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音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年10月(AI音楽ラジオ)②

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年10月(AI音楽ラジオ)②
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2026年10月までのSuno以外のAI音楽・音楽関連ニュースを紹介した後編。CD・DL・着うた・ストリーミング・MVの5指標で算出する歴代ヒット曲ランキング、30年前の曲が世界33か国・地域へ広がったFIELD OF VIEW、VTuber歌枠の権利問題、Spotifyテイストプロファイルを取り上げた。さらにAI音楽第2期の2つの経済圏、SubmitHubとQobuzのAI楽曲対策、Snapchatの曲生成、Adobe Firefly、AIストリーミング詐欺、AI時代のデザイナー育成を解説した。

詳しくは15分の動画で解説しました。
https://www.youtube.com/watch?v=2VPo7gI27B8

0:00 🎙️ 導入:Suno以外のAI音楽・音楽関連ニュース 0:50 📊 歴代ヒット曲ランキングの順位基準(CD・DL・着うた・ストリーミング・MV) 2:25 🌏 FIELD OF VIEWの30年前の曲が世界33カ国・地域で人気に 3:25 🎤 VTuberの「歌ってみた」が難しくなった理由(著作権と原盤権) 4:30 🎧 Spotify「テイストプロファイル」で好みを言葉で伝える体験へ 5:00 🔄 AI音楽は第2期へ:用途中心の経済とアーティスト中心の経済 6:25 🚫 SubmitHubがAI楽曲の投稿を制限(85%の検出基準) 7:55 💬 Snapchatにチャットから曲を作る機能が登場 9:05 🎨 生成AIでデザイナーは不要になる?下積みの場が消える懸念 11:00 🔥 Adobe Fireflyで音楽・音声・効果音を一括生成 12:05 ⚖️ AI音楽ストリーミング詐欺に懲役18ヶ月の判決 13:55 🏷️ フランスの音楽配信サービスがAI生成楽曲にタグ付けを開始 14:45 👋 まとめ・エンディング

Suno以外のAI音楽ニュース2026年10月(AI音楽ラジオ)AI音楽編

右脳と左脳で、先見の明どう伝えるか?
僕の好きな展開の曲が出来ました(笑)
イーンスパイアの横田です。
https://www.enspire.co.jp

右脳と左脳(COVER) / Milia
https://www.youtube.com/watch?v=_N-eosD0uRw

右脳と左脳(COVER) / KeiVi
https://www.youtube.com/watch?v=5SjRtVKk9qQ

さて、本題です。

直近1ヶ月にあった音楽生成AI
AI 音楽に関するニュース11件を
解説しましたので、ご覧ください。

Suno以外のAI音楽ニュース2026年10月(AI音楽ラジオ)AI音楽編

AI音楽ニュース 2026年10月(後編)グラレコ
📌 AI音楽は作る時代から届ける信頼へ、注目ニュース11選
🎧 後編:Suno以外 📅 2026.10.18 生中継 ⏱ 15分
1🏆 歴代ヒット曲ランキング、何を基準に順位が決まる?

売上と再生の実績を、独自の「人気得点」に換算して比較(対象期間 1989/1/1〜2026/10/8)

💿
CDシングル売上
2010年までが対象
⬇️
ダウンロード
単曲配信認定値
📱
着うた
着うた認定値
🎧
ストリーミング
再生回数
▶️
MV再生
YouTube公式
シングル10万枚
=
単曲DL10万回
=
着うた50万回
=
ストリーミング1億回
→ 人気10点
📊 上位5曲(人気得点)
①キセキ / GReeeeN
556.8
②Lemon / 米津玄師
474.5
③そばにいるね
423.0
④愛唄 / GReeeeN
366.4
⑤TSUNAMI
358.6
横田秀珠CD1枚を買った人=1000回聴くのと同じ計算。ストリーミングちょっと厳しすぎじゃない?でも比重が大きくなりすぎるからかな。年末のレコード大賞予測にも、こういう基準があるといい。課題は「配点を誰が決めるか」。
↓
2🌏 FIELD OF VIEW、30年前の歌がいま世界33か国・地域へ
33か国・地域
本人が公表した到達規模
🎵 DAN DAN 心魅かれてく
1996年3月11日発売/作詞:坂井泉水(ZARD)・作曲:織田哲郎
2026年3月11日に30周年新録版を配信
🎵 渇いた叫び
作詞作曲:小松未歩/2025年に新録版収録
iTunes J-Pop(30th Ver)最高順位
🇫🇷 フランス/🇧🇴 ボリビア/🇭🇺 ハンガリー1位
🇦🇺 オーストラリア2位
🇨🇦 カナダ3位
📺 アニメとの出会い
→
🎙 新録音で再び接点
→
🌐 海外で購入できる配信

※ iTunesはダウンロード購入のジャンル内順位。世界総合1位という意味ではない

横田秀珠SNSとTikTokショート動画の時代に発見されて人気が出た。しかも日本語の曲でこれだけヒット、夢がありますね。
↓
3🎤 VTuberの「歌枠」は、なぜ難しかった?

JOYSOUND × KADOKAWA CSP提携で変わる「伴奏の権利」と利用コスト

📝 楽曲の著作権
歌詞・メロディ(作詞者・作曲者)
YouTube等の包括契約で手続き不要な場合も
+
💿 伴奏音源の著作隣接権
録音物・音源製作者・実演家
CD・カラオケ伴奏は別途許諾が必要

「楽曲を歌える」 ≠ 「どの伴奏でも配信できる」

4万曲以上
JOYSOUND for STREAMER
💴 通常料金
Basic 3,500円/30日
Pro 10,000円/30日(収益化向け)
CSP特別価格は未記載
780ch以上
CSP参加(登録者合計6,800万人以上)
横田秀珠歌ってみたには2つの権利確認が必要。料金の問題もあって、今まさに変わっているところ。これからに期待したいですね。
↓
4🟢 Spotify「テイストプロファイル」徹底解説

おすすめを受け取るだけから、好みを言葉で伝える体験へ

① プロフィール写真をタップ
→
② 好みの解釈を読む
→
③ Tell us moreに入力
→
④ ホームの変化を確認
💬 伝えられる希望の例
  • 90年代のロックをもっと開拓したい
  • 朝の運動向けに元気な曲を増やして
  • 落ち着いた雰囲気を少なめに
📅 提供状況
2026/3/13 NZ向けベータ
2026/9/23 米国へ拡大
日本:未発表
18歳以上・Premium・モバイル

🤖 「推測するAI」 ⟶ 🗣 「意図を聞くAI」

横田秀珠プロンプトのように「こんなのが好き」と伝えると再生リストを作ってくれる。あらゆるサービスに対話型生成AIが入ってきているのがよく分かります。
↓
5🚀 AI音楽、第2期に突入

分かれ目は、AIを使うかより「何に価値を払ってもらうか」

① 機能・用途中心の経済

「その場に合う音が欲しい」

  • BGM・効果音・CMソング・ゲーム
  • 価値:速さ・低コスト・カスタマイズ
  • 課題:代替されやすい・価格競争
VS
② アーティスト中心の経済

「あなたの次の曲を聴きたい」

  • 配信・ライブ・ファン直販
  • 価値:作家性・物語・信頼
  • 鍵:IP設計(好きになってもらう設計)
第1期
技術の実証「作れる」
⟹
第2期
流通・収益化の条件整備「事業として通用する」
ライセンス出所情報開示メタデータ
横田秀珠左側(用途中心)は誰が歌っているかがメインじゃないから、かなりAIに駆逐される。右側は人間とAIのいいとこ取り、ハイブリッドになっていくと思います。
↓
6🚫 SubmitHub、AI楽曲の投稿を制限

キュレーターへの楽曲売り込みを仲介するサービスが、85%の検出基準を導入

85%以上
AI検出スコアで投稿対象外
約11%
直近アップロードの基準超え
16% vs 31%
基準超え曲 vs 非AI曲の承認率
⚠️ 85%は「AIの使用量」ではなく「AIらしさのスコア」。完全AI生成も人間が加工したハイブリッドも対象(85%未満は許容)。
横田秀珠AIの曲にゴミが多すぎて精度が下がる。AI音楽と通常の音楽を切り離して考える時代に。じゃあ「Apple Music・Amazon MusicのAI版」を誰が出すのか?Sunoか? AIに聞けばおすすめ曲を教えてくれる、そんな機能はまだ足りないですね。
↓
7👻 Snapchat「チャットから曲生成」

2026年9月21日発表。会話が音楽に変わる、Lens+の新しい創作機能

💬 メッセージを長押し
→
🎵 Create Song
→
🎸 ジャンル指定
→
📤 試聴してチャットに送信
2,500万人超
Snapchat+全体の加入者数
🔗 流れ
TikTokで会話の楽曲化が流行 → Sunoのテキスト作曲が拡散 → Snapchatが有料機能に
※ 音楽生成モデル・提供企業は未公表
横田秀珠Sunoのチャット曲生成がApp Store1位になった流れ。InstagramやTikTokもやってくる可能性あり。どの音楽モデルが裏に付くかが注目。SunoがAPI提携できれば収益化しやすくなり、分配も我々に来るはず。
↓
8🎨 生成AIで、デザイナーは不要になる?

デジタルハリウッド 杉山先生の記事が話題に。作業の自動化と判断力を育てる問題は別

📉 減っていくのは「作業」
サイズ展開・切り抜き・仮組みなど、正解が決まった反復作業は自動化へ
→
🧠 問われるのは「判断」
目的に合う案を選び、違う案を差し戻し、採用した判断に責任を持つ
❗ 最大の懸念:下積みという練習場が消える
作る
→
失敗する
→
指摘される
→
直す

熟練者がAIを使えること ≠ 初心者が熟練者に育つこと

🔍 現場で確かめる
実物・利用者・使用状況で検証
📌 選ぶ根拠を持つ
誰の、どんな困りごとを解くのか
🪜 学びのはしごを架け直す
比較・試作・利用者の声・改善
横田秀珠AIが出したものを選ぶのは人間。判断軸がなければできない、いつも言っていることです。右脳の感覚も大事だけど、左脳で言語化できるかどうか。
↓
9🔥 Adobe Firefly、音楽・音声・効果音を一括生成

2026年8月20日 一般提供を発表。映像に合う「音」をひとつの制作環境で

🎵
音楽を生成
映像向けインストBGM/5秒〜5分
20クレジット/分・歌詞ボーカル非対応
🎙️
音声を生成
台本からナレーション
Firefly/ElevenLabs
💥
効果音を生成
足音・風・衝撃音など
10クレジット/生成
✅ 音楽モデルは許諾済み・著作権切れコンテンツで学習と公式説明 → 企業案件で安心感。ただし「商用利用可」≠ あらゆる権利リスクのゼロ保証。
横田秀珠先日のGrokに続き、この流れはどんどん進みそう。問題は品質。Suno並みになるのかが注目、僕も試してみたい。
↓
10⚖️ AI音楽ストリーミング詐欺

検察は46カ月以上を求刑 → 判決は懲役18カ月(2026年10月6日)

🤖 AIで数十万曲を用意
→
📡 多数のボットで架空再生
→
💰 再生実績を装い使用料を取得
約809万ドル
没収額
📊 規模の一例(2023年4月・限定条件)
ボット
8,090万
T.Swift全曲
930万
⚠️ 問題の核心
AI作曲そのものではなく、架空の需要を装って金銭を得た詐欺
横田秀珠Sunoで再生が増えても一銭も入らないけど、Apple Music・Amazon Musicなら印税が入る。人間の曲でもボットは使えるのに、なぜAIで騒ぐか?作成コストがダントツに安いから。儲けだけに集中できてしまうんです。
↓
11🏷️ Qobuz(コバズ)、AI生成楽曲にタグ付け開始

フランス発の高音質配信。人間による選曲と、聴く人への透明性を重視

0.38%
全再生に占めるAI識別曲の再生
60%
AI識別曲の再生のうち不正判定
約400万曲
検索から除外されたAI楽曲
👁 表示
リリースにAIタグ
🔍 発見
おすすめ・プレイリストから除外
💴 収益
不正再生はロイヤリティ対象外
横田秀珠⑩と同じ話。真面目にやっている人ほどこういう人の影響を受ける。コストが安いのは助かるけど、ここが課題ですね。
💡 今回の11本をつなぐと…
🛠 作れる
Firefly・Snapchat・Grok
⟹
📡 届ける
Spotify・FIELD OF VIEW・歌枠
⟹
🤝 信頼される
SubmitHub・Qobuz・詐欺判決

AIで曲が作れる時代ほど、「誰が本当に聴いたか」「何に価値を払うか」の設計が重要に。そして選ぶのは人間の判断力。

Suno以外のAI音楽ニュース2026年10月(AI音楽ラジオ)AI音楽編

  1. 「Suno編」に続く後編。AI音楽ニュースの全体像を一緒につかもう
  2. ヒット曲の“ものさし”が変わり、30年前の名曲が世界へ届く時代
  3. 歌う・聴く・作る体験に「AI」と「対話」が入り込んできた
  4. AI音楽は第2期へ ── 作る力より「何に価値を払ってもらうか」と「判断」が問われる
  5. AI音楽の信頼をどう守るか ── 投稿制限・ストリーミング詐欺・タグ付けの最前線
  6. おわりに ── 「作れる」時代から「信頼して聴いてもらえる」時代へ
  7. まとめ
  8. よくある質問(Q&A)

「Suno編」に続く後編。AI音楽ニュースの全体像を一緒につかもう

こんにちは、イーンスパイア株式会社の横田秀珠です。私は毎日、ネットビジネスに関する情報を生中継で15分間お届けしています。この記事は、2026年10月18日(日)の生配信をもとに、ブログとして読みやすく整理し直したものです。

実はこの日、「2026年10月まで、直近1ヶ月の音楽生成AIのSunoやAI音楽に関するニュース」というテーマで先に1本動画を撮ったのですが、Sunoだけの解説で15分を丸ごと使い切ってしまいました。そこで今回は「テイク2」ではなく、前編の続きとなる「後編」として、Suno以外のAI音楽、もしくは音楽そのものに関わるニュースを11本ご紹介します。

ヒット曲ランキングの決め方、30年前の名曲の海外ブレイク、VTuberの歌枠と権利、Spotifyの新機能、Snapchatの曲生成、Adobe Firefly、そしてAI音楽を巡る詐欺事件や配信サービスの対応まで。一見バラバラに見えるニュースですが、通して読むと「音楽の価値は誰がどう決めるのか」という一本の線が見えてきます。コーヒーでも片手に、気軽に読み進めてください。


ヒット曲の“ものさし”が変わり、30年前の名曲が世界へ届く時代

まずは「起」として、AIに入る前に、そもそも今の音楽がどう測られ、どう届いているのかという土台の話から始めます。ここを押さえておくと、後半のAI音楽の話がぐっと理解しやすくなります。

ステップ1:歴代ヒット曲ランキングは「何を基準に」順位が決まるのか

1つ目は、個人的にとても面白いと感じたニュースです。テーマは「歴代ヒット曲ランキング、何を基準に順位が決まるのか」。

昔は「CDが何枚売れたか」でヒットを語れました。でも今は、CDを買う人もいれば、ダウンロードする人もいて、サブスクで聴く人も、YouTubeでMVを見るだけの人もいます。聴き方がバラバラなのに、どうやって1つのランキングにまとめるのか。その答えの1つが、今回紹介する「人気得点」という考え方です。

評価に使われる5つの指標

このランキングでは、売上と再生の実績を独自の「人気得点」に換算して比較しています。使われている指標は次の5つです。

No.指標主なデータの出どころ補足
1CDなどのシングル売上(物理的な媒体)オリコン等の売上データ2010年までが対象
2ダウンロード売上日本レコード協会の単曲配信認定値単独の曲のDL
3着うた売上日本レコード協会の「着うた」認定値ガラケー時代の主力
4ストリーミング再生Billboard JAPAN/日本レコード協会の認定値サブスク時代の主力
5MV再生YouTubeの対象となる公式音楽動画最も再生された1本のみ

対象期間は1989年1月1日〜2026年10月8日。出典はブログ「Billion Hits!」の管理人さんが作成した表(調査日:2026年10月8日)で、公的機関の統一ランキングではない点は押さえておきましょう。

異なる単位を「共通の得点」にそろえる換算基準

ここが一番のポイントです。それぞれの指標には「傾斜配点」がついていて、次の数字が**どれも同じ価値(人気10点の基準)**として扱われます。

指標等価とされる量
シングル(CD)10万枚
単曲ダウンロード10万回
着うた50万回
ストリーミング1億回

つまり、シングル10万枚と単曲DL10万回が同じで、着うたは50万回でそれと等価、そしてストリーミングは1億回でやっとイコールになる、という設計です。面白いですよね。

ここで少し計算してみます。シングル10万枚とストリーミング1億回が同じということは、シングルの1000倍がストリーミング1億回になっている、ということです。言い換えると「1枚のCDを買った人1人に対して、1000回聴くことが同じ」という基準で決めているわけです。

正直に言うと、これはちょっと多すぎる、ストリーミングに厳しすぎるんじゃないかな、という気がします。とはいえ、反対側から考えると理由も見えてきます。今は聴かれ方の中でストリーミングの割合が非常に大きくなっているので、ここを厳しくしておかないと、ストリーミングの比重が大きくなりすぎて、CD時代の名曲が全部押し流されてしまう。そういうバランス調整なのでしょうね。

なお、資料には次のような読み方の注意も書かれています。

  • 上の基準をもとに認定数・再生数などを調整して得点化しており、単純な合計ではない
  • MVも評価対象だが、詳しい換算式は画像内には示されていない
  • CD売上は2011年以降を含まない
  • MVは最も再生された1本で、複数動画は合算しない(MVには対象条件あり)
  • 同じアーティスト×楽曲は1組として扱い、各指標の最大値を採用
  • 海外アーティストは日本国内の累計再生数を推定

この基準で並べた国内の歴代上位10曲(簡易版)

この基準で国内のランキングを作るとどうなるか。上位10曲は次のとおりです。

順位曲名アーティスト人気得点
1キセキGReeeeN556.8
2Lemon米津玄師474.5
3そばにいるね青山テルマ feat.SoulJa423.0
4愛唄GReeeeN366.4
5TSUNAMIサザンオールスターズ358.6
6君がいるだけで米米CLUB349.5
7蕾(つぼみ)コブクロ334.1
8StoryAI315.0
9Tomorrow never knowsMr.Children306.7
10チェリースピッツ304.8

すごいですよね。CD時代、着うた時代、ストリーミング時代の曲が1つの表に並ぶ。各曲の詳細は元記事で解説されているので、気になる方はぜひ見ていただきたいと思います。

私が感じた「基準づくり」の難しさ

実は私も、年末になると有線などいろいろなデータを総合して「レコード大賞を予測する」記事を書いています。そのときに、こういう共通の基準があると確かに便利なんですよね。

ただし課題もあります。それは「この配点の基準を誰が作るのか」という問題です。CD1枚=ストリーミング1000回が妥当なのか、500回なのか、2000回なのか。ここの決め方ひとつで順位はガラッと変わります。基準を作る人の考え方が、そのままランキングの姿になる。ここはかなり大きな課題だと感じました。

ステップ2:FIELD OF VIEW、30年前の歌が今、世界33か国・地域へ

2つ目は、本当にびっくりしたニュースです。FIELD OF VIEWの30年前の歌が、今、世界33か国・地域で人気が出ているというのです。

対象となっている2曲

曲名発売タイアップ作詞・作曲近年の動き
DAN DAN 心魅かれてく1996年3月11日『ドラゴンボールGT』OP作詞:坂井泉水(ZARD)/作曲:織田哲郎2026年3月11日に30周年新録版を配信
渇いた叫び1998年『遊☆戯☆王』OP作詞・作曲:小松未歩2025年5月15日、『キミガスキダ』に新録版を収録

『DAN DAN 心魅かれてく』は、ZARDの坂井泉水さんが作詞、織田哲郎さんが作曲。そして『渇いた叫び』は小松未歩さんの作詞作曲です。どちらも名曲ですよね。なお資料にもあるとおり、「30年前」というのは代表曲を軸にした表現で、すべてが1996年の曲というわけではありません。

「33か国」をどう読むか

「33か国・地域」というのは、ボーカルの浅岡雄也さんがnoteで公表した到達規模です(2026年10月6日発表)。単一曲が世界総合1位になったという意味ではない点には注意が必要です。8月5日時点の本人発表では、次のような数字も出ていました。

  • 31か国・地域に到達
  • J-Pop部門1位:12か国・地域
  • TOP10:24か国・地域

実際に確認できる海外順位の例(iTunes Store・J-Popトップソング/過去最高順位)

『DAN DAN 心魅かれてく 〜30th Ver〜』の例です。

国順位日付
フランス1位2026/10/9
ボリビア1位2026/9/15
ハンガリー1位2026/9/6
オーストラリア2位2026/10/6
カナダ3位2026/5/27

さらにボリビアでは、総合トップソングでも2位に入っています。ここで言う順位は、iTunes=ダウンロード購入、J-Pop部門=ジャンル内の順位、過去最高=現在や同時の順位ではない、という意味なので、サブスクの再生数や世界総合チャートとは別の指標だという点も覚えておきましょう。

勢いは新曲にも広がっていて、新曲『ラララ〜次のForever〜』(作詞:浅岡雄也/作曲:浅岡雄也・葉山たけし)も、デンマーク・ポーランドのiTunes J-Pop部門で1位を獲っています。

なぜ国境と世代を越えたのか ── 2つの見方

私自身は配信の中で、「やっぱり今はSNSの時代、そしてTikTokのショート動画の時代。ここで発見されて人気が出ているんじゃないか」とお話ししました。

一方で、本人の説明と公開情報からの考察としては、次の3つの流れが挙げられています。

  1. アニメとの出会い:作品の記憶が、楽曲への入り口になる
  2. 新録音で再び接点:記念版や新作が、もう一度聴き直す機会になる
  3. 海外で購入できる:デジタル配信で国境を越えて届く

資料では「特定のSNS流行が主因という裏付けは未確認」とも書かれています。ですから、SNSが追い風になった可能性はありつつも、アニメ×新録音×デジタル配信という仕組みの部分が大きいと見るのがフェアでしょう。両方の見方を持っておくといいと思います。

私もFIELD OF VIEWは好きでしたが、これは可能性がありますよね。しかも、ちゃんと日本語の曲です。日本語の歌がこれだけ海外でヒットするのは、夢があるなと思います。資料の言葉を借りれば「楽曲の発売年と、リスナーが出会う年は違う」。過去作品を磨き直し、新しい接点をつくり、新作へ案内する。これは音楽発信をする私たち全員へのヒントです。

ステップ3:VTuberの「歌枠」は、なぜ難しかったのか

3つ目は、VTuberの「歌枠」についてです。JOYSOUND×KADOKAWA「CSP」の提携で、伴奏の権利と利用コストがどう変わるのか、という話題です。

歌うには「2層の権利」の確認が必要だった

VTuberさんが「歌ってみた」や歌枠配信をするには、これまで次の2つの権利を確認する必要がありました。

権利中身ポイント
楽曲の著作権歌詞・メロディ/作詞者・作曲者の権利YouTubeなどの包括契約で、管理楽曲・対象利用なら個別手続きが不要な場合がある
伴奏音源の著作隣接権録音物/音源製作者・実演家などの権利CDやカラオケの伴奏は、音源側の利用許諾が別途必要

つまり「楽曲を歌える ≠ どの伴奏でも配信できる」ということです。曲そのものはOKでも、使っている伴奏音源がNGということがある。ここが歌枠の難しさでした。編曲・替え歌・広告目的などは、さらに別途確認が必要です。

配信では「ここらが厳しくなってきている」というお話もしましたし、料金の問題もあって今まさに話題になっている、という状況です。

公式の「配信用カラオケ」という解決策

その解決策の1つが「カラオケJOYSOUND for STREAMER」です。

  • 2024年10月29日、Steamで提供開始
  • サービス全体の搭載曲数は4万曲以上
  • 歌詞テロップ、採点、キー・テンポ変更、背景透過・Spout2で配信画面に合成
  • 発表記載の対応先:YouTube・Twitch・ニコニコ動画・TikTok LIVE

料金は「通常」と「特別」を分けて見る必要があります。

プラン料金用途
通常 Basic3,500円/30日趣味向け
通常 Pro10,000円/30日収益化向け
通常 法人個別見積もり2025年8月開始
CSP特別具体額は発表文に記載なしCSP利用者向け

※通常料金は税込。CSP特別価格とは別です。特別料金・開始時期・対象曲の差・契約条件はまだ確認できていない重要事項です。

今回の提携で何が変わるのか

今回、エクシング(配信用の音源・機能)とKADOKAWA CSP(クリエイター支援)が組み、CSP利用者向けの特別プランが用意されます(提携発表:2026年10月1日)。

  • 個人・法人所属を問わず対象
  • より豊富な楽曲ラインナップ
  • 収益化対応の上位プランを特別価格で

CSPは「許諾と収益分配」の基盤で、YouTubeのMCN機能と独自の二次利用管理を組み合わせたものです。歴史を簡単にたどると次のとおりです。

時期出来事
2022年3月CSP開始
2024年1月歌っちゃ王と包括許諾(法人等も収益の一部を還元し、申請の手間を軽減)
2024年3月DAM協力の歌枠フェス
2025年12月JOYSOUND歌枠リレーに協力
2026年番組・歌枠イベントで協業
2026年10月特別プランを伴う包括提携

2026年3月時点で、780以上のチャンネル/登録者合計6,800万人以上が関わる規模です。

ただし大事な注意点として、資料には「今回初めて歌枠が合法化された、という意味ではない」と明記されています。既存の配信許諾サービスを利用しやすくする、というのが本質です。配信前には、①楽曲と投稿先が利用対象か、②所属・収益化に合うプランか、③アプリ画面+伴奏+本人の歌唱をセットで、④伴奏だけの投稿・無断の改変は不可、⑤日本国外からのサービス利用は不可、⑥最新ガイドライン・契約条件を確認、の6点をチェックしましょう。「収益化対応 ≠ 広告収益や無申立ての保証」という点も忘れずに。

いろいろ今まさに変わっているところなので、これからどうなってくるか、期待したいところです。


歌う・聴く・作る体験に「AI」と「対話」が入り込んできた

「起」では、人間が作った音楽がどう測られ、どう届くかを見てきました。続く「承」では、その音楽体験のど真ん中に生成AIと“対話”が入り込んできたニュースを3つ紹介します。聴く側(Spotify)、日常のコミュニケーション(Snapchat)、作る側(Adobe Firefly)と、3方向から同時に変化が起きているのがポイントです。

ステップ4:Spotify「テイストプロファイル」徹底解説

4つ目はSpotifyの「テイストプロファイル」です。キャッチコピーは「おすすめを受け取るだけから、好みを言葉で伝える体験へ」。

以前にも少しお伝えしましたが、いわゆるプロンプトのような形で「自分はこんなのが好きです」と要望を言葉で伝えると、それに合わせた曲の再生リストのようなおすすめを作っていく、というイメージです。

何が変わるのか

これまでのおすすめは、よく聴く曲、スキップ・再生完了、保存・いいね、プレイリスト、聴く時間・状況など、再生行動からの推測だけで作られていました。そこに「こんな曲をもっと聴きたい!」という本人が伝える意図を足せるようになったわけです。

しかも、Spotifyが理解した「あなたの好み」の解釈を、自分で読めるようになります。例えば「90年代のロックが好き」「運動するときは元気な曲」「歴史のポッドキャストに関心」「落ち着いた雰囲気はやや控えめ」といった形で表示され、音楽・ポッドキャスト・オーディオブックを横断して調整されます。今の関心・気分・生活に合わせて軌道修正でき、より自分に合ったおすすめに近づけられるのです。

使い方は4ステップ

  1. プロフィール写真をタップ
  2. Taste Profileで好みの解釈を読む
  3. 「Tell us more」に希望を入力・送信(入力欄は500文字まで)
  4. ホームの変化を確認し、必要なら修正

入力したメモは編集・削除が可能です。反映時間は、ヘルプでは数分、発表では通常数時間と案内されています。

入力例のイメージとしては、「90年代のロックをもっと開拓したい」「朝の運動向けに、元気な曲を増やして」「落ち着いた雰囲気を少なめに」「歴史のポッドキャストをもっと」など。ジャンル・年代・雰囲気・関心を伝えるわけですね(※日本語対応を保証する例ではありません)。

できないこと・誤解しやすい点

  • 調整対象はホームのおすすめ
  • この対話編集はWrappedに影響しない
  • 「必ず表示」「絶対に非表示」の指定はできない
  • フォローなどの代理操作はできない
  • おすすめの方向づけであり、完全な禁止設定ではない
  • 好みの要約の可視化であり、アルゴリズム全体の公開ではない

似た機能との違い

機能主な効果対象
対話型 Taste Profileホームを言葉で調整・Wrapped対象外米国・NZ、18歳以上Premium
曲・プレイリストの除外再生履歴の影響を弱める世界のFree・Premium
子ども・家族向け音楽の除外おすすめとWrappedへの影響を除く世界のFree・Premium

曲の除外は2025年10月追加、プレイリスト除外は2023年から、子ども向け除外は2026年9月15日発表(過去の再生にも適用)です。対話編集と「履歴の除外」は混同しないようにしましょう。

提供状況

時期内容
2026年3月13日ニュージーランド向けベータを発表
2026年9月23日米国への拡大を発表(ベータ版・18歳以上Premium・モバイル)
日本確認した公式資料では開始時期は未発表

あらゆるSNSやWebサービスの中に、対話型の生成AIが入ってきていることが、このニュースからもよく分かります。好みの誤解を訂正しやすくなり、未知のジャンルを自分から探索できる。サービス設計が「推測するAI」から「意図を聞くAI」へ変わってきています。一方で、「業界初」「10年で初」といった表現の根拠は確認できていない点も、冷静に押さえておきたいところです。鍵は“完全制御”ではなく、好みの解釈を見て、言葉で方向づけできることです。

ステップ5:Snapchat「チャットから曲生成」

5つ目はSnapchatです。2026年9月21日に、チャットから曲を生成する機能の追加が発表されました(Lens+に5つの新しい創作機能)。キャッチコピーは「会話が音楽に変わる!」です。

メッセージを短いオリジナル曲に

会話の中で、生成から共有までが完結します。

  1. メッセージを長押し
  2. 「Create Song」を選ぶ
  3. ジャンルを指定(ポップ、ヒップホップ、R&B、ロック)
  4. 試聴してチャットに送信

例えば「今日もおつかれさま!」というメッセージが、そのまま短い曲になって相手に届くイメージです。

誰が使えるのか

Lens+の機能として提供されます。Lens+ MonthlyはSnapchat+の基本特典も含む上位プランで、PlatinumにもLens+が含まれます。Snapchat+全体の加入者数は2,500万人超(Lens+単独の人数ではありません)。Lens+提供市場で順次展開され、地域によって利用開始に差があります。

同時追加された4つの表現ツール

ツール内容
AI Photoshootまばたき・視線・表情・照明を補正
AI Remix友人のSnapを別のスタイルへ
ステッカー再デザイン作成・保存・受信したステッカーを変身
AIフォント泡文字・ふわふわ・スプレー風などに装飾

なぜ今、チャットを曲に?

実はSunoで「チャットから曲を生成する」という使い方が一時話題になり、App Storeランキングで1位になったりしました。その流れを受けて、Snapchatさんがもうその機能を入れてきたわけです。資料でも、TikTokで会話の楽曲化が流行 → Sunoでテキストから曲を作る遊びが拡散 → Snapchatが有料機能に組み込む、という流れで整理されています。作曲の専門知識より「身近な会話」が創作の入り口になり、友人とのやり取りを加入・継続の動機に変えているんですね。

この流れは結構面白いです。この流れが出てくると、おそらくInstagramもやってくるし、TikTokなんかもやってくる可能性があります。そこで注目なのは、どの音楽モデルが後ろにくっつくのかです。

公表されていない重要点

  • 音楽生成モデル・提供企業
  • 学習音源の許諾状況
  • 曲の長さ・日本語対応・曲生成回数
  • 外部書き出し・商用利用条件

今回確認した発表資料では詳細不明で、Suno採用・自社開発とは断定できません。UMG・Sony・WMGなどとの既存提携は報道されていますが、今回の曲生成への関与は不明です。「既存の音楽提携 ≠ AI学習への許諾確認」なので、利用前にはアプリ内の提供状況・料金・利用条件を確認しましょう。

私の期待としては、SunoがこういうところにAPIのような形で連携・提携できるようになると、Suno自身の収益化がやりやすくなります。そうなると、今のような体制からだいぶ変わってくると思うんです。お金が入ってくるようになれば、変な学習をしなくても済むようになるでしょうし、それが我々クリエイターにも分配されるようになると思うんですよ。ここは期待したいところです。音楽生成AIが「制作ツール」から「日常の会話機能」へ。Snapchatの曲生成はまだ動画で解説していないので、いずれ動画でも詳しく解説したいと思います。

ステップ6:Adobe Firefly、音楽・音声・効果音を一括生成

6つ目はAdobe Fireflyです。2026年8月20日に一般提供が発表されました。最近、本当にこの流れがどんどん来ていますね。いろいろなサービスで、先日はGrokでも音楽が作れるようになった、PV付きの音楽を作れるようになったという話をしましたが、Adobe Fireflyでも同じように音楽が作れるようになりました。この流れは進みそうです。

3つの生成機能

機能モデルできること注意点クレジット
音楽を生成Firefly Music Model映像向けインストゥルメンタルBGM。テキストや動画解析から曲を提案、雰囲気・スタイル・テンポ・長さを調整、5秒〜5分/WAV書き出し、ロイヤリティフリーで商用利用可能歌詞・ボーカルの生成には非対応20クレジット/分
音声を生成Firefly Speech/ElevenLabs台本からナレーション作成。テキスト入力、TXT・DOCX読み込み、声・速度・抑揚を調整Firefly Speechの公式言語表に日本語の記載なしFirefly:10クレジット/1,000文字、ElevenLabs:15クレジット/1,000文字
効果音を生成Firefly Audio Model足音・風・衝撃音など。文章で音や環境を指定、声の録音をタイミング・強弱のガイドに、映像に合わせて配置・音量調整声のガイドは歌声・ナレーション生成とは別10クレジット/生成

例えば30秒の商品紹介動画なら、①映像・台本を用意 → ②BGM+ナレーション+効果音を生成 → ③試聴・調整(音量バランス、映像との一致、不自然な箇所の修正)→ ④WAVやMP4で書き出し・納品、という流れが1つの制作環境でできます。ただし、読み間違い・音量バランス・映像との一致・契約条件は人が確認する必要があります。

なぜ企業案件で注目なのか

Adobe Fireflyの場合、著作権的にOKな状態で学習していると思われます。これは今までの画像や動画と同じ流れなので、ある意味、企業の方は安心して使えるのかな、という気がします。資料にも「企業案件で注目」と書かれていて、ここがポイントです。映像の尺やブランドの雰囲気に合わせやすく、素材検索と制作ツール間の往復を減らせて、利用許諾を説明しやすい制作工程になる。Adobe掲載の利用者談では、選曲の手間が「数時間から数秒」になったという声もあります(全案件での性能保証ではありません)。

ただし「商用利用可能」は正しく読む必要があります。

  1. 学習:音楽モデルは許諾済み・著作権切れコンテンツで学習と公式説明
  2. 利用:生成BGMの商用利用・収益化を認める設計
  3. 補償:対象契約・機能・書き出し条件に限定

「商用利用の許可 ≠ あらゆる権利リスクのゼロ保証」です。第三者モデルやBeta等は補償対象外なので、Firefly内でも選択モデルと契約を確認しましょう。

Suno・Udioとの比較は「更新が必要」

問題は、どのぐらいの品質・クオリティで出てくるか。Suno並みになるのかどうかがちょっと注目です。とはいえ、Fireflyの音楽生成は映像用BGMが中心で、ボーカルは作れません。一方でSuno/Udioもライセンス提携が進んでいて、WarnerとUdioは2025年11月19日、WarnerとSunoは2025年11月25日に、それぞれWarnerとの訴訟を和解しています(全権利者との紛争解消を意味するわけではありません)。比較の軸は「用途・表現・利用許諾・補償範囲」。注目点は「生成品質×制作効率×権利の説明可能性」です。私もこの辺はぜひ試してみたいと思います。


AI音楽は第2期へ ── 作る力より「何に価値を払ってもらうか」と「判断」が問われる

ここで話の向きが変わります。「承」では、AIが音楽体験にどんどん入り込んでいる様子を見ました。では、AIで誰でも音楽が作れるようになったとき、人間の価値はどこに残るのか。「転」では、AI音楽の“次のステージ”と、クリエイティブの仕事そのものの変化を考えます。

ステップ7:AI音楽、第2期に突入 ── 2つの経済圏が共存する時代へ

7つ目は「AI音楽、第2期に突入」というテーマです。DMN(Digital Music News)に掲載されたMichael Whalen氏の論考「A Tale of Two Industries: Music AI 2.0」(2026年9月25日、Nicholas Gunn氏の見解を紹介)が示した、事業転換の見立てです(公的な時代区分ではありません)。

分かれ目は「AIを使うかどうか」ではなく、「何に価値を払ってもらうか」。ここが核心です。

2つの経済の比較

項目① 機能・用途中心の経済② アーティスト中心の経済
求められるものその場に合う音が欲しいあなたの次の曲を聴きたい
価値速さ・低コスト・カスタマイズ作家性・物語・信頼・継続的な関係
用途例/接点例動画BGM/ゲーム/店舗/瞑想配信/ライブ/ファンへの直販
収益設計例生成サービスの課金・法人向け利用料作品販売・会員制・チケット・グッズ
競争軸用途への適合・供給効率指名される理由・ファンの継続
課題代替されやすさ・価格競争・発見されにくさ関係づくりに時間・継続発信が必要

左側の「機能・用途中心の経済」は、その場に合う音が欲しい、という世界です。例えばBGMが欲しい、効果音が欲しい、CMソングが欲しい、ゲームに入れる音楽を作りたい。こういったものは「それってAIでできるんじゃないの?」となりやすい。特に今あげたジャンルは、誰が歌っているかがメインではないんですよね。何かがあったときの“サブ”として、そういう音が欲しいと言っているものなので、「これはAIでいいでしょ」という話になるのは、よく分かります。

右側の「アーティスト中心の経済」は、「この人のファンになりたい」「この人が好きだ」という世界です。ここで大事になるのは、いわゆるIP設計。要は、自分のことを好きになってもらうための設計をちゃんとしておくことです。その中にAIが入るかどうかは、IPの問題であって、直接は関係ない。

この左と右とで、大きく分かれてくることになります。おそらく左側はかなりAIに駆逐されるけれど、右側はAIと人間がそれぞれいいとこ取りをする形、ハイブリッドになっていくんじゃないかと私は思います。資料にも「両方でAIを活用できる。両方で良い音楽は生まれる。併用も可能」と書かれていて、二者択一ではないという点がポイントです。

第1期 → 第2期:「作れる」から「事業として通用する」へ

段階中心テーマ
第1期技術の実証(AIで曲が作れる!)
第2期流通・利用・収益化の条件整備

第2期で整備されつつある条件は、次の4つです。

  • ライセンス:利用を許された範囲
  • 出所:モデル・素材・制作履歴
  • 情報開示:AIが担った工程
  • メタデータ:作者・権利者・クレジット

実務では、生成時の規約・契約・制作記録を保存しておくことが大切です。そして「商用利用可」だけで、すべての配信先に受理されるわけではありません。

すでに起きている変化(公式情報)

企業・サービス動き
UMG × Udio(2025年10月)和解とライセンス契約を発表。許諾された音楽で学習する新サービス構想
Spotify歌詞・声・制作などのAI関与をクレジットで表示するベータ機能
Deezer完全AI生成曲をタグ付けし、おすすめ・編集プレイリストから除外
DistroKid権利確保などの条件付きで受理
CD BabyAI生成コンテンツを受け付けない

配信会社の対応も一律ではない、ということですね。

誤解しないための3点

  1. AI表示なし ≠ AI不使用
  2. アーティスト中心 ≠ AIを使わない
  3. 大量生成 ≠ 需要や収益の増加

AI表示の方式・受理条件はサービスごとに異なりますし、二分化はあくまで予測で、現実には中間・混合型もあります。結論は「制作量を増やす前に、届ける相手・選ばれる理由・流通条件を決める」。AI音楽をやっている私たちにとって、すごく大事な指針だと思います。

ステップ8:生成AIで、デザイナーは不要になる?

8つ目は音楽から少し離れますが、クリエイター全体に関わる話です。デジタルハリウッドの杉山先生(杉山知之氏)が書いた記事が話題になっていたので、今回あえて入れました。サブタイトルは「作業の自動化と、判断力を育てる問題は別」。

① 減っていくのは「作業」

サイズ展開、切り抜き、仮組みなど、正解が決まった反復作業は自動化されていきます。1枚のバナーから、縦長・横長・正方形など何パターンもの展開をAIが一瞬で作ってくれる時代です。

② 問われるのは「判断」

目的に合う案を選び、違う案を差し戻し、採用した判断に責任を持つ。「目的に合っているか?」「誰に届けるか?」「こちらの方が伝わるのでは?」「この要素は不要では?」と問い続けることです。

これは私がいつも言っていることです。結局、AIが案を出したところで、それを選べるかどうかは人間が決めなければいけない。その判断軸を持っていなければ、AIをいくら使っても良いものは作れません。AI音楽でも、Sunoで何十曲生成しても「どれが良いか」を選ぶのは人間です。まったく同じ構図ですね。

③ 最大の懸念:下積みという練習場が消える

ここが一番考えさせられたところです。資料では、作る → 失敗する → 指摘される → 直すという経験が、良し悪しを見抜く目を育ててきた、とされています。そして「熟練者がAIを使えること ≠ 初心者が熟練者に育つこと」。

今までは、熟練者になるための修行として、下積み時代に膨大な作業をさせられていました。いわゆる先生や職人さんの下について作業をして、その中で徐々に「あ、先生はこういうものを採用するんだ」「先生の考え方はこうなんだ」ということを学習しながら、自分で判断できるようになっていったわけです。

ところが、その作業をAIができるようになってくると、下積みをすること自体がなくなる。そういう“練習場”が減ってくるわけです。熟練者はAIを使いこなせて生産性が上がるけれど、これから熟練者になるはずだった初心者が育つ場所がなくなってしまう。これは本当に大きな問題です。

これからの学び方(ここからは考察)

方向性中身
1. 現場で確かめる見た目が良くても使いやすいとは限らない。実物・利用者・使用状況で検証する
2. 選ぶ根拠を持つ誰の、どんな困りごとを解くのか。「なぜこの案?」「ほかの案とどう違う?」を説明できる。人が承認するだけでは不十分
3. 学びのはしごを架け直す比較・試作・利用者の声・改善。判断が育つ機会を教育で設計する

これからは、現場で確かめる、いろいろな作品を見る。そして選ぶ根拠を持つ。なぜこれが良いのか、悪いのかを、ちゃんと左脳で考えるようになることです。右脳で感覚的に捉えることももちろん大事なのですが、それをちゃんと言語化できるかどうか。そのうえで「比較・試作・利用者の声・改善」という学びのはしごを、もう一度架け直しましょう、ということです。資料の言葉どおり「AIに任せるほど、人間の判断力をどう育てるかが重要になる」のです(※考察部分は杉山氏本人の発言ではありません)。


AI音楽の信頼をどう守るか ── 投稿制限・ストリーミング詐欺・タグ付けの最前線

最後の「結」では、AI音楽が広がった結果として起きている負の側面と、それへの業界の対応をまとめます。SubmitHub、ストリーミング詐欺、Qobuz。3つを並べると、業界がどこに向かっているのかがはっきり見えてきます。

ステップ9:SubmitHub、AI楽曲の投稿を制限 ── 85%の検出基準

9つ目はSubmitHubです。サブタイトルは「85%の検出基準で変わる、プレイリスト・マーケティング」(2026年10月18日時点)。

SubmitHubは、キュレーターへの楽曲売り込みを仲介するサービスです。本来は「こんな良い曲がありますよ」とキュレーターに紹介するのが役割なのに、とにかくAIが作った曲の中に“ゴミ”が多すぎる。それを入れていると、自分たちの紹介の精度が下がってしまう。キュレーターも結局それを選んでしまうけれど、クオリティが低いので効果が出ない。だから制限していく、ということです。

何が禁止されるのか

  • SH LabsのAI検出スコアが85%以上 → 投稿対象外
  • 完全AI生成も、人間が加工したハイブリッドも対象
  • 自作の歌詞・作曲でも免除されない
  • 85%未満のハイブリッドは許容(ただしキュレーターの選好は別)
  • 例外:Hot or Not・Meta Adsは今回の制限対象外

85%は「AIの使用量」ではない

ここは誤解しやすいポイントです。85%というのは「曲の85%をAIで作った」という意味ではありません。

  • 音の周波数の特徴+時間的な変化を見る
  • 2つのモデルから「AIらしさのスコア」を算出
  • 最低30秒の音源が必要
  • 99.4%の精度(第三者テストによる同社公表値)

個別の判定を保証する数字ではなく、誤判定は起こり得ます。誤判定の報告は可能ですが、投稿拒否を覆す異議申し立てはできません。

配信で私は「今はAI音楽には大体“透かし”が入っているので、それで抽出してタグ付けされ、入らなくなっていく」というお話をしました。資料を見ると、SubmitHubの場合は透かしというより音そのものの特徴からAIらしさを判定しているようです。手法はサービスごとに違いますが、「AI音楽を見分けて仕分ける」流れが強まっている点は同じですね。

なぜ収益を手放すのか ── 数字で見る

数字意味
約11%直近アップロードで基準超え
9%投稿件数に占める割合
16% vs 31%基準超え曲と非AI曲の平均承認率
約10%同社が手放すとする収益

同社の説明は「成果が期待しにくい宣伝を売るのは不適切」。推薦されにくい曲から宣伝費を取るのは誠実ではない、という判断です。なお別調査では、7月の100万件超の分析で完全AI生成と分類された割合が23.2%という数字もありますが、母集団・期間・判定条件が異なるので、「23.2%→11%でAI音楽が減った」とは読まないようにしましょう。創業者は発表後に「これ以上ノイズは必要ない」と個人的見解を追記しています。

Spotifyの方針とも混同しないことが大切です。Spotifyは2026年8月11日発表/9月中旬から「AI Persona」表示を始め、実在の人を表さないAI生成のアーティスト人格を原則、編集・アルゴリズム推薦から除外しています(フォローしている場合などは例外)。SpotifyはAIを使った全楽曲の一律排除ではなく「公開上の人物像」で、SubmitHubは「音源の検出スコア」で判断している、という違いがあります。

AI音楽と通常音楽は「切り離して」考える時代へ

さっき「AI音楽は第2期に突入した」という話をしましたが、一方で、AI音楽と通常の音楽を切り離して考える必要も出てきています。例えばApple MusicやAmazon Musicの中にAI音楽が入っていくことは、もしかしたら難しくなってくるかもしれません。

でも逆に考えると、「Apple Music、Amazon MusicのAI版」を誰が出していくのか、というチャンスでもあります。Sunoが出すのか。実際にだいぶその方向になってきていて、オフライン再生などにも対応してきました。ただ、まだまだ課題があって、聴く側がもっと便利になるプレイリスト機能などが必要です。

例えば、それこそ先ほどのSpotifyのように、おすすめの曲をAIに聞いたら教えてくれる、という機能。これは今ないですよね。今は検索する機能と、自分のプレイリストから見るくらいしかありません。こういうものがどんどん増えてくると、可能性があるなと思います。焦点は「AI音楽を作れるか」から「聴き手に届く経路を使えるか」へ移っているのです。

ステップ10:AI音楽ストリーミング詐欺 ── 求刑46カ月以上、判決は懲役18カ月

10個目は事件のニュースです。いわゆる「マイケル・スミス事件」で、米司法省が初のAI支援型音楽ストリーミング詐欺の刑事訴追と位置づけたものです。

判決の概要

項目内容
判決懲役18カ月(2026年10月6日)
没収約809万ドル(正確には$8,091,843.64)
その後出所後2年間、裁判所による監督

※没収命令は、全額回収や被害者への返還完了を意味するものではありません。

何をしたのか

  1. AIで数十万曲を用意
  2. 多数のボットで架空再生
  3. 再生実績を装い使用料を取得

2017〜2024年に実行され、最大約1万のボットアカウントを使用、再生は累計数十億回。楽曲を大量に用意して再生を分散し、特定曲への不自然な集中を隠していました。対象はAmazon Music/Apple Music/Spotify/YouTube Musicです。資料が強調しているとおり、問題の核心はAI作曲そのものではなく、架空の需要を装って金銭を得た詐欺だという点です。

なぜ他の音楽家が損をするのか

ストリーミングは、再生シェアに応じて共通の収益プールを分配する仕組みです。偽の再生が混ざると、正当な権利者の取り分が薄まります。規模の一例として、2023年4月・YouTube Musicのファミリープラン内では、スミスのボットが8,090万回、Taylor Swiftの全楽曲が930万回だったそうです(同じ限定条件での比較で、全サービス・全再生数の比較ではありません)。被害が大勢に分散しても、被害総額が小さくなるわけではないのです。

求刑・主張・判決は別

立場内容
検察46カ月以上
量刑ガイドライン46〜57カ月
保護観察局24カ月を推奨
弁護側収監なしを要請(個々の被害の小ささなどを主張)
裁判所18カ月を言い渡し

経緯は、2024年9月に起訴、2026年3月19日に有罪答弁、10月6日に判決です。「約4年」は求刑であって判決ではない、「最高刑5年」は今回認めた電信詐欺の共謀罪についての上限、「初」は米国のこの種の刑事訴追としてで世界初の摘発という意味ではない、といった記事の読み違いにも注意が必要です。業界側も、IFPIが2026年9月に「Streaming Integrity Initiative」を発足させ、本人・権利確認、コンテンツ審査、不正の調査・対処、情報共有、対策の継続改善と、入口から対策を進めています。

私の考え ── なぜAIだと騒がれるのか

普通に考えれば、自分の音楽を多くの人に聴いてもらうために再生回数を水増ししたい、という気持ち自体は分からなくもないです。でも、これがAmazon MusicやApple Musicに入ってしまうと話が違います。botで再生数を上げると、配信者にお金が入ってくるからです。

私がSunoでいくら再生回数を増やしても一銭も入ってきません。でも、Apple MusicやAmazon Musicで再生されれば、ちゃんと収入として、印税のような形で入ってくる。だからこういう不正なボットが出てくるわけで、業界はかなり怒っているんじゃないかと思います。

もちろん、人間が作った普通の曲に対してもこういうbotは使えます。では、なぜAIの方がこんなに騒がれるのか。それは作成コストが安いからです。曲を作るコストがダントツに下がっているので、コストを考えずに儲けだけに集中できる。だからこういうことが出てくるわけで、ここは大きな課題だと思っています。資料の結論どおり、AIで曲を作れる時代ほど、「誰が本当に聴いたか」の信頼が重要になるのです。

ステップ11:Qobuz、AI生成楽曲にタグ付け開始

最後の11個目はQobuz(コバズ)です。フランス発の高音質配信サービスで、人間による選曲と、聴く人への透明性を重視しています。2026年9月24日の発表で、AI生成楽曲にタグ付けを開始することを決めました。テーマは「何を表示し、何をおすすめせず、どの再生に支払わないのか」。

衝撃の3つの数字

数字意味
0.38%全再生に占める「AI生成と識別された曲」の再生
60%AI識別曲の再生のうち、不正と判定された割合
約400万曲再生履歴のないAIアルバムに含まれ、検索から除外された曲数(報道)

全再生のうちAI生成曲の再生はたった0.38%しかなく、ほとんど聴かれていない。しかもそのAI識別曲の再生のうち60%が不正と判定されている。これは、さっきのストリーミング詐欺とまったく同じ話ですね。ちなみに資料では、同じ母集団・期間と仮定すると0.38%×60%≒**全再生の0.228%**という試算も示されています(残る0.152%を「人間のファンによる再生」と断定はできません)。

3つの措置を分けて理解する

措置対象内容
表示AIと識別リリースにタグ
発見AIと識別編集プレイリスト・特集・自動おすすめから除外
収益不正再生と判定その再生を報告・ロイヤリティ支払いから除外

タグはリリース単位(アルバム・EP・シングル)で、現時点では曲ごとの表示ではありません。タグが付くこと自体は、配信削除や不正の認定を意味しません。また、人間の実質的な創作+AIによるミックス・ボーカル処理・作曲支援は対象外とする方針で、対象は「人間の創造的な関与を伴わない、AIコンテンツの工業的な量産」です。ただし、人間の関与を音だけで完全に判別できるわけではない、という課題もあります。

検索については、公式マガジンでは「30日超、再生実績がないAI曲を検索結果から除外」、AI憲章では「AI識別アルバムを検索から除外。ただしタイトルを直接検索すれば見つかる」と、資料によって説明に差があります。検索上の非表示とカタログ削除は別物です。判定は自社開発システムが音声の特徴を分析(手法は非公開)、誤ったタグはアーティストからディストリビューターへ、疑わしい作品は誰でも報告フォームから連絡できます。Qobuz自身も、検出技術は完全ではないと認めています。

おそらく今後は、タグ付けをしたうえで、おすすめに出さなくするといったことを進めていくのでしょう。

真面目にやっている人が影響を受ける

ここで私が一番言いたいのは、真面目にAI音楽をやっている人ほど、こういう不正をする人の影響を受けるということです。確かにコストが安いことは、私たちにとってとても助かります。でも、その安さが悪用されると、AI音楽全体が「怪しいもの」として扱われてしまう。ここが大きな課題だと感じています。焦点は、制作の透明性・音楽との出会い・不正再生への報酬をどう設計するかです。

以上、2026年10月までのAI音楽に関するニュースを紹介しました。


おわりに ── 「作れる」時代から「信頼して聴いてもらえる」時代へ

今回は、Suno編に続く後編として、Suno以外のAI音楽・音楽業界のニュース11本を、起承転結の流れで紹介しました。

「起」では、ヒット曲を測る“ものさし”の難しさと、30年前の日本語の名曲が世界へ届く可能性、そして歌枠を支える権利の仕組みを見ました。「承」では、Spotify・Snapchat・Adobe Fireflyと、聴く・話す・作るのあらゆる場面にAIと対話が入り込んでいる現状を確認しました。「転」では、AI音楽が「機能・用途中心」と「アーティスト中心」の2つの経済に分かれ、人間には“判断”と“言語化”が求められることを考えました。そして「結」では、SubmitHubの投稿制限、ストリーミング詐欺の判決、Qobuzのタグ付けから、AI音楽の信頼と透明性が最大のテーマになっていることが分かりました。

AIで曲を作るハードルは下がりました。だからこそ、誰に届け、なぜ選ばれ、どう信頼してもらうか。そこを設計できる人が、これからのAI音楽で生き残っていくのだと思います。


まとめ

  • 歴代ヒット曲ランキング:CD・DL・着うた・ストリーミング・MVの5指標を「人気得点」に換算。シングル10万枚=単曲DL10万回=着うた50万回=ストリーミング1億回。1位は「キセキ」(556.8)。ただし配点基準を誰が作るかが課題
  • FIELD OF VIEW:『DAN DAN 心魅かれてく』『渇いた叫び』が33か国・地域へ。アニメ×新録音×デジタル配信が鍵で、日本語の曲にも世界で戦える夢がある
  • VTuberの歌枠:楽曲の著作権と伴奏音源の著作隣接権という「2層の権利」。JOYSOUND×KADOKAWA CSP提携で特別プランが登場(合法化ではなく、利用しやすくする動き)
  • Spotifyテイストプロファイル:好みを言葉で伝えてホームのおすすめを調整。「推測するAI」から「意図を聞くAI」へ
  • Snapchat「チャットから曲生成」:2026年9月21日発表。メッセージを短いオリジナル曲に。裏の音楽モデルは非公表で、SunoのAPI連携に期待
  • Adobe Firefly:音楽・音声・効果音を一括生成。許諾済み学習で企業案件向き。ただしボーカル非対応で、品質がSuno並みかが注目
  • AI音楽第2期:「機能・用途中心」はAIに置き換わりやすく、「アーティスト中心」はAIと人間のハイブリッドへ。制作量より、届ける相手・選ばれる理由・流通条件
  • デザイナー不要論:減るのは作業、問われるのは判断。下積みという練習場が消える中、根拠を言語化して学びのはしごを架け直す
  • SubmitHub:AI検出スコア85%以上は投稿対象外。AI音楽と通常音楽を切り離す流れと、「AI版音楽サブスク」のチャンス
  • AI音楽ストリーミング詐欺:求刑46カ月以上に対し判決は懲役18カ月。作成コストの安さが不正を生む
  • Qobuz:AI生成曲の再生は全体の0.38%、そのうち60%が不正判定。リリース単位でタグ付けし、おすすめから除外。真面目なクリエイターほど影響を受ける

よくある質問(Q&A)

Q1. 歴代ヒット曲ランキングで、ストリーミング1億回がCD10万枚と同じなのはなぜですか?

A. 聴き方の違う指標を1つの得点にそろえるための「換算基準」です。計算するとCD1枚=ストリーミング1000回となり、私はストリーミングにやや厳しすぎると感じています。ただ、今はストリーミングの比重が非常に大きいため、ここを厳しくしないとCD時代の名曲が埋もれてしまう、というバランス調整だと考えられます。結局は「誰がこの基準を作るか」で順位が変わる点が課題です。

Q2. VTuberが歌枠で配信するとき、何に気をつければいいですか?

A. 「楽曲の著作権」と「伴奏音源の著作隣接権」の2層を確認することです。曲を歌えても、どの伴奏でも配信できるわけではありません。JOYSOUND for STREAMERのような公式の配信用カラオケを使い、楽曲と投稿先が対象か、所属・収益化に合うプランか、伴奏だけの投稿や無断改変をしていないか、最新の規約を必ず確認しましょう。

Q3. Adobe FireflyとSunoはどう使い分ければいいですか?

A. Adobe Fireflyは、許諾済み・著作権切れコンテンツで学習したとされ、映像用のインストBGM・ナレーション・効果音を一括で作れるため、企業案件や動画制作に向いています。ただし歌詞・ボーカルの生成には対応していません。一方、Sunoは歌もの・ボーカル入りの楽曲を作れるのが強みです。品質がSuno並みになるかは今後の注目点なので、用途・表現・利用許諾・補償範囲で比較して選ぶのがおすすめです。

Q4. AI音楽はSpotifyやApple Musicなどで配信できなくなるのですか?

A. 一律に配信できなくなるわけではありません。ただ、SubmitHubは検出スコア85%以上を投稿対象外にし、QobuzやDeezerはタグ付けしておすすめから除外、SpotifyはAI Personaを推薦から原則除外するなど、「配信はできても推薦されにくい」流れが強まっています。配信会社もDistroKidは条件付き受理、CD Babyは受け付けないなど対応がバラバラです。制作記録を残し、各サービスの規約を確認することが大切です。

Q5. AI時代に、クリエイターとして生き残るには何が必要ですか?

A. 「作業」ではなく「判断」の力を磨くことです。AIは大量に案を出してくれますが、どれを選ぶかを決めるのは人間です。なぜこれが良いのかを左脳で言語化できること、現場や利用者の声で確かめること、比較・試作・改善を繰り返すことが重要です。さらにAI音楽なら、「機能・用途中心」で価格競争をするより、自分を好きになってもらうIP設計を行い、AIと人間のハイブリッドで「あなたの次の曲を聴きたい」と言われる存在を目指しましょう。

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年10月(AI音楽ラジオ)AI音楽編

🏆 人気得点
人気得点とは、ブログ「Billion Hits!」の歴代ヒット曲ランキングで、単位の異なる売上や再生実績を共通の点数に換算する仕組みです。シングル10万枚、単曲DL10万回、着うた50万回、ストリーミング1億回をそれぞれ同等の基準とし、MV再生も評価対象に含めます。1位はGReeeeNの「キセキ」でした。配点の基準を誰がどう決めるかが課題になります。

🎤 歌枠
歌枠とは、VTuberなどが配信で歌を披露する企画のことです。歌うには楽曲の著作権と、伴奏音源の著作隣接権という2層の権利確認が必要で、楽曲を歌えてもどの伴奏でも配信できるわけではありません。JOYSOUNDとKADOKAWA CSPの提携により、配信用カラオケを使いやすくする特別プランが用意され、権利確認や費用の負担軽減が期待されています。

🎧 テイストプロファイル
テイストプロファイルとは、Spotifyが再生履歴から推測した利用者の好みを可視化し、言葉で修正できる機能です。「90年代のロックをもっと聴きたい」のようにプロンプト感覚で希望を伝えると、ホームのおすすめが調整されます。米国とニュージーランドで提供されており、日本での開始時期は未発表です。サービスに対話型AIが組み込まれていく流れを示す例といえます。

🎼 AI音楽第2期
AI音楽第2期とは、AIで「作れる」段階から「事業として通用する」段階へ移ったという見立てです。BGMや効果音のように場面に合う音を求める「機能・用途中心の経済」と、特定の人のファンになる「アーティスト中心の経済」の2つに分かれます。前者はAIに置き換わりやすく、後者は人間とAIのハイブリッドになると考えられます。

🚫 SubmitHub
SubmitHubとは、キュレーターへの楽曲売り込みを仲介するサービスです。AI検出スコアが85%以上の曲を投稿対象外にしました。85%はAIの使用割合ではなく、音の特徴から算出した「AIらしさ」の値です。低品質なAI曲が多すぎて宣伝効果が落ちることが理由で、約10%の収益を手放してでも制限するという判断です。

💬 Snapchat(チャットから曲生成)
Snapchatは2026年9月21日、有料のLens+向けにチャットのメッセージを短いオリジナル曲にする機能を発表しました。メッセージを長押しし、ジャンルを選ぶだけで曲が生成されます。Sunoでテキストから曲を作る遊びが流行した流れを受けたものです。InstagramやTikTokが続くか、また裏側でどの音楽生成モデルが使われるかが注目されます。

🧑‍🎨 下積み
下積みとは、熟練者のもとで膨大な作業をこなし、判断の基準を身につけていく修行期間のことです。生成AIでサイズ展開や切り抜きなどの反復作業が自動化されると、この練習の場が消えてしまうことが最大の懸念とされます。今後は現場で確かめ、選ぶ根拠を言語化し、比較・試作・利用者の声・改善という学びのはしごを架け直すことが求められます。

🔥 Adobe Firefly
Adobe Fireflyは、Adobeの生成AIサービスです。映像向けBGM、ナレーション音声、効果音を一つの制作環境で生成できるようになりました。音楽モデルは許諾済みや著作権切れのコンテンツで学習したと公式に説明されており、企業案件でも使いやすいのが強みです。ただし歌詞やボーカルの生成には対応していません。Sunoと比べて品質がどこまで迫るかが注目点です。

🤖 AIストリーミング詐欺
AIストリーミング詐欺とは、AIで数十万曲を用意し、多数のボットで架空の再生を繰り返して使用料をだまし取る手口です。米国の事件では、検察の46か月以上の求刑に対し懲役18か月の判決が出ました。再生シェアで分配する仕組みのため、正当な音楽家の取り分が減ります。AIは曲の制作コストが極端に安く、こうした不正が起きやすい点が問題視されています。

🏷️ Qobuz(AIタグ付け)
Qobuzは、フランス発の高音質音楽配信サービスです。AIで生成された曲を含むリリースにタグを付け、編集プレイリストやおすすめから外す方針を打ち出しました。AIと識別された曲の再生は全体の0.38%にとどまる一方、そのうち60%が不正と判定されています。不正な一部の利用者のせいで、まじめにAI音楽を作る人まで影響を受けることが課題です。

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年10月(AI音楽ラジオ)AI音楽編

ヒットの基準とリスナーとの出会い方はどう変わったのか

歴代ヒット曲ランキングは何で決まる?CD・DL・ストリーミングを「人気得点」で比較する考え方

AI音楽のニュースを読み解く前に、まず押さえておきたいのが「ヒットをどう測るか」という物差しの変化です。ブログ「Billion Hits!」の管理人が作成した歴代ヒット曲ランキング(対象期間:1989年1月1日〜2026年10月8日)は、売上と再生の実績を独自の「人気得点」に換算して比較するという試みで、音楽業界の評価軸を考えるうえで非常に示唆に富んでいます。

評価に使われる指標は5つです。オリコン等の売上データによるCDシングル売上(2010年までが対象)、日本レコード協会の単曲配信認定値によるダウンロード売上、同協会の「着うた」認定値、Billboard JAPANや日本レコード協会の認定値によるストリーミング再生、そしてYouTubeの公式音楽動画によるMV再生です。

ポイントは、単位の異なる実績を共通の得点に揃える換算基準です。シングル10万枚=単曲DL10万回=着うた50万回=ストリーミング1億回を、それぞれ「人気10点」の基準としています。つまりCD1枚の購入とストリーミング1,000回再生が同じ重みという計算です。ストリーミングに厳しすぎるようにも見えますが、聴き放題で再生数が膨らみやすい現在の環境をそのまま足し算すると、配信時代の曲ばかりが上位に来てしまうため、時代間の公平性を保つための調整と読めます。

その結果、上位10曲は1位「キセキ」(GReeeeN)、2位「Lemon」(米津玄師)、3位「そばにいるね」(青山テルマ feat.SoulJa)と、CD・着うた・ストリーミングの各時代の代表曲がバランスよく並んでいます。

ただし注意点もあります。MVは最も再生された1本のみを対象とし、同じアーティスト×楽曲は1組として各指標の最大値を採用しています。また、これは公的機関の統一ランキングではなく、配点を誰がどう決めるかによって順位は変わり得ます。年末のレコード大賞予測のように複数の指標を総合する場面では、こうした「傾斜配点」の発想が役立ちますが、同時に配点設計そのものが議論の的になる、という点も覚えておきたいところです。

FIELD OF VIEW「DAN DAN 心魅かれてく」が世界33か国・地域へ届いた理由

2026年10月の音楽ニュースで驚きを集めたのが、FIELD OF VIEWの楽曲が世界33か国・地域に届いているという話題です。これはボーカル・浅岡雄也さんが2026年10月6日にnoteで公表した到達規模で、8月5日時点の発表では31か国・地域、J-Pop部門1位が12か国・地域、TOP10入りが24か国・地域とされていました。なお「33か国」は単一曲が世界総合1位になったという意味ではない点に注意が必要です。

中心にあるのは、1996年3月11日発売の「DAN DAN 心魅かれてく」(作詞:坂井泉水、作曲:織田哲郎、『ドラゴンボールGT』OP)です。発売からちょうど30年となる2026年3月11日に、新録音の「DAN DAN 心魅かれてく〜30th Ver〜」が新曲「ララララ〜次のForever〜」とともに配信されました。もう一つの代表曲「渇いた叫び」(作詞・作曲:小松未歩、『遊☆戯☆王』OP)は1998年の楽曲で、2025年5月15日に新録版が収録されています。「30年前の歌」は代表曲を軸にした表現で、すべてが1996年の曲ではありません。

実際に確認できる順位としては、iTunes StoreのJ-Popトップソングで「30th Ver」がフランス・ボリビア・ハンガリーで1位、オーストラリアで2位、カナダで3位といった記録があり、ボリビアでは総合トップソングでも2位に入っています。新曲「ララララ〜次のForever〜」もデンマークやポーランドのiTunes J-Pop部門で1位を獲得しました。

背景として考えられるのは、①アニメを通じた作品の記憶が楽曲への入口になっていること、②記念版・新録音が聴き直すきっかけを作ったこと、③デジタル配信で海外から購入できる環境が整っていることの3点です。SNSやショート動画での再発見も影響していると考えられますが、特定のSNS流行が主因だという裏付けは確認できていません。

ここから得られる示唆は、AI音楽の時代にも共通します。楽曲の発売年とリスナーが出会う年は違うということです。過去作品を磨き直し、新しい接点を作り、新作へ案内する。日本語の曲でも国境と世代を越えられるという事実は、日本のクリエイターにとって大きな希望といえるでしょう。

配信者とリスナーの体験を変える音楽サービスの新機能

VTuberの「歌枠」はなぜ難しかった?JOYSOUND×KADOKAWA「CSP」提携で変わる伴奏の権利とコスト

VTuberや配信者にとって定番コンテンツである「歌枠」には、長く権利面のハードルがありました。歌うためには「2層の権利」を確認する必要があるからです。

1つ目は楽曲の著作権(歌詞・メロディ、作詞者・作曲者の権利)です。こちらはYouTubeなどがJASRAC等と包括契約を結んでいるため、管理楽曲を対象範囲で使う場合は個別の手続きが不要なケースがあります。2つ目は伴奏音源の著作隣接権です。CDやカラオケの伴奏は録音物を作ったレコード製作者や実演家の権利であり、別途利用許諾が必要になります。つまり「楽曲を歌える」ことと「どの伴奏でも配信できる」ことはイコールではありません。

この課題への公式な解決策が、エクシングが2024年10月29日にSteamで提供を始めた「カラオケJOYSOUND for STREAMER」です。歌詞テロップ、採点、キー・テンポ変更などの機能を備え、サービス全体で4万曲以上を搭載し、YouTube・Twitch・ニコニコ動画・TikTok LIVEに対応しています。料金は通常Basicが3,500円/30日(趣味向け)、Proが10,000円/30日(収益化向け)、法人は個別見積もりです。

そして2026年10月1日、KADOKAWAのクリエイター支援プログラム「CSP」とエクシングが包括的提携を発表しました。CSPを利用するクリエイターは、個人・法人所属を問わず、より豊富な楽曲ラインナップと収益化対応の上位プランを特別価格で利用できるようになります。CSPは2022年3月に始まった二次利用の管理・収益分配の仕組みで、これまでも「カラオケ歌っちゃ王」との包括許諾や、JOYSOUNDの歌枠リレーへの協力などを積み重ねてきました。

ただし、今回の提携で初めて歌枠が合法化されたわけではなく、既存の配信許諾サービスを使いやすくしたという位置づけです。CSP特別価格の具体額、開始時期、対象曲の差、契約条件はまだ公表されていません。配信前には、楽曲と投稿先が対象か、所属や収益化に合うプランか、伴奏だけの投稿や無断の改変をしていないかを必ず確認しましょう。

Spotify「テイストプロファイル」とは?おすすめを”言葉で調整”する時代の到来

Spotifyが2026年9月23日、「Taste Profile(テイストプロファイル)」のベータ版を米国のPremiumユーザー(18歳以上)に拡大すると発表しました。2026年3月のSXSWで発表され、まずニュージーランドでテストされていた機能です。

これまでのレコメンドは、よく聴く曲、スキップ、保存、プレイリスト、聴く時間帯といった再生行動からSpotifyが好みを「推測」するものでした。テイストプロファイルでは、Spotifyが理解している「あなたの好み」を音楽・ポッドキャスト・オーディオブック横断で読めるようになり、さらに「Tell us more」欄に言葉で希望を入力して、ホームのおすすめを調整できます。使い方はシンプルで、モバイルアプリでプロフィール写真をタップ→Taste Profileで好みの解釈を確認→Tell us moreに希望を入力・送信→ホームの変化を確認、という4ステップです。

たとえば「90年代のロックをもっと開拓したい」「朝の運動向けに元気な曲を増やして」「落ち着いた雰囲気は少なめに」「歴史のポッドキャストをもっと」といった、ジャンル・年代・雰囲気・関心を伝えられます。入力したメモは編集・削除が可能です。

一方で、誤解しやすい点もあります。調整の対象は主にホームのおすすめで、「必ず表示」「絶対に非表示」といった完全な制御はできません。あくまでおすすめの方向づけであり、アルゴリズム全体が公開されるわけでもありません。似た機能として、曲・プレイリストを好みの分析から外す「除外」や、子ども・家族向け音楽の影響を除く設定(2026年9月15日発表)がありますが、これらと対話型編集は別物です。日本での開始時期は、確認した公式資料では未発表です。

この変化の本質は、サービス設計が「推測するAI」から「意図を聞くAI」へ移っていることです。あらゆるWebサービスに対話型生成AIが組み込まれる流れの一例であり、今後はAI音楽プラットフォームにも「AIにおすすめを聞く」機能が求められていくはずです。

音楽生成AIは「制作ツール」から「日常機能」へ

Snapchat「チャットから曲生成」機能とは?SNSに音楽生成AIが組み込まれる意味

2026年9月21日、Snapchatが有料サブスクリプション「Lens+」に5つの新しい創作機能を追加し、その目玉として「チャットから曲生成(Create Song)」を発表しました。チャット内のメッセージを長押しして「Create Song」を選び、ジャンル(ポップ、ヒップホップ、R&B、ロックなど)を指定すると、会話を短いオリジナル曲に変換できます。試聴してそのままチャットに送信でき、生成から共有までが会話の中で完結します。

同時に、まばたきや視線・表情・照明を補正する「AI Photoshoot」、友人のSnapを別スタイルに変える「AI Remix」、ステッカーの再デザイン、泡文字やスプレー風に装飾する「AIフォント」も追加されました。Lens+は「Snapchat+」内の上位プランで、Snapchat+全体の加入者数は2,500万人を超えています(Lens+単独の人数ではありません)。提供はLens+の対象市場で順次展開され、地域によって利用開始に差があります。

なぜ今、チャットを曲にするのでしょうか。TikTokで会話の楽曲化が流行し、Sunoでテキストから曲を作る遊びが拡散したことで、作曲の専門知識より「身近な会話」が創作の入口になりました。Snapchatはそれを有料機能に組み込み、友人とのやり取りを加入・継続の動機に変えようとしていると考えられます。

ただし、公表されていない重要点も多くあります。音楽生成モデルの提供企業、学習音源の許諾状況、曲の長さ・日本語対応・生成回数、外部書き出しや商用利用の条件は、発表資料では明らかにされていません。Snapchatは大手レーベルとの既存の音楽提携がありますが、それがAI学習への許諾を意味するわけではありません。Sunoの採用か自社開発かも断定できない状況です。

今後はInstagramやTikTokなど他のSNSが同様の機能を取り入れ、その裏側でどの音楽生成モデルが使われるかが注目点になります。音楽生成AIのAPI提供や提携が進めば、モデル提供側の収益構造が変わり、権利者への分配の仕組みづくりにもつながる可能性があります。

Adobe Fireflyで音楽・音声・効果音を一括生成|企業案件で注目される理由とSunoとの違い

Adobeは2026年8月20日、Adobe Fireflyのオーディオ機能の一般提供を発表しました(日本では21日に公式ブログで告知)。画像・動画に続き、音楽・音声・効果音までを一つの制作環境で生成できるようになったことで、素材探し・尺合わせ・ナレーション制作の手間を大きく減らせます。

「音楽を生成(Generate Music)」はFirefly Music Modelを基盤に、テキストや動画の解析から映像向けのインストゥルメンタルBGMを提案します。雰囲気・スタイル・テンポ・長さを調整でき、5秒〜5分の範囲でWAV書き出しが可能、ロイヤリティフリーで商用利用できます。ただし歌詞・ボーカルの生成には対応していません。消費は20クレジット/分です。

「音声を生成(Generate Speech)」はFirefly SpeechとElevenLabsのモデルを選べ、台本テキストやTXT・DOCXの読み込みからナレーションを作成し、声・速度・抑揚を調整できます。ただしFirefly Speechの公式言語表に日本語の記載はなく、日本語案件ではモデルの対応状況の確認が必要です。「効果音を生成」はFirefly Audio Modelを基盤に、足音・風・衝撃音などを文章で指定し、声の録音をタイミングや強弱のガイドにして映像に合わせて配置できます。

企業案件で注目される最大の理由は、権利の説明可能性です。Adobeは音楽モデルを許諾済み・著作権切れコンテンツで学習したと説明しており、生成BGMの商用利用・収益化を認める設計になっています。ただし、補償は対象契約・機能・書き出し条件に限定され、第三者モデルやBeta機能は対象外です。「商用利用可能」は、あらゆる権利リスクがゼロという意味ではありません。

Sunoとの比較では、Fireflyは映像用BGMが中心で歌ものは作れないため、用途が異なります。一方、Suno/Udioもワーナーとの和解(2025年11月)などライセンス提携が進んでいます。比較軸は「用途・表現・利用許諾・補償範囲」で考えるのが現実的です。

AI音楽ビジネスの構造変化と「人間の判断力」

AI音楽は「第2期」に突入|機能・用途中心の経済とアーティスト中心の経済

AI音楽は「作れるかどうか」を実証する第1期から、「事業として通用するか」を問われる第2期に入った——。Digital Music Newsに掲載されたMichael Whalen氏の論考「A Tale of Two Industries: Music AI 2.0」(2026年9月25日)は、この転換を2つの経済圏が共存する時代として整理しています。なお「第2期」は論考が示す事業転換の見立てであり、公的な時代区分ではありません。

1つ目は「機能・用途中心の経済」です。求められるのは「その場に合う音」で、動画BGM、ゲーム、店舗、瞑想などが用途例です。価値は速さ・低コスト・カスタマイズにあり、収益は生成サービスの課金や法人向け利用料で得ます。誰が歌っているかより用途への適合が問われるため、AIの得意領域です。一方で代替されやすく、価格競争や発見されにくさが課題になります。

2つ目は「アーティスト中心の経済」です。こちらは「あなたの次の曲を聴きたい」というファンとの関係が軸で、価値は作家性・物語・信頼・継続的な関係にあります。接点は配信、ライブ、ファンへの直販で、収益は作品販売・会員制・チケット・グッズです。競争軸は「指名される理由」であり、AIを使うかどうかはIP設計の一部にすぎません。

筆者の見立てでは、前者はAIによる置き換えが急速に進み、後者はAIと人間がそれぞれの強みを持ち寄るハイブリッド型になっていくでしょう。ただし二分化は予測であり、現実には中間・混合型も存在します。

すでに起きている変化として、UMGとUdioの和解・ライセンス契約(2025年10月)、Spotifyによる制作へのAI関与をクレジット表示するベータ機能、Deezerによる完全AI生成曲のタグ付けと推薦除外、配信会社ごとに異なる受付方針(条件付きで受理するDistroKid、AI生成コンテンツを受け付けないCD Babyなど)が挙げられます。第2期では、ライセンス、出所、情報開示、メタデータという流通・収益化の条件整備が欠かせません。制作量を増やす前に、届ける相手・選ばれる理由・流通条件を決めることが重要です。

生成AIでデザイナーは不要になる?杉山知之氏の指摘と「判断力を育てる」課題

デジタルハリウッド大学の杉山知之氏による「生成AIでデザイナーは不要になるのか」という論考が話題になりました。音楽とは別分野の話ですが、AI音楽を含むあらゆるクリエイティブに共通する本質的な問題を扱っています。

要旨は大きく3つです。第一に、減っていくのは「作業」であること。サイズ展開、切り抜き、仮組みなど、正解が決まった反復作業は自動化されていきます。第二に、問われるのは「判断」であること。目的に合う案を選び、違う案を差し戻し、採用した判断に責任を持つことは人間の役割として残ります。これは筆者がセミナーで繰り返し伝えていることと同じで、AIがいくら案を出しても、それを選べる判断軸がなければ使いこなせません。

そして最大の懸念が、「下積み」という練習場が消えることです。これまで初心者は、師匠や先輩の下で膨大な作業をこなし、作って、失敗して、指摘されて、直すという経験を通じて、良し悪しを見抜く目を育ててきました。ところがその作業をAIが担うようになると、熟練者がAIを使えることと、初心者が熟練者に育つことは別の問題になります。

ではどうすればよいのか。ここからは考察ですが、3つの方向性が考えられます。1つ目は「現場で確かめる」こと。見た目が良くても使いやすいとは限らないため、実物・利用者・使用状況で検証します。2つ目は「選ぶ根拠を持つ」こと。誰のどんな困りごとを解くのか、なぜこの案なのか、他の案とどう違うのかを言語化します。右脳の感覚で捉えることも大切ですが、左脳で説明できることが判断の質を上げます。3つ目は「学びのはしごを架け直す」こと。比較・試作・利用者の声・改善のサイクルを、教育の場で意図的に設計し直す必要があります。

Sunoで曲を量産できる今、音楽でも同じことが起きています。AIに任せるほど、人間の判断力をどう育てるかが重要になるのです。

AI楽曲への規制強化と不正対策の最前線

AI音楽ストリーミング詐欺の判決は懲役18カ月|なぜ真面目な音楽家が損をするのか

米司法省が「初のAI支援型音楽ストリーミング詐欺の刑事訴追」と位置づけたマイケル・スミス事件で、2026年10月6日、ニューヨーク南部地区連邦地裁が懲役18カ月の判決を言い渡しました。あわせて約809万ドル(8,091,843.64ドル)の没収と、出所後2年間の監督付き釈放も命じられています。

手口はこうです。AIで数十万曲を用意し、多数のボットで架空の再生を行い、再生実績を装って使用料を得ていました。2017〜2024年にかけて最大約1万のボットアカウントを使い、再生は累計数十億回に及びます。対象はAmazon Music、Apple Music、Spotify、YouTube Musicで、大量の曲に再生を分散させることで、特定曲への不自然な集中を隠していました。

求刑と判決の違いも押さえておきましょう。検察は量刑ガイドライン(46〜57カ月)の下限である46カ月以上を求刑し、保護観察当局は24カ月を推奨、弁護側は個々の被害の小ささなどを理由に収監なしを求め、裁判所は18カ月を言い渡しました。「約4年」は求刑であって判決ではない点に注意が必要です。

なぜ他の音楽家が損をするのか。多くの配信サービスは、再生シェアに応じて共通の収益プールを分配する仕組みです。偽の再生が混ざれば、正当な権利者の取り分が薄まります。被害が大勢に分散しても、被害総額が小さくなるわけではありません。

ここで重要なのは、問題の核心はAI作曲そのものではなく、架空の需要を装って金銭を得た詐欺だという点です。ではなぜAIが注目されるのか。それは曲を作るコストが劇的に下がったからです。人間の曲でもボット再生は可能ですが、制作コストがほぼゼロになると、儲けだけに集中した不正が成立しやすくなります。業界ではIFPIが2026年9月に「Streaming Integrity Initiative」を立ち上げ、本人・権利確認、コンテンツ審査、情報共有などの対策を進めています。AIで曲を作れる時代ほど、「誰が本当に聴いたか」の信頼が重要になります。

SubmitHubとQobuzが始めたAI楽曲の選別|85%検出基準とタグ付けがクリエイターに与える影響

AI楽曲の急増を受け、流通・宣伝の現場でも選別が始まっています。代表例がSubmitHubとQobuzです。

キュレーターへの楽曲売り込みを仲介するSubmitHubは、自社のAI検出ツール「SH Labs」のスコアが85%以上の楽曲を投稿対象外としました。完全AI生成だけでなく、人間が加工したハイブリッドも対象で、自作の歌詞・作曲でも免除されません。誤解されやすいのですが、85%は「AIの使用量」ではなく、音の周波数の特徴と時間的な変化から算出した「AIらしさのスコア」です。同社は直近アップロードの約11%が基準を超え、収益の約10%を手放すことになると説明しています。基準未満のハイブリッドは引き続き受け付けますが、判定を覆す異議申し立ての仕組みはありません。なお、Hot or NotやMeta Adsは今回の制限対象外です。

フランス発の高音質配信サービスQobuz(コバズ)は、2026年9月24日にAI生成と識別した楽曲を含むリリースへのタグ表示を開始しました。タグはアルバム・EP・シングルなどのリリース単位で、編集プレイリストや特集、自動おすすめからは除外されます。同社によれば、AIと識別された曲の再生は全再生の0.38%にすぎず、そのうち60%が不正と判定され、ロイヤリティ支払いから除外されています。また、再生履歴のないAIアルバムに含まれる約400万曲が検索から除外されたと報じられています。一方で、人間の実質的な創作にAIのミックスやボーカル処理を組み合わせたものは対象外とする方針で、タグが付くこと自体は配信削除や不正の認定を意味しません。

注意したいのは、こうした識別がいわゆる「透かし(電子透かし)」ではなく、自社開発システムによる音声特徴の分析で行われている点です。検出は完全ではなく、Qobuz自身もそれを認めています。

クリエイターへの示唆は明確です。作れること、配信できること、推薦されることは別物です。宣伝費を払う前に対象サービスの規定を確認し、制作工程や演奏・編集の記録を残しておきましょう。焦点は「AI音楽を作れるか」から「聴き手に届く経路を使えるか」へ移っています。真面目に取り組む人ほど不正の巻き添えを受けやすい今、AI音楽専用の流通やレコメンドの仕組みを誰が作るのかも、次の大きな論点になるでしょう。


ファクトチェック・修正一覧(文字起こし→記事)

項目文字起こしの表現確認結果・記事での扱い
ランキング指標「物理的なハードディスク」音声認識または言い間違い。CDなどの物理メディア(シングル売上)に修正
ランキング換算シングル10万枚=ストリーミング1億回で1,000倍計算は正しい。CD売上は2010年までが対象(2011年以降は含まない)を補足
FIELD OF VIEW2曲とも30年前の曲のように説明「渇いた叫び」は1998年の楽曲(遊☆戯☆王OP)。「30年前」は代表曲を軸にした表現と明記
FIELD OF VIEWTikTok等のショート動画で発見されて人気特定SNSが主因という裏付けは未確認。アニメ・新録音・海外配信の3要因を中心に記述し、SNSは可能性にとどめた
33か国世界33カ国で人気浅岡雄也氏がnoteで公表した到達規模(10/6)。単一曲の世界総合1位ではない旨を明記
VTuber歌枠「なぜ難しくなったのか」「厳しくなってきている」資料タイトルは「なぜ難しかった?」。今回の提携は利用しやすくする方向の話であり、規制強化ではないため修正
VTuber歌枠伴奏音源の「著作権」正確には伴奏音源の「著作隣接権」(レコード製作者・実演家の権利)に修正
Spotify以前にも紹介2026/3 SXSWで発表、NZ先行→9/23に米国拡大。日本は未発表と明記
SubmitHubAI音楽には透かしが入っているので抽出してタグ付けSubmitHub(SH Labs)・Qobuzとも音声特徴の分析による検出で、透かし検出ではない。記事で訂正
SnapchatSunoのチャット曲生成がApp Store1位になり話題Snapchatの公式発表ではSunoとの関係は不明。App Store1位の具体的事実は今回未確認のため、記事では「Sunoでテキストから曲を作る遊びが拡散」の表現にとどめた
Snapchat後ろにどの音楽モデルがくっつくか提供モデル・学習許諾は公表されていない旨を明記
Adobe Firefly音楽もできるようになった一般提供は2026/8/20発表。歌詞・ボーカル生成は非対応のため、Sunoとは用途が異なる点を明記
Adobe Firefly著作権にオッケーな状態で学習していると思われるAdobeは許諾済み・著作権切れコンテンツでの学習と公式に説明。ただし補償範囲は限定的と補足
Grok先日Grokで音楽(PV付き)を作れるようになった今回の資料・調査範囲外のため記事本文では扱わず
ストリーミング詐欺検察46ヶ月以上求刑、判決18ヶ月正確。量刑ガイドライン46〜57カ月、保護観察当局24カ月推奨、判決日10/6を補足
Qobuz「コバズ」日本での表記どおり。2026/9/24にタグ表示開始
Qobuz400万曲英語公式発表では単位が曖昧で、日本語報道で「400万曲」とされている数字のため「報じられている」と表現
デザイナー論考デジタルハリウッドの杉山先生杉山知之氏。考察部分は杉山氏本人の発言ではない旨を明記

出典一覧

項目出典
歴代ヒット曲ランキングブログ「Billion Hits!」管理人作成の表(調査日2026/10/8)
FIELD OF VIEW浅岡雄也氏note(2026/8/5・10/6)、U-Factory公式発表、TuneCore Japan / LinkCore公開履歴、Wikipedia: Dan Dan Kokoro Hikareteku
VTuber歌枠電ファミニコゲーマー(2026/10/1)、KADOKAWA提携発表、JOYSOUND for STREAMER公式・利用規約
Spotify テイストプロファイルTechCrunch、Betanews、Spotify Newsroom / Support
AI音楽第2期Digital Music News:Michael Whalen「A Tale of Two Industries: Music AI 2.0」(2026/9/25)
SubmitHubSubmitHub公式 AIポリシー、Barrett Media
SnapchatSnap Newsroom
デザイナー論考杉山知之氏の論考(提示本文)
Adobe FireflyAdobe公式ブログ(日本語)、Adobe音楽生成FAQ
ストリーミング詐欺米司法省SDNY発表(2026/3/19・10/6)、MusicTech、BleepingComputer
QobuzMusic Business Worldwide、PHILE WEB(2026/3/9)、Qobuz AI Charter v2

音楽生成AI「Suno」AI音楽ニュース2026年10月(AI音楽ラジオ)AI音楽編

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この記事を書いた人

横田 秀珠のアバター 横田 秀珠 (新潟)公立長岡造形大学 情報リテラシー論 講師

ネットビジネス・アナリスト。未経験のIT企業に就職し、たった3年で独立し、2007年にITコンサルタント会社のイーンスパイア(株)を設立し現在に至る。All About ProFile全専門家で全国1位のコラム評価を獲得した実績を持つ。全国で年間200回を超える講演も行う。