情報リテラシー論05スマートフォン普及と課題’25長岡造形大学

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さて、本題です。
恒例の長岡造形大学で行う
情報リテラシー論の講義が
今年も後期から始まりました。
https://www.nagaoka-id.ac.jp/about/academics/curriculum/liberal-arts/
スマートフォン普及と課題として
第5回めの講義を行いました。
https://www.youtube.com/watch?v=nn6VL1Ux-Vw
情報リテラシー論05スマートフォン普及と課題’25長岡造形大学
情報リテラシー論05スマートフォン普及と課題’25長岡造形大学
2000年6月 IT革命
森総理大臣が「イット革命」と誤読 → IT(情報技術)が定着
💻 ITとは:テレビ、ラジオ、新聞、電話など全ての情報技術を含む概念
🌏 日本の深刻な課題
世界で唯一、日本の子供のパソコン使用率が低下している
📱 スマホ = 消費専門 / 💻 パソコン = 消費 + 創造
→ 大学生には「創造する側」に回ってほしい
⚠️ 現在の若者世代は
デジタル暗黒世代ギガスクール構想で状況改善中…
🤖 Android の誕生
Googleが買収した企業名がそのままOS名に
モトローラ(ハード)+ Android(ソフト)→ Google Pixel
iPhone 4S が au から登場 → スマホ普及率が急上昇
震災時はまだスマホ普及率 約10%
Androidアプリに審査制度導入
最近では変なアプリを取り締まり、総数が半減
📞 衝撃の事実
携帯電話やスマホで聞いているのは本人の生声ではなく人工の声
有線電話(固定電話)と無線電話(携帯)では音声の伝え方が異なる
💡 電話中に音楽を流しても相手には聞こえない理由がここに!
🏠 電話の置き場所で見る社会の変化
🌆 黒電話 → 玄関先(地域とつながる)
🏡 プッシュ電話 → リビング(家族とつながる)
🚶 スマホ → 個人所有(家族から独立)
右手で持つ
右手親指で操作
片手持ちパターン
左手で持つ / 両手持ち
利き手と反対で操作
様々なパターン
立体的デザイン
押せるボタンのような表現
物理ボタンがあった影響
フラットデザイン
平面的でシンプルな表現
タッチパネルに最適化
💻 パソコンとスマホの最大の違い
マウスがあるかないか
🖱️ PC:カーソルが指マークに変わる → リンクだとわかる
📱 スマホ:マウスなし → デザインでリンクを示す必要がある
🍎 Appleのスマホ対応の遅れ
2007年にiPhoneを発売したAppleが、自社サイトをスマホ対応したのは2014年9月
iPhone 6 発売のタイミング(スティーブ・ジョブズ没後)
💭 ジョブズは「スワイプして拡大する」操作が好きだったため反対していた説
🔍 ヒートマップツールの活用
タップ率の可視化小さい画面だとタップ率が悪化 → データで検証
📱→💻 画面幅に応じて自動調整
横幅を狭めていくと、デザインが順次変化
スマホ・タブレット・PCで最適な表示を実現
📸 写真の向きも最適化
PC表示:横向き写真 📷
スマホ表示:縦向き写真 📱
→ デバイスごとに異なる画像を表示
🔄 スワイプ型ホームページの登場
Instagramのストーリーズのようなスワイプ操作でページ遷移
縦スクロールではなく、左右スワイプでコンテンツを閲覧
📱 スマホファーストの新しいWeb体験
クリックすると
詳細ページに飛ぶ
1対1の関係
クリックすると
検索結果に飛ぶ
複数の関連投稿
📜 ハッシュタグの歴史
🐦 Twitterユーザーが提案 → 採用
📸 Instagramが真似して普及
🔍 検索しなくても押すだけで検索結果へ
⚠️ Googleが恐れる新しい検索文化
🙋 パソコンとスマホの使い分け
「パソコンがあればスマホいらないのでは?」と思っていたが、パソコンは何かを生み出すのに欠かせないと実感
✍️ 入力方式の多様性
📱 フリック入力派 – スマホネイティブ世代に多い
🔤 トグル入力派 – ガラケー世代に多い
⌨️ ローマ字入力派 – パソコンからの移行組
💡 タブレット使用時はローマ字入力に切り替える人も
🤔 持ち方の傾向
✅ 右手で持つ人が多数派
✅ 左利きでもスマホは右手持ちの人も
✅ 文字入力時は「左手で持って右手で操作」パターンも
✅ 両手持ち両手親指操作 → スマホ依存のパターン
⚡ これからのデザイナーに求められること
消費者から創造者へスマホネイティブ世代だからこそ、パソコンでの創造力を
情報リテラシー論05スマートフォン普及と課題’25長岡造形大学
ネットビジネス・アナリストによる長岡造形大学での授業内容。スマートフォンの歴史と課題をテーマに、IT革命から携帯電話の進化、ガラケーとスマホの違い、日本の若年層におけるパソコン使用率低下問題を解説。スマホの右手持ち操作を前提としたデザイン設計、フリック入力の普及、フラットデザインやレスポンシブウェブデザインへの変化、ハッシュタグ文化の誕生など、スマホ普及がもたらしたデザインとユーザー行動の変容について包括的に論じている。

- はじめに
- IT革命とデジタル暗黒世代の到来
- 携帯電話からスマートフォンへの進化の歴史
- スマホデザインの革新と右手持ち文化
- ハッシュタグ文化と学生たちの声
- おわりに
- よくある質問(Q&A)
はじめに
みなさん、こんにちは。ネットビジネス・アナリストの横田秀珠です。2025年10月27日の月曜日、今日も新潟県の長岡造形大学での情報リテラシー論の授業内容を、15分間の生中継でお届けしていきます。秋も深まり、大学の街路樹が赤く色づき始めた美しい季節となりました。今回の授業では「第5回 スマートフォンの普及と課題」というテーマで、90分間の講義を行いました。デザイナーを目指す学生の皆さんにとって、スマートフォンのデザインがどのように変遷してきたのか、そしてそれが私たちの生活やコミュニケーションにどのような影響を与えてきたのかを深く掘り下げていきます。今回の講義では、実際に私が使用してきた歴代のスマートフォン、初代iPhoneなどのレアな端末も学生たちに触ってもらいながら、スマートフォンの歴史を体感してもらいました。それでは、授業の内容と学生たちからいただいた質問への回答を詳しく見ていきましょう。
IT革命とデジタル暗黒世代の到来
IT革命の誤解と本当の意味
2000年6月に登場した「IT革命」という言葉は、インフォメーション・テクノロジー(Information Technology)の略称です。当時の森総理大臣が「イット革命」と読んでしまったエピソードは有名ですが、現在ではITという言葉はすっかり定着しています。しかし、重要なのは、ITとはインターネットだけを指すものではないということです。ITは「情報技術」全般を意味しており、テレビ、ラジオ、新聞、電話といった、私たちの生活を支えるあらゆる情報伝達手段がITに含まれます。この基本的な理解が、これからデジタル社会で活躍していく学生たちにとって非常に重要な出発点となります。
世界で唯一日本の子供のパソコン使用率が低下
驚くべきことに、世界で唯一、日本の子供たちのパソコン使用率が低下しているというデータがあります。授業の冒頭で動画を見ていただきましたが、パソコンにしかできないことがあるのです。スマートフォンは主に情報を「消費」するためのツールですが、パソコンは消費に加えて何かを「創造」することができる道具なのです。大学生の皆さんには、ぜひ創造する側に回ってほしいと思います。現在ではギガスクール構想によって、若い世代からパソコンを持たせる取り組みが始まっていますが、皆さんの世代はちょうど「デジタル暗黒世代」と呼ばれる、パソコンに触れる機会が少なかった時期に当たります。これは非常に重要な問題意識として持っておく必要があります。
パソコンとスマホの創造性の違い
なぜパソコンが創造に向いているのでしょうか。それは、パソコンには豊富な創作ツール、大きな画面、精密な操作が可能なマウスやキーボードがあるからです。文書作成、プレゼンテーション資料の制作、画像編集、動画編集、プログラミングなど、プロフェッショナルな創造活動の多くはパソコンで行われています。スマートフォンでも簡単な編集作業はできますが、本格的な創造活動にはパソコンが欠かせません。デザイナーを目指す学生の皆さんにとって、この違いを理解し、適切なツールを選択できる能力は、将来のキャリアに直結する重要なスキルとなります。パソコンの使用率が低下している今だからこそ、意識的にパソコンスキルを磨いていくことが、他の人との差別化につながるのです。
携帯電話からスマートフォンへの進化の歴史
自動車電話からスマートフォンまでの変遷
授業では、自動車電話、ショルダーホン、携帯電話、そしてスマートフォンまでの歴史を一枚のスライドにまとめて紹介しました。こうした技術の進化には、時代背景と社会のニーズが密接に関係しています。かつて自動車に搭載されていた大型の電話から始まり、持ち運べるショルダーホン(肩にかけて持ち歩く電話)、そして手のひらサイズの携帯電話へと小型化が進んできました。今日の授業では、私が実際に使用してきた歴代のスマートフォンを学生たちに触ってもらいました。初代iPhoneなどのレアな端末も含まれており、学生たちは技術の進化を実際に手に取って体感することができました。このような実物に触れる機会は、デジタルネイティブ世代にとっても貴重な体験となります。
ガラケーとスマホの本質的な違い
ガラケー(ガラパゴス携帯)とスマートフォンでは、何が根本的に違うのでしょうか。最も大きな違いは、オペレーティングシステム(OS)とアプリケーションの概念です。ガラケーは基本的に電話とメールに特化した端末でしたが、スマートフォンは小型のコンピュータとして、様々なアプリケーションを自由にインストールして機能を拡張できます。また、タッチスクリーンの採用により、物理的なボタンに依存しない直感的な操作が可能になりました。この変化は、単なる技術革新ではなく、私たちの情報との関わり方そのものを根本的に変えたのです。
携帯電話で聞こえる声は人工音声という衝撃の事実
授業で学生たちが最も驚いたのは、携帯電話やスマートフォンで聞いている声は、本人の生声ではなく人工的に作られた声だという事実でした。有線電話と無線電話では、音声の伝え方が根本的に異なっているのです。有線電話では、声の振動がそのまま電気信号に変換されて伝わりますが、無線の携帯電話では、音声をいったんデジタルデータに変換し、それを電波で送信した後、受信側で再び音声に合成します。この過程で、人間の声として認識できる範囲の周波数だけが選択的に伝送されるため、実際の生声とは異なる「人工的な声」として再現されるのです。つまり、電話で話している相手の声は、本当の意味での「その人の声」ではなく、その人の声を模倣した人工音声なのです。これは通信技術の効率化のための仕組みですが、多くの人が知らない事実です。
電話が変えた人との付き合い方
電話やスマートフォンの進化は、私たちの人間関係のあり方も変えてきました。昔の黒電話の時代には、電話は玄関や廊下に置かれていて、「地域とつながる」ツールでした。家族全員が共有し、近所の人や親戚との連絡手段として使われていました。その後、プッシュ式の電話がリビングに置かれるようになると、「家族とつながる」ツールへと変化しました。そして携帯電話、スマートフォンの時代になると、一人一台を持つようになり、個人のプライベートな通信手段となりました。この変化は、「子供たちの独立」を象徴しています。もはや家族で一つの電話を共有することはなく、各自が個別のデジタル空間を持つようになったのです。このような通信手段の変化は、人との付き合い方や家族関係にも大きな影響を与えています。電話やスマートフォンの歴史を振り返ることで、私たちの社会がどのように変化してきたのかを理解することができます。
世界のスマートフォン、タブレット、パソコンの出荷台数
世界的に見ると、スマートフォンとタブレットの出荷台数は順調に伸びていますが、パソコンの出荷台数は思わしくない状況が続いています。コロナ禍の時期だけは、リモートワークや遠隔授業の需要が高まり、一時的にパソコンの出荷台数が増加しましたが、その後は再び減少傾向にあります。この傾向は、若い世代がスマートフォンだけで情報処理を完結させようとする傾向とも一致しています。しかし、先ほど述べたように、創造的な作業にはパソコンが必要不可欠です。この出荷台数の推移は、デジタル社会における大きな課題を示唆しています。
なぜ日本の10代20代女性はiPhoneの利用率が高いのか
ここで非常に興味深い質問があります。なぜ日本の10代20代の女性は、iPhoneの利用率が特に高いのでしょうか。この現象には様々な説があります。学生たちにもレポートで自分の考えを書いてもらうことにしました。一つの理由として、AirDrop(エアドロップ)機能が挙げられます。iPhoneユーザー同士であれば、写真や動画を簡単に共有できるこの機能は、若い世代のコミュニケーションに欠かせないツールとなっています。しかし、ここで重要なのは、「なぜ10代20代の女性に限って」この傾向が顕著なのかという点です。男性もAirDropを使えば便利なはずですし、他の年齢層でも同じことが言えます。それなのに、なぜこの層だけがiPhoneを選ぶのか。これには、友人間での同調圧力、ファッション性、ケースなどのアクセサリーの豊富さ、SNSでの共有のしやすさなど、複数の要因が絡み合っていると考えられます。また、アプリケーションの審査における信頼度の違いも影響しているかもしれません。この問題は、マーケティングや消費者心理の観点からも非常に興味深いテーマです。
iPhone、スマートフォン、Android – 呼び方の定着
「スマホ」という呼び方が日本で定着したのは、実はNTTドコモの功績です。当初は「iPhone」「スマートフォン」「Android」など、様々な呼び方が混在していましたが、ドコモが「スマホ」という略称を積極的に使い始めたことで、この呼び方が一般に広まりました。言葉の定着は、技術の普及においても重要な役割を果たします。覚えやすく、親しみやすい呼び方があることで、新しい技術が社会に受け入れられやすくなるのです。
スマートフォン普及率の劇的な上昇
携帯電話ユーザーのうち、スマートフォンを使用している人の比率は、現在では9割を超えています。しかし、最初からこのような高い普及率だったわけではありません。授業では普及率のグラフを示しましたが、東日本大震災(2011年3月11日)の後、iPhone4Sがauからも発売されたことによって、一気に普及が加速しました。つまり、2011年の震災当時、スマートフォンの普及率はまだ1割程度だったのです。これを考えると、スマートフォンの歴史は意外と浅いことがわかります。わずか14年ほどの間に、私たちの生活は劇的に変化したのです。
AndroidアプリとiPhoneアプリの審査の違い
Androidの携帯電話では、当初アプリの審査がなかったため、たくさんのアプリが増えて「Androidの方が自由度が高くて良い」という評価がありました。しかし、2015年から審査が導入され、状況は変わりました。最近では、Googleが問題のあるAndroidアプリを厳しく取り締まった結果、アプリの総数が半減したという出来事もありました。この変化は、アプリストアの信頼性と安全性を高める一方で、開発者の自由度とのバランスをどう取るかという新たな課題を生み出しています。
Androidの起源とGoogle Pixel
多くの人が知らない事実として、「Android」というのは、Googleが買収した会社の名前なのです。Googleは、Androidというソフトウェア会社と、モトローラというハードウェア会社を買収し、そこから生まれたのがGoogle Pixelのようなスマートフォンです。授業では、iPhoneとAndroidのモバイルOSの歴史についても詳しく振り返りました。この歴史を知ることで、現在のスマートフォン市場がどのように形成されてきたのかを理解することができます。
AmazonのFire Phone失敗とAlexaへの転換
過去には、Amazonも「Fire Phone」というスマートフォンを発売していました。しかし、このプロジェクトは失敗に終わりました。その後、Amazonは次の戦略として、スマートスピーカー「Alexa」を開発しました。この転換は、企業が失敗から学び、新しい市場を開拓していく過程を示す良い例です。スマートフォン市場での失敗が、音声アシスタント市場での成功につながったのです。ビジネスにおいて、一つの失敗が次の成功への布石となることもあるという重要な教訓です。
スマホデザインの革新と右手持ち文化
スマホとタブレットで異なるウェブサイト閲覧での行動
ここからが、デザイナーを目指す学生たちにとって特に重要な内容です。スマートフォンとタブレットでは、ユーザーの行動が大きく異なります。あなたは普段、スマートフォンやタブレットをどちらの手で持ち、縦向きと横向きのどちらで使っていますか。この質問に対する答えが、デザインに大きな影響を与えるのです。調査によると、スマートフォンは右手で持ち、右手の親指で操作している人が多いことがわかっています。しかし、学生たちに聞いてみると、様々な持ち方があることがわかりました。利き手で持って利き手の親指で操作する人、利き手で持って反対の手で操作する人、両手で持って操作する人など、個人によって違いがあります。後ほど学生たちのレポートを見るのが楽しみです。
右手片手持ちがスマホデザインを決定する
重要なのは、「右手で持って片手で操作する」という前提で、多くのスマートフォンのデザインが作られているということです。SNSアプリ、その他の様々なアプリ、さらには端末本体のデザインまで、この前提に基づいています。例えば、画面の右側にメニューが配置されているアプリが多いのは、右手の親指で操作しやすいからです。左手で持っている人にとっては、このメニューは実は操作しにくい位置にあります。また、電源ボタンの位置も、右手で持つことを前提にデザインされていることが多いのです。このように、多数派のユーザーの行動パターンに合わせてデザインが最適化されているため、少数派のユーザーは不便を感じることもあります。デザイナーとしては、このようなユーザビリティの問題を常に意識する必要があります。
ガラケーからスマホへ:デザインパラダイムの転換
かつてガラケーが主流だった時代には、物理的なボタンを模した「押せるようなボタン」のデザインが流行していました。画面上のボタンにも立体感や影をつけて、「これはボタンですよ」とわかりやすく示すスキューモーフィズム(実物を模したデザイン)が主流でした。しかし、スマートフォンが普及すると、デザインの潮流は大きく変わりました。フラットデザインという、装飾を最小限に抑えたシンプルなデザインが主流になったのです。これは、ユーザーがタッチスクリーンの操作に慣れ、視覚的な手がかりがなくても直感的に操作できるようになったためです。電卓アプリのデザインを見ても、この変化は明らかです。かつては実物の電卓を模した立体的なデザインでしたが、現在はフラットで洗練されたデザインになっています。このデザインパラダイムの転換は、ユーザーの学習と慣れに応じてデザインも進化していくという、重要な原則を示しています。
パソコンとスマホの違い:マウスの有無
パソコンとスマートフォンの違いを考える時、「マウスがあるかないか」という視点で見ると、多くのことが理解できます。パソコンでは、リンクの上にマウスカーソルを重ねると、カーソルの形が指の形に変わります。これによって、ユーザーは「ここはクリックできる場所だ」とすぐに理解できます。しかし、スマートフォンにはマウスそのものがありません。そのため、リンクかどうかを判断する手がかりが少ないのです。タッチしてみるまで、それがリンクなのか単なるテキストなのかわからないことがあります。この違いは、ウェブサイトやアプリのデザインに大きな影響を与えます。スマートフォン向けのデザインでは、タップ可能な要素を視覚的に明確にする必要があります。色を変える、下線を引く、ボタンのような見た目にするなど、ユーザーが直感的に「ここはタップできる」と理解できるような工夫が必要なのです。
Appleのスマホ対応の遅れとジョブズの哲学
興味深い事実として、2007年に世界で初めてスマートフォン(iPhone)を作ったApple自身が、自社のウェブサイトをスマートフォン対応したのは、iPhone6が発売された2014年9月だったということがあります。スマートフォンを作った会社が、自分たちのウェブサイトをスマホ対応していなかったというのは、一見矛盾しているように思えます。しかし、この背景には、創業者スティーブ・ジョブズの哲学があったと考えられています。ジョブズは、ピンチアウト(指を広げて画面を拡大する操作)を推奨していました。小さな画面用に最適化されたサイトを作るのではなく、デスクトップ版のサイトをスマートフォンで表示し、ユーザーが必要に応じて拡大して見るという体験を重視していたのです。しかし、2011年にジョブズが亡くなった後、Appleの方針は変化し、スマートフォンに最適化されたウェブサイトを作るようになりました。この事例は、創業者の哲学が企業の方向性に大きな影響を与えること、そして時代の変化に応じて方針を変えることの重要性を示しています。
リンクの幅と国際的なユーザビリティ
スマートフォンのデザインにおいて、リンクやボタンの幅は非常に重要です。リンクの幅が狭いと、日本人よりも指の太い人が多い海外のユーザーにとって、タップしにくくなってしまいます。デザインする際には、親指でタップすることを意識する必要があります。最小限のタップ可能な領域のサイズについては、様々なガイドラインが存在しますが、一般的には44×44ピクセル以上が推奨されています。これは、平均的な人の指の大きさを考慮した数値です。国際的なユーザビリティを考える時、様々な体格の人々が使用することを想定したデザインが求められます。特にグローバルに展開するサービスでは、このような配慮が不可欠です。
ボタンかバナーか:見た目でわかるデザイン
スマートフォンでは、マウスオーバー効果(マウスを重ねると表示が変わる効果)が使えないため、タップできる要素とそうでない要素を、見た目で明確に区別する必要があります。ボタンかバナーか、タップできるのかできないのかを、ユーザーが一目で判断できるようなデザインが重要です。立体感のあるデザイン、影をつける、色を変える、周囲に余白を設けるなど、様々なテクニックがあります。画像が押せるのか押せないのかということも、マウスがない環境ではデザインで判断するしかありません。これは、デザイナーにとって大きな責任であり、同時に創造性を発揮できる領域でもあります。
レスポンシブウェブデザインの登場と進化
こうした課題に対応するために、レスポンシブウェブデザインという手法が登場しました。これは、画面の横幅に応じて、ウェブサイトのデザインが自動的に変化するという技術です。パソコンの大きな画面で見た時と、スマートフォンの小さな画面で見た時で、最適なレイアウトに自動的に切り替わります。例えば、パソコンでは3カラムのレイアウトだったものが、スマートフォンでは1カラムに変わるといった具合です。横幅を狭めていくと、画面のデザインが段階的に変わっていく様子は、とても興味深いものです。レスポンシブウェブデザインの登場により、一つのHTMLファイルで、様々なデバイスに対応できるようになりました。
PC横向きとスマホ縦向きを活かしたデザイン
最近の傾向として、パソコンは横向き、スマートフォンは縦向きという、それぞれの特性を活かしたデザインが流行しています。例えば、同じウェブサイトでも、パソコンで見た時には横長の写真を使い、スマートフォンで見た時には縦長の写真を使うといった工夫です。これにより、それぞれのデバイスで最も見栄えの良い表示を実現できます。また、パソコンのデザインをスマートフォンと同じ幅で表示し、それ以外の部分は壁紙や背景にするという手法も登場しています。これは、スマートフォンファーストの時代における、新しいデザインアプローチです。
タップ率を可視化するツール
どの部分がどのくらいタップされるかを可視化するツールも登場しています。ヒートマップと呼ばれるこのツールは、ユーザーが実際にどこをタップしているかを色で示してくれます。タップが多い部分は赤く、少ない部分は青く表示されます。これを見ることで、ユーザーの行動パターンを理解し、デザインを改善することができます。小さい画面だったり、わかりにくい配置だったりすると、タップ率が悪くなります。こうしたツールを活用することで、データに基づいたデザインの最適化が可能になります。デザイナーは、自分の感覚だけでなく、実際のユーザーデータも参考にしながらデザインを進化させていく必要があります。
Instagramの普及とスワイプ型ホームページの可能性
今回の授業で特に面白かった話題の一つが、Instagramの普及によってスワイプ型のホームページが流行する可能性についてです。これは私のネットビジネス研究会では過去に話したことがありますが、大学の授業では初めて取り上げました。Instagramでは、画面を左右にスワイプして次の投稿を見るという操作が一般的になっています。この操作に慣れたユーザーにとって、スワイプで情報を見ていくという体験は自然なものになっています。今後、企業のウェブサイトやランディングページでも、この操作方法を取り入れたデザインが増えてくる可能性があります。いつかまた15分動画でこの事例について詳しく説明したいと思います。ユーザーの慣れ親しんだ操作方法を取り入れることは、ユーザビリティの向上につながります。
ハッシュタグ文化と学生たちの声
ソーシャルメディアとスマホが生んだハッシュタグ文化
ソーシャルメディアとスマートフォンの普及によって生まれた新しい文化の一つが、ハッシュタグです。ハッシュタグとは、「#」記号の後にキーワードをつけたもので、タップするだけで、そのキーワードに関連する投稿の検索結果に飛ぶことができます。従来のテキストリンクでは、リンクをクリックすると、それについての詳しい個別のページにしか飛べませんでした。しかし、ハッシュタグは、同じキーワードを含む様々な人の投稿をまとめて表示する「集合知」へのリンクなのです。これは、情報の探し方、つながり方を根本的に変えました。検索エンジンで検索しなくても、ハッシュタグをタップするだけで関連情報が見つかるのです。
Googleがハッシュタグをおそれる理由
Googleは、このハッシュタグ文化を脅威と感じています。なぜなら、ユーザーがGoogle検索を使わずに、ソーシャルメディア上のハッシュタグで情報を探すようになるからです。ハッシュタグは、もともとTwitterのユーザーが自発的に提案したことから始まりました。その後、Instagramがこの仕組みを取り入れて普及させ、今では多くのソーシャルメディアで標準的な機能となっています。ユーザー発の工夫が、プラットフォームに取り入れられ、文化として定着していく過程は、インターネットの歴史において何度も繰り返されてきたパターンです。ハッシュタグ文化は、情報の民主化と、ユーザー主導のコンテンツ整理の象徴と言えます。
学生たちからの多様な質問と回答
授業の後、学生たちから本当にたくさんの質問をいただきました。それらの質問に答えていくことで、授業の内容がさらに深まりました。以下、印象的だった質問と回答をいくつか紹介します。
「中学生でパソコンが支給された時、大きな冷蔵庫みたいなものの中に充電器がたくさん繋がっているのがあって、充電していたのを思い出しました」という学生がいました。おそらく充電保管庫のことだと思いますが、そういう設備があったのですね。また、「中学の時、技術の時間に突然プログラミングの授業が割り込まれた」という声もありました。まさにギガスクール構想が始まった時期なのでしょう。そのくらいニーズが高まっていたということですね。
「小さい頃からパソコンに慣れ親しんだ生活だったので、逆にスマホは使いづらかったです」という意見もありました。フリック入力やタッチパネルは、慣れが必要ですよね。逆に、「スマホがあればパソコンいらないのではないかと思っていましたが、パソコンは何かを生み出すのには欠かせない存在であると感じました」という感想をいただけたことは、本当に嬉しかったです。この気づきが、学生たちの今後の学びにつながることを願っています。
入力方法についての質問も多くありました。「私はフリック方式で入力していますが、母はトグル方式で、父はローマ字入力です」という家族内での違いを報告してくれた学生もいました。世代によって慣れ親しんだ入力方法が異なるのは興味深いですね。「私は日本語入力の時はフリック入力を使っています」という人が多い一方で、「ずっとローマ字入力で使っています。逆にフリック使いません」という人もいました。「日本語はフリックは使いやすくて使ってますが、英数のフリックは使いづらいと思ってます」という意見も納得できます。日本語の五十音は、フリック入力に適した配置になっていますからね。「スマホはフリック入力で、タブレットはローマ字入力です」という使い分けをしている人も多く、私も同じです。画面が大きいとローマ字入力の方が楽ですよね。
「言われてみると、電話中に音楽を流していても聞こえないと思いました」という気づきもありました。ぜひ皆さん、実験してみてください。「玄関先に電話が多いのは電波的な問題だと思ってたけど、違くて驚きました」という声もありました。そうなんです、昔の電話は有線ですから、電波は関係ないんです。「声が特徴的な祖父の声は、電話越しだと別に聞こえます」というコメントも面白いですね。人間っぽい声の周波数帯域でないと、うまく伝わらないことがあるのです。
「かつて通ってた習字の先生の家には、リビングにダイヤル式、プッシュ式、ガラケー、スマホが全部揃ってあり、どれかを使って保護者の送迎を呼ぶ形式でした」というエピソードも興味深いですね。まさに通信の歴史が一つの家に凝縮されていました。
「Androidを使っていたら、オンボロイドという言葉を言われたことがあります」というコメントには笑ってしまいました。これは初めて聞きました。しかし、最近のAndroidスマートフォンは非常に性能が向上しています。「Androidのキッズケータイを昔は使っていましたが、寿命で乗り換える際にiPhoneのSEが安かったので、そこからiPhoneに切り替えた記憶があります」という人もいました。AndroidからiPhoneに切り替える人は多いのですが、逆は少ないんですよね。最近はGoogle Pixelの登場で、iPhoneからAndroidへの移行も少しずつ増えてきた感はあります。
「iPhoneを使っている人が多いのは、AirDropがあるから使用感的に楽だためだと思っていましたが、アプリケーション審査の信頼度も関係したんですね」という気づきもありました。AirDropは確かに便利ですが、それだけでは「なぜ10代20代の女性」という限定された層での普及を説明できません。複合的な要因があるのです。
「東日本大震災の時にガラケーが多かったことを考えると、意外とスマホの歴史が浅いのかもしれないと思いました」というコメントもその通りです。わずか14年前のことなのです。
持ち方についても様々な報告がありました。「iPhoneは右手で持つことが多いです。Androidスマホは左手で持っています。iPadは基本テーブルに置いてます」という使い分けや、「持つのは左手で、画面を触るのは右手な気がします」というパターンも。これは最近のスマートフォンが大きくなってきたからだと思います。「右手で持っていますが、文字を打つときは左手で持って右手で入力します」という人もいました。利き手で入力するのが楽なのですね。「右手で持って左手で操作しています」という人もいれば、「両手で持って両手親指で操作しています」という人もいました。「私は左利きでスマホ右持ちです」というコメントも興味深いです。利き手と持ち手が必ずしも一致しないこともあるのですね。
「Rakuten mini 3.6インチ持っていますが、小さすぎて逆に両手じゃないと使いません」というコメントも面白いです。サイズ感は大画面と謳うか、コンパクトと謳うかというマーケティングの問題でもあります。
「ホバー要素がスマホだと無意味になるのは残念ですね」という技術的な指摘もありました。マウスオーバー効果が使えないのは、デザイナーにとって制約でもあります。「以前、縦スクロールがオーバーライドされたサイトを見つけました。サイトで見ると面白かったです」というコメントと共に、URLも教えてくれました(https://www.zoom-japan.com/)。こうした実験的なデザインを見つけることも、学びになりますね。
学生たちからの質問と回答を通じて、授業の内容がさらに深まり、多様な視点が加わりました。一方向的な講義ではなく、双方向のやり取りを通じて、より豊かな学びの場が生まれたと感じています。
おわりに
今回の授業「スマートフォンの普及と課題」では、IT革命の本当の意味から始まり、携帯電話の歴史、スマートフォンの普及、そしてデザインの変遷まで、幅広いテーマを扱いました。特に重要なのは、スマートフォンは情報を「消費」するツールであり、パソコンは「創造」するツールであるという認識です。デザイナーを目指す学生の皆さんには、ぜひ創造する側に回ってほしいと思います。また、右手で持って親指で操作するというユーザーの行動パターンが、スマートフォンのデザインを大きく規定していること、ガラケーからスマホへの移行がデザインパラダイムを変えたこと、そしてハッシュタグという新しい文化が情報の探し方を変えたことなど、多くの気づきがありました。学生たちからの質問を通じて、世代による入力方法の違い、家族内での通信手段の変化、そして個人の使用習慣の多様性も見えてきました。スマートフォンの歴史はまだ浅く、これからも進化し続けるでしょう。技術の進化と共に、私たちの生活やコミュニケーションのあり方も変化していきます。大切なのは、こうした変化を理解し、より良いデザイン、より良いユーザー体験を創造していくことです。今日の授業が、学生の皆さんの今後の学びと創造活動の一助となれば幸いです。ネットビジネス・アナリスト横田秀珠でした。ありがとうございました。
よくある質問(Q&A)
Q1: なぜ日本の子供だけがパソコン使用率が低下しているのですか?
A1: 世界で唯一日本の子供たちのパソコン使用率が低下している背景には、いくつかの要因があります。まず、スマートフォンの急速な普及により、多くの若者がスマホだけで情報処理を完結させるようになったことが挙げられます。スマホは手軽で直感的に操作できるため、わざわざパソコンを使う必要性を感じなくなったのです。また、日本では一時期、学校教育におけるICT教育が他の先進国に比べて遅れていたことも影響しています。しかし、現在はギガスクール構想によって、小中学生に一人一台の端末が配布されるようになり、状況は改善されつつあります。重要なのは、パソコンとスマホは用途が異なるということです。スマホは情報の「消費」に適していますが、パソコンは創造的な作業に欠かせません。文書作成、プレゼンテーション、プログラミング、デザインなど、プロフェッショナルな仕事にはパソコンスキルが必要です。デジタル暗黒世代と呼ばれる現在の大学生世代は、この重要性を理解し、意識的にパソコンスキルを磨いていく必要があります。
Q2: 携帯電話で聞こえる声が人工音声だというのは本当ですか?
A2: はい、これは事実です。携帯電話やスマートフォンで聞こえる相手の声は、厳密には本人の生声そのものではなく、デジタル処理を経て再合成された音声なのです。有線電話の場合、音声の振動が電気信号に変換され、そのまま伝送されます。しかし、無線通信を使う携帯電話では、効率的にデータを送信するために、音声をいったんデジタルデータに変換します。この過程で、人間の声として認識に必要な周波数帯域のみが選択的に抽出され、不要な情報は削ぎ落とされます。受信側では、このデジタルデータを元に音声を再合成します。つまり、オリジナルの声を圧縮・変換・復元しているため、完全に同じ声ではないのです。実際に、声の特徴が強い人の場合、電話越しでは別人のように聞こえることがあります。また、電話中にバックグラウンドで音楽を流していても、相手には聞こえません。これは、人間の声の周波数帯域のみを選択的に送信しているためです。この技術により、限られた帯域幅で効率的に通話ができるようになっています。
Q3: なぜ10代20代の女性に限ってiPhoneの利用率が高いのですか?
A3: これは非常に興味深い現象で、複数の要因が絡み合っていると考えられます。まず、よく挙げられるのがAirDrop機能の存在です。iPhoneユーザー同士であれば、写真や動画を簡単に共有できるこの機能は、若い世代のコミュニケーションに欠かせないツールとなっています。しかし、重要なのは「なぜこの層に限って」なのかという点です。AirDropは男性にとっても、他の年齢層にとっても便利なはずです。考えられる他の要因として、友人間での同調圧力があります。周りの友達がみんなiPhoneを使っていると、自分もiPhoneにしないとコミュニケーションに支障が出る、という心理が働きます。また、iPhoneはファッションアイテムとしての側面も持っており、ケースやアクセサリーが豊富で、カスタマイズを楽しむ文化があります。さらに、SNSでの写真共有がしやすい、操作が直感的でわかりやすい、アプリの審査が厳しく安全性が高いといった要因も関係しているでしょう。これらの要素が複合的に作用して、この層でのiPhone人気につながっていると考えられます。マーケティングや消費者心理の観点からも、非常に興味深い研究テーマです。
Q4: フリック入力とトグル入力、ローマ字入力の違いは何ですか?
A4: これらは日本語をスマートフォンやタブレットで入力する際の主要な方法です。まず、トグル入力は、ガラケー時代からある伝統的な方法です。一つのキーを何度も押すことで、そのキーに割り当てられた文字を選択します。例えば、「あ」キーを1回押すと「あ」、2回押すと「い」、3回押すと「う」という具合です。次に、フリック入力は、スマートフォン時代に登場した入力方法です。キーを押した後、上下左右にフリック(払う動作)することで文字を選択します。例えば、「あ」キーを押してから上にフリックすると「い」、右にフリックすると「う」となります。この方法は、慣れると非常に高速に入力できます。最後に、ローマ字入力は、パソコンのキーボードと同じように、ローマ字表記で日本語を入力する方法です。「か」を入力するには「K」と「A」をタップします。この方法は、画面が大きいタブレットなどで特に使いやすいです。世代や使用環境によって、好みの入力方法は異なります。若い世代はフリック入力に慣れている人が多く、パソコンに慣れ親しんだ世代はローマ字入力を好む傾向があります。また、日本語入力ではフリックを使い、英数字入力ではローマ字入力を使うなど、状況に応じて使い分けている人も多いです。
Q5: レスポンシブウェブデザインとは何ですか? なぜ重要なのですか?
A5: レスポンシブウェブデザインとは、閲覧する端末の画面サイズに応じて、ウェブサイトのレイアウトが自動的に最適化される設計手法のことです。パソコンの大きな画面、タブレットの中サイズの画面、スマートフォンの小さな画面、それぞれで見やすく使いやすい表示に自動的に切り替わります。例えば、パソコンでは3カラム(3列)のレイアウトだったものが、タブレットでは2カラム、スマートフォンでは1カラムに変わるといった具合です。この技術が重要な理由はいくつかあります。第一に、現代では様々なサイズの端末からウェブサイトにアクセスされます。統計によると、多くのウェブサイトでは、スマートフォンからのアクセスがパソコンからのアクセスを上回っています。レスポンシブデザインにより、一つのHTMLファイルで全ての端末に対応できるため、開発と保守の効率が向上します。第二に、Googleなどの検索エンジンは、モバイルフレンドリーなサイトを評価します。レスポンシブデザインを採用することで、SEO(検索エンジン最適化)の面でも有利になります。第三に、ユーザー体験の向上につながります。どの端末からアクセスしても快適に閲覧できることで、ユーザー満足度が高まります。最近では、さらに進化した手法として、パソコンでは横長の写真、スマートフォンでは縦長の写真を使い分けるなど、それぞれの端末の特性を最大限に活かしたデザインも登場しています。レスポンシブウェブデザインは、現代のウェブデザインにおいて必須のスキルと言えるでしょう。
詳しくは15分の動画で解説しました。
https://www.youtube.com/watch?v=JbstnQEBhII
0:00 👋 導入と挨拶・授業テーマの紹介
1:08 📋 レジュメ紹介と学生質問の概要
2:16 💻 IT革命とパソコン使用率低下の話
3:22 📱 携帯電話の歴史と音声の仕組み
4:32 📊 スマホ普及率とiPhone人気の理由
5:35 🤖 AndroidとPixelの歴史・Amazonの失敗
6:43 ✋ スマホの持ち方とデザインへの影響
7:47 🔗 リンクデザインとレスポンシブウェブ
8:51 📸 Instagramとハッシュタグ文化
9:56 🙋 学生質問コーナー(パソコンとスマホ)
10:56 ⌨️ 入力方式の質問(フリック・トグル・ローマ字)
11:48 ☎️ 入力方式続き・電話音声の特徴
12:47 🔄 AndroidとiPhone使用経験・Airdrop
13:35 🤳 スマホの持ち方についての質問
14:26 👋 最終質問と締めの挨拶
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情報リテラシー論05スマートフォン普及と課題’25長岡造形大学

📱 スマートフォン
携帯電話にコンピューター機能を統合した端末。2011年の東日本大震災後、iPhone4Sがauからリリースされたことで日本での普及が加速し、現在は携帯端末の9割以上を占める。ガラケーと異なり、タッチパネル操作やアプリケーションのインストールが可能で、消費だけでなく創造的な活動も行える。通話時の音声はデジタル処理された人工音声であり、有線電話とは音声伝達の仕組みが根本的に異なる点が特徴的である。
🌐 IT革命
2000年6月に提唱されたインフォメーション・テクノロジー革命の概念。当時の森総理大臣が「イット革命」と誤読したエピソードで知られる。ITとはインターネットに限定されず、テレビ、ラジオ、新聞、電話など、あらゆる情報技術を指す広義の概念である。この時期から日本でも情報技術の重要性が認識され始めたが、皮肉にも日本の子供のパソコン使用率は世界で唯一低下傾向にあり、デジタル暗黒世代と呼ばれる課題が生じている。
🌑 デジタル暗黒世代
世界で唯一、日本の子供のパソコン使用率が低下している世代を指す造語。スマートフォンの普及により、若者が消費活動に特化したデバイスに慣れ親しみ、創造的活動に必要なパソコンスキルを習得する機会が減少した。パソコンは消費に加えて想像・創造ができる重要なツールであるが、この世代はその能力を十分に身につけられていない。現在はギガスクール構想により状況改善が図られているものの、デザイナーなど創造的職業を目指す学生にとっては深刻な課題となっている。
📞 ガラケー
ガラパゴス携帯電話の略称で、日本独自に進化した従来型の携帯電話を指す。物理的なボタンを持ち、通話とメール、簡易なウェブ閲覧が主な機能だった。スマートフォンとの最大の違いは操作方法で、ガラケーは押せるボタンのデザインが主流だったが、スマホの普及により、デザイン全体がフラットデザインへと移行した。電卓アプリのデザイン変遷がその象徴的な例である。2011年の震災時はまだガラケーが多数派で、スマホの歴史が意外と浅いことを示している。
✍️ フリック入力
スマートフォンのタッチパネルで文字を入力する方法の一つ。画面上のキーを上下左右にスライドさせて文字を選択する。従来のガラケーで使われていたトグル入力(同じキーを複数回押す方法)に代わり、スマホ世代の標準的な入力方式となった。日本語の五十音が上手く配置できるため使いやすいが、英数字のフリック入力は使いづらいという意見もある。若い世代はフリック入力に慣れているため、逆にトグル入力が使えない傾向にあり、世代間のデジタルスキルの違いを象徴している。
🤚 右手持ち
スマートフォンを右手で持ち、右手の親指で操作するユーザーが多数派であることを示す概念。この操作習慣がスマホのデザインに大きな影響を与えており、画面右側にメニューが配置されたり、電源ボタンが右側にあったりするのは、右手持ちを前提としたデザインである。SNSアプリや各種アプリケーションの画面構成も、この右手親指操作を想定して設計されている。左手で持つと使いにくいデザインになっており、デバイスデザインにおけるユーザー行動分析の重要性を示す好例となっている。
🎨 フラットデザイン
立体感や影を排除したシンプルで平面的なデザインスタイル。ガラケー時代は物理ボタンを模倣した押せるようなデザインが主流だったが、スマートフォンの普及によりフラットデザインへと移行した。タッチパネル操作が標準となり、ボタンの立体感が不要になったためである。電卓アプリのデザイン変遷がその典型例で、かつての立体的なボタン表現から、現在の平面的でミニマルな表現へと変化した。この変化は、デバイスの操作方法がデザイントレンドを決定する重要な要因であることを示している。
📐 レスポンシブウェブデザイン
画面サイズに応じてウェブサイトのレイアウトが自動的に最適化される設計手法。横幅を狭めると画面デザインが順次変化する仕組みで、パソコンとスマートフォンの両方に対応できる。興味深いことに、スマホを2007年に開発したApple自身が自社ホームページをスマホ対応したのは2014年と遅かった。これはスワイプして拡大表示することを好んだスティーブ・ジョブズの意向とされる。最近では、PC横向きとスマホ縦向きを活かした専用デザインや、PC画面をスマホと同じ表示にする手法も登場している。
#️⃣ ハッシュタグ
ソーシャルメディアとスマートフォンの普及で生まれた新しい検索・分類文化。「#」記号の後にキーワードを付けることで、クリックするだけで関連投稿の検索結果に飛べる仕組み。従来のテキストリンクが特定の詳細ページにしか飛ばないのに対し、ハッシュタグは検索結果に飛ぶという革新的な機能である。Twitterユーザーの提案から始まり、Instagramが真似して普及した。Googleが恐れているとされるのは、ハッシュタグが検索エンジンを介さない新しい情報探索手段として機能しているためである。
📤 AirDrop
Apple製品間で写真やファイルを無線で簡単に共有できる機能。日本の10代20代女性にiPhoneが圧倒的に人気な理由の一つとされるが、なぜこの層に限定して影響が大きいのかは興味深い課題として残る。男性や他の年齢層にとっても便利な機能であるにもかかわらず、特定の層でのみ決定的な選択理由となっている点に、デバイス選択における社会的・文化的要因の複雑さが表れている。アプリケーション審査の信頼度とともに、iPhoneの日本市場での成功を支える重要な要素となっている。
超要約1分ショート動画こちら↓
https://www.youtube.com/shorts/bBL_8CgBLIQ
情報リテラシー論05スマートフォン普及と課題’25長岡造形大学

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