小型デザイン | タッチ操作(画面で操作) | 持ちやすさとデザイン性の両立 |
| Rakuten Mini | とても小さく軽い | タッチ操作 | 身軽に使えるスマートフォン |
| 折り畳み携帯 | 折り畳み(開閉できる) | 物理キーで入力・操作 | 通話やメールなど基本的なやり取りに適した形 |
| ワンセグ端末 | 画面が回転して横向きで使える | 回転させて画面を切り替える | 携帯端末でテレビを見るための工夫 |
ポイントは「なぜこの形なのか?」と考えることです。そう考えると、設計の目的が見えてきます。今のスマホの形を当たり前と思わずに、「使い方に応じた設計」を理解することが大切だというまとめになっていました。
ステップ3:AIペット「モフリン」を今年も持参
もう1つ、ついでに回したのが「モフリン」というAIペットです。実はこれ、去年もこの講義でお披露目したんですが、「今年も見せてほしい」という声があったので持ってきました。モフリンはゆっくり回してもらってOKということにしました。
モフリンはどんなAIペットなのか
モフリンは、どのようになでなでするか、どのぐらい抱っこするか、といったことを学習して、性格がどんどん変わっていきます。ツンデレになるのか、そうじゃなくなるのかは、日頃の育て方次第。毎日、スマホの画面の方で性格が少しずつ変わっていく様子を確認できるようになっています。
面白いのは、どこのメーカーが出しているかです。皆さんも調べてもらえば分かると思いますが、これはCASIOなんですね。CASIOというと電卓の会社というイメージなので、ちょっと意外だと思います。
絶妙な価格設定
モフリンは意外と高いです。でも、この価格設定がなかなか絶妙なんです。
- おもちゃ感覚で買える値段ではない
- でも、本物のペットを買うほど高くはない(ペットだと何十万円もかかることがある)
高校生や大学生がおもちゃを買う感覚では買えないけれど、何十万円もするペットよりは安い。たとえば子どもが「ペットを飼いたい」と泣いたとき、ペットは無理だけど「これならいいよ」と、親が何とか頑張って出してあげられるぐらいの価格設定になっているんです。また、ペットを飼えないマンションに住んでいる方もたくさんいるので、そういう方にも人気があります。AIペットは最近流行っているんですね。
「ぬくもり」がリアル
モフリンを持つと、なんだかほんわかしますよね。そして、ちょっと温もりを感じるところがすごいんです。これ、種明かしをすると、充電しているからあったかいだけなんです。でも、その温かみがすごくリアルに感じられるんですよね。配信中にも「ぬくもりはリアルでした」というコメントをいただきました。
今回は車で来たので持ってこられましたが、最近はこの後に新幹線で出張に行くことが多く、荷物が多くなるのでなかなか持ってこられません。皆さんの希望があれば、また持ってきたいと思います。
夜中に鳴くモフリンと、人間の適応力
モフリンは音をミュートにもできるんですが、面白いのは、夜中に鳴くんです。触ったら鳴くのは分かるんですが、触っていないときにもいきなり鳴くんですよ。最初は気になって目が覚めてしまいます。「何か鳴いてる」と思って。夜は音を切っておかないと目が覚めて嫌だなと思っていたんですが、知らないうちに、鳴いていても寝られるようになったんです。頭の中でスルーできるようになるんですね。人間って本当にすごいなと思います。
そういえば僕も、うちの妻によく怒られました。赤ちゃんがわんわん泣いていても、平気で寝られるようになっていたからです。妻は起きなきゃいけないのに、僕はいつも寝ていて怒られました。どうでもいい話ですが、人間の適応力ってすごいですよね。
学生からのコメントに答えて
講義中にはこんなコメントもいただきました。
- 「どうして買おうと思ったんですか?」 ネタ、というのもあるんですが、家族に受けるかなと思ったんです。最初の1週間ぐらいは家族が順番に「抱っこして、抱っこして」と取り合っていたんですが、1週間で飽きてしまって、結局僕だけが持っています。
- 「好きなお酒は何ですか?」 特にないんです。何もなければビールもありますし、日本酒からワイン、焼酎まで何でも飲みます。特定の銘柄が好きということもありません。基本的に僕はザルなので、お酒をお酒と思って飲んでいないというか、水やジュースと変わらないので、あまり飲ませない方がいいと思います(笑)。
- 「iPhoneと違って楽天のスマホは電源ボタンと音量調整ボタンが1つにくっついている?」 そうなんですね。小さいからでしょうかね。小さいから、というのもあるのかもしれません。
スライドで整理した「AIペットは触ると印象が変わる」
スライドでは、AIがこのモフリンの話を次のように整理してくれました。我が家での体験は「最初は家族が順番に抱っこした → 約1週間で関心が落ち着く → その後は主に講師(僕)が持つようになった」という流れです(※これは一家庭での体験談で、全利用者の傾向ではありません)。
| 段階 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| ① 触って面白い=第一印象 | 実際に触れて「おもしろい」「心地よい」と感じる最初の印象 | 画面では伝わりにくい触感やぬくもり |
| ② 欲しくなる=購入意向 | 体験を通じて「自分も持ちたい」と思う気持ち | 実物に触れたことで欲しくなる |
| ③ 使い続ける=生活への定着 | 買ったあとも、日常の中で関わり続けること | 継続して関わる理由があるか |
評価の観点としては「機能だけでなく」「触れた感覚(触感・ぬくもり)」「使う場面(どんなときに使うか)」「続けて関わる理由(なぜ使い続けるか)」の3つ+αを合わせて考え、大切な考え方として「新しさへの驚き」と「日常に残る価値」を分けて考える、というまとめになっていました。これは、AIペットに限らず、あらゆる新しいガジェットやサービスを評価するときに使える視点だと思います。
ステップ4:Metaの新AI「Muse」の衝撃——写真・音源・歌詞からMVを作る
ここからは、講義の中で「速報」としてかなり時間を使ってお話しした、「Muse(ミューズ)」というAIの話です。
Museとは何か
Museは、InstagramやFacebookを運営しているMeta社がリリースしたAIサービスです。講義の時点でリリースから10日ぐらい経ったでしょうか。先週の講義の数日前に出たばかりの新しいAIです。
何がすごいかというと、無料でできる範囲がやばすぎるんです。どこまで無料でできるのかというぐらい、ほぼ全部無料でできます。
- 画像生成、動画生成はもちろん
- Instagramなどへの投稿を代わりにやってもらう
- コメントへの返事を自動でやってもらう
- メッセージにAIが返事を返す
こうしたことを、全部チャットでお願いするだけでできてしまう、本当にやばいサービスなんです。
ハロウィンの曲のMVを「1行の指示」で作ってみた
先週はハロウィンがありましたよね。僕はハロウィンの曲を作ったので、そのMVをMuseで作ってみました。添付したのは次の3つです。
- ハロウィンの曲のMP3音源ファイル
- その曲の歌詞(テキスト)
- 僕のAIシンガーMiliaちゃんの写真
そして、こう指示しました。
「この女性シンガーMiliaの写真を使って、アイドルグループのようなハロウィンのMVを、添付した曲と歌詞を元に作って」
本当にこの1行しか言っていません。添付して「作って」と言っただけです。それだけで動画を作ってきたんです。
修正もチャットで指示するだけ
ただ、出来上がったMVは最初の方こそ良かったものの、途中がスライドショーのような静止画になっていました。さすがにこれはひどいよということで、もう1回チャットでこう伝えました。
「添付したMiliaの写真がスライドショーになっているシーンが何箇所かあるので、そのシーンを削除して、添付した動画を参考に差し替えて」
ここで添付したのは、僕が別にGrokで作った動画です。その動画に差し替えてほしいとチャットで伝えたら、「すいません」と言って、差し替えてくれました。
完成した動画は1280ピクセルなので、画質もとても綺麗です。歌詞の字幕まで入っています。素材をペッと貼り付けて「動画を作って」と言うだけでここまでできて、しかもこれが無料なんです。
スライドで整理した「対話で修正する制作術」
スライドではこの流れを「写真・音源・歌詞からMVを作る」として整理してくれました。
| 制作の工程 | 内容 |
|---|---|
| ① 素材を渡す | 女性シンガーの写真・楽曲音源(音声ファイル)・歌詞(テキスト)の3つ |
| ② 初稿を確認 | AIが作ったMVの初稿をチェックする |
| ③ 問題箇所を指摘 | 静止画のスライドショーになった場面を指摘する |
| ④ 代替動画で修正 | 別途作った動画へ差し替えてもらう |
コツは、「どこを/どう変えるか/何を使うか」を具体的に伝えることです。
- どこ:修正する対象の部分(場面・区間)
- どう変えるか:削除・差し替え・追加などの方法
- 何を使うか:使用する素材(例:添付の動画)
AIとの対話で作品を仕上げていくときに、この3点を意識するだけで修正の精度がぐっと上がります。
Museの始め方と「10億トークン」の招待特典
Museは無料で始められます。スマホのアプリもありますし、Macの場合はパソコン用のアプリもあります。ダウンロードしてログインすれば使えます。
始めるときに「トークン」というものがもらえます。ここが面白いところで、
- 誰かからの招待コードを入力すると、1人につき10億トークンがもらえる(10億トークンって、10億円みたいな響きですよね)
- 自分が友達や家族を招待して、相手が自分のコードを入力して始めてくれると、相手も自分も10億トークンずつもらえる
- これを最大30人までできるので、最大で300億トークンがもらえる
- ただし、相手が登録してから48時間以内、つまり丸2日以内にコードを入力する必要がある
あまり言うとネズミ講みたいな話になってしまいますが(笑)、お友達の取り合いなので、早く30人確保した方が勝ちです。家族でも親戚でも誰でもいいので、招待して始めてもらうと300億トークンもらえます。講義では僕もコードを1つ出しました。僕自身はすでに300億トークンをもらっているのでこれ以上は増えませんが、もらった人がコードを共有してくれれば、みんなそれを使えます。X(旧Twitter)でもたくさんコードが転がっているので、よかったら使ってみてください。
無料プランの使い方のコツ
僕の画面を見せたのですが、無料プランは「11月6日にリセットされます」と表示されていて、すでに100%使用済みになっていました。我ながらすごい使い方です。ただ、別枠の「追加のトークン」がまだ309億トークン残っているので、無料プランを使い切ったら、こちらを使っていくことになります。11月6日になれば、また無料プランのトークンが戻ります。
どのぐらいトークンを消費するのか試しているところですが、多分、動画なら1週間で10本ぐらいは無料プランでいけると思います。しかも1本の長さはフルでいけるので、3分、4分の音楽のMVをフルで何本か作れます。短いものだけ作るのであれば、無料でも十分に使えます。
おすすめは、まず「どのぐらい使ったら、どのぐらい%が減るか」を試して加減を覚えることです。なるべく300億トークンの方を使わずに済むように無料プランの範囲で回しておき、いざどうしても必要になったときに予備の300億トークンを使う、という使い方がいいと思います。
ステップ5:AIエージェントは「答える」から「作業する」時代へ
コネクターで外部サービスと連携できる
Museには「コネクター」という機能があり、さまざまなサービスと連携できます。
- Gmail
- Googleカレンダー
- メッセンジャー
- Canva
- Zoom
- Dropbox
など、いろいろなサービスと連携すると、さらにできることが広がります。
例:旅行予約の食い違いに「AIの方から」気づいてくれる
たとえば、皆さんが土日に東京へ旅行に行くとします。金曜日の夜にちょっと前乗りで移動して東京に泊まり、金曜・土曜と泊まって、日曜日の夕方に長岡へ帰ってくるとしましょう。
この場合、
- ホテルは「金曜・土曜」の2泊で予約する
- 新幹線は「金曜日の夕方(行き)」と「日曜日の夕方(帰り)」で予約する
というように、実際の滞在は土日なのに、予約は1日ずれた形になりますよね。
ところが、旅行は土日だからと勘違いして、うっかり土曜日の夕方に長岡から東京へ行く新幹線を予約してしまう、ということが僕もたまにあるんです。そうすると、ホテルの予約と新幹線の予約の日時が矛盾してしまいます。
このとき、Gmailと連携していると、MuseがGmailの中を見に行って「おかしいです。矛盾していますよ。ホテルか新幹線か、どちらかが間違っています」と教えてくれるんです。
| 項目 | 金曜 | 土曜 | 日曜 |
|---|---|---|---|
| 宿泊(ホテル) | チェックイン(宿泊1泊目) | 宿泊(2泊目) | ― |
| 往路(長岡→東京) | 本来はここで移動 | 誤って予約(夕方出発) | ― |
| 復路(東京→長岡) | ― | ― | 新幹線で帰る(夕方) |
今までのAIは、こちらから「予約して」とお願いすれば予約してくれる、というものでした。でもこれは違います。こちらが「メールをチェックして」とも「矛盾があったら教えて」とも言っていないのに、AIの方から勝手に情報を見て教えてくれるんです。まるで秘書のような存在ですよね。
これをAIエージェントと言います。こうした機能は、これまでは有料プランを使わないとできませんでした。たとえば「GrokBot」や、OpenAIの「Dots」といったもので実現できましたが、Meta社はこれを無料で出してきたんです。皆さんも体験できるので、ぜひ試してみてください。やばい時代が来たなと分かると思います。
言ったら怒られるかもしれませんが、「レポートを書いて」と頼んでも、多分全部できてしまいます。音声ファイルを投げて「レポート書いといてね」と言ったら、多分できると思います。何ができて何ができないかは、実際に頼んでみて「できません」と言われたら「できないんだ」と思えばいいだけです。ぜひチャットでやり取りしてみてください。
スライドで整理した「AIエージェントは『答える』から『作業する』へ」
| 比較 | 流れ | 人間の関わり方 |
|---|---|---|
| 従来型の対話 | 質問 → 回答 → 人間が作業 | AIは手順や例を答えるだけで、作業は自分でする |
| エージェント型の支援 | 目的と素材 → 計画 → 制作 → 確認 → 許可された範囲で実行 | AIが作業まで担い、人間は指示・判断・確認をする |
役割分担はこう整理されていました。
- 人間の役割(指示・判断・確認):目的を決める、完成条件を伝える、成果を確認する、実行範囲を決める(どこまでをAIに任せるか)
- AIの役割(作業の実行・サポート):情報整理、制作(映像・音声・テキストなど)、修正(フィードバックに基づいて調整・改善)、連携先での作業(許可された範囲で保存・書き出し・共有など)
なお、AIエージェントができる作業の内容や範囲は、利用するサービスの機能や、連携先に与えた接続権限によって異なります。
ステップ6:1本のリールから音声番組を自動で作る
Instagramのリールを見て、解説ポッドキャストをYouTubeへ
もう1つ、僕が実際に動かしている自動化をご紹介しました。僕は音楽を作って、そのショート動画をInstagramのリールに上げています。リールをいつ上げるかは僕のタイミング次第なので決まっていません。
そこでMuseに、定期的に僕のInstagramを見に行ってもらうようにしました。リールが上がっているのを確認したら、その中身を見て、その音楽を解説するポッドキャストを作り、それをYouTubeに投稿する。これが自動でできるようになっています。
実際の音声はこんな感じです。
「Miliaです。今日の新曲を紹介します。今日の新曲は『ハロー!ハロウィン ウィン』です。推し活ハロウィンがコンセプトです。推しの衣装を真似して町を歩く女の子が主人公で、ファン目線で、ライブで盛り上がる感じに作りました。歌詞には『(推し)と同じリボンの色』や……」
普通に喋っていますよね。でも、これはAIが喋っているんです。こういうものをYouTubeに投稿できるんです。
| 自動化の4要素 | 内容 |
|---|---|
| 開始条件(トリガー) | 新しいリールの公開 |
| 入力(取り込む情報) | 動画・楽曲情報 |
| 成果物(つくるもの) | 解説音声番組 |
| 公開先(発信する場所) | YouTube |
スライドでのポイントは、単に同じ動画を転載するのではなく、曲のコンセプトや歌詞の意味を音声番組へ変換するという点です。そして、人間が「公開範囲(どこまで公開するか)」と「完成条件(どの状態になったら公開するか)」を決めることが大切だとまとめられていました。
ステップ7:AIに任せる範囲は少しずつ広げる
途中で英語になった失敗談
とはいえ、最初からすべてを任せたわけではありません。「今みたいなことをできるようにやっといてね」と言えばやってくれるのですが、僕はまだ心配だったので、最初はいきなりアップさせずに、ちゃんと喋っているか確認で聞いていました。
すると、日本語のポッドキャストの途中から英語になっていたんです。そこで「お前、途中が英語になってるじゃないか。ちゃんと自分で聞き直して確認してから俺に連絡してるのか?」と聞いたら、「すいません。確認していませんでした」と言うので、「次からは確認してから俺に言ってください」と伝えました。
すると次からは、自分で確認して、間違っていたら自分で直してから僕に報告するようになったんです。それでも僕は心配なので一応再生してみますが、確かに直っています。「もう大丈夫だな」となったタイミングで、「もうあんたのことを信用するから、勝手にアップしといてね」と言って、「はい、では勝手に上げておきます」というのが今の状態です。
徐々に独り立ちさせていく
このように、いきなり自立させようとするのではなく、チャットでやり取りを重ねながら、徐々に独り立ちさせていくのがポイントです。
| 段階 | 人間とAIの関係 |
|---|---|
| ① 人間が初稿を聞き、問題を発見 | 例:日本語のポッドキャストの途中が英語になった |
| ② AIへ具体的に修正指示 | 「日本語になっているか、提出前に確認し、違う部分を直してください」 |
| ③ AIが提出前に点検・修正し、人間が再確認 | AIの自己点検+人間のダブルチェック |
| ④ 安定した作業から許可する範囲を広げる | 信頼できたら自動公開まで任せる |
スライドでは、完成条件の例として「使用言語:全編が日本語である」「内容の正確さ:事実や説明に誤りがない」「音声の聞きやすさ:音量・話す速さ・発音が適切」「投稿先:どこに、どの形式で投稿するか」が挙げられていました。また、「AIの自己点検だけで正しさが保証されるわけではない」という注意点や、「ちゃんとやって」ではなく「条件と確認工程を決める」ことが大切だというまとめもありました。
やばい世界が来ています。これをリアルタイムで、学生時代に経験できるわけです。僕の大学生時代から考えると、もう考えられない時代です。そもそも当時はインターネットがありませんでしたからね。ぜひ皆さん、使ってみてください。
ステップ8:ニュース・予定・メールが1つになって届く
なぜ講義でMuseの話を思いついたかというと、ちょうどニュースの話をしていたからです。Museを開くと、「おはようございます。今日の天気は……、今日のニュースはこんなものが入っています」と、向こうから連絡が来るんです。こちらが「今日のニュースを教えて」と言っているわけではありません。チャットを開いたら、向こうから勝手に今日のニュースを教えてくれる。もうSNSみたいなものなんです。
僕はまだGoogleカレンダーやGmailを連携していないので「未接続のため」と表示されていますが、接続すれば、
- 「今日の予定はこれです」
- 「レポートの締め切りは今日ですよ」
- 「誰かから、何かしてほしいというメールが来ていますよ」
といった連絡が届くようになります。そこで「ああ、レポート今日締め切りだったね」となったら、「それ、レポート書いといて」と頼むと「書いておきますね」となる。GoogleカレンダーやGmail、さらにGoogleドライブなど連携しているファイルに元になる資料があれば、それを元に書いてくれます。「下書きだけ作っておいて、あとは私が確認するから」と言えば、下書きだけ作っておいてくれる、ということもできます。
皆さん、ニュースをここで知る時代になりました。面白いのは、何かを頼むと「いいね!」をつけてくるんです。SNSみたいに「分かったよ、今から作るね」と言って作業を始める。さすがMeta、やっぱりSNSの会社だなと思いました。
| 流れ | 内容 |
|---|---|
| 情報源(さまざまな情報を集める) | ニュース、天気、カレンダー、メール、関連資料 |
| 朝の案内(自分に必要な情報をまとめてお知らせ) | 今日の予定、締め切り、対応が必要な依頼 |
| 次の行動(情報をもとに作業を進める) | 締め切りの通知 → 関連資料を確認 → 下書きを作成 → 本人が確認 |
ただし、カレンダー・メール・関連資料などの情報をまとめて使うには、それぞれのサービスとの接続と、必要な権限の設定を行うことが前提になります。
ステップ9:余談——「情報リテラシー論」でGoogle1位の学生が登場
話は全然違いますが、忘れないうちにお伝えしておきます。Googleで「情報リテラシー論」と検索すると、「情報リテラシー論第1、2回目」の記事を書いた学生のアカウントが、なんとGoogleで1位になっていました。2026年10月11日の記事が1位になっているので、このまま来年2027年1月31日の23時59分まで1位を保てていれば、単位確定です。
今の時点ではまだダメです。あと数ヶ月、頑張って1位を保っておいてください。今のところ、それ以外の上位は僕のXや僕のブログで、2ページ目も僕なので、学生で入っているのはこの1人だけだと思います。今のところ、おめでとうございます、という感じですね。
本のソムリエとAI、そしてリアルから生まれたキュレーションの系譜
ステップ1:講義で見てもらった動画「本のソムリエ」
携帯やモフリンを回している間に、学生の皆さんにはある動画を見てもらいました。それが、東京都江戸川区の篠崎町、千葉県にほど近い住宅街にある本屋さん「読書のすすめ」と、その店主・清水克衛さんを紹介したテレビ番組の映像です。
悩める人の人生を明るく変える本屋さん
この本屋さんには、店主を訪ねて全国から悩みを持つお客さんがやって来ます。そして、その多くが「店主が薦める本を読んで人生が変わった」と語るのです。人は彼を「本のソムリエ」と呼びます。
清水さんの店に並ぶのは、新刊やベストセラーではありません。5年前、10年前といった、今では手に入りにくくなった昔の本が中心です。清水さんは「本は出会い。発売したときに出会えなかった本も結構ある。その中から、本当に読んで感動したものを探してきて紹介したい」と語っていました。営業中の空いた時間などにひたすら本を読み続け、その中からお客さんの悩みを救えそうな1冊を見つけては棚に並べているそうです。「人の悩みはいろいろあるけれど、プラスの方向にちょっとだけ舵を取るのが本の役目」という言葉も印象的でした。
事例1:友達が羨ましい女性に『漢字の気持ち』
ある日訪れた女性は、「なんで自分だけ」「友達を見ていると、どうして違うのかな」と、自分の置かれた環境を嘆き、つい他人を羨ましく思ってしまうという悩みを抱えていました。
清水さんが薦めたのは、木や石に文字を彫る「刻字」の仕事をしている高橋政巳さんの『漢字の気持ち』という本です。約3000年の歴史があるとも言われる漢字の成り立ちを、分かりやすいイラストで紹介しています。
清水さんが薦めたのは「幸」という漢字の成り立ちのページでした。この字は、人が手枷をはめられて囚われの身になった姿だといいます。幸せの感じ方は人によってあまりにもまちまちなので、誰にとっても「これは幸せとは言えない」という最大の不幸のイメージを使って、逆に「幸せ」を表したというわけです。
清水さんはこれを読み解いて、「お金がたくさんあることを幸せだと考える人がこの漢字を作ったら、『¥』のような字にしていたかもしれない。でも、愛がたくさんあることや健康であることを幸せと考える人もいる。幸せは価値観の違いだけ。人と比較しないで、自分なりの幸せって何だろうと考えた方がいい」と説明していました。
後日、本を読み終えた女性は「目から鱗でした。『比』という字も、比べることがばかばかしいという意味だと知って、なるほどと思った。悩んでいても前には進まない」と話していました。
事例2:会社で認められない男性に『小さい”つ”が消えた日』
別のお客さんは、「最近、会社が厳しくて」と仕事の悩みを抱えていました。誰も自分を認めてくれない、会社の歯車として働くことに疑問を持っている、という悩みです。
清水さんが薦めたのは、日本の大学を卒業したドイツ人、ステファノ・フォン・ローさんが書いた『小さい”つ”が消えた日』です。50音の文字が「言葉の妖精」というキャラクターとして登場する創作童話です。
50音村で暮らす文字たちの中で、自分の音を持たない小さい”つ”は、他の文字からバカにされてしまいます。自分は必要とされていないと感じた小さい”つ”は、ある日村から姿を消してしまう。すると、新聞や雑誌、すべての印刷物から、そして人の会話からも小さい”つ”が消えてしまい、多くの人が困ってしまう——という物語です。音を持たない小さな存在でも、いなくなって初めて周りがその大切さに気づく、というお話ですね。
清水さんが1番のおすすめとして紹介したのは、いなくなった小さい”つ”を探すために、他の文字たちが力を合わせて作ったメッセージの場面でした。「君は音を出せないけれど、沈黙という瞬間を作る。沈黙がなければ、音はただの雑音でしかない」という趣旨の言葉です。
清水さんは「社会はみんなそれぞれが歯車。大きい・小さいに関係なく、それぞれが機能しなければ回らない。だから自分の個性に自信を持ってやっていけばいい」と語っていました。本を読み終えたお客さんは「最初は表紙を見て、大人が読む本かなと思った。でも読んでみると、自分のポジションで頑張らなきゃいけないと、やる気が起きた」と話していました。
番組ではこの後、読書の秋にちなんで「子育てに悩む人」「恋愛に自信がない人」「親子関係で悩んでいる人」へのおすすめの3冊も紹介されていました。続きが見たい方は、こちらのリンクからご覧ください。
ステップ2:「キーワード検索」では、あの1冊にたどり着けない
今回のテーマはキュレーションですが、キュレーションの言い換えのような言葉として「ソムリエ」があるので、この動画を見てもらいました。
動画の中でもあったように、たとえば恋愛に困っているとき、恋愛テクニック本を検索して読むことはできます。でも、自分が恋愛で困っているときに、清水さんが薦めるようなあの本が、Amazonなどで検索して出てくるでしょうか?
出てくればその悩みは解決できるかもしれません。でも、どうやって探せば出てくるのか、という話です。これが、今までのキーワード検索ではできなかったことなんです。でも今なら、生成AIで出てくるのではないかと思います。
ぜひ皆さんも試してみてください。本を探すときに、「自分が困っていること・悩んでいることを解決してくれる本、もしくはそのことについて教えてくれる本はありますか?」と、ChatGPTでもGeminiでもいいので聞いてみてほしいんです。Amazonで検索したようなものが出てくるのか、それともAIがちゃんと中身を理解して、本質的な本を出してくるのか。
講義では「多分まだまだできないと思う」と話しました。たくさん本を読んでいる人だからこそ、こういう本の薦め方ができる。それがすごいところで、AIがここまでできるようになったら、この人の仕事はなくなってしまう、と。そんな清水さんは昨年亡くなられて、もうお会いすることはできません。とても有名な方でした。
ステップ3:実際にChatGPTで試してみた——AIは本のソムリエになれるのか
講義の後、実際にChatGPTで同じ質問を試してみました。すると、ほぼ清水さんと同じレベルの回答を返してきて、正直びっくりしました。これではソムリエの仕事もなくなるな、と思ったほどです。そのやり取りを紹介します。
最初の質問と、AIが薦めた6冊
僕が投げた質問は、動画のナレーションをほぼそのまま使ったものです。
「最近仕事の方の会社厳しいんでね。あんまりされたくないってのがあって。こちらのお客の悩みは仕事、誰も自分を認めてくれない。会社の歯車として働くことに疑問を持っている人におすすめの本を教えて」
ChatGPTは「単に仕事の成果を上げるビジネス書よりも、自分の存在価値を取り戻し、働く意味を見つめ直せる本がおすすめ」として、次の6冊を挙げてきました。
| # | こんな人へ | 書名 | 著者 | AIの推薦理由(要旨) |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 誰からも評価されないと感じる人へ | 『働くということ 「能力主義」を超えて』 | 勅使川原真衣 | 人を能力や成果で評価する社会そのものを問い直す。「評価されない自分には価値がない」という思い込みから離れるきっかけに |
| 2 | 上司や同僚の評価が気になる人へ | 『嫌われる勇気』 | 岸見一郎・古賀史健 | 他人の期待を満たすためだけに生きなくてよいという考え方。ただし傷ついている最中には少し厳しく感じる内容も |
| 3 | 会社の歯車で終わりたくない人へ | 『自分の仕事をつくる』 | 西村佳哲 | 会社に勤めることと、自分らしい仕事をすることは同じではない。納得できる働き方を考えられる |
| 4 | 仕事ばかりの人生に疑問を感じる人へ | 『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』 | 三宅香帆 | 働き方の歴史から、仕事に人生のすべてを捧げない生き方を考える |
| 5 | 毎日同じ仕事の繰り返しに疲れた人へ | 『仕事は楽しいかね?』 | デイル・ドーテン | 老人との対話を通じて新しい可能性に気づく物語。小さな挑戦を始める勇気をくれる |
| 6 | 自分の仕事に意味を感じられない人へ | 『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』 | デヴィッド・グレーバー | 無意味な仕事とそこから生じる苦しみを分析。組織や社会の構造に目を向けたい人に。やや専門的 |
そして「1冊だけ薦めるなら『働くということ』を第一候補にする」と答えてきました。理由は、このお客さんの悩みの中心は「仕事の能力を高めたい」ではなく、「自分は会社にとって何なのか。自分自身には価値があるのか」という問いにあるように感じるから、と。頑張り方を教える本より、評価されることと人間としての価値を切り離して考えられる本が合っている、という説明でした。お客さんへの伝え方の例として「会社で認められないと、自分には価値がないように感じることもありますよね。でも、会社の評価だけが人間の価値を決めるわけではありません」という言葉まで添えてくれました。また、「もう会社を辞めたい」「もっと自分らしい仕事をしたい」という方向に気持ちが傾いているなら『自分の仕事をつくる』がより合う、とも補足していました。
『小さい”つ”が消えた日』を提案してみると……
そこで僕から「ドイツ人ステファノ・フォンローが書いた『小さい”つ”が消えた日』はいかがですか?」と聞いてみました。すると、ChatGPTは「今回のお客様の悩みに非常によく合う本。むしろ、先ほどの6冊よりも最初に薦める本として適しているかもしれません」と答えたんです。
なぜぴったりなのかについては、こう説明していました。物語の主人公の小さい「っ」は自分の音を持たないため、周囲から役に立たないとバカにされ、自分には価値がないと思い込んで村を出ていく。でも、いなくなった途端に日本語の意味が変わり、社会が大混乱する。そして、これを会社に置き換えると次のようになる、と。
| お客さんの悩み | 物語から得られる気づき |
|---|---|
| 誰も認めてくれない | 認められていないことと、価値がないことは違う |
| 会社の歯車にすぎない | 小さな歯車にも、全体を支える役割がある |
| 自分がいなくても会社は回る | 普段見えない貢献も、確かに存在する |
| 自分の存在意義が分からない | 他人の評価だけでは、自分の価値は決まらない |
さらに感心したのは、「ただし、『あなたは会社に必要だから我慢して働き続けなさい』という意味でこの本を薦めないこと。人間の価値は会社の役に立つかどうかだけでは決まらない。会社を離れても、その人の価値は変わらない」という注意点まで添えてきたことです。お客さんへの薦め方として「小さい『っ』って、自分では声を出せないんですよ。でも、いなくなるとみんな困ってしまう。会社でも、目立つ仕事をしている人だけが大切なわけじゃない」という言葉も提案してくれました。
「なのに、なぜ最初に薦めなかったの?」と聞いてみた
さらに僕は「なのになぜおすすめしなかったの?」と突っ込んでみました。ChatGPTの答えはこうです。
- 最初の質問を「仕事や会社の評価に悩む人におすすめのビジネス書」という方向に狭く捉えてしまった
- その結果、働き方や承認欲求を直接扱う本を優先し、物語を通じて自分の存在価値に気づける本を十分に検討できなかった
- お客さんの悩みには「誰も自分を認めてくれない」という存在価値への不安と、「会社の歯車として働いている」という仕事の意味への疑問の2つの側面がある。『小さい”つ”が消えた日』は特に前者に深く響く
- ただし「むしろ最初の6冊より適している」と断言したのも少し安易だった。自己肯定感の回復を求めているのか、働き方の具体的な見直しを求めているのかで、適切な本は変わる
- 反省点は、悩みに含まれる言葉から本を探すだけでなく、その言葉の奥にある感情から本を選ぶべきだったこと
ここまで自己分析できるのか、と驚きました。
もう1人の女性のケースでも試してみた
続けて、動画の女性のケース(「今、元気がなくて」「なんで自分だけ」「友達を見ているとどうして違うのかな」と、環境を嘆き他人を羨ましく思ってしまう女性)でも試してみました。
ChatGPTが第一候補に挙げたのは、キム・スヒョンさんの『私は私のままで生きることにした』(ワニブックス)でした。他人と比較して落ち込んだり、周囲の期待に応えようとして疲れたりする人へ、自分自身を大切にする考え方を伝えるイラストエッセイです。「なぜ私は友達のようになれないのか」という問いに対して、「そもそも友達と同じ人生を歩む必要はない」という新しい視点を与えてくれるから、という理由でした。イラスト入りなので、長い文章を読む元気がないときにも手に取りやすい、という配慮まで入っていました。
AIはこの女性の言葉の奥に、「なんで自分だけこんな環境なんだろう」「友達は幸せそうなのに」「自分も頑張っているのに、どうして報われないんだろう」「この先、自分は幸せになれるんだろうか」という、より深い悩みを読み取っていました。そして「もっと頑張ろう」と励ます本よりも、「他人と違う人生でも、自分には幸せになる価値がある」と感じられる本が合う、と判断していたのです。
ほかにおすすめとして挙がったのは次の3冊です。
| 書名 | 著者 | AIの推薦理由(要旨) |
|---|---|---|
| 『あやうく一生懸命生きるところだった』 | ハ・ワン | 頑張っているのに人生が思い通りにならないと感じる人へ。頑張り続けなくてもよいという視点で心を軽くしてくれる |
| 『比べずにはいられない症候群』 | 香山リカ | 友達の結婚、仕事、収入、暮らしなどを比較して落ち込む心理を扱う。なぜ他人を羨むのか理解したい人に |
| 『反応しない練習』 | 草薙龍瞬 | 他人の言動に心が振り回されるとき、苦しい感情との付き合い方を考える。気持ちが少し落ち着いてから読むのもよい |
さらに、「『置かれた場所で咲きなさい』も環境に悩む人に響く可能性はあるが、今の女性には『今の環境で我慢して頑張れ』と聞こえてしまうおそれがあるので、最初の1冊には選ばない」という判断まで添えていました。そして、『小さい”つ”が消えた日』が「自分にも存在価値がある」と気づかせてくれる物語なら、『私は私のままで生きることにした』は「他人の人生を羨むより、自分自身の人生を大切にしよう」と感じられる本だ、と整理していました。
スライドで整理した「AIは本のソムリエになれる?」
| 対話の流れ | 内容 |
|---|---|
| ① 相談する(人間→AI) | 仕事のことで悩んでいる。働き方や評価に不安がある |
| ② 最初の推薦(AI→人間) | 働き方や評価に関する本を薦める |
| ③ 人間の提案(人間→AI) | 「『小さい”つ”が消えた日』という本はどうでしょう?」 |
| ④ AIの説明(AI→人間) | 言葉をめぐる出来事を通して、仕事の中で感じるプレッシャーや自己評価の揺れと重なる部分がある、と説明 |
ここで大事なのは、「良さを説明できる(=その本の価値や、悩みとのつながりを理解して伝える力)」と、「最初から発見できる(=最初の推薦で、その本にたどり着く力)」は違う、ということです。結論は「人間の視点を加えて、選択肢を広げる」でした。
ステップ4:AIへの相談は「検索語」から「気持ちと目的」へ
このやり取りで面白かったのは、聞き方によって答えが大きく変わるという点です。
| 相談のしかた | 例 | 結果 |
|---|---|---|
| 検索のような短い相談(キーワードだけ) | 「仕事 おすすめ本」 | 仕事関連の本に寄りやすい |
| 気持ちと目的を伝えた相談(背景が分かる具体的な依頼) | 「会社で認められず、自分の存在価値が分からなくなっています。今は仕事より気持ちを整理したいです。童話や小説も含めて、理由付きで3冊薦めてください」 | 背景に合った本が出てきやすい |
質問に含めるとよい要素は、次の4つです。
- 状況:どんな場面で困っているのか
- 感情:今、どんな気持ちか
- 得たい変化:どうなりたいか、何をしたいか
- 選択条件:本のジャンル、冊数、形式、理由の有無など
この4要素を伝えると、AIはそれに合わせて答えてくるはずです。また、「実務の改善」を目指すのか「自己理解」を深めたいのかでも選ぶ本は変わります。実務の改善を目指す場合は、仕事の進め方・生産性・スキル向上などの実用書が中心に、自己理解を深めたい場合は、気持ちの整理・自分の価値の見直しにつながる童話・小説・エッセイなどが候補になります。関連する語だけでなく、相談の背景を伝えることが大切なんです。
ステップ5:AIの推薦を評価する4つの軸と、人間にしかない強み
スライドには「評価の軸」も載せました。これも面白かったところです。
| 評価の軸 | 意味 |
|---|---|
| ① 候補の意外性 | 想定していなかったタイプの本か |
| ② 相談との適合性 | 仕事の悩みとどのくらい結びつくか |
| ③ 推薦理由 | なぜその本を薦めるのか、説明が分かりやすいか |
| ④ 追加情報による変化 | 人間の提案など新しい情報を加えたとき、推薦や説明がどう変わるか |
言われたことをすぐにバンと答えるだけなら、「それ、検索したら出るよ」「AIに聞いたら出るよ」となってしまいます。でも、「この人に聞いたら意外な答えが出てきた。しかもその理由をちゃんと説明してくれる」。これが価値なんです。そして、相談とどれだけ適合しているか。相手のことをどれだけ深く読み取って、もしくは予測して本を出すか。
ここはやはり「勘が働くか」という部分もあると思うので、まだまだAIにはできないと思います。人間の本のソムリエは、相手の見た目の感じや、声のトーン、雰囲気などから考えて本を選んでいるはずです。テキスト化されていない情報は、AIには分かりません。この辺りは、まだまだ人間が強いところだと思います。
| 言葉から分かること(AIが得意) | 言葉に表れていない手掛かり(人間が得意) |
|---|---|
| 状況・感情・目的をAIに伝えると、候補(本・資料など)と推薦理由を得られる | 表情、声のトーン、雰囲気。人間は対話の中で背景を探る |
同じ「仕事で認められない」という相談でも、「仕事の進め方を変えたい」人には具体的な方法や手順が学べる実務書が、「自分の存在を肯定したい」人には登場人物に共感でき、心が軽くなる童話・物語が合います。推薦を変えるのは、悩みの奥にある「希望」です。結論として、「選ぶ力」+「相手を理解する力」=「推薦の価値」というまとめになっていました(※これはテキスト相談との比較であり、AI一般の能力の限界を断定するものではありません)。
スライドの「仕事の悩みに童話を薦める理由」では、本のソムリエの選び方を「悩み(今感じている困りごと)→ 背景の感情(その悩みの奥にある不安・焦り・寂しさなど)→ 選書(その感情に寄り添い、気づきのきっかけになる童話を選ぶ)→ 気づき(物語を通して新しい見方や考え方を得る)」と整理しました。
| 事例 | 悩み | 背景の感情 | 選書 | 気づき |
|---|---|---|---|---|
| 事例1 | 会社で認められない | 存在価値への不安 | 『小さい”つ”が消えた日』 | 目立たない役割にも意味がある |
| 事例2 | 友達が羨ましい | 他人との比較 | 『漢字の気持ち』 | 自分にとっての幸せを考える |
キュレーションとは、言葉の一致だけでなく、新しい視点を届けることなんですね。
ステップ6:売れ筋ではなく「悩みに答える本」を並べる本屋さんたち
ここから、講義の本題「キュレーションが必要なわけ」に入りました。冒頭の「読書のすすめ」は、売れ筋を並べずに、悩みに答える本を並べている本屋さんです。一般的な本屋さんでは、ベストセラーが平積みされていることが多いと思いますが、そうではなく、「みんなに読んでほしい本」「昔の本でも読んでほしい本」がずらりと並んでいる。Amazon1強と言われる中で、こういう本屋さんがあるんです。
北海道の「一万円選書」
2つ目は、これも有名ですが、北海道の「いわた書店」が行っている「一万円選書」です。「この本をください」と言うのであればAmazonで買えてしまいます。そうではなく、「私はこういう感じのものが欲しい」と自分のテーマを伝えると、店主の岩田徹さんがいろいろな本をピックアップして、1万円分ぐらいを段ボールに詰めて送ってくれるという通販です。
つまり、何が届くかまったく分からない本屋さんなんです。でも、これがもう大人気で行列ができていて、今申し込むと1年待ちぐらいになるのではないかというほどです。
TikTokで本がバカ売れする時代
3つ目は、これも有名ですよね。TikTokで本を紹介するアカウント(けんごさん)が登場し、その人が紹介すると本がバカ売れするということが起きました。ひどいケースでは、絶版になった本を紹介したら、みんなが欲しがって再版された、ということまであったぐらいです。
| 事例 | 特徴 | キュレーションのポイント |
|---|---|---|
| 読書のすすめ(東京・江戸川区) | 売れ筋ではなく悩みに答える本を並べる | 店主が読んで選んだ昔の本と、悩みとのマッチング |
| 一万円選書(北海道・いわた書店) | テーマを伝えると1万円分の本を選んで送ってくれる | 何が届くか分からないのに、1年待ちになるほどの人気 |
| TikTokの本紹介アカウント | 紹介した本がバカ売れ。絶版本が再版されることも | 「誰が薦めるか」で本が売れる |
誰が薦めるかによって、その本が売れる。これがキュレーションの鍵なんです。
ステップ7:「キュレーター」はリアルの世界で生まれた言葉
キュレーターという言葉は、もともとネットではなくリアルの世界で誕生した言葉です。それが美術館です。
皆さんも美術館は好きだと思いますが、美術館に行くと「〇〇展」といって、あるテーマの括りでいろいろな画家の作品が集まっている展示がありますよね。1人の画家でも、あるテーマで作品を絞って展示されています。これを選んでいる人をキュレーターと言います。つまり、その人の好みやセンスでセレクトしているわけです。そして、そのセレクトに価値があるから、展示会をやると人気が出る。キュレーションはここから始まっています。
ステップ8:セレクトショップ——「絞り込んでいること」に価値がある
次はセレクトショップです。うちの妻はよくセレクトショップに買い物に行くのですが、僕はそれがずっと理解できませんでした。
だって、セレクトショップは小さなお店で、服もそんなに並んでいないわけです。なんでそんな少ない中から選ぶのか。もっとたくさん服が並んでいるお店はいっぱいあるし、それこそネットで検索すれば、ZOZOTOWNなどでたくさん売っているのに、なぜそこで買うのか。
それがずっと分からなかったんですが、答えは「店員さんのセレクトが自分好みだから」です。そこに行けば自分好みのものが揃っているから楽ちんなんですね。
大量のものから選ぶと選びきれない。だから、わざわざ絞り込んでいることに価値があるお店に行く。これがキュレーションという考え方です。つまり、情報が少ないときはいいけれど、情報が多くなってくると、今度は誰かがセレクトしたものが欲しくなる。
これはインターネットの歴史を振り返ってみてもよく分かります。
| 時代 | 情報の探し方 | 背景 |
|---|---|---|
| 初期 | カテゴリーで並べるだけでOK | 情報がまだ少なかった |
| 次の段階 | キーワード検索が登場 | 情報が多くなりすぎた |
| 現在 | AIに聞いたら答えてくれる | キーワード検索でも探しきれなくなった |
同じように、いろいろなものを集めてくると、たくさんありすぎて大変になる。だから「誰かが選んでくれたこと」に価値がある、という考え方に戻ってくるわけです。
ステップ9:『通販生活』——1カテゴリー1商品でも売れる理由
スライドの右上にあるのが『通販生活』という雑誌です。機会があれば本屋さんにも置いてあるので、ぜひ読んでみてください。
何が面白いかというと、通販の雑誌なので家具や家電製品などいろいろな商品が紹介されているのですが、基本的に1つのカテゴリーにつき1つの商品しか紹介されていないんです。「今日は本棚を紹介します」「今日は椅子を紹介します」と、1個しか出ていない。それを買うかどうか、という話なんです。
たくさんの中から選べた方がいいのに、1個だけでいいの?と思いますよね。薦められても、それがいいか悪いか判断しにくいはずです。でも、これが売れているんです。それは、「いいものだけしか紹介しない」というブランドがあるから。この雑誌が薦めているなら、これでいいかな、と買う人がいるわけです。
インターネットやSNS、AIを知っている人からすると信じられないかもしれませんが、アナログの世界ではまだまだこういう考え方の人がたくさんいるんです。
ステップ10:コンピレーションアルバムからプレイリストへ
画面の下にあるのがコンピレーションアルバムです。最近はこれでヒットしているものはあまりないと思います。なぜかというと、あるコンセプトで選曲したCDを売るという形から、今はプレイリストに変わってしまったからです。
Spotifyなどで「クリスマスの曲を集めました」「恋愛の曲を集めました」といったプレイリストが人気になったので、わざわざ集めたものを買うことはなくなりました。でも、プレイリストもキュレーションです。どういうふうにまとめるか、どういう順番で並べるかに価値があるわけです。昔はプレイリストがなかったので、「恋愛ソングを集めました」というCDが売れていた時代があった、ということですね。
ちなみにスライドには、ワーナーミュージック・ジャパンのコンピレーションアルバム『R35 Sweet J-Ballads』や、「アールサンジュウゴ」のジャケットも載せておきました。こういったリアルの世界のキュレーションが、今ネットの世界に来ているというわけです。
ステップ11:東横INNの『たのやく』——紙の雑誌を紙でキュレーションする
講義の日は持ってくるのを忘れてしまったのですが、最近見つけて面白かったものがあります。ビジネスホテルの東横INNが出している雑誌『たのやく』です。
僕は東横INNに毎日のように泊まっているのですが、部屋に入ると壁のところに1冊だけ置いてあるんです。いつでも読んでいいよという状態になっていて、もう何年も置いてあったのに、ずっとスルーしていました。ある日たまたま「何これ?」と思って読んでみたら、なんと紙媒体の雑誌を紙でキュレーションする雑誌だったんです。
どういう雑誌かというと、料理のレシピ、観光に関すること、生活に役立つ情報、鉄道のこと、ナンプレなど、いろいろな雑誌のいいとこ取りをして、その内容がそのまま転載されています。たとえば20冊ぐらいの雑誌を買わなくても、20冊の雑誌のいいところが全部1冊に入っているわけです。
本来、こんなことをしたら著作権的にダメですよね。でも、著作権をきちんとクリアして、一部だけを抜粋して読んでもらうことで、「他も読みたければそれぞれの雑誌を買ってね」と誘導できる。だから、この雑誌が成り立っているんです。
自分が興味のないもの、たとえば料理本は単発では買いませんよね。でも、こういうふうに1冊に入っていると、ついでにちょっと読んで「あ、面白いね、もっと詳しく見たいね」となることもあると思います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名称の由来 | 正式名称は「楽(たの)しく読めてときどき役(やく)立つ本」 |
| コンセプト | “転載記事”で構成する新しいカタチの情報誌、「紙の本屋さん」 |
| 構成 | 約20誌の雑誌から、ページごとそのまま”転載” |
| 発行部数 | 講義では9万3000部と紹介(スライドでは約94,000部・2025年9月現在) |
| 配布 | 東横INN日本全国341店舗(2025年9月現在)の客室に設置。泊まった人は持ち帰りOK |
| 価格 | 書店で買うと1冊300円ぐらい |
月1冊ずつ発行されていて、泊まった人は持って帰っていいんです。僕は最近、毎月これをバックナンバーとして貯めています。皆さんも東横INNに泊まったら、ぜひ覗いてみてください。
ステップ12:コーディネートアプリと「MB」さんの有料メルマガ
WEAR(コーディネートアプリ)
コーディネートアプリでは「WEAR」などがあります。僕はまったく見ていませんが、女性の方などは、どういう組み合わせで服を着るかを考えるときに、コーディネートアプリを見ている人も多いのではないでしょうか。
これもSNSのようになっていて、フォローする機能があります。コーデが上手な芸能人やタレント、モデルさんをフォローしておくと、その人の投稿が流れてくる。その人のセレクト、その人のコーディネートが自分好みなら、その人が紹介しているものを買えばいい、という新しい買い方です。しかも、骨格や身長、サイズ感を自分と合わせてコーデを探せるのは便利ですよね。スライドには、2014年にZOZOTOWNが関わる形でスタートしたことや、2017年9月にIQONを抜いてNo.1になったといった歴史も載せています。
新潟の誇り「MB」さん
男性の皆さんに紹介したいのが、スライドの真ん中のMBさんです。新潟の誇りなんですが、MBさんは新潟の方で、なんと月額550円の有料メルマガで会員が1万人いるんです。分かりますか? 毎月550万円の収入がメールマガジンからあるということです。
発信している内容は、男性なら普通にユニクロなどのファストファッションで買えるようなもので、いかにおしゃれに服を着るかという情報です。おしゃれに興味がある人は、よかったら見てみてください。
楽天ファッションと楽天ROOM
これに追随する形で、楽天は「Rakuten Fashion(楽天ファッション)」というサービスを出しています。また「楽天ROOM」もあります。楽天ROOMは最近だいぶ良くなった気がします。2014年に始まったので、もう12年選手なんですね。最近は楽天ROOMもだいぶ人気になってきましたが、楽天ファッションの方はまだまだかなと思います。
| サービス | 特徴 |
|---|---|
| WEAR | コーディネートアプリ。おしゃれな人をフォローし、その人のコーデを参考に買える |
| MBさんの有料メルマガ | 月額550円×会員1万人。ファストファッションでおしゃれに着こなす情報を発信 |
| Rakuten Fashion | 楽天のファッションサービス(2019年10月〜)。まだこれから |
| 楽天ROOM | 2014年6月開始の12年選手。最近だいぶ人気に |
ステップ13:『キュレーションの時代』からインフルエンサー、アンバサダーへ
2011年には『キュレーションの時代』(佐々木俊尚著、ちくま新書)という本が出ました。この頃から「キュレーション」という言葉が広く使われるようになりました。
最近では「インフルエンサー」という言葉が有名になりましたよね。インフルエンサーも、キュレーションの1つの形です。その人がキュレーションしたものが発信されている、とも言えます。さらに最近は「アンバサダー」という言葉も出てきたので、アンバサダーについても、改めてまとめてみようかなと思っています。
SNSフィードとニュースは「誰か」に選ばれている——アルゴリズムと広告モデルの誕生
ステップ1:すべては日付順から始まった
ここから少し歴史を振り返っていきます。おそらく皆さんはご存知ないと思うので、ここからお話しします。
Facebookというサービスがあります。今でもSNSの世界王者で、1番ユーザー数が多いサービスです。SNSにおける新しい機能や新しいことは、Facebookが始めて、それを他のSNSの会社が真似していく、ということがずっと繰り返されてきました。その1つ目の話をしたいと思います。
SNSの「ニュースフィード」には、友達が上げた写真や、企業の売り込みなど、いろいろなものが流れてきますよね。これが、ただ日付順に並んで出てくるというのが、もともとのSNSでした。
Twitterもそうですし、FacebookもInstagramも、最初は全部そうでした。日付の新しいものから古いものへと並んでいる。これしかなかったんです。今の皆さんには考えられないと思います。今はアルゴリズム順、おすすめ順で、ぐちゃぐちゃに出てきますよね。でも、最初は日付順しかなかったんです。
ステップ2:Facebookの「ハイライト」——キュレーションの始まり
そこに初めて、Facebookが**「ハイライト」**という機能をつけました。
名前の通り、ハイライトです。たとえば、90分のサッカーの試合を全部見ようと思ったら時間がかかります。でも「ハイライトシーンだけ見せて」と言われたときに、点が入っていないシーンばかり見せられたら「それはハイライトじゃないよ」となりますよね。
ということは、ハイライトとして見せるときには、何かしらの条件があって絞り込んでいるということです。これをキュレーションと言うわけです。みんなにとって価値があるまとめ方は何か。当然、得点シーンは集めた方がいいし、得点シーン以外にも惜しかったシーンを集めた方がいいかもしれない。何らかの基準があって絞り込みをしているはずです。
ステップ3:エッジランクと「いいね!」ボタンの発明
では、Facebookはハイライトの並び順を作るときに何を考えたのか。これは過去にテストにも出したのですが、エッジランクというランキング付けの仕組みを導入したんです。
今では当たり前ですが、これが発明でした。それは、各投稿に**「いいね!」ボタン**をつけたことです。今ではどのSNSにも「いいね」がついていますが、昔はなくて、1番最初に始めたのがFacebookだったんです。
フィードに流れてきた投稿に「いいね」を押す。ということは、この投稿が好きだと言っていることになります。好きだという反応が多ければ多いほど、「あなたにとってこの投稿には価値があるんだね」ということを集計できる。この仕組みを発明したわけです。
ステップ4:「好きの反対は無関心」——反応しないと消えていく
これが面白くて、マザー・テレサの有名な言葉に「好きの反対は嫌いではなく、無関心である」というものがあります。嫌いと言えるうちは、まだ好きのうち。「嫌いも好きのうち」という言葉もありますよね。本当に1番ひどいのは、興味がないこと、無関心なんです。
いじめでも、文句を言われているうちはまだよくて、無視されるのが1番かわいそうないじめなんですよね。家族でも同じです。うちの妻はいつもそうなんですが、喧嘩すると、わあっと言ってくるのではなく、向こうが怒ると絶対に無視になるんです。何を言っても何も反応しない。これが1番嫌な喧嘩の仕方なんですよね。
これをSNSに当てはめるとどうなるか。たとえば、好きな女の子の投稿が流れてきたとします。でも「いいね」すると自分がしたことがバレてしまうから、いいねしないでスルーする。すると、Facebookには「あなたはこの女の子の投稿が好きじゃない」と判断されて、その子の投稿はフィードから徐々に消えていくわけです。
だから、好きなら好きとちゃんと言おう、というのがFacebookのアルゴリズムです。そして、今ではすべてのSNSがこの仕組みになっていますよね。これがきっかけで始まったんです。
ステップ5:投稿の間に広告を挟む——無料SNSのビジネスモデル
もう1つ、これもFacebookが初めてなのですが、投稿の間に広告を挟むという仕組みです。これも今ではどこでも当たり前ですよね。Xだろうが、Instagramだろうが、LINEだろうが、間に広告がいっぱい挟まってきてひどいと思うんですが、あれを1番最初に発明したのがFacebookなんです。
つまり、ユーザーには無料でSNSを使ってもらう代わりに、投稿の間に広告を挟み、その広告でビジネスを成り立たせる。これを最初に発明したわけです。
| SNS | フィード内広告の開始 |
|---|---|
| 2012年1月 | |
| 2012年9月(Facebookの8ヶ月後) | |
| 2015年(10月) | |
| LINE | 2015年(11月) |
各社がこれを真似して、投稿の間に広告を挟むようになって今があります。今、SNSで間に広告が挟まっていないものはあるでしょうか? Threadsにも入っています。以前に話したnoteにはありませんが、noteはそもそもフィードという考え方があまりないので、途中に挟まっている感じではないと思います。
「広告を挟まない」と宣言したSubstack
フィードに絶対に広告を挟まないと宣言しているSNSが1つだけありました。Substackです。Substackは最近ちょっと話題になりましたが、広告を入れないというスタンスを取っています。
では、なぜSubstackは広告なしでビジネスが成り立つのか。それはnoteと同じで、記事を有料で販売しているからです。そこで収益を得ているので、広告を挟むようなことはしないと言っています。多分、今後も入らないのではないでしょうか。
| 収益モデル | 仕組み | 代表例 |
|---|---|---|
| 広告収入モデル | 無料で使ってもらい、投稿の間に広告を挟む | Facebook、X(Twitter)、Instagram、LINE、Threads |
| 有料購読モデル | 記事やコンテンツを有料で販売する | note、Substack |
15分配信では「無料サービスは誰がお金を払うのか」というテーマでお話ししましたが、まさにこの2つのモデルの違いです。最近は、右側の有料購読モデルにも注目が集まっていますよね。
ステップ6:嫌なものに「NO」を突きつける時代から、放っておけば消える時代へ
これも面白い話です。テレビは番組を見たいから見ているのに、途中にCMが入りますよね。無料で何かを見ていると途中にCMが入る。SNSも全部同じです。
| メディア | 広告の入り方 | 嫌なときのユーザーの行動 |
|---|---|---|
| テレビ | 番組の途中にCM | CMになったらチャンネルを変える |
| ラジオ | 番組の途中にCM | CMの間にトイレに行く |
| 新聞 | 紙面の下の広告、折込チラシ | 読まずに捨てる |
| FAX・DM | 一方的に送られてくる | 受取拒否などで突き返す |
| メールマガジン | 無料と言いながら広告がたくさん入る | 配信停止する |
| Facebook(SNS) | 投稿の間に広告 | 嫌なものは放っておき、好きなものに「いいね」するだけ |
今までは、嫌な広告が流れてきても、自分が拒否反応を示さない限り、相手は送り続けてきました。だから、テレビならCMになったらチャンネルを変える、ラジオならCMの間に何かをする、というように「無駄なものを送るな」と自分から突きつける必要がありました。15分配信では「広告宣伝には、嫌いな企業への『嫌い』という意思表示が必要だった」とお話ししましたが、まさにこのことです。
アパートに届く不要なDMは「受取拒否」で返せる
皆さんのアパートにも、不要なダイレクトメールの郵便が届くことがあると思います。これは受け取ったら「受取拒否」と書いて(判子じゃなくても、自分で書けばOKです)、もう1回ポストに入れ直すと、その郵便物は送った人のところに戻ります。
そうすると、送料を払うのは送った人です。送りつけてくる人は、郵便代を払って商売の販促に使おうとしているわけですよね。でも、そこから毎回送り返されてきたら、送料が2倍かかるうえに、しかも買わないお客さんだと分かる。そうなると、次から送ってこなくなります。
このように、これまでは不要なものに対して自分がアクションしない限り、送り続けられるのが普通でした。それに比べれば、今のSNSのアルゴリズムの方がいいんじゃないの?とも言えます。いいものに反応していけば、嫌なものは勝手に消えていく。これが今のSNSのアルゴリズムの原点なんです。
ステップ7:TikTokの「スワイプ」という新しい概念
これとはまた違う概念を導入したのがTikTokです。TwitterやInstagramが「いいね」で好きなものを集めていく形だったのに対して、TikTokはスワイプです。嫌な動画、興味のない動画が流れてきたらスワイプして飛ばす。そうすると、自分に興味があるものだけが残っていく、という考え方です。
| サービス | フィード最適化の仕組み |
|---|---|
| Facebook / Twitter / Instagram | 好きなものに「いいね」→ 反応しないものは徐々に消える |
| TikTok | 興味のないものはスワイプで飛ばす → 興味のあるものだけが残る |
ある意味、嫌なものに反応しなければいけない、という面もありますが、これが今の大きな流れかなと思います。
ステップ8:2016年から2017年が大きな境目
ここは重要なので、後でまた話しますが、ぜひ覚えておいてください。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2016年(2月) | Twitterのタイムラインがアルゴリズム順に |
| 2016年(3月発表・4月〜) | Instagramのフィードが時系列順からアルゴリズム順(おすすめ順)に |
| 2017年 | TikTokがサービス開始 |
Twitterの並び順がアルゴリズム順になったのは2016年からです。もう10年前なんですね。Instagramの並び順が時系列順からアルゴリズム順に変わったのは2016年4月から。これも10年前です。今ではすっかり当たり前ですが、もう10年も経っているんです。
そして、TwitterやInstagramが日付順から並び順を変えたタイミングで、TikTokというサービスが生まれています。TikTokは2017年にサービスを開始しました。この頃、もう皆さんの中で情報が溢れすぎて、日付順では追いきれないという状態になった。そのタイミングでショート動画が生まれたんですね。結果論かもしれませんが、TikTokはすごく絶妙なタイミングで生まれたのではないかと思っています。
ステップ9:Instagramのホームは誰の投稿でできているのか(実演)
ここで少しだけ、Instagramの話をしました。皆さんも普段使っていると思いますが、改めてぜひ見ていただきたいのが、1番左側の家マークのタブ、「ホーム」です。
講義では、僕のInstagramのホーム画面を見せながら、上から順番に「フォローしている人の投稿」と「それ以外(おすすめ・広告)」を数えていきました。
| 順番 | 表示された投稿 | フォロー中 対 フォロー外 |
|---|---|---|
| 1 | フォローしている人の投稿 | 1対0 |
| 2 | フォローしている人の投稿 | 2対0 |
| 3 | おすすめ(「フォロー」ボタンあり=フォローしていない) | 2対1 |
| 4 | 広告 | 2対2 |
| 5 | おすすめ | 2対3(逆転) |
| 6 | 自分の友達の投稿 | 3対3(同点に戻る) |
| 7 | おすすめ | 3対4 |
| 8 | 広告 | 3対5 |
| 9 | おすすめ(「フォロー」表示あり) | 3対6 |
| 10 | 広告 | 3対7 |
| 11 | おすすめ | 3対8 |
| 12 | 広告 | 3対9 |
全然出てこないじゃん、という結果です。ホームというのは、本来、自分がフォローしているものを見る場所だったはずです。2016年から日付順ではなくおすすめ順になったので、フォローしている人の投稿がランダムに出てくるのは分かります。でも、ランダムにすら出てこない。ほとんどおすすめと広告しか出てこないんです。
ぜひ皆さんも、もう1回冷静にInstagramを見てみてください。フォローしている人の投稿は全然出てきません。ということは、当然、自分の投稿をフィードに流しても、見てもらえないという話になります。見てもらえるのは最初の2つぐらい。最初の2つに自分の投稿が表示されるぐらいエンゲージメントが高くないと、そもそも見てもらうことはほぼ無理、ということになります。
ステップ10:「フォロー中」「お気に入り」を使い分けよう
ご存知ない方もいるので説明しておきます。Instagramを開いたときの画面の1番上に「Instagram」と書いてあるロゴマークがありますよね。ここを押すと「フォロー中」と出てくると思います。
フォロー中:日付順だが、ここにも広告が
「フォロー中」を押すと、当たり前ですがフォローしているものだけが表示される画面になります。ここは日付順です。1番上は2分前の投稿、その次は3分前、4分前……と日付順に出てきます。
ところが、最近はこの画面にも広告が出るようになりました。以前は出なかったんです。講義でも数えてみました。
| 順番 | 表示 | フォロー中 対 広告 |
|---|---|---|
| 1 | フォローしている人 | 1対0 |
| 2 | 広告 | 1対1 |
| 3 | フォローしている人 | 2対1 |
| 4 | フォローしている人 | 3対1 |
| 5 | フォローしている人 | 4対1 |
| 6 | 広告 | 4対2 |
| 7 | フォローしている人 | 5対2 |
| 8 | フォローしている人 | 6対2 |
| 9 | フォローしている人 | 7対2 |
| 10 | 広告 | 7対3 |
このように、上位20個とか30個の投稿で、どのぐらい広告が入っているか、どのぐらいおすすめが出ているかを、ぜひ皆さんレポートで数えてみてほしいんです。ホームよりはフォロー中の方がまし(フォロー中ではおすすめが出ないので、広告だけ)ですが、それでもいらないものがたくさん入ってきます。本当に厄介ですね。
お気に入り:星マークをつけた人だけが表示される
さらに「お気に入り」というページもあります。ここに行くと、自分がフォローしている人の中で、お気に入り登録(星マーク)をつけている人の投稿だけが表示されます。
画面右上の3本線のところから進んでいくと、自分がお気に入り登録しているアカウントが一覧で表示されます。僕の場合は、Instagramの代表の人をお気に入り登録していて、1番上に出ています。
お気に入り候補の並び順で「誰に見られているか」が分かる
面白いのはその下です。「アカウントを追加」として、「この人をお気に入り登録したらいいんじゃないでしょうか?」という候補が一覧で出てきます。この候補は、あなたが好きな人順に上から並んでいるんです。日頃、その人の投稿にいいねしたり、コメントしたり、DMを送ったりしている回数が多い人ほど、上に並んでいます。
ということは、自分の友達や好きな人のこの画面を見たときに、自分のアカウントが上位に出ていれば、その人はあなたの投稿を見てくれているはずです。逆に上に出ていなければ、見ていないということになります。「いつも見てるよ」と言われても、嘘の可能性があるんです。
僕の場合、僕のAIシンガーのMiliaちゃんはいいとして、そこに女性が2人出ていました。つまり、僕はこの2人が好きだということです(笑)。この2人の投稿にいつもいいねしているから上にいるわけですね。それ以外は男性なのでいいのですが、ということは、浮気もバレます。彼女ではない別の女の子に日頃からいいねしていると、これでバレたりします。このように、2人の関係をカウントして、それをアルゴリズムとして計算して出しているんです。
ストーリーズの並び順も「関係の深さ」順
ストーリーズの並び順も同じです。これも日付順ではありません。あなたとエンゲージメントの関係が深い順に並んでいます。右にずっとずらしていくと、だんだん興味のない人になっているはずです。
結局、ストーリーズもフィードも全部そうなのですが、日頃から関係が浅くなってしまうと、投稿が見られない、というよりも、そもそも表示されない状態になってしまうんです。
| 画面 | 並び順 | 表示される内容 |
|---|---|---|
| ホーム | おすすめ順(アルゴリズム) | フォロー中の投稿はわずか。おすすめと広告が大半 |
| フォロー中 | 日付順 | フォローしている人の投稿+広告(最近から広告が出るように) |
| お気に入り | 日付順 | お気に入り登録(星マーク)した人の投稿だけ |
| ストーリーズ | エンゲージメントが深い順 | 関係が浅い人ほど右(後ろ)に |
これが今のSNSの現状です。だから多分、疲れてくるんじゃないかと思います。皆さん、ぜひ覚えておいてください。
ステップ11:SNS 1.0・2.0・3.0——「いつも好き」から「今好き」、そして「次に好き」へ
これはいつも話している内容ですが、SNSの時代の変化を3つに分けて説明しました。
| 時代 | 期間(目安) | 主なサービス | 表示されるもの |
|---|---|---|---|
| SNS 1.0 | 2009年〜2014年 | Facebook、LINE、Twitter | いつも好きなもの(友達・つながり中心) |
| SNS 2.0 | 2015年〜2019年 | Instagram、YouTube | 今好きなもの(興味・関心中心) |
| SNS 3.0 | 2020年〜20XX年 | TikTok | 次に好きなもの(AIのおすすめ中心) |
「いつも好きなもの」から「今好きなもの」へ、そして「次に好きなもの」へと変わってきた、という話です。
ステップ12:ニュースのキュレーション——人力のYahoo!とAIのGoogle
ここから少し話が変わって、ニュースの話です。皆さん、Yahoo!ニュースは見ていますか?
Yahoo!ニュースは今も人力で選んでいる
Yahoo!ニュースには、今でも人が選んだ記事が載っています。Yahoo!を開くとニュースが出ていますが、これは今となっては化石のような存在です。なぜなら、ここに出ているニュースは全員同じだからです。日本人1億2000万人が全員Yahoo!を開いたら、全員同じものが出ている。今の時代、そんなものある?という話です。だって、SNSのタイムラインは全員違いますよね。
Googleニュースはあなたごとにセレクト
一方、Googleの「Googleニュース」というサービスに出ているものは、あなたごとにセレクトされています。
| サービス | キュレーションするのは | 表示内容 |
|---|---|---|
| Yahoo!ニュース | 人(編集者) | 1億2000万人全員に同じニュース |
| Googleニュース | ロボット(AI) | 一人ひとりに合わせて違うニュース |
Googleニュースのキュレーションはロボット、AIがしていますが、Yahoo!は人がやっています。1億2000万人のために、人がニュースの差し替えを毎日リアルタイムでやっている。ここがYahoo!のすごいところです。Yahoo!は今あまり人気がありませんが、実はずっとAIに対抗しているんです。検索エンジンでは負けてしまいましたが、ニュースはまだ人力でやっている。これがYahoo!さんのすごいところです。
ステップ13:ニュースキュレーションアプリの使い分け
最近はスマートフォンのアプリで、ニュースのキュレーションアプリがたくさんあります。スマートニュース、グノシー、NewsDigest(ニュースダイジェスト)などです。それぞれ下のメニューが少しずつ違っていて、それぞれに良さがあるので、うまく使い分けましょう。
グノシーの「予想」——ニュースを見る時代から予測する時代へ
皆さんはスマートニュースをよく使っているのではないかと思いますが、実はその対抗サービスとしてグノシーがあります。最近面白いのは、このグノシーを開くと、下のメニューに**「予想」**というものがあるんです。
「予想」を押すと、「今後のニュースを予測してください」と出てきます。たとえば『ゴジラ-0.0』が公開されるけれど、どのぐらいの興行収入になるか予測しなさい、というものです。予測すると、なんとポイントがもらえます。
ニュースを見る時代から、ニュースを予測する時代へ。ということは、その予測の答え合わせ、ニュースの先を知りたいから、またグノシーを開かなきゃいけない。アプリを開く目的がちょっと変わってきているんです。今年からのこういう面白い取り組みも始まっています。
NewsDigestの「リアルタイム防災」——超地元のニュースが分かる
もう1つ、NewsDigestもおすすめです。いざというときのためにスマホに入れておくといいと思います。
何が面白いかというと、右下に**「リアルタイム防災」**というメニューがあるんです。これを開くと、今自分がいる場所の地図が表示されて、その近くで起きたニュースが表示されます。近くで熊が出た、痴漢が出た、火事があった、といった超地元のネタがここに出てきます。講義の時点では何も表示されていませんでしたが、何もないのは幸せでいいことですよね。
さらに、ここには自分自身が投稿することもできます。「情報提供」と書いてあって、たとえば「長岡のこんなところで火事がありました」「事故がありました」と投稿すると、ここに表示される仕組みになっています。
今は落ち着いていますが、コロナのときはかなりすごかったです。「どこどこの飲食店でクラスターが出ています」「どこどこがこういう状態になっています」という情報が地図上に反映されました。地元のネタがリアルタイムに分かるのは面白いので、いざというときのために登録しておくといいと思います。
NewsPicksとYahoo!リアルタイム検索
ほかにも、NewsPicksやYahoo!リアルタイム検索なども、情報を選択したり取捨選択したりするのに便利なので、ぜひ使ってみてください。
| アプリ・サービス | 特徴 |
|---|---|
| スマートニュース | 学生にも利用者が多い定番のニュースアプリ |
| グノシー | 「予想」メニューで今後のニュースを予測するとポイントがもらえる |
| NewsDigest | 「リアルタイム防災」で近くのニュースを地図で確認、情報提供も可能 |
| NewsPicks | ニュースにコメントが集まり、情報の取捨選択に便利 |
| Yahoo!リアルタイム検索 | 今まさに話題になっていることを探せる |
「NEWS」とは何か
ちなみに、ニュースは英語で「NEWS」と書き、「新しいこと」という意味です。東西南北(North・East・West・South)の頭文字を取ったもの、とも言われますね。いろいろな方角から新しいことを入手する、ということです。ニュースはたくさんありますが、何が大事なニュースかは人によって違う。だからこそ、キュレーションが必要になるんです。
まとめサイトの興亡、フィルターバブルとエコーチェンバー、そして「AIによる概要」
ステップ1:ブログまとめサービスの誕生と終焉
講義ではここから時間が残り10分ほどになってしまったので、一部は資料に入れておく形にしましたが、ここからが大事な話です。ブログでは、15分配信で補足した内容も含めて、まとめサービスの歴史を丁寧に振り返ります。
ハフィントンポスト
2005年にアメリカで誕生し、2013年5月に日本に上陸したブログまとめサービスが「ハフィントンポスト(The Huffington Post)」です。いろいろな人のブログ記事を集めて掲載する、いわゆるブログのまとめサービスでした。その後、名称が「HuffPost」に変わり、今の日本ではBuzzFeed Japanと合併する形になっています(2021年5月)。かつては、こういうブログのまとめサービスがあったんだよ、という話です。
BLOGOS
日本では「BLOGOS(ブロゴス)」というサービスがありました。ライブドア(後のLINE)が運営していたブログのまとめサービスですが、これも2022年に終了しています。キュレーションという大きな流れの中で、ブログまとめは終わっていったんです。
ステップ2:Twitter・Instagramまとめ、2ちゃんねるまとめ、NAVERまとめ
さらに、TwitterやInstagramの投稿をまとめるキュレーションサービスも続々と登場しました。でも、Twitterのまとめサービスはもうなくなりましたし、Instagramのまとめもなくなりました。今は「Togetter」だけが残っていますが、Togetterも経営が厳しく、いろいろなことがありました。TwitterのAPI連携の問題もあって、揉めたりしていますね。
2ちゃんねるのまとめサービスと、NAVERまとめもありました。2ちゃんねるまとめはまだ残っていますが、どんどんまとめサービスが終了しています。NAVERまとめも2020年9月30日に終了しました。Yahoo!も「Yahoo!くくる」というサービスをやっていましたが、これも今はありません。
| サービス | 種類 | 現在 |
|---|---|---|
| ハフィントンポスト(日本版) | ブログまとめ(2013年5月日本上陸) | HuffPostに改称、BuzzFeed Japanと合併 |
| BLOGOS | ブログまとめ(ライブドア) | 2022年に終了 |
| Twitter・Instagramまとめ各種 | SNS投稿まとめ | ほぼ終了。Togetterのみ残るが経営は厳しい |
| 2ちゃんねるまとめ | 掲示板まとめ | まだ残っているが縮小傾向 |
| NAVERまとめ | ユーザー投稿型まとめ | 2020年9月30日に終了 |
| Yahoo!くくる | まとめサービス | 現在はなし |
ステップ3:キュレーションサイトの時代——MERYとWELQ
続いて、ウェブサイトとしてのキュレーションサイトです。代表的なのがMERYとWELQです。
MERY:ウェブサイトからInstagramへ
MERYは、スマートフォン向けのサイトとして人気が出た、女性向けの情報ウェブサイトです。このサイトが、今は厳しいことになっています。
なぜかというと、言うまでもなく、SNSが普及したことで、みんながウェブサイトを見るという文化がなくなったからです。そこでMERYさんがどうしたかというと、拠点をInstagramに移したんです。今ではInstagramで60万人のフォロワーまで来ていて、こちらで女性向けの情報発信をしています。
ウェブサイトは本当に今厳しいので、みんな移行してきています。では、MERYはもともと何をやっていたのか。世の中の女性に関する情報を上手にまとめていたからこそ、価値があったんです。これを昔やっていたのが、紙の女性誌です。女性誌の話はまた後日しますが、それが今では、SNSの力などで変わってきたわけです。
WELQ問題:SEOに強すぎたキュレーションサイトの末路
その後に登場したのがWELQです。WELQも同様に、いろいろな情報を集めてくるサービスで、2015年ぐらいから急激に人気が出ました。そして、2016年に問題が起きます。
たとえば「死にたい」とGoogleで検索すると、1位にWELQのキュレーションサイトが出るようになったんです。いろいろな情報をまとめて出しているのですが、書いてあることがほとんど嘘のようなものばかりでした。
僕がよく覚えているのは「肩こり」です。肩こりで検索すると、WELQのサイトが1位に出ていました。普通、肩こりの原因と言えば「姿勢が悪いから」「スマホの見過ぎ」といったものが出てくるのは分かりますよね。ところが、1位のWELQの記事には「肩こりの原因は、あなたの肩に水子の霊が乗っているからです」と書かれていたんです。
いや、確かに乗っているかもしれませんけど(笑)、それが1位というのはさすがにおかしい。20位ぐらいにあるならまだしも、1位はおかしいんじゃないか、とみんなが声を上げました。「このキーワードで検索するとWELQの記事が1位になるけど、これって本当なの? ちゃんと検証したの?」と。調べてみると、実は何も検証しておらず、でたらめに書いた記事ばかりだったことが分かったんです。
WELQは「確認します」と言って記事を見直したのですが、確認したら嘘だらけだったので、元に戻すことを諦めて、サービスはなくなりました。SEOのノウハウは持っていたので、どんな記事でも上位に表示させることができたのですが、中身がめちゃくちゃだった。これはSEO業界にとって、かなり大きなニュースでした。
ステップ4:2016〜2017年、情報をまとめることの限界
このように、MERYやWELQのようなサービスがバンバン出てきましたが、キュレーションの時代は2016年から2017年にかけて、終わりを迎えようとします。
分かりますか? この2016年から2017年、まとめサービスが終わろうとしていたタイミングで出てきたのがTikTokなんです。先ほどのTwitter(X)やInstagramがアルゴリズム順になったのも2016年でした。この頃、世の中の情報をまとめることに限界が来て、いろいろなことが破綻していた。それが大きく起きたタイミングだったということです。
| 年 | 出来事 |
|---|---|
| 2016年 | Twitter・Instagramがアルゴリズム順に変更 |
| 2016年 | WELQ問題が発覚し、キュレーションサイトが相次いで閉鎖 |
| 2017年 | TikTokがサービス開始 |
| 2017年頃 | 「エコーチェンバー」「フィルターバブル」という言葉が広まる |
ステップ5:mybest——最後に残ったキュレーションサイトも苦戦中
そんな中で登場したのが「mybest(マイベスト)」というサービスです。皆さんもお世話になったことがあるのではないでしょうか。ヘアドライヤー、マットレス、加湿器など、あらゆるカテゴリーの、みんなが使っている商品について、レビュー・おすすめ・比較が全部記事になっているサイトです。どんなキーワードで検索しても、mybestが上位に出てくるという状態になっています。
キュレーションサイトがどんどんなくなっていく中で、mybestは1番最後に出てきて生き残っている、すごいサイトとして人気がありました。ところが、このmybestさんも、ここ1、2年(15分配信では2、3年とお話ししました)は雲行きが怪しく、アクセスが落ちて苦戦しています。
これも、全部生成AIの影響です。こういうサイトが情報をまとめてくれるからありがたいと思っていたのに、まとめてもらわなくても、自分でAIを使って比較できるようになった。誰でもまとめサービスのようなものを作れるようになった。AIに聞けば答えが出せるようになってしまったんです。
mybestが今後どのように立て直していくのか。たとえばMERYのようにInstagramに移行するのか、どういう形で戦っていくのか、これから注目かなと思っています。キュレーションサイトについては、僕が以前まとめた記事もあるので、そちらも参考にしてください。
http://yokotashurin.com/etc/curation-matome.html
ステップ6:バイラルメディアの終焉と、ウェブサイトで人気を取る難しさ
講義では紹介しませんでしたが、バズメディアとして「バイラルメディア」というものがありました。2014年ぐらいまではかなり話題になっていたのですが、これも多くが終了しました。
バイラルメディアはウェブサイトで展開するサービスですが、そもそも今は、ウェブサイトでこういう人気サイトを作るのが難しくなっています。SNSがそれだけ強いということと、スマホのアプリに移行したこともあって、ウェブサイトで人気サイトを作るのはかなり難しくなった印象があります。
スライドでは、「まとめサイトの衰退はキュレーションの終わりではない」という形で整理しました。
| 比較 | かつて | 今 |
|---|---|---|
| 情報の届け方 | サイトに読者を呼ぶ(検索→Webサイト→まとめ記事を読む) | 読者がいる場所へ届ける(SNS・アプリ→フィードで出会う→その場で読む) |
| 変わるもの | 媒体・入口・届け方 | |
| 残るもの | 選ぶ視点・意味づけ・編集の価値 |
結論は、媒体の寿命と、情報を選んで届ける需要は別だということです。まとめサイトという媒体が衰退しても、キュレーションの需要そのものがなくなるわけではありません。
ステップ7:他人のInstagram投稿を埋め込むときの注意点
バイラルメディアやブログに、他人のInstagramの投稿を埋め込むときには注意が必要です。Instagramの場合は、本人の許可が必要になります。本人の許可なしに埋め込みはできないので、気をつけてください。
ステップ8:こたつ記事・まとめサイトの6つの問題点
これも講義の中では特に話しませんでしたが、大事なのでぜひ押さえておいてほしい内容です。いわゆる「こたつ記事」(現地取材をせず、ネット上の情報だけで書いた記事)やまとめサイトには、次の6つの問題点があります。
| # | 問題点 | 内容 |
|---|---|---|
| 1 | ファクトチェック | 情報の真偽が検証されているか |
| 2 | 恣意的な編集 | 都合のいいように切り取られていないか |
| 3 | 違法コンテンツ | 著作権などを侵害していないか |
| 4 | フリーライド | 他人のコンテンツにただ乗りしていないか |
| 5 | 広告収益が目的か | PV(アクセス)稼ぎが目的になっていないか |
| 6 | プラットフォームは大丈夫か | 掲載しているプラットフォームの信頼性 |
ステップ9:フィルターバブルとエコーチェンバー
今回、スライドに追加したのがここです。エコーチェンバーとフィルターバブルという言葉です。どちらも2017年ぐらいから使われるようになった言葉で、今回のキーワードです。Googleトレンドで見ても、2017年1月あたりから検索され始め、近年はさらに増えています。
フィードの並び順がおすすめ順に変わり、そして2017年にショート動画のTikTokが出てきて、スワイプでフィードを最適化する仕組みが登場した。この頃から、エコーチェンバーとフィルターバブルという言葉が出てきたんです。かなり密接に関係していると思います。
最近は有名になったので、皆さんもご存知かもしれませんが、説明しておきます。
フィルターバブル:受け身で偏る
フィルターバブルは、TikTokのおすすめフィードやInstagramの発見タブのように、自分のフィードが自分好みにどんどん最適化されていくことで、それが当たり前の世界だと勘違いしてしまう状態です。
みんなと画面は違うのに、自分の画面と同じものがみんなにも出ていると勘違いしてしまう。その結果、自分の考えが偏ってしまう。これが世の中の一般論だと思ってしまうけれど、それはあなたの画面だけのことなんです。これをフィルターバブル現象と言います。気をつけなければいけません。リテラシーの授業では絶対に話さなければいけない話です。
エコーチェンバー:自ら入って偏る
もう1つがエコーチェンバーです。これは、自らが何かのコミュニティに入っていく場合です。たとえば、Facebookのグループ、LINEオープンチャット、Xのコミュニティなどに入ると、その中には自分と考えが同じ人しかいません。当然、その人たちしかいないので、これが一般的だと思ってしまう。これをエコーチェンバーと言います。
| 比較 | フィルターバブル | エコーチェンバー |
|---|---|---|
| 意味 | 自分の好む情報「だけ」に囲まれ、多様な意見から隔離されやすくなる現象 | 同じような意見が、閉ざされた空間の中で反響して大きくなっていく現象 |
| きっかけ | アルゴリズムが向こうからおすすめを出してくる | 自ら特定のコミュニティに入りに行く |
| 姿勢 | 受け身的 | 自発的 |
| 具体例 | TikTokのおすすめ、Instagramの発見タブやフィードのアルゴリズム | Facebookのグループ、LINEオープンチャット、Xのコミュニティ |
言葉は似ていますが、意味合いが違います。自分から自発的に行っているのか、受け身的になっているのか、という違いです。
スライドでは、この2つは独立した現象ではなく、相互に作用し合い、ユーザーをより深い情報の偏りへと導くフィードバックループを形成するとも説明しました。「①ユーザーの行動(特定の情報を好み、検索・フォローする)→ ②アルゴリズム学習(プラットフォームが好みを学習)→ ③情報の最適化(好みに合う情報が優先的に表示される)→ ④意見の強化(自分の考えが正しいと確信し、①に戻る)」というループです。
対策としては、次のようなことが挙げられます。
- 個人ができること:多様な情報源に触れる(異なる意見のニュースサイトなど)、情報を鵜呑みにせず批判的に考える癖をつける、ブラウザのプライベートモードを活用する、オフラインでの対話を大切にする
- プラットフォームの役割:アルゴリズムの透明性を高める、有害なコンテンツや誤情報の拡散を抑制する、ユーザーが情報の表示をコントロールできる機能を提供する、多様な意見や小規模な発信者のコンテンツを推奨する
- 社会・教育の取り組み:学校教育でデジタルリテラシーを教える、情報の真偽を確かめる方法を学ぶ機会を提供する、オープンな議論の場を設け、異なる意見に触れる機会を作る
社会への影響の例として、2016年の米国大統領選挙で支持者ごとに表示される情報が偏り、国民の間に深刻な認識のズレが生じたことや、「ワクチンで不妊になる」といった根拠のない情報がエコーチェンバー内で増幅・拡散し、公衆衛生に混乱を招いたことも紹介しました。スライドには、ネット上の人権侵害事件が過去10年で約3倍に増加した、というデータも載せています。
キュレーションの便利さと危うさは表裏一体
この2つの言葉が2017年ぐらいに出てきたことが、キュレーションがなぜ大事なのか、という話につながります。キュレーションは便利です。でも、その人の恣意的な要素でフィルタリングされている。そこに価値があるのですが、逆に、フィルターにかかっていない情報を見ようとしないと、自分の考えが偏ってしまうんです。これが今の状況です。
ステップ10:Rettyと「AIライター」によるまとめ記事の量産
これは別の回でも話しましたが、「AIライターが自動でまとめ記事を量産し、アクセス爆増のRetty」という事例も紹介しました。グルメサイトのRettyは、自社に集まった口コミなどのコンテンツをAIにまとめてもらい、記事化することでアクセスを稼ぐことができました。「渋谷のカフェ 電源で今年人気のおすすめ10店」のようなまとめ記事を、AIが自動で作っていたわけです。
ただ、こうした「自分のコンテンツをAIにまとめてもらう」という、一部の会社の特権と言われていたものも、生成AIの普及によって誰でもできるものになりつつあります。スライドでは、Rettyのまとめ記事、SNSのまとめ、そしてGoogleの「AIによる概要」を並べて紹介しました。
ステップ11:Googleの「AIによる概要」はキュレーションのまとめ記事ではないか
最後にお話ししたのがこの話です。Googleの検索結果に「AIによる概要」が出るようになりましたが、これってよく考えたら、キュレーションのまとめ記事じゃないの?という話です。
いろいろな人のコンテンツを寄せ集めてきて、AIが要約して、検索結果の1番上に解答欄として出しているわけです。これは、いわゆるまとめサービスです。つまり、これもキュレーションなんです。
今まで人力でやっていたのが、mybestやMERYのようなサイトでした。それを今はAIがやるようになってしまった。となると、それはmybestも厳しくなるよ、という話なんです。これが今の現状だと思います。
ステップ12:Google検索の順位すらキュレーションである
もっと言ってしまえば、Googleの検索結果ですらキュレーションです。Googleのアルゴリズムによって順位付けをしているわけですから、それが正しいとは言えません。それはあくまでGoogleの基準であって、つまりGoogleのAIによるキュレーションなんです。
たとえば、アクセス数でランキングを付けているとか、リンクの数だけでランキングを付けているとか、その裏側の数字の部分を全部明らかにしているなら、まだいいんです。でも、それがブラックボックスになっている時点で、キュレーションです。もちろん、明らかにしていてもキュレーションであることに変わりはありませんが、ブラックボックスにしているという点では、まさにいろいろなキュレーションの会社とすべて同じです。
最近では、Xがアルゴリズムを公開してきているので、他とは少し違う動きになっているかなという気はします。
スライドでは「検索1位は『絶対の正解』ではない」として、次のように整理しました。
| 観点 | 内容 |
|---|---|
| 順位を決めるのは誰? | 検索結果も、運営側の基準で情報を選び、並べたもの(選定材料の例:関連性・リンクなど) |
| 順位と正確さは別 | 上位表示は評価の結果。正しさをそのまま保証しない |
| 透明性が重要 | 基準が見えると、なぜ選ばれたかを検討しやすい。ただし公開されても選別であることは変わらない |
| 考えてみよう(3つの問い) | 誰が選んだ? 何を基準に? 何が見えていない? |
結論は、AIの要約も通常検索も、「選ばれた情報」として読むということです。
ステップ13:Google検索の「AIモード」が日本でも提供開始
さらに、Google検索に「AIモード」が登場し、日本でも提供が始まりました。これはまだ1年前、去年(2025年)の9月のことなんです。検索窓の右側に「AIモード」のボタンがあり、そこから対話形式で検索できます。こうした新しいキュレーションの形、「AIがまとめる」という形が、これからますます広がっていくのではないかと思い、スライドにまとめました。
ステップ14:講義の最後に——どうやっても偏りからは逃れられない
講義の最後に、こうまとめました。今日はキュレーションという話をしましたが、キュレーションという言葉は、皆さんにとってあまり聞き慣れない言葉かもしれません。でも、世の中の情報のあらゆるところで、このフィルタリングが行われていて、すべてを平等に見られない状態になっている、ということです。もう、どうやっても無理なんです。
あらゆるサービスが、お客さんに喜んでもらうために最適化された情報を出しています。だから、それを全部外した状態で見ることは、なかなか難しくなっています。皆さんも気をつけて、いろいろな見方をしていかないと、考えが偏ってしまうことがあるので、注意しましょう。
学生からのコメントに答えて:個人情報漏洩とAIが出すリンクの問題
講義の最後には、個人情報漏洩についてのコメントもいただきました。本当に今ひどい状況ですね。AIがハッキングをかけるようになり、システムの穴を見つけるようになってしまったので、本当に困った状態になっています。皆さんも気をつけましょう。
また、AIが出してくる答えのリンクが間違っているという問題もあります。最近は、AIが詐欺サイトを教えてくるということもニュースになっていました。人間が検索結果をクリックして間違ったところに行くのは、もちろん自分の責任です。でも、AIも間違ったリンクを出してくることがあると分かっているので、AIを信用しすぎずに、疑ってかかることも同じように大切だと思います。
ということで、講義は時間になったのでここで終わりました。次回は「多様な連絡手段のインフラ化」という話をしていきます。
おわりに:人間が選ぶのか、AIが選ぶのか
今回は、情報リテラシー論第6回「キュレーションが必要なわけ」の90分の講義を、15分で振り返った内容を、ブログで改めて丁寧にまとめました。
キュレーションという言葉は、もともと美術館のキュレーターから生まれました。セレクトショップ、『通販生活』、コンピレーションアルバム、東横INNの『たのやく』、本のソムリエ、一万円選書——情報が少ない時代はすべてを見て選べましたが、情報が多くなると、人は「誰かが選んだもの」に価値を感じるようになります。
その流れはSNSにも及び、Facebookの「ハイライト」と「いいね!」から始まったアルゴリズムは、今ではあらゆるSNSに広がりました。便利な反面、フィルターバブルやエコーチェンバーという偏りも生まれています。まとめサイトは衰退し、今ではGoogleの「AIによる概要」やMuseのようなAIエージェントが情報をまとめてくれる時代です。
情報が溢れるからこそ、「誰がまとめるか」に価値がある。人間なのか、AIなのか。どちらにしても、選ばれた情報だと意識して、いろいろな見方をしていきましょう。
まとめ
- キュレーションとは:大量の情報の中から、ある基準やセンスで選び、まとめて届けること。もともとは美術館のキュレーターから生まれた言葉
- リアルのキュレーション:読書のすすめ(本のソムリエ)、一万円選書、TikTokの本紹介、セレクトショップ、『通販生活』、コンピレーションアルバム(→プレイリスト)、東横INNの『たのやく』、WEAR、MBさんの有料メルマガ(月額550円×1万人)など
- AIは本のソムリエになれるか:ChatGPTはほぼ清水克衛さんと同じレベルの推薦を返してきた。ただし「状況・感情・得たい変化・選択条件」を伝えることが大切で、表情や声のトーンなど言葉にならない手掛かりは、まだ人間が強い
- Museの衝撃:Meta社の新AI。写真・音源・歌詞からMVを作成、Gmail連携で予約の矛盾に気づく、リールから解説ポッドキャストを自動でYouTubeへ。AIに任せる範囲は少しずつ広げる
- SNSアルゴリズムの起源:Facebookの「ハイライト」とエッジランク、「いいね!」ボタン。反応しないものは消えていく。フィード内広告は2012年1月のFacebookから始まった
- 2016〜2017年が境目:Twitter・Instagramがアルゴリズム順に(2016年)、WELQ問題(2016年)、TikTok開始(2017年)、フィルターバブル・エコーチェンバーという言葉の広まり(2017年頃)
- Instagramの現状:ホームはおすすめと広告が大半。「フォロー中」「お気に入り」を使い分けよう。お気に入り候補やストーリーズはエンゲージメント順
- ニュースのキュレーション:Yahoo!ニュースは人力、GoogleニュースはAI。グノシーの「予想」、NewsDigestの「リアルタイム防災」など、アプリごとに使い分ける
- まとめサイトの興亡:ハフィントンポスト、BLOGOS、NAVERまとめ、MERY、WELQ、バイラルメディアなどが衰退。mybestも生成AIの影響で苦戦中。ただし媒体の寿命と、選んで届ける需要は別
- フィルターバブルとエコーチェンバー:前者は受け身(アルゴリズムのおすすめ)、後者は自発的(コミュニティに入る)。どちらも考えを偏らせる
- 検索結果もキュレーション:Googleの「AIによる概要」も、検索順位そのものも、選ばれた情報として読む
よくある質問(Q&A)
Q1. キュレーションとは、簡単に言うと何ですか?
A. 大量の情報やモノの中から、ある人のセンスや基準で選び、まとめて届けることです。もともとは美術館で展示作品を選ぶ「キュレーター」から生まれた言葉です。セレクトショップや本のソムリエ、Spotifyのプレイリスト、SNSのおすすめフィード、Googleの「AIによる概要」も、すべてキュレーションの一種です。情報が多すぎて自分では選びきれない時代だからこそ、「誰が選んだか」に価値が生まれます。
Q2. AIに本を薦めてもらうとき、どう聞けばいいですか?
A. 「仕事 おすすめ本」のようなキーワードだけでなく、「状況(どんな場面で困っているか)」「感情(今どんな気持ちか)」「得たい変化(どうなりたいか)」「選択条件(ジャンル・冊数・形式・理由の有無)」の4つを伝えるのがおすすめです。たとえば「会社で認められず、自分の存在価値が分からなくなっています。今は仕事より気持ちを整理したいです。童話や小説も含めて、理由付きで3冊薦めてください」と聞くと、背景に合った本が出てきやすくなります。
Q3. Instagramでフォローしている人の投稿だけを見るにはどうすればいいですか?
A. 画面上部の「Instagram」のロゴを押して「フォロー中」を選ぶと、フォローしている人の投稿だけが日付順で表示されます(最近はここにも広告が入るようになりました)。さらに、特に見たい人にお気に入り登録(星マーク)をして「お気に入り」を選べば、その人たちの投稿だけを見ることができます。ホームはおすすめと広告が大半なので、目的に応じて使い分けましょう。
Q4. フィルターバブルとエコーチェンバーの違いは何ですか?
A. どちらも考えが偏ってしまう現象ですが、きっかけが違います。フィルターバブルは、TikTokのおすすめやInstagramの発見タブのように、アルゴリズムが自分好みの情報を「向こうから」出してくることで偏る、受け身的な現象です。エコーチェンバーは、Facebookのグループ、LINEオープンチャット、Xのコミュニティなどに「自ら」入っていき、同じ意見の人に囲まれて偏る、自発的な現象です。どちらも2017年頃から広まった言葉です。
Q5. Googleの検索結果や「AIによる概要」は信用していいのでしょうか?
A. 便利ですが、「選ばれた情報」として読むことが大切です。検索順位はGoogleのアルゴリズムによるキュレーションで、上位表示は評価の結果であって、正しさを保証するものではありません。「AIによる概要」も、さまざまなコンテンツをAIが寄せ集めてまとめた、いわばまとめ記事です。AIが間違ったリンクや詐欺サイトを示すこともニュースになっています。「誰が選んだ?」「何を基準に?」「何が見えていない?」という3つの問いを持ち、鵜呑みにせず疑ってかかる姿勢を持ちましょう。
情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’26長岡造形大学

📚 キュレーション
キュレーションとは、たくさんの情報や商品の中から、ある視点や基準で選び、整理して届けることです。情報が少ないうちは自分で探せますが、多くなりすぎると選びきれず、「誰かが選んでくれたもの」に価値が出てきます。セレクトショップ、プレイリスト、ニュースアプリ、SNSのフィードまで、今の情報サービスのほとんどに何らかのキュレーションが入っています。
🍷 本のソムリエ
本のソムリエとは、相談に来た人の悩みに合う一冊を選んで薦める人のことです。講義では、東京・篠崎の書店「読書のすすめ」の店主・清水克衛さんを紹介しました。キーワード検索では見つけられない「悩みに効く本」を届けるのが価値です。講師が同じ相談をChatGPTに試したところ、最初の回答は外れたものの、指摘するとほぼ同じレベルの答えを返し、AIの実力と限界がよく分かる例になりました。
🎨 キュレーター
キュレーターとは、もともと美術館で展覧会のテーマを決め、作品を選んで並べる専門職のことです。「何を選び、どう並べるか」というセンスそのものに価値があり、その考え方がネットの世界に持ち込まれました。今では、ファッションを提案するインフルエンサーや、本を紹介して絶版本まで再版させるTikTokのアカウントなども、キュレーターの役割を担っていると言えます。
👍 エッジランク
エッジランクとは、Facebookがニュースフィードの「ハイライト」表示に使った、投稿の順位付けの仕組みです。いいね!ボタンで「好き」の反応を集め、その数をもとに、その人にとって価値の高い投稿を上に出しました。反応しない投稿は少しずつフィードから消えていくため、「嫌いなものは放っておけば勝手に消える」という、今のSNSのアルゴリズムの原型になりました。
🔀 アルゴリズム順フィード
アルゴリズム順フィードとは、投稿を新しい順ではなく、AIが判断した「おすすめ順」に並べる表示方式です。TwitterとInstagramが2016年に切り替え、2017年には、スワイプで興味のない動画を飛ばすTikTokが登場しました。Instagramのホームでは、フォローしている人の投稿よりおすすめや広告のほうが多く出ます。フォローしている人だけを時系列で見たいときは「フォロー中」や「お気に入り」を使い分けるのが有効です。
💸 フィード広告(広告収入モデル)
フィード広告とは、SNSの投稿と投稿の間に挟まれて表示される広告のことです。2012年1月にFacebookが始め、同じ年の9月にTwitter、2015年にInstagramとLINEが続きました。ユーザーは無料で使える代わりに広告を見るという、テレビやラジオと同じ仕組みです。一方、Substackやnoteのように記事を有料で売り、広告を挟まない「有料購読型」のサービスも注目されています。
⚠️ WELQ問題
WELQ問題とは、2016年に医療・健康系のキュレーションサイト「WELQ」で起きた騒動です。SEOに強く、多くの検索キーワードで1位を取っていましたが、記事の中身は検証されておらず、デタラメな情報がたくさん見つかって閉鎖されました。キュレーションサイトの信頼性が問われるきっかけになり、まとめサイトの時代が終わりに向かう転機として、SEO業界にも大きな影響を与えました。
🫧 フィルターバブル
フィルターバブルとは、おすすめのアルゴリズムによって自分好みの情報ばかりが表示され、泡に包まれたように偏った世界にいる状態のことです。TikTokのおすすめやInstagramの発見タブが典型的な例です。他の人の画面は自分とまったく違うのに、自分の画面が世の中の一般論だと思い込んでしまいます。自分から選んだわけではなく、受け身のまま偏ってしまう点が特徴です。
🔊 エコーチェンバー
エコーチェンバーとは、同じ考えの人ばかりが集まる場所で意見が反響し合い、それが正しい、当たり前だと思い込んでしまう現象のことです。Facebookのグループ、LINEオープンチャット、Xのコミュニティなどに自分から入ることで起こります。フィルターバブルとよく似ていますが、自分から積極的にその場に入っていく点が違います。どちらも2017年ごろから広く知られるようになった言葉です。
🤖 AIによる概要
AIによる概要とは、Googleの検索結果の上に、AIが複数のWebページの内容をまとめて答えを表示する機能です。いろいろな人のコンテンツを集めて要約しているので、AIによるキュレーション、つまり「まとめ記事」だと言えます。これまで人の手で比較やまとめをしていたmybestなどのサイトは、生成AIの登場でアクセスが減っています。AIが出すリンクが間違っていることもあるので、うのみにしない姿勢が大切です。
情報リテラシー論06キュレーションが必要な訳’26長岡造形大学

キュレーションとは?意味と語源をわかりやすく解説
キュレーションの意味|「集める」ではなく「選んで、意味づけて、届ける」こと
キュレーション(curation)とは、膨大な情報やモノの中から、特定のテーマや視点に沿って価値あるものを選び出し、整理し、意味づけをして人に届ける行為を指します。単に情報を「集める」だけなら検索エンジンでもできますが、キュレーションの本質は「何を選び、何を捨てたか」という取捨選択の判断と、その選択に込められた視点にあります。
この言葉がビジネスやネットの世界で広く使われるようになったきっかけの一つが、ジャーナリストの佐々木俊尚氏による『キュレーションの時代』(ちくま新書、2011年)です。ソーシャルメディアが台頭し、誰もが情報を発信できるようになった結果、情報量は爆発的に増えました。すると今度は「どの情報を見るべきか」を選んでくれる存在に価値が生まれます。これがキュレーションの時代の到来です。
インターネットの歴史を振り返ると、この流れはよく分かります。初期のインターネットはディレクトリ型のカテゴリー分類で十分に目的のサイトにたどり着けました。ところがサイトが増えすぎてキーワード検索が主流になり、さらに検索結果すら膨大になった今、AIに質問して答えをもらう時代へと移っています。情報が少ないうちは「全部見る」ことができますが、多くなると「誰かが選んでくれたもの」が欲しくなるのです。
近年よく耳にするインフルエンサーも、見方を変えればキュレーターの一種です。その人のセンスや価値観でセレクトされた商品・情報がフォロワーに届くからこそ、影響力が生まれます。企業がアンバサダーを起用するのも、同じ構造だと言えるでしょう。
つまりキュレーションとは「情報の洪水の中で、信頼できる誰か(あるいは何か)の目を借りること」です。そして後半で詳しく触れますが、その「誰か」が人間なのか、アルゴリズムなのか、生成AIなのかによって、私たちが受け取る世界の見え方は大きく変わります。キュレーションを理解することは、そのまま情報リテラシーを高めることにつながるのです。
語源は美術館のキュレーター|セレクトショップから『通販生活』までリアルのキュレーション事例
キュレーションという言葉は、もともとネットではなくリアルの世界で生まれました。語源は美術館や博物館の「キュレーター(学芸員)」です。「○○展」のように一つのテーマで複数の画家の作品を集めて展示する企画展は、キュレーターのセンスによる選択と編集そのものです。その選び方に価値があるからこそ、展覧会に人が集まります。
身近な例がセレクトショップです。大型店やZOZOTOWNのような通販サイトのほうが品数は圧倒的に多いのに、なぜ品数の少ないセレクトショップで買う人がいるのか。それは店員のセレクトが自分の好みに合っていて、「ここに行けば自分好みがそろっている」から楽なのです。大量の選択肢から選ぶ負担を、絞り込みが軽くしてくれる。これがキュレーションの価値です。
カタログハウスの雑誌『通販生活』も象徴的です。本棚なら本棚、椅子なら椅子と、基本的に一つのカテゴリーにつき一つの商品しか紹介しないスタイルで知られています。比較できないのに売れるのは、「この雑誌が薦めるなら間違いない」というブランドへの信頼があるからです。
書店にもユニークな例があります。北海道砂川市のいわた書店が行う「一万円選書」は、お客さんの好みや悩みを聞いたうえで店主が約1万円分の本を選んで送るサービスで、申し込みが殺到する人気ぶりです。何が届くか分からないこと自体が価値になっています。
音楽では、かつてテーマごとに曲を集めたコンピレーションアルバムが売れましたが、今はSpotifyなどのプレイリストがその役割を担っています。どの曲をどの順番で並べるかという編集こそがキュレーションです。
さらに東横INNの客室に置かれている冊子『たのやく』は、さまざまな雑誌の記事を許諾を得て抜粋・転載し、1冊にまとめた「紙の雑誌を紙でキュレーションする」媒体です。料理や旅、鉄道、パズルなど、普段なら自分で買わないジャンルにも触れられ、興味を持てば元の雑誌を買うという導線になっています。ファッション分野でも、WEARのようなコーディネートアプリや、ファストファッションの着こなしを発信する人気有料メルマガ、楽天ROOMなど、「誰のセレクトを参考にするか」で買い物をする文化が広がっています。
キュレーションが必要なわけ|「本のソムリエ」に学ぶ「選ぶ」価値
キーワード検索では届かない悩み|「読書のすすめ」清水克衛さんの選書
キュレーションの価値を最もよく表す事例が、東京都江戸川区篠崎町の書店「読書のすすめ」です。店主の清水克衛さんは「本のソムリエ」と呼ばれ、全国から悩みを抱えた人が訪れていました。棚に並ぶのは新刊やベストセラーではなく、発売当時に出会えなかった昔の良書が中心。悩みを聞いて、その人に合う一冊を手渡すスタイルです。
テレビ番組で紹介されたエピソードでは、友人と自分を比べて落ち込む女性に、高橋政巳さんの『漢字の気持ち』を薦めました。「幸」という漢字は手枷をはめられた姿が成り立ちとされ、「誰にとっても最大の不幸のイメージを用いて幸せを表した」という解説を通じて、「幸せは人と比べるものではない」と気づかせたのです。
また、会社で誰にも認められず「歯車」として働くことに疑問を持つ男性には、ドイツ出身の作家ステファノ・フォン・ローさんの創作童話『小さい”つ”が消えた日』を薦めました。音を持たない小さい「っ」がバカにされて村を去ると、世の中が大混乱する――。目立たない存在にもかけがえのない役割があるという物語です。仕事の悩みにビジネス書ではなく童話を薦める。ここにキュレーションの真骨頂があります。
ポイントは、こうした本が「恋愛 悩み 本」「仕事 認められない 本」とAmazonでキーワード検索しても、まず出てこないということです。キーワード検索は、本人が言語化した言葉にしか反応できません。一方、優れたキュレーターは、相談者の表情や声のトーン、言葉の奥にある感情まで読み取り、本人も気づいていない「本当に必要なもの」を提示します。
清水さんは2025年6月に逝去されましたが、その選書の姿勢は「情報があふれる時代にこそ、誰が選ぶかに価値がある」というキュレーションの本質を今も教えてくれます。
AIは本のソムリエになれるか|ChatGPTで試した結果と人間が強い領域
では、生成AIは本のソムリエになれるのでしょうか。講義後、番組と同じ相談をChatGPTに投げて検証してみました。
「会社で誰も自分を認めてくれない、歯車として働くことに疑問を持つ人におすすめの本」と尋ねると、ChatGPTは『働くということ「能力主義」を超えて』(勅使川原真衣)、『嫌われる勇気』、『自分の仕事をつくる』、『ブルシット・ジョブ』など6冊を、推薦理由付きで提示しました。内容としては十分に実用的で、想像以上の回答に驚かされます。
ただし、最初の6冊に『小さい”つ”が消えた日』は含まれていませんでした。そこで「この本はどうか」と尋ねると、AIは「非常によく合う」と評価したうえで、「最初の質問を『仕事の悩みに効くビジネス書』と狭く捉えてしまった」と自ら選書の偏りを認めています。言葉から本を探すことはできても、言葉の奥にある感情から本を選ぶのは、まだ苦手だということです。
この検証から見えてくるのは、AIに相談するときは「検索語」ではなく「気持ちと目的」を伝えることの重要性です。具体的には次の4要素を入れると、回答の質が上がります。
- 状況:何が起きているか
- 感情:どう感じているか
- 得たい変化:読んだ後どうなりたいか(実務の改善か、自己理解か)
- 選択条件:小説・エッセイ・ビジネス書などの好み、読む体力
一方、優れたキュレーターを評価する軸として「候補の意外性」「推薦理由の説明力」「相談との適合性」が挙げられます。すぐ思いつく定番を返すだけなら検索やAIで足ります。意外な一冊を出し、その理由をきちんと語り、相手の深いところに刺さる――。見た目の雰囲気や声のトーンなど、テキスト化されていない情報を読む「勘」の部分は、まだ人間のキュレーターが強い領域だと言えるでしょう。
SNSのフィードはキュレーションの塊
Facebookの「ハイライト」とエッジランク|「いいね!」が並び順を決める仕組み
今や当たり前になったSNSの「おすすめ順」フィードも、実はキュレーションです。かつてのSNSのタイムラインは、投稿が新しい順に並ぶ時系列表示しかありませんでした。そこに変化をもたらしたのがFacebookのニュースフィードにおける「ハイライト」表示です。
サッカーの試合を90分すべて見る代わりに「ハイライト」を見るとき、得点シーンや惜しいシーンが選ばれていなければ意味がありません。つまりハイライトとは、何らかの基準で絞り込まれた情報、すなわちキュレーションなのです。
Facebookはこの並び順を決める仕組みとして「エッジランク(EdgeRank)」を導入しました。投稿者との親密度、投稿への反応の重み、新しさなどを掛け合わせてスコアを出すもので、その中心にあったのが「いいね!」ボタンです。いいね!が押されるほど「このユーザーにとって価値のある投稿」と判断されます。逆に、反応しない投稿はフィードから徐々に表示されにくくなります。
ここで重要なのが、テレビCMやダイレクトメールとの違いです。従来の広告は、受け手が拒否の意思表示をしない限り届き続けました。CMになったらチャンネルを変える、不要なDMは捨てる、といった「嫌い」のアクションが必要だったのです。一方、SNSのアルゴリズムは「好きなものに反応しておけば、興味のないものは勝手に消えていく」という発想に変えました。いわゆる「愛の反対は憎しみではなく無関心」という考え方に近く、反応しない=無関心と見なされるのです。
さらに、無料サービスの間に広告を挟むモデルも、ニュースフィードではFacebookが先行しました。2012年にフィード内広告を本格化させて以降、各社が追随し、日本ではInstagramが2015年、LINEのタイムラインが2015年末に広告を開始しています。一方、noteやSubstackのように、記事の有料購読で収益を上げ、フィードに広告を挟まないモデルも注目を集めています。「無料サービスは誰がお金を払っているのか」を意識することも、情報リテラシーの基本です。
Instagram・X・TikTokのおすすめ順|ホーム・フォロー中・お気に入りを使い分けよう
Facebookで始まったアルゴリズム表示は、他のSNSにも広がりました。Twitter(現X)は2016年2月に「おすすめ」を優先表示するタイムラインを導入し、Instagramも2016年3月に時系列からアルゴリズム順への変更を発表、同年中に切り替えが進みました。その直後の2017年にグローバル展開が始まったのがTikTokです。TikTokは「興味がなければスワイプして飛ばす」行動からフィードを最適化する仕組みで、情報が多すぎて時系列では追いきれなくなった時代に、絶妙なタイミングで登場したと言えます。
実際にInstagramのホームタブを上から数えてみると、驚く結果になります。フォローしている人の投稿が出るのは最初の数件だけで、その後は「おすすめ」と広告が大半を占め、筆者の画面では途中から「フォロー3:それ以外9」という比率になりました。ホームは本来フォローしている人の投稿を見る場所のはずですが、現状はほぼキュレーションされたおすすめの場になっています。エンゲージメントが高くない投稿は、フォロワーにすら届きにくいということです。
そこで活用したいのが、画面上部のInstagramロゴをタップして切り替えられる「フォロー中」と「お気に入り」です。
- フォロー中:フォローしているアカウントの投稿だけが新しい順に並ぶ(ただし最近は広告も表示される)
- お気に入り:自分が星マークを付けたアカウントの投稿だけを表示
お気に入りの追加候補には、日頃いいね!やコメント、DMなどのやり取りが多い相手が上位に並ぶと考えられます。ストーリーズの並び順も同様で、時系列ではなく関係性の深さ順です。ビジネスアカウントの運用担当者にとっては、「フォロワーとの日常的な交流がなければ投稿は表示されない」という事実を意味します。
学生の方はレポート課題として、ホームとフォロー中で上位20〜30件の投稿のうち、フォロー・おすすめ・広告がそれぞれ何件あるかを数えてみてください。自分が見ているフィードがいかにキュレーションされているかが、数字で実感できるはずです。
キュレーションサイト・まとめサービスの栄枯盛衰
ニュースキュレーション|Yahoo!ニュースの人力とGoogleニュースのAI、アプリの使い分け
ニュースの世界にもキュレーションは深く入り込んでいます。対照的なのがYahoo!ニュースとGoogleニュースです。
Yahoo!ニュースのトップページに並ぶ「トピックス」は、今も編集部の人間が選んでいます。全員に同じニュースが表示される、SNS時代には珍しい仕組みです。一方、Googleニュースはユーザーごとにアルゴリズムでパーソナライズされています。人間のキュレーションとAIのキュレーション、どちらにも長所と短所があり、両方を知っておくことが大切です。
スマホでは、ニュースキュレーションアプリが定番です。
- スマートニュース:幅広いジャンルのニュースをチャンネル形式で閲覧できる
- グノシー:gumiの予測データサービス「ヨソクヒロバ」と協業し、2026年からニュースの結果を予測して楽しむ機能を展開。「ニュースを読む」から「ニュースを予測し、結果を確かめに戻る」へとアプリを開く目的を変えようとしている
- NewsDigest(JX通信社):速報性と地域の災害・事件情報に強く、近くで起きた出来事を地図で確認したり、ユーザーが情報提供したりできる。防災用に入れておくと安心
ほかにもNewsPicksやYahoo!リアルタイム検索など、情報の取捨選択に役立つサービスは多数あります。
そもそも「ニュース(NEWS)」は「新しいこと」を意味します(東西南北の頭文字という俗説もあります)。何が大事なニュースかは人によって違います。だからこそ、どのサービスが、どんな基準で、誰のためにニュースを選んでいるのかを意識して使い分けることが、ニュースキュレーションと上手に付き合うコツです。
海外発のサービスでは、2005年に米国で誕生したハフィントンポストが2013年に日本版を開始し、ブログ記事をまとめて発信するモデルで注目されました。その後、米BuzzFeedによる買収を経て、日本では2021年にBuzzFeed Japanと合併しています。国内のブログまとめサービスであるライブドアの「BLOGOS」は2022年5月に終了しました。
NAVERまとめ・WELQ問題からmybestまで|まとめサイト・こたつ記事の問題点
2010年代、日本では「まとめ」が大流行しました。2ちゃんねるのまとめブログ、NAVERまとめ、Twitterのまとめサービスなどが次々と生まれましたが、NAVERまとめは2020年9月に終了するなど、多くが姿を消しています。Twitter関連ではTogetterが残るものの、API仕様の変更などで運営環境は大きく変わりました。
キュレーションサイトの転機となったのが、2016年のWELQ問題です。DeNAが運営していた医療・健康情報サイト「WELQ」は、SEOに極めて強く、多くのキーワードで検索上位を獲得していました。しかし、肩こりの原因に霊を挙げるような根拠のない記事や、他サイトからの無断転用が疑われる記事が多数見つかり、2016年11月29日に全記事を非公開に。その後、DeNAは女性向けの「MERY」を含む計10のキュレーションメディアの記事を非公開にし、第三者委員会を設置しました。この事件はSEO業界にとっても大きな転換点になりました。MERYはその後新会社で再出発し、現在はInstagramを主な発信の場にしています。
その後に成長したのが、商品比較サイトの「mybest」です。ヘアドライヤーやマットレスなど、あらゆる商品カテゴリーで検索上位に表示され、月間3,000万人超が利用する規模に成長しました。ただ、生成AIで誰でも比較・まとめができるようになった今、人力のまとめサイトがどう価値を出していくかは大きな課題です。
まとめサイトや「こたつ記事」には、次の6つの問題点があると言われます。
- ファクトチェックがされているか
- 恣意的な編集がないか
- 違法コンテンツ(無断転載)ではないか
- 他人のコンテンツへのフリーライドではないか
- 広告収益だけが目的になっていないか
- 掲載プラットフォームは信頼できるか
ブログやバイラルメディアにInstagramの他人の投稿を埋め込む際も注意が必要です。埋め込み機能があっても著作権の許諾が得られたことにはならないため、本人の許可を取るのが安全です。
AI時代のキュレーションとの付き合い方
フィルターバブルとエコーチェンバーの違い|「受け身」か「自分から」か
キュレーションは便利な一方、大きな副作用があります。それがフィルターバブルとエコーチェンバーです。どちらも、SNSのフィードがおすすめ順に変わり、TikTokのようなスワイプ型の最適化が広がった2016〜2017年ごろから、社会問題として盛んに語られるようになりました(言葉自体は、フィルターバブルが2011年にイーライ・パリサー氏が提唱、エコーチェンバーも2000年代から使われてきた概念です)。
フィルターバブルは、アルゴリズムによって自分の好みに合う情報ばかりが表示され、泡(バブル)の中に閉じ込められたような状態を指します。TikTokのおすすめフィードやInstagramの発見タブを見ていると、自分の画面が「世の中の当たり前」だと錯覚してしまう。しかし実際には、他人の画面にはまったく違う世界が映っています。
エコーチェンバーは、Facebookグループ、LINEオープンチャット、Xのコミュニティなど、自分と同じ考えを持つ人が集まる場に自ら入ることで、同じ意見ばかりが反響(エコー)し、それが一般論だと思い込んでしまう現象です。
両者の違いを一言で言えば、次のとおりです。
| フィルターバブル | エコーチェンバー | |
|---|---|---|
| 主な原因 | アルゴリズムのおすすめ | 自分が選んだコミュニティ |
| 関わり方 | 受け身(向こうから来る) | 自発的(自分から入る) |
| 例 | TikTokのおすすめ、Instagram発見タブ | Facebookグループ、オープンチャット |
キュレーションの価値は「誰かの基準で絞り込まれていること」にありますが、それは裏を返せば、フィルターにかからなかった情報が見えなくなるということです。あらゆるサービスがユーザーを喜ばせるために最適化された情報を出す今、フィルターを完全に外した状態で世界を見ることは困難です。だからこそ、意図的に異なる立場の情報源に触れたり、「フォロー中」や時系列表示に切り替えたりして、自分の視野が偏っていないかを確かめる習慣が欠かせません。
「AIによる概要」もキュレーション|AIエージェント時代に「誰がまとめるか」を問う
Googleの検索結果に表示される「AIによる概要(AI Overviews)」は、よく考えればキュレーションのまとめ記事そのものです。さまざまなサイトから情報を集め、AIが要約して答えを示しているからです。さらに2025年9月には、複雑な質問に対話形式で答える「AIモード」の日本語提供も始まりました。かつてMERYやmybestが人力で担っていた「まとめ」を、今はAIが担うようになったのです。
そもそもGoogleの検索順位自体も、Googleのアルゴリズムによるキュレーションです。順位付けの基準がブラックボックスである以上、「1位だから正しい」とは言えません。X(旧Twitter)のようにアルゴリズムを公開する動きもありますが、多くのサービスでは仕組みが見えないまま、私たちは選ばれた情報を受け取っています。
そして今、キュレーションはさらに一歩進もうとしています。2026年10月にはMetaのAIエージェント「Muse」が日本で提供を開始しました。GmailやGoogleカレンダー、Instagramなどと連携し、ニュースや予定、メールの要点を向こうから届けてくれるうえ、たとえばホテルと新幹線の予約日のずれといった矛盾にも気づいて知らせてくれる。AIは「答える」存在から「作業する」存在へと変わりつつあります。筆者は、Instagramにリールを投稿すると、その曲を解説する音声番組を自動で作ってYouTubeに投稿する仕組みをMuseで運用しています。最初はAIの成果物を毎回確認し、ミスを指摘して改善させ、信頼できると判断してから任せる範囲を広げていきました。AIに任せる範囲は、少しずつ育てながら広げるのが現実的です。
ただし、AIが示す情報やリンクが誤っていたり、詐欺サイトを案内したりするケースも報告されています。人間の検索ミスと同じく、AIの答えも鵜呑みにせず疑ってかかる姿勢が必要です。
情報があふれる時代だからこそ、価値は「誰がまとめるか」に移っています。人間なのか、アルゴリズムなのか、AIなのか。その選び手の基準と限界を知り、自分の目で確かめる。それこそが、AI時代に求められるキュレーションのリテラシーです。
ファクトチェック・修正一覧
| # | 書き起こしの内容 | 確認結果 | 記事での扱い |
|---|---|---|---|
| 1 | Instagramのフィードが時系列からアルゴリズム順に変わったのは「2016年4月から」 | 変更の発表は2016年3月15日。切り替えは同年中に順次 | 「2016年3月に発表、同年中に切り替えが進んだ」に修正 |
| 2 | ハフィントンポストは「今日本にない」「BuzzFeedと合併」 | 米BuzzFeedが2020年11月にHuffPostを買収、日本では2021年5月にBuzzFeed Japanとハフポスト日本版が合併。日本版は合併後の会社の一部門として継続 | 「2021年にBuzzFeed Japanと合併」とし、「日本にない」は採用せず |
| 3 | MERYは「ウェブサイトとしてやっていけなくなった」ためInstagramへ移行 | 2016年12月、WELQ問題を受けDeNAがMERYを含むキュレーションメディアを一斉に非公開化。その後新会社で再開 | 一時閉鎖の直接の原因はWELQ問題だったと補足 |
| 4 | 「好きの反対は嫌いではなく無関心」はマザー・テレサの言葉 | 一般にマザー・テレサの言葉として広まっているが、英語圏ではエリ・ヴィーゼルの言葉(”The opposite of love is not hate, it’s indifference”)とされることが多く、出典に諸説あり | 人名を出さず「いわゆる〜という考え方」と表記 |
| 5 | 「いいね!」ボタンを最初に導入したのはFacebook | FriendFeedなどに先行例がある(Facebookは2009年に導入) | 「初めて」とは書かず、エッジランクの中心として説明 |
| 6 | 不要なDMは「受取拒否」で返送すると送料が2倍かかり送られてこなくなる | 日本郵便の公式Q&Aでは受取拒否の条件のみ記載で、返送料の扱いは確認できず | 記事では不採用 |
| 7 | エコーチェンバー・フィルターバブルは「2017年ぐらいから生まれた言葉」 | フィルターバブルは2011年にイーライ・パリサー氏が提唱。2016〜17年は社会問題として注目が高まった時期 | 「注目が高まった時期」とし、提唱時期を補足 |
| 8 | グノシーが「今年からニュースを予測する機能を追加」 | gumiの「ヨソクヒロバ」との協業で、2026年5〜6月ごろの提供開始予定と発表 | 協業として正確に記載 |
| 9 | MetaのMuse:無料、招待コードで10億トークン、最大30人、48時間以内 | 2026年10月23日に日本で提供開始。48時間以内の招待コード入力で双方に10億トークン。30人上限は公式未確認(X上の画面情報) | 記事では提供開始と連携機能のみ記載。トークン数・招待の詳細は不採用 |
| 10 | Museの連携先にCanva、Zoom、Dropboxなど | 公式発表で確認できたのはGmail、Googleカレンダー、Instagram、Stripe、Shopifyなど | 確認できたGmail・Googleカレンダー・Instagramのみ記載 |
| 11 | 東横INN『たのやく』発行部数9万3,000部、1冊約300円 | 公式情報を確認できず | 数字は不採用、媒体の特徴のみ記載 |
| 12 | MBさんの有料メルマガ「月額550円・会員1万人」 | 一次情報を確認できず | 個人名・数字を出さず「人気有料メルマガ」と記載 |
| 13 | mybestは「ここ2〜3年苦戦、アクセス減」 | 公式は月間3,000万人超の利用と公表。アクセス減の公的データは確認できず | 「人力まとめの課題」として一般論で記載 |
| 14 | Togetterは「経営が厳しい」、Yahoo!くくる終了 | 一次情報を確認できず | 不採用(API仕様変更の影響のみ言及) |
| 15 | 清水克衛さんが「昨年に亡くなった」 | 2025年6月21日に出張先の長崎で逝去 | 「2025年6月に逝去」と記載 |
| 16 | Facebookの広告開始2012年1月、Twitterはその8か月後 | Facebookは2012年にフィード内広告を本格化。Twitterの開始時期は地域・形態により諸説あり | Twitterの月日は不採用。Instagram(日本2015年)、LINEタイムライン(2015年12月試験開始)は確認済みで記載 |
| 17 | 「Googleの検索にAIモードが日本でも提供開始、去年の9月」 | 2025年9月9日に日本語での提供開始を発表 | 正しい。そのまま採用 |
| 18 | モフリンはCASIO製 | カシオ計算機、2024年11月7日発売、59,400円 | 正しい(記事本文では未使用) |
参考情報源
| 内容 | 出典 |
|---|---|
| Meta「Muse」日本提供開始・招待トークン・連携先 | SmartScope |
| Google「AIモード」日本語提供開始 | Web担当者Forum |
| Instagramのアルゴリズム順への変更発表 | iPhone Mania |
| WELQ・MERYなどDeNAキュレーションメディア非公開の経緯 | AdverTimes |
| ハフポスト日本版とBuzzFeed Japanの合併 | KAI-YOU |
| グノシー×gumi 予測データ協業 | Gunosy プレスリリース(PDF) |
| NewsDigestの地域別災害情報機能 | ScanNetSecurity |
| LINEタイムライン広告の開始 | GameBusiness.jp |
| mybestのサービス概要・利用者数 | mybest 会社・サービス紹介 |
| 清水克衛さん逝去 | ドクスメ耳寄りニュース |
| カシオ「Moflin」発売日・価格 | BCN+R |
| 受取拒否の条件 | 日本郵便 Q&A |
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